ただ魔法を解明したいだけ   作:ツンドラ

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お久しぶりです.
いつも読んでくださってありがとうございます.

少し時間ができたので更新します.


前回のあらすじ
組分け.



才能

「変身術はホグワーツで学ぶ魔法の中で最も複雑で危険を伴うものの1つです。皆さん、集中して授業を受けないと事故に繋がります。心して授業に望んでください」

 

 レイブンクロー・スリザリン合同の変身術の授業である。マクゴナガルは授業が始まるや否や厳しい言葉を放つ。そして杖を振るうと彼女の目の前の椅子がネコに変化した。生徒たちはそれを見て感嘆の声をあげた。

 

「変身術はかなり難しいものですが、その分様々なことができます」

 

 マクゴナガルが杖をもう一振りすると、ネコが椅子に戻った。

 

「1年生の間はものを生物に変身させることはないですが、私の授業をしっかり理解すればいずれこのようなことも出来るでしょう。ではまず変身術の基礎から始めます」

 

 マクゴナガルの実演に生徒たちは感化され、みんなせっせと授業内容をノートに取った。

 

 これが変身術!!まさに魔法だな。魔法あるあるだが、質量とかどうなってるんだろう?変化しないのかな?

 

 最初は真面目に授業を聞いていた生徒たちだが、20分も淡々と授業が続いていくとどうにも集中は途切れてしまったようだ。11歳とはそういものだろう。アランの隣に座っているアイザックは杖を眺めて何度もぼーっとしている。

 マクゴナガルは授業のキリがいいところで、一人一人にマッチ棒を配った。

 

「では、今までの話をもとに、マッチ棒を針に変えてください」

 

 マクゴナガルも生徒たちが少々退屈にしているのを感じたのか、演習に移ることにした。

 

「ねー、さっきまで先生マッチ棒の変え方についてなんか言ってた?」

 

 アイザックは授業をしっかり聞いていなかったため、アランに助け舟を求める。

 

「いや、特に言ってなかったと思うけどな。ただ変身術を使うときは変身させるものをよく観察して、変身先のもののイメージを固めるのが大事っていうのが授業の内容だったかな」

 

 そもそも初回の授業でいきなり変身術を使えっていうのは無理じゃないか?そんな簡単にできたら誰も苦労しないだろう……

 

「そっかー。じゃあまずはマッチ棒を観察すれば良さそうだね」

 

 周りの生徒が杖を試行錯誤して振ってる中、アイザックはマッチ棒の両端を両手で掴みながら観察し始めた。アランが周りを見渡しても誰もうまくいってないようであった。

 

 マクゴナガルさんはこの授業中に観察とイメージが大事だと言ったのに、ほとんどの人が観察すらしてないのか。魔法の才能があるからと言って秀才というわけではないんだな。みんなが変化させられないのを見るからに、教えられたプロセスを踏むのがやはり重要ということか。どれ、このマッチ棒はどうだ?先端は良くあるタイプで赤色だ。軸は木かな?味もみておこう。なるほど、マッチ棒ってこんな味がするのか。

 

「アラン、どうしたの?マッチ棒なんて舐めて」

 

「いや、なんでもない。気にしないでくれ……」

 

 味をみたところでアランのマッチ棒が針に変わる兆候はまるでなかった。しばらく経つと、アランよりも後方の席で歓声が上がる。

 

「すごいわ!セルウィンさんのマッチ棒、完璧に針になってる!」

 

「別に、大した事ない」

 

 女子生徒たちがきゃっきゃっと声をあげている。どうやら1人の生徒がマッチ棒の針への変身に成功したようだ。マクゴナガルがその様子を見に行った。

 

「これは素晴らしいですね!初回の授業でここまで完璧に変身させることができるのは数年に1人いるかどうかです。セルウィン、貴方の素晴らしい変身術に点を差し上げましょう。スリザリンに5点!」

 

「ありがとうございます」

 

 なに?やるじゃあないか。俺のマッチ棒なんてうんともすんとも言わないのに……

 

