Tales of Willentia テイルズオブヴィレンティア   作:さかなのねごと

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第6話 砂漠を歩む

 

「……わあ……!」

 

 感嘆の声を上げるアスハの目の前に広がるのは、きらきらと黄金色に輝く砂漠だった。砂の一粒一粒が生み出す濃淡が、まるで波のようにさざめいている。こんな光景は火の皇国では決してみることはできない。その違いが面白くて、アスハは、砂混じりの風すら笑って受け止める。

 

「……砂漠が、それほど嬉しいか?」

「嬉しい……よりも、面白いが近いかな」

 

 踏み出した足が砂塵の中に少し沈む感覚も、大変さよりも新鮮みを感じる。にこりと笑いながら前を行くアスハに、ミライは曖昧に頷いて続いた。

 アスハとミライは港町を出て、この砂漠に築かれた街道・【銀の道】を歩いていた。門番の言っていた通り、道行く旅人に襲い掛かる魔物は数を増していたが、二人揃った今なら道を阻むほどの脅威ではない。

 

「そうか。ミライはシェドなのだし、君にとっては大して珍しいものでもないかな」

 

 だから何気なく、そんな雑談が口をついて出た。アスハにとってはほんの世間話のつもりで。だから、

 

「シェド、……シェドとは、なんだ?」

 

 まさかそんな返答があるとは思わず、しばらくの間、二人の間を沈黙が満たす。足を止めて振り返ったアスハに、驚きに見開かれた目に、ミライは不思議そうに首を傾げる。

 

「どうした、アスハ」

「ど、うしたっ、て…………それは私の台詞なのだけれど」

 

 裏返った声を抑えて、アスハは努めて冷静に言葉を選ぶ。

 

「……このメルセディアは精霊の祝福を受けた地であり、私たちヒトは皆、精霊の眷属として生を受けた。闇の大精霊シャドウはシェドを、水の大精霊ウンディーネはディーネを。地の大精霊ノームはノーマンを、火の大精霊イフリートはイブリスを。風の大精霊シルフはシルフィを、そして、光の大精霊レムはレムリアを、それぞれ生み出したんだ」

「闇の大精霊シャドウの眷属、それがシェドか」

「そうだよ。……聞いたことは、一度もなかったかな」

「ああ」

「そう、か」

 

 誰もが皆、大精霊の祝福を受けた眷属であることは、この世界に生きるヒトならば誰もが知る常識だった。父母からの寝物語や、幼稚舎での読み聞かせなどで、幼い頃から何度も耳にするはずの“当たり前の話”。それを聞いたことがないとは、どういうことなのか。疑問に思ったアスハだが、その問題に踏み込んでもよいものか、ミライをみだりに傷つけはしないだろうかと躊躇する。

 視線を僅かにだが泳がせたアスハに、ミライは彼女の戸惑いに気づいた。ああ、と付け足す。事も無げに。

 

「ぼくはつい先日、この闇の公国で目覚めたんだが、目覚めるより以前の記憶を失っているんだ」

「……、…………え、」

「記憶を失っているから、きっと、知っていて当然のことも知らないんだろう」

「……随分と、他人事みたいに言うんだね」

「記憶がない分、実感が遠いからかもしれない」

 

 淡々と受け答えするミライに、記憶を失ったことへの不安や焦燥は感じられない。ただあるがままに現状を受け止めている。彼はなるほど、と頷いた後、しばし考え、また首を傾げた。

 

「そういえば、アスハはなぜ、ぼくがシェドだとわかったんだ?」

「え、あ、ああ……六の種族にはそれぞれ特徴があってね、たとえば風の祝福を受けたシルフィなら、背中に羽根を生やして空を自由に飛ぶことができるんだ。そしてシェドなら、」

 

 アスハはすっとミライの足元を指差した。砂漠の熱気にゆらりと空気が揺れている。燦々と降り注ぐ陽光を受けてなお、少年の足元にはあるはずのものがない。

 

