鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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奴と再会です。
ご都合主義満載です。


無限城、教祖との戦い
上弦の弐、再び


 数週間が経過し、隊員たちの柱稽古が全て完了し、隊服姿の楓、着物姿のカナエ、真菰は縁側に座り月を眺めていた。

 

「楓。必ず帰って来てね」

 

「私たち、この子たちと共に待ってるから」

 

 お腹を擦る、真菰とカナエの言葉に応えるように、楓は「ああ」と呟く。――楓たちは、決戦が近い内にあると直感しているのだ。

 そして、真菰とカナエのお腹は徐々に大きくなっていて、愛おしい子の成長が見て取れる。――赤ん坊の性別は、真菰のお腹の中には女の子、カナエのお腹の中には男の子、とのこと。

 

「必ず帰る」

 

 楓がそう答えた時――運命の刻が刻まれた。

 そう。楓の鴉が、楓たちの前を凄まじい速度で飛んだからだ。

 

「緊急招集――ッ!緊急招集――ッ!――産屋敷邸襲撃ッ……産屋敷邸襲撃ッ!」

 

 鴉がそう叫ぶ。

 ――産屋敷邸の襲撃。お館様(耀哉)の身の危険。

 楓は素早く立ち上がり、隣に置いていた二刀の刀の鞘を腰から下げる。

 

「――真菰とカナエさんは、蝶屋敷から出るなよ」

 

 そう言った楓の顔は険しい。

 

「――わかったわ。でも、いざとなったら刀を取る」

 

「――蝶屋敷のことは、私たちに任せて」

 

 そう言った、カナエと真菰。

 楓、真菰、カナエは頷くと、楓は出せ得る速度で産屋敷邸目指し走り、真菰とカナエが蝶屋敷の安全を確保する為に動き出す。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 楓が産屋敷邸を目指して走っていたら、ドォン、と爆発音が轟く。

 顔を上げれば、すぐそこまで見えていた産屋敷邸が、粉々に消し飛んだ。

 

「――お館様……ッ!」

 

 どうか無事であって欲しい、という叶わない願いを抱いて、楓はこれ以上速くならない足を進める。

 粉々に消し飛んだ産屋敷邸に到着すると、そこでは紅いは針に固定された鬼舞辻無惨を抑えながら、無惨の腹に右腕を突き入れた珠世の姿。そして、それに対峙する行冥が見えた。

 行冥が、産屋敷邸に集結した柱たちを見ると、大声で叫ぶ。

 

「――無惨だ!鬼舞辻無惨だ!奴は、頸を斬っても死なん!」

 

 ――頸を斬っても死なないと言うことは、無惨との決戦は持久戦になる、ということだ。

 そしてその言葉に、柱たち(炭治郎)が刀を構える。

 

「(霞の呼吸 肆ノ型)」

 

「(蟲の呼吸 蝶ノ舞)」

 

「(蛇の呼吸 壱ノ型)」

 

「(恋の呼吸 五ノ型)」

 

「(水の呼吸 参ノ型)」

 

「(風の呼吸 漆ノ型)」

 

「(花の呼吸 肆ノ型)」

 

「(ヒノカミ神楽 陽華突)」

 

 迫りくる攻撃に対して、無惨はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 柱たち(炭治郎)の攻撃が無惨に届く前に、突如現れた障子の襖が開き、足元が抜けるように柱たち(炭治郎)は異空間に吸い込まれて行く。

 楓は空間に吸い込まれながらも、刀を抜き隣接する壁に突き刺し落下速度を抑え、そこから一回転して飛び、地面に着地する。それにこの空間だが、上下左右が滅茶苦茶だ。

 そして、無惨もこの空間に落ちた。――きっとお館様(耀哉)は、全てを悟っていた。

 

 ――花の呼吸 五ノ型・改 徒の勺薬。

 

 楓が突如現れた鬼たちに、花の十八連撃を放ち塵に還し、

 