 結局、授業終了時にマッチ棒を完全に変身させられたのは先のスリザリンの女生徒だけであった。その生徒を除き、マッチ棒を少しでも変身できたのはレイブンクローの真面目そうな女の子1人という結果になった。

 

 

————

 

 

「全く変化しなかった……」

 

「大丈夫だよ、アラン。僕のもみんなのも変化してないし」

 

 2人以外の生徒は少しも変化できなかったにもかかわらず、マクゴナガルがあきれた様子を見せなかったことからやはり難しい課題であったらしい。

 

「そうだけど悔しいよな」

 

「アランって結構負けず嫌いだね」

 

 アランとアイザックはレイブンクロー寮のルームメイトである。2人は自室に戻って教科書類を置いた後、昼食をとるために大広間まで歩いていた。階段を上って行くとアランは見知った影を見つける。

 

「おーい、アンバーこれから飯か?」

 

「あら、あんたたちか。そうよ」

 

「なら一緒に食べようぜ」

 

「いいわね、混む前に席取りましょ」

 

 大広間の長テーブルには基本的に同じ色のローブをまとった人たちがかたまって座っていた。つまり各寮ごとに別れていたのだ。

 

「なんか、みんな寮内の人としか飯食べてないな」

 

「そんなもんじゃない?いっつも一緒にいるから仲良くなりやすいんでしょ」

 

「確かにな……」

 

「あんたたちはさっきまで何の授業受けてたの?」

 

「僕たちは魔法薬学と変身術の授業を受けてたよ。変身術はとっても難しかったね」

 

「ああ、いきなり変身術の実践があったけど全然うまくいかなかったな」

 

 アランがふと手元の金属のスプーンを眺めると変身術の課題が思い出される。

 

「あたしはさっき飛行訓練でその前は妖精の呪文学を受けてたわ」

 

「妖精の呪文学ではどんなことやったの?」

 

 変身術ってよく考えると錬金術だよな。マッチ棒と針の構成なんて明らかに違うし、どういう原理なんだろう……質量変化うんぬんの前に元素から変化してるのは何でだろうな。元素が変化するっていうのは核の話だっけ?

 

「えーと、杖先から光を照らすライトの魔法よ」

 

「面白そう!簡単だった?」

 

「いや、こっちも全然よ。先生を見てるとすごく簡単そうなのに、いざやると全然光らなかったわ」

 

「そうなんだ」

 

 あれ?核の物質が変化する時って、かの有名な$E=mc^2$が絡むっけ?エネルギー(E : energy)が質量(m : mass)と光速(c)によって表現されるものだったな。確か相対論の話だったっけな……4元運動量辺りはあんまり理解してないしなー。そもそも質量が増えたとしてもこの時質量を持つ物質は何なんだ?陽子?電子?中性子?あ、もっと小さいクォークなんて輩もいたなぁ。あーもう、分からなくなってきたぞ。

 

「そうそう、結局授業中にちゃんと呪文をできたのはあのセルウィンだけだったわ」

 

「あのセルウィン?そういえば、変身術でうまく呪文できたのはスリザリンのセルウィンって子だけだったよ」

 

「あら、あんたたちはセルウィンを知らないの?」

 

 いやいや多分そんな話じゃない気がしてきた。既存の理論だけで話が済むなんて考えちゃダメだ。前の世界の常識にとらわれるな。なんせ魔法なんてものが普通に存在する世界だからな。あーなんか質量が増えても問題ない何かを知ってた気がする。何だっけなー。

 

「アラン、聞いてる?」

 

 ふと顔を上げると、少し苛立ったアンバーが視界に入った。

 

「あ、ごめん。聞いてなかった、何の話だっけ?」

 

「あんた、清々しいほどに正直ね」

 

「ごめんごめん、ちょっと気になることがあって」

 

「気になること?」

 

「いや、どうでもいいことだから気にしないで」

 

「ふーん、まあいいわ。セルウィンって子知らない?」

 

「セルウィン?スリザリンの呪文がすごい子?」

 

