鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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邂逅

 ――最終選別六日目。

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 ――花の呼吸 弐ノ型 御影梅。

 

 俺は自身の回り囲うように斬撃を放ち、鬼の頸を撥ね、鬼は体が消滅してから日輪刀を鞘に納刀する。

 その時、肌に刺さるような威圧が触る。

 

「鬼、だよな」

 

 先程の鬼より、遥かに強いだろう。おそらく、人を喰った数も十や二十じゃない。すると、木々を掻き分けながら、選別を受けているであろう少年が顔を出し、少年は俺の傍にあった木の幹を背に座り込む。

 

「どうかしたのか?」

 

「ば、化け物だ。何であんな鬼が最終選別に居るんだよ!」

 

「化け物?どんな鬼だった?」

 

「触手を生やしている、かなり大きい鬼だ。――あれは、異形の鬼だ!」

 

「そうか。他に戦っていた奴はいたか?」

 

 少年は震えた声で呟く。

 

「お、女の子が鬼と戦っている。小柄な女の子だった」

 

「わかった」

 

 この時、カナエさんの言葉が思い出す。

 ――『楓。助けてあげるのが男の子よ』、と。

 

「(カナエさん。約束は護ります)」

 

 俺は構えを取り、最近、改良した型を繰り出す。

 でも、足が使い物になるかも知れないので、乱発はできない技である。

 

 ――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃――極。

 

 俺はその場から勢いよく離れ、戦場へ駆けた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 私を笑いながら見る鬼は、体は緑色で人の形を保っておらず、四本の手足以外にも無数の腕を生やしいて胴体に結びつけていた。

 

「クスクスクス。お前、鱗滝の弟子だなァ」

 

「貴方、鱗滝さんを知ってるの?」

 

 私は型を取り、

 

 ――水の呼吸 参ノ型 流流舞い。

 

 襲いかかる腕を斬り落とし胴体にも傷を残すが、やはり私では、この鬼の頸を斬るのは難しいかも知れない。

 鬼は、後方に移動した私と対面した。

 

「クフフフ。そりゃ知ってるさ、この檻の中に入れたのは鱗滝だからなァ!――十一、十二……お前で十三だ」

 

「何の話?」

 

 鬼は「フフフ」と笑う。

 

「喰った鱗滝の弟子の数だよ。アイツの弟子は、皆喰ってやるって決めてるんだ」

 

 私の動きが止まる。

 

「そうだなァ。特に印象に残ってるのは、珍しい毛色のガキ。宍色の髪をしていて口辺りに傷があった奴だなァ。お前がしてる狐の面。厄除の面と言ったかァ。それが、鱗滝の弟子の目印なんだよ」

 

 鬼は言葉を続ける。

 

「だから喰われた。皆オレの腹の中だ。弟子たちは、鱗滝が殺したようなものだ。フフフフ」

 

「お前が皆をッ。鱗滝さんを悲しませた元凶かっ!」

 

 私は激怒して走り出し、地面を蹴り型を繰り出そうとするが、呼吸が乱れていて、思うように体が動かせない。そして、地面を割って這い出てくる無数の腕。――鬼は、この瞬間を狙ったに違いない。まさか、腕を地面に隠せるなんて思っていなかった。

 私は四肢を腕に掴まれ、宙に持ち上げられ、刀が手から落とされる。

 ――死。私はこの鬼によって惨めに殺されるのだろう。

 

 『最終選別……必ず生きて戻れ、真菰』

 

 ――護れない。

 きっと鱗滝さんは、私が約束を破ったら酷く悲しむ。でも、私はここで殺されてしまう。

 

「(鱗滝さん、ごめんなさい。私、帰れない)」

 

 私は心の中で、師に詫びた。

 

「クフフフフ。まずはどこから潰してやろうか。右腕か、左腕か。それとも、右足からがいいかなァ」

 

 その時、私の耳に声が響く。

 

 ――桜の呼吸 壱ノ型 乱舞一閃――極。

 

 ――花の呼吸 五ノ型 徒の勺薬。

 

 花の斬撃が鬼と私との間に走ると、私は拘束から解かれ尻餅を突く。

 私は隣に立つ人物を見ると、蝶羽織りに、花色の日輪刀。黒髪に漆黒の瞳の少年。

 この子は印象に残っていた。最終選別の参加者の中でも、彼だけは纏う雰囲気が違ったのだ。あれは、強者のものだ。おそらく、受験者の中で一番強い。

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん」

 

「そうか。足は動くか?」

 

「ちょっと、難しいかな」

 

 かなり強く掴まれていたので、最終選別を終えても歩くのは厳しい。

 

「わかった。あいつは俺が殺していいか?」

 

 私が「うん」と頷くと「でも、仇なんだろう」と、少年は聞く。

 

「私は戦えない。お願い、私たちの仇をとって」

 

「――ああ」

 

 私はビクッ震えた。

 続けて言った「簡単には殺さねぇからな、悪鬼」と言った少年の声は、とても冷たいものだったからだ。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 俺が向かった先に少女は、花柄の着物を身に纏った小柄の少女。側頭部には花柄の狐の面。

 複数の腕に拘束され、動きを封じられていたので、それを全て斬り落とす。また、少女から話を聞いた所、この悪鬼は水一門の仇だと言う。

 だが、少女の手足は負傷しているので、まともに戦うことは不可能であり、俺が頸を取る。水一門の仇なので申し訳ない気持ちもあるが、簡単には殺さないので許して欲しい。

 

「ちきしょうちくしょうちくしょう!誰だ貴様は!?」

 

 斬られた腕を再生した鬼が叫ぶ。

 

「折角、鱗滝の弟子を殺せると思ったのに邪魔しやがって!」

 

「黙れ、悪鬼。お前はここで死ね」

 

 俺は少女の前に出て、

 

 ――桜の呼吸 弐ノ型 千本桜。

 

 俺が刀を振るうと、無数の斬撃が悪鬼を襲う。そして、這い出る腕は“花の呼吸 肆ノ型 紅羽衣”で斬り刻む。

 千本桜は、全方位から囲むような斬撃なので、奴はゆっくり切り刻まれながら「痛い痛い痛いッ」と雄叫び上げ斬られていく。宛ら、拷問のような斬撃だ。まあ、創った俺が言うのはアレだが。

 

「鱗滝ぃぃぃいい鱗滝ぃいいいい!こんな檻に入れやがってぇぇぇええ!」

 

 俺は「うるせぇな」と思いながら、

 

 ――花の呼吸 陸ノ型 渦桃。

 

 俺は地面を踏んで飛び、体を捻りながら斬撃を放ち、奴の頸を飛ばす。やはり、じっくり殺すのは色々な意味で面倒くさい。

 その時少女が「……うわっ」って引いてたのは気のせいだよね?そうだよね?

 

「鱗滝……」

 

 奴は最後にそう呟き塵に還った。




乱舞一閃――極。は、霹靂一閃――神速のイメージです。
なら、雷の呼吸を習得しろよ。と言いたい人も居ると思いますが、楓君の適性は“花の呼吸”なんです、ええ。
千本桜のイメージは、BLEACHの千本桜かなぁ(たぶん)
ちなみに、真菰ちゃんの両腕は無事です。

ではでは、次回(@^^)/~~~

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