鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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ご都合主義満載です。


克服

「ぐあああ!振り落とされるな!頑張れ、頑張れ!木の……アレ!ヘビトカゲ竜みたいのがこっちへ来ない内に!」

 

 炭治郎たちは、蠢く本体が隠された木に振り落とされないように木の部位を必死に掴む。

 

「甘露寺さん、楓さんが子鬼の動きを止めている内に!」

 

 その時、完全に木が動きを止める。

 だが、動きが止まったとしても、本体を包み込んでいる木の塊は高い位置にある為、刀が届かせることが出来ない。

 すると、禰豆子の爪の攻撃で木を半ばから切断し、着地し体勢を整えた炭治郎が禰豆子の血で赤く染まった刀を振るう。

 

 ――ヒノカミ神楽 炎舞。

 

 半天狗が隠れているであろう中心部の木を縦に斬りつけ、玄弥と禰豆子が切断された木を支える。――だが、木の内部に半天狗の姿が無い。

 

「(いない!また逃げた!どこだ!どこだ!……近い)」

 

 炭治郎が匂いを追った先には、ヒイイ、と叫び声を上げながら前方へ逃走する半天狗の姿。

 そんな姿を見て、炭治郎は青筋を立てる。

 

「貴様アアア!逃げるなアア!責任から逃げるなアア!お前が今まで犯した罪、悪行!その全ての責任は必ず取らせる!」

 

「いい加減にしろ!この、バカテレェェエ!」

 

 それを聞いていた玄弥が、近場に生えていた木を根っ子から引き抜こうとする。

 

「ガアアアア!クソがアアア!いい加減死んどけお前っ……空気を読めええええ!」

 

 そう言ってから、玄弥は引き抜いた木を投げ、追い打ちと言うように何でも木を根っ子から引き抜き、半天狗に向け投げつける。

 

「ギャアア!」

 

 木を避けながら、半天狗が声を上げる。

 禰豆子は走り出し、倒れた木を場所を飛んで半天狗に鋭い右爪を振り下ろす。

 

「ヒィイイ!」

 

 半天狗は禰豆子の攻撃を躱して、声を上げながら前方に逃走する。

 その速さは、通常では考えられない速度だ。

 

「足速ェェ!何だアイツ!クソがァアア!追いつけねェ!」

 

 玄弥が半天狗を見ながらそう呟く。

 炭治郎はこの時、楓との稽古を思い出していた。

 

『桜の乱舞一閃と、雷の霹靂一閃は同じなんですか?』

 

『ん、そうだな。言ってしまえば、乱舞一閃は霹靂一閃の模倣だしな』

 

 だからこそ、技の構造もほぼ同じだと楓は言っていたのだ。

 

『でも、真似るとしたら善逸からコツを聞いた方がいいぞ。――模倣より、正式な方がいいだろ?な、善逸?』

 

『えっ!?オレですか!?』

 

 善逸は炭治郎のキラキラとした眼差しを見て、若干たじろいでから口を開き、霹靂一閃の要所を伝えた。

 

『えっとだな。雷の呼吸(霹靂一閃)は、筋肉の繊維一本一本、血管の一筋一筋まで空気を巡らせるイメージで、力を両足に溜め込んで爆発させるような認識かな』

 

『じゃあ、楓さんも同じ認識で?』

 

『似たり寄ったりって所だな』

 

 これが稽古中にあった他愛も無い会話だ。

 今ここで、この時の会話が役に立つとは予想外だ。

 

「(――筋肉の繊維一本一本。血管の一筋一筋まで力を溜め、一気に――)」

 

 炭治郎が地を踏み込み蹴ると、爆発的に加速し半天狗の頸に刀を喰い込ませる。

 

「お前はああ!儂が可哀相だとは思わんのかアァァア!弱い者いじめをォするなああああ!」

 

 突然巨大化した半天狗が炭治郎の口許を鷲掴みにする。

 その時、玄弥が半天狗の腕をガシッと掴み、炭治郎の頭部を潰そうとするのを抑える。

 

「テメェの理屈は全部クソなんだよ!ボケ野郎がァアア!」

 

 半天狗は、玄弥と炭治郎を蹴散らす為に口を開き、口内に高出力の光を溜めようとする。

 だが、禰豆子が燃える炎を半天狗にかざし、力が弱った所を玄弥が半天狗の両腕引き千切り拘束を解き、炭治郎を解放する。

 

「うわあぁあ!」

 

 刀を半天狗の頸に喰い込ませた炭治郎と、勢いに乗った禰豆子が崖から落ちる。

 

「炭治郎っ!禰豆子っ!」

 

 玄弥が崖から見下ろし叫ぶ。

 地面へと落下したのは半天狗と禰豆子だけであり、炭治郎は崖付近に茂る木に引っ掛かっていた。

 だが、半天狗はそれに見向きもせず前方へ移動する。その先には、刀を背負う里の者たち。

 

「待て。逃がさないぞ……。地獄の果てまで逃げても追いかけて頸を斬るからな……!」

 

 だが、刀は半天狗の頸に喰い込んだままであり、炭治郎が動けたとしても頸を斬る手段が無い。

 その時、ドスッと炭治郎の目の前に刀が直立に刺さる。

 

「炭治郎それを使え!」

 

 刀を投げたのは、崖の上に居る無一郎だ。

 その隣には、鋼鐵塚の姿もある。

 