「そうよ。でもちょっとすごい程度じゃないわ」

 

「アンバー、セルウィンのこと知っているのか?」

 

 アンバーは自慢気に説明を始めた。

 

「もちろんよ。有名じゃない。聖28一族セルウィン家きっての天才よ」

 

「ふーん、天才か」

 

「そうよ。小さい頃から高度な呪文も扱えるって、パパたちも噂してたわ」

 

  聖28一族って間違いない純血と言われているサラブレッドだったか。そういえばアンバーも聖28一族じゃなかったっけ……

 

「すごいねー、僕なんて呪文を全然知らないのに」

 

「あたしもよ。だいたい杖を貰ったのだってついこの間だし。まぁ有名になったのは、セルウィン家がブラック家と並ぶくらい純血主義ってのもありそうだわ。取り巻きに純血の女の子も多いしね」

 

「へえ、セルウィン家って純血主義なんだ」

 

「ええ、普通聖28一族は純血主義だからね」

 

「ってことはアンバーもなのか?」

 

「いや、あたしやパパたちはそれほど純血にこだわってはないわ。もちろん血に誇りを持ってるけどね」

 

「ふぅん、そういうもんか。情報ありがとな」

 

 セルウィンって子が変身術でもうまくやれたのは、ひとえに英才教育のおかげなのかな?やっぱどの世界でも早期から学習している家庭はあるんだな。

 

「あんたたちの午後の授業はなんなのよ」

 

「次は闇の魔術に対する防衛術だよ」

 

「あー、美人な先生のやつね。その授業が一番面白そうね」

 

「アンバーはつぎ何?」

 

「変身術よ。マクゴナガル先生を怒らせないように真面目にしなきゃ」

 

「あの人はそんなに怒らないから大丈夫だろ?」

 

「パパは怖い人だっていつも言ってたわよ」

 

「それは多分ジェイコブさんが悪い」

 

 マクゴナガルさんは理不尽に怒るような人じゃないしな。おそらくあのいたずら親父が何かしでかしては怒られていたのだろう。

 

 

————

 

 

 授業はまたレイブンクローとスリザリンの合同だ。教室には変な匂いが漂っている。教壇には長い金髪をきらめかせ十字架のペンダントをつけたローザが立っていた。ローザの外見のため生徒たちは落ち着きなく、ずっと会話をしている。

 

「私が今年1年ホグワーツで闇の魔術に対する防衛術を教えることになったローザ・ラーネッドだ。よろしく」

 

 ローザが凛とした声で言うと教室は静まる。

 

「まず教科書を閉じなさい。この講義では数多いる闇の生物への対策の指南だけでなく、実践の指導も行う」

 

 発言を受けて教室がざわつく。

 

「ねえねえ、実践ってなんだろう」

 

 隣にいたアイザックがアランに声をかける。

 

「さあ?闇の生物たちと戦いに行くんじゃないか?」

 

 アランが特に考えず適当なことを言うとアイザックは顔を青くした。

 

「僕まだ呪文全然使えないのに……」

 

 生徒たちのざわめきが止まないうちにローザの言葉は続く。

 

「いいか。魔法族は杖、ひいては呪文に頼りすぎている。仮に自分よりも呪文に優れている相手と戦うことになったらどう対処する?何か意見を出せるものはいないか?」

 

アランとスリザリンの長い黒髮の少女が手をあげた。

 

「ではまずセルウィン、どうだ」

 

「弱点を突く」

 

「ふむ。弱点を突くのは悪くない。この講義もそれを目的に行われるのだからな」

 

 あの黒髪の子がセルウィンか。なるほど利発そうな子だな。

 

「ジュールはどうだ」

 

「逃げる」

 

「もちろん、それも一つの選択肢だ。だが逃げられない戦闘もあるぞ。人質を取られた時とかな」

 

「他にないか?ん、フレネルどうだ」

 

 二人の発言の後にフレネルと呼ばれた、マッチ棒を多少変化させることができたレイブンクローの茶髪の少女が手を挙げていた。

 

「応援を呼んだらいいのではないでしょうか」

 

