~とある一軒家~
「夏帆、海斗。行くわよ」
カナエがそう言うと、夏帆と海斗は「はーい!」と返事を返す。
そう。楓たちこれから――炭治郎たちが身を寄せる、蝶屋敷に向かうのだ。
ともあれ、楓たちは靴に履き替え、家の扉を閉めてから鍵を掛け、楓、真菰、カナエが夏帆と海斗を真ん中に、横一列になり楽しく談笑しながら蝶屋敷へ向かって歩み始めた。
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~蝶屋敷~
蝶屋敷の門前に到着し楓たちを迎えてくれたのは、両耳で耳飾りを靡かせ、隊服の上から羽織るのは緑と黒の市松模様の羽織。腰から下げるのは日輪刀。そう――日柱、竈門炭治郎だ。
楓と交代するように柱に就任したのは炭治郎だけでは無い。
我妻善逸――鳴柱。
嘴平伊之助――獣柱。
栗花落カナヲ――花柱。
其々が柱に就任したのだ。
「楓さんっお久しぶりですっ!今日はどうしたんですか?」
「遊びに来ただけだ。てか、しのぶに鴉を飛ばしたんだが、まだ伝わってなかったか?」
「あ、そうなんですか。しのぶさんは研究で部屋に閉じ籠っていまして……」
楓は「またか」と言ってから溜息を吐いた。
でもまあ、
「じゃあ、私たちでしのぶを部屋から出してくるわね」
「
「夏帆お前、しのぶさんに叔母さん呼びは怒られるよ」
「じゃあ楓、先に私たちは蝶屋敷に上がってるね」
そう言ってから、カナエと真菰が、夏帆、海斗の手を取り蝶屋敷へ入って行った。
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炭治郎が楓に近況報告をしていると、炭治郎が口を開閉させ言い淀んだ。
「あ、あの楓さん。……オレがカナヲと恋仲になるのは、反対ですか?」
楓は「え?」と疑問符を浮かべる。
それはそうだ。いつも甘い雰囲気を漂わせ、お互いの視線は甘く優しく、お互いがお互いを想いやる気持ちが見て取れるのだ。
それで恋仲じゃない?それを数年継続してる?俺の意見なんて必要ないだろ?え?マジで?と叫びたい楓である。
善逸の言葉を借りるとすれば『とんでもねぇ炭治郎だ!』ってやつだろう。
「反対じゃないぞ。寧ろ、早くくっついた方が良い。……蝶屋敷で、被害者の会が創立するかも知れないから」
まあ、既に被害が及んでいるのも否めないが。
でも、善逸には被害が及んでいるかも知れない『ちきしょ――ッ!(汚い音声)こんなに甘い音響かせやがってッ!オレだって禰豆子ちゃんと――ッ』的な感じの空想の叫び声が聞こえる。
と、そんな時、楓が内心で話題に挙げていた我妻善逸が姿を現す。
隊服で羽織を上から羽織り刀を腰から下げているということは、任務が終わり蝶屋敷に帰還した、という所だろう。
蝶屋敷の門を潜りとぼとぼ歩いている善逸は、蝶屋敷の一角で話している炭治郎と楓を見て、小走りで歩み寄る。
「お、お久しぶりです、楓さん」
「久しぶり、善逸」
楓がそう言ってから、善逸も混ぜ先程の会話に舞い戻る。
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「そうなんですよ、楓さん。もう既に蝶屋敷に治療で赴いた男性隊士は、炭治郎とカナヲちゃんの恋愛被害者です」
「……あ、そう。やっぱり」
善逸と楓がそう言っているが、炭治郎は「そうなのかなぁ」と疑問を浮かべている。……だが、善逸が証言していると言うことは、蝶屋敷では被害者の会は創立されているのだろうと、楓は思った。
「で、善逸はどうなんだ?禰豆子と付き合ってるんだろ?」
決戦から数日後、善逸は炭治郎に『善逸、禰豆子を頼んだ』と許しを貰っているのだ。
だが、言い淀む善逸。
「い、いや。オレにとっては禰豆子ちゃんは高嶺の花で……」
「俺がまだ蝶屋敷に居る時、禰豆子が善逸の昔の想いを笑顔で受け留めていたのは、
「……まだ禰豆子が鬼の時あれ程『大好き』を連呼していたのに、人間に戻った姿を見たら委縮したのか……数年単位で?」
「……その通りです」
「……何て言うかお前ら、恋愛に奥手過ぎないか?」
悪く言ったら、ヘタレである。
……――鬼を狩る時はあんなに華やかな姿なのに、なぜ恋愛になるとポンコツになるのだろうか?
「な、なので、既婚者である楓さんから恋愛
楓は「
楓の場合は、全て勢い任せなのだ。
蝶屋敷で三人共同部屋になったのも、勢い。
カナエと真菰に想いを伝えたのも、勢い。
結婚の予定を決めたのも、勢い。
カナエと真菰を抱いたのも、勢い。
このように、全てが勢い任せなのである。……探せば、まだ当て嵌まる事項が出て来るかも知れないが、そこは省略である。
なので楓は、一番手っ取り早い方法を口にする。
「もうあれだ、押し倒せ。そうすれば、全部上手く行くはずだ」
でもまあ楓の場合、最後の糸を切ってくれたのは、カナエと真菰のお陰なんだが。
さすがに鋼の理性も、美女二人の誘い前では一刻で焼き切れたのである。
「え――っ、極論過ぎません?」
「そ、それが出来ていれば苦労しませんよ」
まあ確かに、炭治郎たちは
「でも待たせ過ぎるのは、女子陣は不安になるぞ」
「「そ、それは、そうですけど」」
未だに優柔不断(楓も当て嵌まるかも知れない)のように言い淀む炭治郎と善逸。
ともあれ、これが蝶屋敷の一角で行われた男子会?であった。
伊之助は任務で蝶屋敷に顔を出していなかった設定です。
まあでも、伊之助は恋愛が奥手と言う訳ではないので、アオイに想いをしっかり伝えてるはずです(^O^)
てか、痣者の存命薬を制作するしのぶさん(珠世さん)は、ある意味チートですね∑(; ̄□ ̄)
でも、原作で凄い薬を作ったので、実現は夢じゃないはずです!
今回のメインは男性陣だったので、夏帆と海斗、女性陣は余り登場しませんでした。
ちなみに、まだ結婚式を挙げていない楓ですが、作中では既婚者という設定なので悪しからず。
てか、炭治郎も善逸もしっかりしろ!って言いたくなりますね(^_^;)
ではでは、次回(@^^)/~~~
追記。
原作で炭治郎は右目を斬られていましたが、この作ではないですね。
カナヲも彼岸朱眼を使用し右目の失明まで陥りましたが、治療をしても(後遺症が残った為)全盛期とはいきませんが、戦闘には支障がない程度には視力は回復してます。
楓たちは鬼殺隊を引退しても、鴉はついている設定。
カナエから『さん』を取ったと同時にしのぶからも『さん』を楓は取っていますね。