鬼を還ったことを確認した俺は、刀を鞘に戻し、少女と対面するように腰を落とす。
「悪いな、助けるのが遅くなって」
「ううん、助けてくれてありがとう。君が来てくれなかったら、私は殺されてた」
少女の両足を見ると、両足首が青く変色している。
なので、俺は肩から下げている風呂敷の中にある小箱から塗り薬を取り出す。即効性の塗り薬であり、俺で実証済みの代物だ。
「それは?」
「塗り薬だ。俺の師は薬学に精通しててな、心配だからって持たせてくれたんだ」
少女は「なるほど」と頷き、俺が両足首に薬を塗る。
「凄い。痛みが引いてきた」
「俺で実証済みだしな。だから、稽古の終わりが見えなくなった経験があるんだけど」
俺が遠い目をすると「大変だったんだね」と少女は苦笑。
どうするか。と俺は悩む。状況からして、横抱き?背に乗ってもらう?肩を貸すだけは痛みが足に響くだろう。
「えーと。おぶってもいいか?疾しいことは考えて無いからな、消去法だ」
少女は苦笑し、
「大丈夫だよ。それよりも、おぶっても戦闘は大丈夫なの?」
「日輪刀を抜ければ問題ない」
日輪刀を抜き振れれば “桜の呼吸 弐ノ型 千本桜”が使用可能だ。
「そっか。じゃあ、お願いします」
少女は「あ」と声を上げ、
「私の名前は、真菰」
「栗花落楓だ。よろしくな、真菰」
「うん。よろしく、楓」
ともあれ、俺は真菰の日輪刀を拾い、真菰を背負ってこの場を後にした。
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「重くない?」
「問題ない。てか、羽のように軽い」
「またまた~。お世辞は要らないんだからね」
「いや、お世辞じゃないからね」
そう話しながら、俺は真菰を背負いながら山の出口に向かっている。
また、日が昇り始めているので鬼の活動時間は終了した。迎えた――最終選別七日目である。
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――七日目早朝。
今俺たちは出口に到着し、鳥居を潜っていた。周りを見渡すが、この場に到着しているのは俺と真菰のみ。
「……私たちだけ?」
「……残りの参加者は、鬼に喰われたんだろうな」
――――選別の合格者は、二人だけ。
選別開始時は二十人居た筈なのに、合格者は半分以下。
「お帰りなさいませ」
「おめでとうございます。ご無事でなによりです」
正面に現れた、二人の少女が説明を始める。
「まずは体の寸法を測り、隊服を支給させていただき、その後は階級を刻ませていただきます」
「階級は十段階ございます。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸。今現在の御二人は、一番下の癸でございます」
「これからお二人には、鎹鴉をつけさせて戴きます」
黒髪の少女が手を叩くと、上空から二羽の鴉が下りて来て、俺と真菰の肩に乗る。
「鎹鴉は、主に連絡用の鴉でございます。任務の際は、鎹鴉でご連絡致します」
この鴉が、俺たちの相棒となるわけだ。
てか、喋ったりするのだろうか、この鴉たち。
「では、こちらをご覧ください」
少女たちは、手前に置いてある長台に視線を向ける。
そこには、幾つかの鉱石が置かれていた。
「こちらから刀を創る鋼を選んでくださいませ。鬼を滅殺し、己の身を護る刀の鋼は、ご自身で選ぶのです」
俺は真菰を背負いながら歩き、長台の前まで移動し、感覚で鋼を選んだ。どの鋼がいいのか解らないので、ほぼ直感である。ちなみに、真菰も同様だ。ともあれ、隊服を支給され階級を刻み、俺たちは下山した。後、刀が仕上がるまでは、十日から十五日かかるということ。
また、真菰は歩くのが厳しい為、俺が背負って狭霧山まで向かうことになった。……てか、オレの娘に!展開は無いよね?無いよね?俺、まだ死にたくないよ……。
少しキャラ崩壊?
まあでも、楓君たち最終選別を終えましたね。
ではでは、次回(@^^)/~~~
追記。
楓君は、無傷で最終選別を合格しました。
同期の隊士は、真菰ちゃんだけですね。