鬼滅の刃~花と桜~   作:舞翼

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ご都合主義満載です。


討伐

「君たちの二つの呼吸、高速で入れ替えて使用してるでしょう?その証拠に、君たち三人の息が上がるのが早いね。でもそんなことをしたら、粉凍りを吸い込みやすくなる」

 

「……――本当、忌々しい程によく見てるな」

 

 息を荒げながら、楓が忌々しそうに呟く。

 

「まあね!オレは信者たちの教祖だからさ!信者をよく見て救ってあげる義務があるのさ!」

 

 そんな童磨を見て、楓の言葉を引き継いだカナヲが不敵に微笑む。

 

「信者をよく見てる?違うでしょ?」

 

「……どういうことかな?」

 

 嘲笑うかのようなカナヲの口調を聞いて、童磨は笑みを消す。

 

「貴方が見ているのは人の感情だけ。貴方はそうしないと、人の輪の中に溶け込まない。――貴方、感情が欠落してるもの。……本当、可哀相な鬼だね」

 

 カナヲは嗤う、目を細め、口角を上げ童磨を嘲笑った。

 

「――貴方、何の為に生れてきたの?」

 

「……今まで、随分の数の女の子とお喋りしてきたけど、君みたいな意地の悪い子初めてだよ。何でそんな酷いこというのかな?」

 

 その時、童磨に変化が起きた。

 童磨の体が、内部から溶け出してきたのだ。

 

「……え、何かな、コレ?」

 

 そう言ってから童磨は絶句する。そして、口の中から巻き起こる吐き気。

 童磨は、それを抑えられずに両膝を突け上体をクの字に折り「ごふっ!」と吐血する。

 

「ふふ、やっと効果が出始めましたね」

 

 しのぶが微笑む。

 ――そう。しのぶは童磨の毒を打ち込む時、高濃度の毒の原液を混ぜ込んでいたのだ。そしてその原液は、藤の毒を凝固させた中に閉じ込めていたのだ。

 それを知らない童磨は藤で固められた毒しか分解することしかなく、原液は分解されずに知らずの内に体内を駆け回る。

 

「貴方は喜々と言っていていたわね、藤の毒を分解できたと。……でももし、鬼の血気術で隠された高濃度の毒の原液はどう?」

 

「……血気術?」

 

「そうよ。珠世さんの血気術を混ぜ入れ(・・・・・・・・・・・・・)、共同で作り出した高濃度の毒よ。――もちろん、貴方の為にね」

 

 しかも童磨は、数え切れない程しのぶから毒を打ち込まれている。

 

「……珠世?ああ、あの逃れ者の鬼かぁ」

 

 童磨は顔を顰める。

 ――鬼舞辻無惨(我が主)から姿を隠している鬼に追い詰められているなんて、童磨は夢にも思わなかったのだろう。

 童磨の体は、毒が蝕み体内から臓物、目、顔、脳を溶かしている。

 

「(……まだ大丈夫。信者を救えば(喰えば)毒は解毒できるはずだ)」

 

 童磨は苦し混じれに立ち上がり、扇を振るう。

 そう――“結晶ノ御子”七体は健在だ。この御子が破壊される前に、童磨は楓たちに止めを刺すのだ。

 

 ――血気術 霧氷・睡連菩薩。

 

 童磨の前に計七体の“結晶ノ御子”。

 そして、その後ろには大質量の氷を纏った氷の菩薩像が生まれ、今までとは比に成らない程の冷気がその場を満たす。

 通常なら絶体絶命な場面だが、楓は刀を両手で構え心を落ち着けていた。――遂に訪れたのだ、あれを使用する機会が。

 

 

 ――桜の呼吸 終ノ型 千本桜・景厳。

 

 

 終ノ型は、千本桜の二倍の殺傷力、速度、攻撃範囲だ。だからこそ、“結晶ノ御子”、“菩薩像”が攻撃を仕掛けるよりも速く桜の雨を降らせることが可能なのだ。

 桜の雨の刃は、“結晶ノ御子”“菩薩像”を完全に破壊するが、瀕死の童磨は懸命に対の扇を使用して致命傷を避ける。

 追撃を仕掛ける絶好の機会だが、崩れ逝く“結晶ノ御子”、“菩薩像”を掻い潜らなければ、童磨の頸を刎ねることが叶わない。

 

 

 ――花の呼吸 終ノ型 彼岸朱眼。

 

 

 カナヲの両眼球が真っ赤に染まる。

 更にこの時に到達した“透き通る世界”が合い染まって、極限まで高めた動体視力で景色その物が止まって見え、その先の未来を幻視する。

 

 ――花の呼吸 陸ノ型 渦桃。

 

 カナヲは地を踏み込んで高く跳び、童磨の頸に刀を食い込ませ、柔らかな体幹を活かした体を空中で回転させた力を合わせた斬撃が――童磨の頸を刎ねる。

 

「(……頸を刎ねられた?こんな華奢な子に?……いやいや、まだ望みはある。猗窩座殿が消滅する時の感じたあの感覚、猗窩座殿はなりかけたんだ、無惨様のように頸の弱点克服を)」

 

 だが童磨の想いは虚しく、頸が、ゴンッと橋に転がりボロボロと崩れ始める。

 

「(うわ――。体も崩れ始めた。駄目なんだ、オレは。――やっぱり死ぬんだ、オレ)」

 

 童磨は消滅仕掛けていても、死ぬことが怖くなく、負けたことも悔しくなく――何の感情も湧いてこなかった。

 童磨はいつだってそうだった。信者に次々出す狂気に満ちた父を見ても、そんな父を刺し殺した母が半狂乱になりながら服毒自殺した時も。

 ――童磨に取って人の感情は、他人事の夢幻だったのだ。

 

 ――上弦の弐、討伐終了。




上弦の弐(童磨さん)討伐完了です。……でも、カナヲと楓は終ノ型を使用してしまったんですが。
後遺症としては、楓は左筋の断裂(片腕が使えないので終ノ型は使用不可)、ついでに花と桜の技の反動で刀が半ばから折れる。カナヲは右目の失明……たぶん。(でも、視力は落ちてる筈なので彼岸朱眼は使用不可)、しのぶも肩から扇で斬られた為、大技の使用不可……結構大きい代償ですね(-_-;)

追記。
毒の総質量ですが、高濃度の毒なのでほぼ原作と変わらないです。
まああれです。無惨様での人間に戻す薬と老い化の薬でのフェイク見たいな感じです。

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