 ――花の呼吸 肆ノ型 紅花衣。

 

 襲い掛かって来た一体の鬼を、下から上に斬り上げる花の斬撃で滅する。

 この場に出現する鬼だが、一体一体の力量が下弦の鬼に近い。――無惨の狙いは、まず鬼殺隊を消耗させることなのだろう。

 

「……血の匂いがする」

 

 ――それに忘れもしない気配。この扉の先に()が居る。

 楓は納刀し、奴の気配を感じ取れる鉄錆びた扉に手を掛け開く。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 部屋に入ると、そこには細い橋が縦横無尽に架けられ、周囲には池には蓮の葉が浮かんでいた。

 橋の中央では、女の腕をボリボリと食べている――上弦の弐。

 上弦の弐――童磨は、振り向き楓を見ながらニコニコと笑みを浮かべる。

 

「やあ、久しぶりだね。――花の呼吸使いの君」

 

「……久しぶりだな――クソ野郎」

 

 童磨は「酷いなー、君」と言ってニヤニヤ笑い、楓はゆっくり刀を抜く。

 そして童磨は、刀の鍔の部分『亞鬼滅殺』の文字を見て喜びの声を上げる。

 

「わあ。君、柱に就任したんだね。――オレ、女の子しか食べない主義なんだけど、柱の君は別かなぁ~」

 

 確かに、柱の血肉は、人間百人分の価値があるのだ。

 童磨は、齧っていた腕を全て呑み込んでから、被っていた血の帽子を取った。

 

「改めて自己紹介しよう。――オレの名前は童磨。いい夜だねぇ」

 

「桜柱・栗花落楓だ。――お前を殺す名だ」

 

「簡単には殺せないと思うけどなぁ。でもそっかそっか、君の名前は楓って言うんだね」

 

 童磨は、よいしょ、と言って立ち上がり、両手で携えている扇を開く。

 

「やっぱり君の雰囲気は、花の女の子にそっくりだねぇ」

 

 童磨が言った花の女の子とは――胡蝶カナエのことだろう。

 楓はカナエの弟子。雰囲気が似ていて当然だ。

 

「ってことは、血肉も同じ味ってことかなぁ」

 

 ――血気術 蓮葉氷。

 

 童磨が振るった扇から、氷の蓮が周囲に浮かび上がり、冷気と共に鋭い斬撃の一振りが襲う。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 楓が周囲に放った花の斬撃が、童磨が放った冷気(斬撃)を相殺させる。

 それにこの冷気の中には、肺胞を破壊する霧状の血気術が織り込まれているのだ。

 

「(粉凍りは対策済みかぁ。やっぱり、初見で殺してあげることが出来ないみたいだね)」

 

 その時、左方向に刀を回した楓がその場から消える。

 

 ――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃――極。

 

 加速し、楓は童磨の頸目掛けて一閃を放つが、童磨は対の扇で一閃を防御する。――楓は解ってはいたが、童磨の反応速度は並のそれじゃない

 だが、お互い手の内を全て出し切っていない。

 そして、お互いが武器を弾き、距離を取ってから()を構える。

 ――桜柱・栗花落楓。――上弦の弐・童磨の死闘は、これから過激さを増していく。




技出しの時宇髄さんも居たんですが、音の呼吸って爆発系しかないので、記載しませんでした。それで、煉獄さんは輝利哉たちを守る護衛に付く感じです。

始まりましたね、弐戦。柱(楓)が参戦してるので、童磨さん強化予定です……(震え声)

追記。
楓たちが縁側に居た時は、楓が柱警備を終えてからです。鬼が出現しないと言っても、警備は大事です(*・ω・)
原作の隊士は無限城に飛ばされていましたが、蝶屋敷に居れば飛ばされる心配はありません。
ちなみに、真菰ちゃんとカナエさんが力量を合わせれば、妊婦でも柱レベルの力が出せます。

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