「それも一手だ。だが、応援が来るなんてことはまず考えないほうがいいだろう。時間は許してくれないのだから」

 

 その後、誰も挙手しなかったため、ローザは質問の補足をした。

 

「ふむ。他にはないか。いいだろう。私の質問をもう一度考えてくれ。呪文では勝てない相手との戦闘だ」

 

「あっ」

 

「わかったか。ジュール」

 

「はい。呪文で勝てない相手には他の武器、例えば物理的な力で応戦するとかですか」

 

「その通りだ。よく気づいたな。レイブンクローに1点」

 

 生徒たちは納得のいかない表情をしていた。

 

「ふむ。どうにもイギリスの魔法族は呪文こそ至上という考えがあるらしいな。いいか、呪文で勝てないなら物を投げて相手の杖を吹っ飛ばしたり、相手の喉を毒霧で封じたりなど様々な戦い方があるだろう。相手を倒す方法が呪文であろうとなかろうと関係ない。実戦では自分にあった戦い方をできたものが勝つ」

 

 フレネルが疑問を投げかける。

 

「先生は呪文をあまり使わないのですか?」

 

「ああ。私は魔法を使うがそれだけではない。仕事柄、闇の生物と対峙することが多く、呪文が有効でない状況に度々遭遇するのだ。闇の生物は呪文に耐性を持つものが多いからな。他に何か質問はあるか」

 

 誰も挙手しないのを見てローザは話を進める。

 

「今日は諸君の基礎体力および運動能力を測りたい。そこでこれを使う」

 

 ローザは赤いビー玉のようなものを取り出した。

 

「これはゴブストーンで使うボールだ。砕けると悪臭がするものだ。今から諸君らにはこれを避けてもらう」

 

 ローザは2つの向かい合う壁を呪文で作り出し、その壁に向けてボールを投げた。すると壁にぶつかったボールは反射してもう1つの壁にぶつかりまた反射した。ボールは壁の間を延々と反射し続けた。

 

「ドッジボールを知ってるかい?投げられたボールを避ける競技なのだが。なに、やって欲しいことはこの2つの壁の間に入りボールを避け続けてることだ」

 

 生徒たちは面白そうに話を聞いている。

 

「はじめはボール2つから。避け続けられればどんどんボールを増やしていく」

 

 ローザはボールを5個追加し壁に投げた。壁の間隔は7mほどでその間を縦横無尽にボールが跳ね返っている。

 

「ボールが小さいと見えづらいから大きくしてあげよう」

 

 ローザが杖を一振りすると、ボールは握りこぶし大まで拡大した。そしてそのまま壁の間に入りボールを避けた。

 

「こんな風に避け続ければ良い。前だけに意識をしてはいけない。後ろからもボールは来るのだから」

 

 ローザは振り向くことなく後方から来るボールも余裕を持って避けた。

 

「デモンストレーションはこんなもので良いだろう。では10人で1組となるよう名前を呼び、組ごとにこれをやってもらう。ボール2個から始め、1分ごとに1つ追加する。またボールがだれかに当たって砕けた場合は砕けた分だけ新しく追加する。ボールに当たったら失格だ。壁の間から出てもらう。制限時間は5分で、最後まで残れたら寮に点をあげよう。何か質問はあるか」

 

 生徒たちは早くやりたそうに待っているだけであった。

 

「無いようだな。そうだ1つ付け加えることがあった。呪文や道具は一切使ってはならない。言ったように単純な運動能力を見たいからな。では始めよう」

 

 生徒たちは楽しそうに挑戦するが、3分以上避け続けられる生徒はいなかった。ボールのスピードは速すぎず、しっかり見てからなら避けられる程度のものだ。だが後方からもボールが来るため、簡単に避けられるかどうかだと話は別だ。ボールが4つになった時点でほとんどの生徒は脱落していた。

 

 アランは名前がなかなか呼ばれず、最後のグループでようやく呼ばれた。

 

「アラン頑張って!」

 

