鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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ご都合主義満載です。
物語も、終盤を迎えてきました。


贈り物

 カナヲと鍛錬が終わった数時間後、楓はしのぶに呼ばれ、しのぶの部屋に訪れていた。

 楓と対面に座るしのぶが話したい内容は――上弦の弐についてだろう。

 

「楓。私も上弦の弐とは戦うわ。一人で戦おうとしないで」

 

 楓は「やっぱりか」と内心で呟く。

 確かに、しのぶはカナヲと共にあの場に居合わせた者だ。――家族想いのしのぶだ、楓に重傷を負わせ、カナエを傷付けた鬼を許せる筈が無い。

 

 ――閑話休題。

 

 上弦の鬼の力量は一般の柱三人相当、柱の力量を持つカナヲと合わせても四対六であり、常に敗北の文字が頭を巡るのだ。

 だが、しのぶが参戦すれば六対四。論理的に見れば、幾分か余裕が出来るのは確かだ。

 

「そうだな。上弦の弐は、俺たちで討とう」

 

 しのぶは力強く頷く。

 それとしのぶは、ある薬と同時並行で、上弦の鬼に対しての毒を作っているとのことだ。それも、八割方制作が完了してるとも言っていた。でもそれは、重ねて撃ち込む必要がある。

 楓は「そうか」と言ってから頷く。

 

「でも、毒が効く前に私たちで倒しちゃってもいいのよ♪」

 

 そう言ってから、しのぶは微笑む。

 その笑みは貼り付けた笑みでは無い、蝶屋敷内部だけで見せる本来の笑みだ。

 

「それで倒せれば、それに越したことはないけどな」

 

 でも、楓たちが対策しているのは毒だけでは無い。――もちろん、剣技にもあるからだ。

 先と変り、しのぶは真剣な表情になる。

 

「今から家族として聞くわ――――楓。痣、どうするの?」

 

 楓は内心で苦笑し、「義父(鱗滝)と内容が似てるな」と思いながら、口を開く。

 

「――今の所は、現在持っている手札()で足掻くつもりだ」

 

 しのぶは「そう」と呟く。

 確かに、柱として見れば発現させて欲しいが、家族として見れば、寿命を縮めてまで戦わないで欲しい。という思いで板挟み状態でもあるのだ。――楓にとっても、しのぶと想いは同じなのだ。

 

「じゃあ、俺は部屋に戻るな」

 

「ええ。姉さんと真菰によろしく伝えといて頂戴」

 

「わかった」

 

 そう言ってから、楓は立ち上がりしのぶの部屋を後にして、自室に繋がる廊下を歩き、自室の前に到着したら襖を開け部屋に入るのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 ~蝶屋敷、とある部屋~

 

 楓が部屋に入ると、風呂から上がった真菰とカナエが、寝巻に着替えている所(・・・・・・・・・・)だった。――蒸気で紅く染まった両頬、若干濡れた髪が、瞬時に襖を閉めた楓の目には毒だ。

 ともあれ、真菰とカナエは目を丸くするが、「またか」と内心で肩を落とす。――そう、楓が部屋に入る前に確認を怠り、現在のようになった回数は数え切れない程あるからだ。

 とはいえ、真菰とカナエにとっては見慣れた光景でもあるので、気にすることなく寝巻に着替えるのだった。

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

「……悪い」

 

 刀を立て掛け、着物に着替え対面に座る楓が、申し訳なさそうに呟く。

 

「気にしてないよ、いつものことだもん」

 

「そうね。問題ないわよ」

 

 真菰とカナエは、全く気にしてないように呟く。

 まあ確かに、子作りをしていた楓たちから見ると、全く問題ないとも言えるが。

 

「あ、そうだ――カナエ、あれ」

 

「なるほど。丁度いいわね」

 

 そう言ってから、真菰とカナエが化粧台の下まで移動し、両手である物(・・・)を取ってから元の位置に戻る。

 その一つは羽織であり、その柄は、波が打つ上を蝶が舞っている柄だ。――その羽織は、真菰とカナエが交代で編んだ手作りの羽織なのだ。

 そしてもう一つは、真菰とカナエの日輪刀の刃を溶かし鉄を融合させ、楓の為に制作をお願いした一振りだ。

 楓がカナエから刀を受け取り、左手で鞘を持ち、右手で柄を握り刀を抜くと刀身が桜色に変わる。――鍔近くには、柱の証明である『亞鬼滅殺』の文字。

 

「この刀は、鉄穴森さんにお願いして創って貰ったの――刀が二本になっちゃうけど、“鏡花水月”のこともあるから」

 

「きっと決戦時に多々に技を使用して、刀を折っちゃうと思ったから」

 

 真菰は「鍛冶屋の方には、申し訳ないことをしちゃうかも知れないけど」と付け加える。

 まあ確かに、真菰とカナエが言う通り、上弦の弐との戦いでは“鏡花水月”の使用は、一度では済まないかも知れない。

 

「あと、これを」

 

 真菰が楓に手渡したのは、先の羽織だ。

 そしてこの羽織には――二人の想いが詰まっているのだ。

 

「私たちの想いを持っていって。きっと力になるから」

 

「……ああ、ありがとう」

 

 そう言ってから、楓は刀を隣に置き、真菰から羽織を両手で優しく受け取る。

 立ち上がり、この場で羽織を羽織ると、楓に良く似合っていた。――楓は、この羽織りを羽織って鬼と戦うのだ。

 餞別が終了し、楓が入浴を済ませ就寝の支度をし、仰向けになり布団を掛ける楓たち。それから、真菰とカナエは真ん中で眠る楓に密着するようして目を閉じるのであった。

 そして――決戦の刻は、徐々に迫っているのだった。




楓としのぶとでの会話の中には、カナヲも共に戦う内容も含まれていますね。
ちなみ羽織は、しのぶさん(カナエさん)の蝶の柄と、真菰ちゃん(鱗滝さん)の波の柄を融合させた感じの柄です。
刀二本は、まあご都合主義ってやつですね。

追記。
真菰ちゃんとカナエさんの体調は、あの時のやり取りでは落ち着いていたので問題ありませんでした。

大正のコソコソ噂話。
しのぶさんが素を見せる相手には、真菰ちゃん、カナエさん、楓、カナヲが含まれているんだよ。
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