「返せ!まだ第一段階までしか研いでないんだ、返せ!」

 

「夜明けが近い!逃げられるぞ!」

 

「クソガキ!使うな、返せ!」

 

「(時透君、ありがとう!)」

 

 内心でそう呟いてから炭治郎は木から降りて刀を拾い、先程の要領で足に力溜め加速し、

 

 ――ヒノカミ神楽 円舞一閃。

 

 刀を振り半天狗の頸を刎ねるが、夜が明けようとする。

 この開けた場所では、禰豆子を陰に隠さないと消滅してしまう。

 

「(――夜が明ける、禰豆子を早く日陰に)」

 

 炭治郎は振り向き禰豆子を見るが、禰豆子は炭治郎の元へ走り寄る。

 

「逃げろ!禰豆子……!日陰になる所へ!」

 

「うううっ!うう!」

 

 禰豆子が後方を指差すと、頸を刎ねた筈の半天狗が活動を続けている。

 奴が手を伸ばす先には、半天狗から逃げる里の者たち。

 

「うわああああ!」

 

「逃げろ!逃げろ!」

 

「死んでない!頸を斬られたのに!」

 

 炭治郎が頸を刎ねた半天狗の舌には“恨み”。

 本体は“怯え”だったはずなのだ。

 

「しくじった!止めなければ……アイツに止めを!」

 

 炭治郎が半天狗の方を振り向いたと同時に、太陽が完全に上がろうとする。

 

「ギャッ!」

 

 太陽が禰豆子の皮膚を焦がす。

 炭治郎は迷った、禰豆子を助けるか。里の者たちを助けるかを。

 その時、禰豆子が炭治郎を前方に蹴り飛ばす。

 

『私のことはいいから。鬼を斬って』

 

 と言う、禰豆子の答えなのだろう。

 その証拠に、禰豆子は太陽に焼かれていながらも微笑んでいた。

 そして、炭治郎は半天狗を見据え着地する。

 

「(――嗅ぎ分けろ、遠くには逃げていない。本体がいきなり遠くへ離れたら匂いで気づくはず。近くにいる、どこだ、匂いで捉えろ)」

 

 炭治郎は両目から涙を流しながら、嗅覚を集中させる。

 

「(そこか。まだ鬼の中にいるな。そうか、もっともっと鮮明にもっと)」

 

 そして見つけた、半天狗の本体は心臓の中だ。

 

「(今度こそお終いだ、卑怯者。――悪鬼!)」

 

 前方では、半天狗が里の者に襲い掛かかろうとする。

 炭治郎は地を蹴って加速し、半天狗の心臓に向けて頸ごと横に斬り裂く。

 

「――命をもって罪を償え!」

 

 完全に消滅を確認し、炭治郎はその場で両膝を地につける。

 ……半天狗には勝った。禰豆子を犠牲にして。

 

「竈門殿!竈門殿!」

 

 里の者が後方を指差している。

 炭治郎が後方を振り向くと、禰豆子が太陽の下(・・・・)で佇んでいた。

 

「お、お、おはよう」

 

 そう。――禰豆子は太陽を克服(・・・・・)したのだ。

 炭治郎は禰豆子の元まで走り寄る。

 

「禰豆子……。よかった、大丈夫か。お前……人間に」

 

「よ、よ、よかった。だい……だいじょうぶ。よかったねぇ」

 

 牙はそのままだが、禰豆子は言語能力が回復していた。

 炭治郎が禰豆子を抱きしめると、その場で力尽きたように項垂れ里の者たちが支える。

 こうして、上弦の肆の討伐が終了したのだ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

「もうやだ~。いつまで再生するのよぉ。てか、再生速度上がってるよねぇ」

 

 蜜璃は再生する肉片を攻撃し憎珀天の再生を阻止し、涙目で声を上げる。

 憎珀天を細切れにしたのはいいが、血気術も残っており(・・・・・・・・・)、それを破壊しながら本体が再生しないように攻撃を加えているのだ。もしこのまま本体の再生を許したら、憎珀天と戦うことになる。

 楓と蜜璃はかなりの疲労を蓄積しているので、それだけは何としても阻止したい。

 

「炭治郎たちが本体の頸を刎ねるまでの辛抱ですからっ!」

 

 ――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。

 

 ――花の呼吸 五ノ型・改 徒の勺薬。

 

 楓は襲ってくる木々を無数の桜の斬撃で斬り刻み、花の十八連撃で憎珀天の肉片を攻撃し再生を食い止める。

 

 ――恋の呼吸 五ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 蜜璃が日輪刀を鞭のように撓らせ、憎珀天の再生を食い止め、楓が襲ってくる木々を周囲に放つ斬撃で蜜璃と自身を守るように放つ。

 その時、パサッと紙屑のように憎珀天の体、血気術が消え去る。

 どうやら、炭治郎たちが半天狗の本体の頸を刎ねたようだ。

 

「「お、終わった」」

 

 蜜理は、その場で両膝をつけ地面に座り込む。

 楓も溜息を吐くと、刀を納刀するのだった。

 こうして、刀鍛冶の里の襲撃を阻止することに成功したのだ。――だが、里の被害も僅かに出てしまった。




刀鍛冶の里はこれで終了かな(たぶん)
てか、無限城編。上弦の弐との戦闘で終わるかも知れん(たぶん)。
あ、ちなみに、蜜璃さん、無一郎は痣を発現させてます。楓君はまだしてませんね。
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