「シェドには、影が無いとされている。私の足元には、ほら、あるだろう?」

「確かに。けれどどうして、シェドの影は無いんだ?」

「私も伝え聞いただけなのだけれど……曰く、影とは魂の楔。魂がここに在ると証明するもの。普通は、私たちと切り離せないものなんだ」

 

 アスハは口許に手を添えながら、以前本で読んだ記述を思い返して諳じる。

 

「けれど、シェドの影には魂そのものが宿るとされている。それはシェド本人の魂の半分だとか、また別の魂だとか……そこは明らかにされていないけれどーーとにかくそうした理由で、シェドの影は独立した存在として存在していて、私たちのように足元には現れないんだそうだ」

「そうか。では、シェドの影はどこに?」

「大抵は【死の国】にいるそうだよ。【死の国】とは、生を終えた魂がゆくところで、この闇の公国であってそうではない場所ーー別位相にあるとされている。私たちは行くことはできないけれど、シェドは、死の国にある自分の影を介して、死の国に行くことができるのだとか」

 

 話しながら、アスハの琥珀色の目が微かに曇る。その翳りの中で彼女は過去を思っていた。過去になった、母を思っていた。

 

(シェドだったならば、母様に会えるーーなんて、)

 

 なにを感傷的になっているのやら、とアスハは口許に嘲笑を浮かべた。今がシャドウリデーカンで、鎮魂祭が行われていて、闇の公国にいて、とさまざまな条件が揃っていたにしても、あまりに後ろ向きすぎる。心が、弱すぎる。

 こんなことでは駄目だ、とアスハはすぐさま気を取り直し、表情を穏やかに作ろうとした。その時。

 

「なら、ぼくの影は迷子になっているのかもしれない」

 

「……、……うん?」

 

 唐突なミライの言葉に、アスハは表情を取り繕うのも忘れて目を丸くした。意味を図りかねている少女に、少年は不思議そうな顔をする。

 

「?どこにいるのかわからないものを、迷子と呼ぶのではないのか?」

「そ、そうだけれど……、……待った。今君は、“どこにいるのかわからない”と言ったね?」

「ああ。ぼくの影が、今、“どこにいるのかわからない”」

「…………そんなことが、あるんだね……」

「あるみたいだ」

 

 あまりに淡々としているミライの声色に、冗談や自虐は感じられない。彼は至極真面目なのだ。至極、真面目に、なにもわからないという現状を受け止めているに過ぎない。

 

「アスハ、」

 

 そんな彼に呼び掛けられ、はっとアスハは我に返った。どうしたのかな、と言おうとした言葉は喉の奥に消える。アスハの視界の中にいるミライは、いつものまっさらな表情の上に、ほんの微かな微笑みを滲ませていた。

 

「ぼくは今、なにもわからない。……だけど、きみからいろんなことを教わるのは、楽しい」

 

 アスハの心に、ふわりと熱が込み上げる。それはミライの初めての笑顔を見たのと、その言葉に思うところがあったのと、両方が理由だった。

 

(私も、……私も、そうだった)

 

 かつて幼い自分もまた、母から多くのことを教わるたびに、楽しくて、嬉しくて、そして、ーー。

 

「……うん。私も、知らないことを知るのは、楽しくて、大好きなんだ。知るたびに、世界がもっと鮮明に見えて、世界にもっと近づく気がして、もっと、もっと、……世界が好きになるんだよ」

 

 過去の想い出を噛み締めるように言葉を紡ぐ。知らず知らずのうちに、アスハは柔らかく微笑んでいた。そんな少女の穏やかな眼差しをじいっと見つめた後、ミライは目を瞬かせる。

 

「アスハにも、知らないことがあるのか」

「もちろん!世界にはまだまだたくさん、私の知らないことがある。たとえば、……そう、この銀の道が、なぜ銀の道と呼ばれるのか」

「……確かに、一面黄金色なのに、なぜ“銀の道”というんだろうか」

「ね。“何故だろう”が、たくさんあるよね」

 

 楽しげに笑って、アスハはくるりとその場で回ってみせた。黄金の砂漠を背に、緋色の髪が踊るように揺れる。

 

