あと、法律?世間体?を捻じ曲げてます(>_<)
上弦の弐との戦闘を終え、楓、しのぶ、カナヲは一箇所に集まる。
「――お疲れ様。カナヲ、楓」
刀を納刀したしのぶが労いの言葉を掛ける。
楓も、折れてしまった刀を納刀し口を開く。
「ああ、疲れたわ」
楓は口重そうに呟く。
ともあれ、楓が“透き通る世界”越しに断裂した左腕を見ると、腕の筋が完全に切れている。――治療で腕が動くようになっても、後遺症が残るのは否めないだろう。
「うん。しのぶ姉さんもお疲れ様」
カナヲも刀を納刀して呟いた。
楓がカナヲの目の状態を聞くと、
だが、治療で回復しても後遺症が残ると思われるので、完全な視力回復は見込めないだろう。
それに、先程鴉が部屋周りを飛び『上弦の壱、参を討った』ことを伝えたのだ。
「残るは――無惨だけか」
「そうね。早く皆と合流しましょうか」
「に、兄さんっ!しのぶ姉さんっ!まさかその傷でっ!?」
カナヲが声を上げる。
まあ確かに、現在の楓は左腕筋の断裂、しのぶは右肩から斜めに大きく扇で斬られているのだ。それに、所々の殺傷も痛々しい。
だが、声を上げるカナヲを見て楓は苦笑した。
「カナヲも右目が殆んど見えてないんだ。どっちもどっちだよ」
「それにね、私と楓は柱。――だから柱の責務があるのよ。刀が握れなくなるまで戦うっていう意思がね」
カナヲはしのぶの言葉を聞いて、下唇を噛んだ。
こう言われてしまったら、戦わないで、と言えない。――カナヲの本心は、今すぐに刀を置いて欲しいのだ。
「カナヲ、俺は死なない。――いや、死ねないんだ。蝶屋敷では、俺たちの帰りを待ってる人たちが居るだろう?」
蝶屋敷には、真菰とカナエ、アオイにすみたちが帰りを待っているのだ。
そう。楓たちには帰る為の場所がある。
「生きて帰るんだ。カナヲ――お前も
カナヲはハッとした。
確かに、楓の子が産まれたら、カナヲは――義姉になる。
「……そうなると、しのぶ姉さんは――
カナヲがそう言うと、しのぶの額に青筋が浮かぶ。
……まあ確かに、叔母さん。と言う言葉は、若い女性が呼ばれたくない上位に食い込む言葉でもある。
「……カナヲ。私はまだ十代。叔母さんは早すぎると思いますが」
「っ!?ご、ごめんなさい。しのぶ姉さん」
「わかればいいのよ。わかれば」
しのぶは、うんうんと頷く。
この時カナヲは、「しのぶ姉さんを叔母さんと呼ぶのは、絶対に止そう」と心に決めるのであった。
そしてこの場を笑いが包み、肩の力を抜くことが出来たのだ。
「――さあ、前へ進もう」
「――はい」
「――ええ」
楓たちは歩み始める、
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
~同時刻、蝶屋敷~
アオイは部屋を出て廊下を歩く。そして、この静かな蝶屋敷は落ち着かない。
蝶屋敷は、炭治郎たちのお陰でいつも笑みで包まれていたのだから。
「…………あ」
アオイが廊下を歩いていると、刀を自身の隣に置き、縁側で月を眺めている妊婦の姿が映った。その横顔はとても儚い。――まるで、硝子細工のようだ。
「(……そっか)」
アオイは、納得したように内心で呟く。
――楓たち鬼殺隊は、この月空の下、無惨の根城となる場所で死闘を繰り広げているのだ。
「あれ、アオイ?どうかしたの?」
「蝶屋敷の護衛なら私たちに任せて、アオイは休んでも大丈夫だよ」
カナエと真菰は「今日も沢山の患者さんを見たんでしょ?」と言葉を続けた。
「いえ、眠れなくて」
「そうなのね。じゃあ、私たちとお話をしましょうか」
「そうだねぇ。恋話とか?」
アオイは「そんな話はありませんっ!」と思いながら、促された真菰隣に「失礼します」と言って腰を下ろす。
それから、アオイはおずおずと口を開く。
「あ、あの。真菰様とカナエ様は、楓様と離れ離れになって寂しくないんですか?」
「寂しいか、寂しくないかと聞かれたら、寂しいかなぁ。――でもね、信じてるんだ。楓たちが無事に帰って来るって」
「楓の言葉を借りるとしたら、今私たちは『強くあろうと頑張ってる』かしらね」
真菰とカナエがそう言って、くすくすと笑う。
まあ確かに『強くあろうとする』と言う言葉は、楓の口癖なのだ。
その時、真菰とカナエが「あ!」と声を上げる。
「今、赤ちゃんがお腹を蹴ったよ。きっと、この子たちも信じてるのかな?」
「そうね。きっとお父さんの帰りを待ってるのね、この子たちも」
そう言ってから、お腹を擦る真菰とカナエ。
真菰たちがアオイと話していたら、眠りに就けなかったのか、すみたちもこの場にやって来る。まあでも、皆一緒に居た方が安心できるのは確かだ。
それから、すみたちもカナエ、アオイの隣に座る。
「ま、真菰様。お腹、触ってもいいですか?」
「か、カナエ様もいいでしょうか?」
「わ、私も」
真菰とカナエの「いいよ」と返事を貰ってから、すみたちは、おずおずと真菰とカナエのお腹に手を当てる。
そして感じた、小さな命の鼓動を。
「「「け、蹴りました」」」
「ふふ。皆のことがわかってるのかもね」
「そうかも知れないわね。蝶屋敷の皆は家族だもの」
真菰とカナエはそう言ってから微笑む。
そして今日全てが決まる。――鬼と人の全てが。
一応、ここで完結の括りなんですよね。……何か、打ち切り染みてるけれども。
……無惨戦、書いた方がいいのかなぁ。
鬼滅は書いてて楽しいですね。次回があるかわからないけど、一人だけにヒロインを絞って書きたいかなぁ。
あ、あと、~花と桜~の未来編なら書くかもです。
一応、プロット?思い付き?的なものはあるので。
ではでは、次回(@^^)/~~~
追記。
もしかしたら、カナヲも叔母さんに当て嵌まるかも知れませんが、カナヲは楓の妹なので義姉になるように法律?世間体?を捻じ曲げちゃいます(>_<)