鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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ご都合主義満載です。


強さ

 避ける。刀を打ち合う。体を翻して刀を振る。

 楓と童磨の得物が甲高い音を響かせ、周囲の水面を揺らす。

 

 ――花の呼吸 五ノ型・改 徒の勺薬。

 

 ――血気術 枯園垂り。

 

 楓が斬撃の嵐から一歩後退し刀を振るい童磨の急所に十八連撃を放つが、童磨が振るった扇から砕けた氷が広範囲に飛び散り“徒の勺薬”を防ぎ切る。

 

「ここまで傷一つ付けられないのは、黒死牟殿との血戦以来だよ」

 

 「君、前回はすぐに怪我しちゃったしねぇ」と言って、童磨は笑う。

 そして、童磨の言った血戦とは――十二鬼月の数字を入れ替えることが出来る、鬼の戦いだ。

 童磨は、んー、と考える素振りを見せる。

 

「……ねぇ君、もしかして――あの世界が見えてるの(・・・・・・・・・・)?」

 

 童磨は、“透き通る世界”を知っている。

 黒死牟に勝てなかった一つの理由が、“透き通る世界”なのだ。

 

「……教えると思うか、悪鬼が」

 

 楓から感じ取れるのは――童磨の頸を落す。只これだけだ。

 

「釣れないな~。教えてくれてもいいのに」

 

 ――血気術 蔓蓮華。

 

 童磨が扇を振るうと、周囲に生まれた氷の蓮華から無数の蔓が伸びて、楓に迫る。

 

 ――花の呼吸 肆ノ型 紅花衣。

 

 下から上に迫る花の斬撃で、楓は自身に迫る蔓を斬り払う。

 

 ――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。

 

 楓は刀を振るい、自身の周囲に無数の桜の雨を降らせるが、童磨は喜々として急所に降り注ぐ斬撃だけを扇で弾き落とす。

 

 ――血気術 冬ざれ氷柱。

 

 楓の頭上に展開されたのは、多数の氷柱。

 身の危険を察した楓が咄嗟に地を蹴り後方に跳び回避すると、楓が先程立っていた橋は多数の氷柱が降り注ぎ、橋の底に大きな穴を穿つ。

 

「凄い飛翔力だねぇ。今までの柱ならば、先の血気術で傷を負ってたんだけどなぁ」

 

 童磨はニコニコと笑う。

 そして、お互い決定打に欠ける。――楓の場合は、無理に飛び込むことが出来ない。童磨が扱う血気術に直接触れてしまえば、凍死の危険が伴うからだ。

 童磨から見れば――楓の攻撃を注意深く見ていないと、花の斬撃と組み合わせた“乱舞一閃”で頸を刎ねられることが解っているのだ。

 最初に動いたのは童磨だ。童磨が扇を振るう。

 

 ――血気術 散り蓮華。

 

 ――血気術 凍て雲。

 

 ――血気術 冬ざれ氷柱。

 

 童磨が振るったのは、血気術の同時行使(・・・・・・・・)。――連続行使なら兎も角、同時行使なんて聞いたことがない。

 そして、振るった扇から砕けた氷が広範囲に飛び散り、そこから追撃するように冷気の煙幕を発生させ、楓の頭上には多数の氷柱が展開される。

 

「(……聞いたことねぇぞ。血気術の同時使用なんて)」

 

 楓は内心で愚痴を呟く。

 楓は氷柱を回避し後退しながら“御影梅”での周囲の花の斬撃で血気術を飛ばすが、全てとはいかず冷気が当たった部位が凍るが、楓はすぐ様氷を弾き落とす。

 

「ほらほら楓君、オレの頸を斬るんでしょ~」

 

 ――血気術 寒烈の白姫。

 

 後退している楓の前に、氷の巫女が現れ極寒の吐息を吹く。

 

「(……マズイな)」

 

 楓は“御影梅”で周囲に花の斬撃を放ち冷気を避けるよう後退しているが、数歩後退すれば行き止まりなのだ。

 その時、楓の天井付近が、ドンッ、穴が出来た所に、隊服姿で日輪刀を構えたカナヲが降り楓の前に立つ。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 楓とカナヲが周囲に放った二重の花の斬撃が、迫って来る冷気を全て飛ばす。

 さすが義兄妹と言うべきか、楓はカナヲの、カナヲは楓が放とうとした剣技を瞬時に理解したのだ。

 

「わあ凄いね。全て弾き飛ばすなんて。――同じ呼吸を使用するってことは、兄妹なのかな?」

 

 童磨は「そうだ」と両手を打つ。

 

「お嬢さん。お名前を聞かせてくれるかい?」

 

 カナヲは刀を構えてから、童磨を見据え口を開く。

 

「――桜柱・栗花落楓の義妹、栗花落カナヲだ」

 

「やっぱりオレの予想通り兄妹なんだね。――それに君、柱に匹敵する力量があるね」

 

 カナヲが不敵に笑い童磨に呟く。

 

「私が柱の力量?……有り得ないわよ、柱である兄さんや姉さんたちの足元に及ばないもの」

 

「――そんなことはありませんよ。カナヲは強いもの」

 

 不意に凛とした声が響き、童魔は後方を振り向く。

 そこに佇んで居たのは――胡蝶しのぶだ。

 

 ――蟲の呼吸 蜂牙ノ舞 真靡き。

 

 しのぶは地を踏み込み振り返った童磨の右目を鋭い突きで貫いてから、童磨の背に回るように体を回転させ、踏み台の要領で童磨を踏み付け、その反動で反対方向に居る楓たちの前に着地する。

 

「ごめんなさい。途中の鬼に手間取って遅れたわ」

 

 しのぶに言葉に、楓が「気にするな」と呟く。

 しのぶ、カナヲが童磨を睨むと、童磨は笑みを浮かべる。

 

「君たちは家族なんだね。――じゃあ、家族ごとオレが救ってあげよう」

 

 その時、童磨が両膝を地に突け上体を曲げ吐血する。――しのぶが先程童磨に打ち込んだ毒の効果が効き始めたのだ。

 だが、童磨は顔を上げる。

 

「あれぇ?毒、分解できちゃったみたいだなあ。ごめんねえ。せっかく使ってくれたのに」

 

 童磨が嘲笑うかのように呟く。

 だが、毒が分解されるのは想定内。

 しのぶの役目は、調合した毒を多数撃ち込むことなのだから。




童磨さんのチートが発現しましたね。まあ、まだ童磨さんの手札は残ってるんですが(-_-;)

一応、楓だけで倒すというプランAが失敗に終わったので、家族で倒すプランBに変更ですね。
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