「知らないことをたくさん見つけて、たくさん知っていこう、ミライ。そしたらきっと、もっと君は、世界を好きになれるから」

 

 アスハの言葉を聞いて、ミライは黙考した。銀の目がなにかを思うように伏せられる。それは眩し過ぎるものを避ける仕草に似ていた。それでも。

 

「……ああ、アスハ」

 

 それでも彼は、少女を見つめ返し、静かに頷いてみせた。

 

 

 

ーーー

 

 

 

スキット【ディスカバリーブック】

 

 

アスハ「そうだ。ミライ、新しいことを知るというのなら、これを使ってはどうかな」

 

ミライ「ディスカバリーブック?」

 

アスハ「ああ。これは倒した魔物や見つけた珍しいものを記録していく本だよ。今までは私が書いていたんだけれど、これからは一緒に書くのはどうかと思って」

 

ミライ「一緒に、……だけど、ぼくに書けるだろうか」

 

アスハ「できるよ。よくわからない時は私も教えるし……知識というのは、自分で見つけて、考えて、記録に残すべきだと思うから」

 

アスハ「あ、でも、ミライが嫌でなければ、だけど……」

 

ミライ「嫌ではない。頼めるか、アスハ」

 

アスハ「!うん、一緒にやろう、ミライ」

 

 

 

スキット【サンドローズ】

 

 

ミライ「……、アスハ、これを見てくれ」

 

アスハ「どうしたの、ミラ……、これは、サンドローズ!?」

 

ミライ「サンドローズ?砂の薔薇……これは植物なのか?」

 

アスハ「うん……これはね、分類が難しいんだ。地底から染み出した水が一部を溶かして形成された石だと言われていたんだけれど、最近になって植物の細胞が確認できたと学会で発表されたんだよ」

 

ミライ「……石でもあるが、植物でもある……?」

 

アスハ「それが混ざりあった存在、というのが近いかな」

 

ミライ「不思議なものだな」

 

アスハ「本当に。自然の神秘というのは、奥深いね」

 

 

 

ーーー

 

 

 

 朝方に出発してから銀の道を歩き続け、流石にアスハたちにも疲労が溜まってきた。頬を伝う汗が顎から落ち、砂に染み込まれていく。

 

「流石に、少し……疲れてきたね」

「喉が乾くな」

「備えの水はまだあるけれど、早めにどこかで補給したいところだ」

 

「補給ならば、この先のオアシス=ジャンナへお越しくださいな~」

 

 ふと頭上から影が差して、アスハとミライは驚いて顔を上げる。視界を染める真っ青な空を背景に、にこにこと微笑む人物がいた。その背中には黒い翼ーー白と橙の飾り羽根が印象的だーーが生えている。

 

「背中に羽根……風の大精霊シルフの眷属、シルフィか」

「ですです~。それに加えて申し上げますと、」

 

 シルフィの女性はとんと砂漠に着地した後、胸に手を当て、ひらひらとした服の裾をつまみ、綺麗に一礼してみせた。空中から降りたため背中の羽根は溶けて消えたが、肩口で真っ直ぐに切り揃えられた髪は羽根と同じ黒色で、飾り羽根と同じ、白と橙の髪飾りをつけていた。

 

「ワタクシはマルシャン・エトピリカと申しまして、エトピリカ商会に勤めております一介の商人でございます。御気軽に『マルちゃん』『マルさん』とでもお呼びくださいな~」

 

 にこっと微笑む目は糸のようだが、きっと緑色をしているのだろう。羽根を出すために大きく背中の空いたインナーに、それを覆うようなケープは、シルフィが好んで着ている民族衣装だ。大きく広がって足首で裾が絞られたズボンは、丸いシルエットを描いていて可愛らしい。

 人好きのする笑顔と“エトピリカ商会”という名を聞き、アスハは警戒を解いて笑みを浮かべた。

 

「エトピリカ商会とは、旅する者への貢献度なら他の追随を許さないと言われているね」

「はいな~。旅人への衣食住、武器防具に役立つ道具、なぁんでも揃えてご提供!がわが商会のモットーでして~」

 

 にこやかなマルシャンと相対するアスハに、ミライもようやく肩の力を抜いた。そんな彼の様子を知ってか知らずか、マルシャンはぱっと微笑んで続ける。

 

「昨日から魔物の活性化だなんて物騒なことが起きていますでしょ?わが商会はそれにいち早く対応するために、商会員一同、真心こめて品揃えさせていただいております~!この先のオアシス=ジャンナにも系列店を出させてもらっていますので、どうぞどうぞご贔屓に~」

「携帯用の水もあるのか?」

「勿論です~!それだけじゃなく、ありとあらゆる新鮮な果実をギュギュッと絞り、水の響術でひんや~り冷やした果実水も各種ご用意しておりますよ~」

「果実水……」

「うん、その名に違わぬ商売上手だね」

「お褒めいただきありがとうございます~」

 

 ミライの白銀の目がわかりづらくも輝いている。アスハだって苦笑しながらも完全に果実水の口になってしまっていた。2人はいち早く都に行かねばならないというマルシャンと別れ、彼女の言うオアシス=ジャンナへと足を向けた。

 

 

 

ーーー

 

 

 

 オアシス=ジャンナ。闇の公国の古い言葉で【天国】を意味するらしいそこは、まさしく砂漠の中の天国だった。

 

「わあ……!」

 

 感嘆の声を上げるアスハの隣で、ミライも目を丸くしていた。オアシス=ジャンナの街の中央には大きな泉ーーオアシスがあり、空の青さを映したような水面がきらめいている。水辺には椰子や蘇鉄の木が覆い繁り、涼しげな陰を作って暑さにうだる人々を癒していた。水を汲むために大きな桶を抱える女性や、水遊びをする子どもたち、船で品物を運ぶ男たちの姿が見える。ここではオアシスを中心に生活しているのは明らかであり、そんなオアシスを中央に円を描くように、さまざまな建物やテントが建ち並んでいた。

 

「オアシス=ジャンナ……砂漠を旅する人々や、彼らを相手に商いをする人々が集まってできた街だそうだ」

「商い、……だからこんなに店が多いのか」

「みたいだね。店舗を持たない者だって、テントで露店を開いているようだし」

 

 世界中を旅して商売をして回るキャラバンのものだろうかと、物珍しげに辺りに視線をやる。その目はきらきらと輝いていた。

 

「マルシャンから聞いたエトピリカ商会の店もあるそうだし、少し歩いてみようか、ミライ」

「ああ」

 

 連れ立って歩き、露店をひやかして回る。道中でマルシャンの言っていた果実水の店を見つけ、2つ注文した。アスハが少し悩んでから選んだ西瓜の果実水を見て、ミライも同じものを頼む。店先の木陰に置かれた丸椅子に腰掛けて口をつけると、さっぱりした甘さが喉を潤していき、自然とアスハの頬に笑みが浮かんだ。

 

「甘くてひんやりしてて、美味しいね」

「そうだな。……それにしても、」

「どうしたのかな?」

 

 何かあったのかい、と尋ねると、少年はアスハの無限巾着に目を向け、疑問を口にした。

 

「道中の魔物退治で得た心臓石(ヘルツ)は、換金することもできるんだな」

「そうだね。もはや魔導機関はこの世界の生活の基盤となっているし、心臓石(ヘルツ)はその動力源だから」

 

 誰もが使うし、誰もが求める。だから金銭と交換もできるのだろう。アスハたちも携帯食料や飲料水、新しい武器や防具にアクセサリなど、これからの旅に必要なものを買ったので、無限巾着の中の心臓石(ヘルツ)はだいぶ少なくなっている。

 その中に残った一際大きい心臓石(ヘルツ)に目を留め、そういえばとアスハは手に取った。手のひらほどの大きさのそれは夜空のような黒色。ーーつい昨日、あの地下墓所で討ち取ったグールキングが落としたものだった。

 心臓石(ヘルツ)は宝石のような姿かたちをしているが、実際は高密度のムジカの結晶であり、触れているとそこに含まれた響きが聴こえてくる。そこでまた、アスハは首を傾げた。

 

(……そういえば、港町で聴いた“あの悲鳴”と、このムジカの響きは違うな)

 

 あの通りで突然聴こえた、か細くも悲痛な悲鳴。その直後、到底まともとは言えない重苦しい感情の揺らぎに襲われ、心身にダメージを負ったことは記憶に新しい。

 

(あの“悲鳴”の直後にグールの群れが沸いたから、元凶であるグールキングの発するムジカかと思ったのに、違う(・・・)。ーーだとしたら、)

 

 あの“悲鳴”の持ち主はまた別にいる。

 グールキングより苛烈に、凄絶に、何かを恨みつらみ、絶望している感情の持ち主が、別にいる。

 

 砂漠の熱気を押し避けてやって来た寒気に、背筋が震える。そんな風にして考えに没頭していたから、だから彼女は気づけなかった。

 

「ーーアスハ!」

 

「え、……っ!?」

 

 突然、目の前を何かが横切る。あまりに速いそれは残像しか残さず、アスハたちの前から遠のいていく。気配を追ってミライが店の屋根の方を見上げる。そこには、

 

「あーっはっはっは!!」

 

 腰に手を当て、口許を扇で覆い、高らかに笑う女の姿があった。その両隣を2人の男が固めている。

 

「油断大敵という言葉をご存知?知らなかったなら御生憎!知っていたならお馬鹿さん!あなたの心臓石(ヘルツ)、頂いていきます!」

 

「姐さんじゃなくて、俺が獲ってきたのになー」

「そも、何故名乗りを上げるのだ。そのまま逃げたら見つからんのに」

 

「黙らっしゃい!!」

 

 男というには若い……まだ十代半ばといった少年がぼやき、もう片方の青年は低い声でこれまたぼやく。そんな2人を叱り飛ばして、女はまた高らかな笑みを浮かべた。紅を塗った唇がつり上がり、明るい赤毛が風に遊ばれ波打つ。

 

「私たちはそんじょそこらのこそ泥とは違うのです!だから正々堂々とここに宣言します!」

 

 女は屋根からとんっと跳躍し、空中に身を踊らせる。途端、その背から黒い蝙蝠の羽根が生えた。音もなく羽ばたきを繰り返しながら、彼女は口を開く。

 

「お嬢さんにお坊ちゃん!あなたの心臓石(ヘルツ)は、私たち【漆黒の翼】が確かに頂きました!私たちの糧となり翼になること、光栄に思いなさいな!!」

 

「……っ待て!!」

 

 アスハがハッとして声を上げるも、遅かった。蝙蝠の羽根を持つシルフィの女を先頭に、少年と青年も続く。殿を務める黒髪の青年の背を追いかけ、アスハとミライも走り出す。

 

「……っすまないミライ、私がぼうっとしていたから、」

「アスハは悪くない」

 

 だからすまないはいらない、とミライは言う。

 

「“人のものを盗ったらいけない”ーーいけないことをしているのはあいつらだ」

 

 アスハの持っていた拳大の心臓石(ヘルツ)。あれには大きな力が秘められているだろう。それが悪用されてしまったなら、考えたくもない事態を引き起こしかねない。

 そんな悪い予想とミライの励ましを受け、アスハは落ち込んでいた口角をきゅっと引き締めた。

 

「……ああ!盗っ人は、必ず捕らえよう!!」

 

 決意を新たに、走る手足に力を込める。こうしてオアシスの街での追いかけっこが始まったのだった。

 

 

 

第6話 砂漠を歩む 了

 

 

 


 

 本当は砂漠での出来事は1話にまとめたかったのですがまとまりきらず……というか漆黒の翼はともかくマルシャンはいつの間にか生えてきました。咄嗟に出したのになんだか妙に愛着が湧いてしまったキャラです。これからもたまに出します。


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