 アイザックは前の組でボールが3つの段階で当たってしまい悪臭を放っている。

 

「ああ、頑張るぜ」

 

 ローザに質問したアラン、セルウィン、フレネルは最後のグループにまとめて呼ばれた。ローザは何か思うところがあるのだろう。

 

「では呼ばれたものは、壁の間に立ちなさい」

 

 ローザは皆が準備できたのを確認すると「始め!」と声をあげ、2つのボールを呪文で動かした。

 

 なるほどこれはきついな。前から来るボールはたやすく避けられるが後ろから来るボールがやっかいだ。まだ残っている人を壁にできるが、最後まで残るには視覚に頼りすぎてはいけないな。

 

「きゃっ!うぅ、臭いー」

 

 ボールが3つの段階でフレネルはボールに当たってしまった。最初の1分で5人が脱落し、次の1分でフレネル含む3人が脱落した。2分もしない内にアランとセルウィン以外は全員脱落してしまった。すでにボールは4個である。

 

 俺以外に残ってるのは噂のセルウィンか。やるな。だが俺はまだまだ行ける。呪文で負けてる分ここでは勝ちたいぜ。

 

 アランとセルウィンは4つのボールをかわしきり、5つ目のボールが加わってきた。

 

「す、凄い。アラン頑張ってー!」

 

 アイザックや他のレイブンクローの生徒はアランを応援する。負けじとスリザリンの生徒は、取り巻きの女の子を中心としてセルウィンを応援する。

 

「セルウィンさん!負けないで!!」

 

 両者ともに危なげなくかわし続け、ついに6つ目のボールが加わった。

 

 流石に体力がきつい……ボールの来る位置は気配が読めるから問題ないが息切れがつらいな……セルウィンのやつどんな体力してんだよ。まだ余裕ってか。

 

 残り1分を切っても2人とも避け続け、ついに制限時間の5分を避け切った。終了と同時に歓声があがった。

 

「見事だ。最後まで残った2人に拍手を」

 

 アランは腰に手を当て息を整えているのに対し、セルウィンはすました表情で佇んでいる。

 

「2人なら実戦でもある程度の立ち回りは既にできるだろう。セルウィンとジュールは戦闘における重要な能力が身についていると言えるな。自分への攻撃を感知する力だ。これを身に付けるのは大人でも本当に難しいが、子どもそれも1年生で習得しているのは特筆すべきことだ。スリザリン、レイブンクローにそれぞれ10点与えよう」

 

「「ありがとうございます」」

 

 落ち着いたアランはセルウィンに向けて手を差し出す。

 

「セルウィン、君も気配が分かるのか。そんなことができる同年代、俺以外に初めて見たよ。なかなかやるな。俺はアラン・ジュール、よろしく」

 

 差し出された手を見て、セルウィンはちっとも変えなかった表情を少し和らげ手を握った。

 

「アランか、よろしく。私はソフィア・セルウィン、ここもつまらない場所だと思ったがそうではないらしい」

 

「ソフィアか、よろしくな」

 

 名前を呼ばれるとソフィアは少し微笑んだ。スリザリンの生徒たちは羨ましそうにその様子を見ていた。

 

「ジュールって聞いたことあるか」

 

「いや聖28にはなかったはず。純血じゃ無いんじゃない」

 

「けっ、なんだよ。そんな奴がセルウィンの手を握って」

 

 スリザリンの生徒は姫と他寮の輩が触れ合うのを良しとしないようだ。アランはそれを聞いて苦笑してしまった。

 

 

————

 

 

 ローザが授業終了時にスコージファイを唱えたため生徒たちは臭いから開放された。

 

「アランすごかったよ!すごい動きだったよ!」

 

「ありがとう、アイザック」

 

「後ろから来るものも分かるだなんて、目閉じても生活できるんじゃない?」

 

「はは、それは流石にきついよ」

 

 目閉じる?あれ、なんかさっき突っかかってたことに関係してる気がする……目閉じる……真っ暗……見えない……

 

「あっ!!」

 

「どうしたの?急に声あげて」

 

 アイザックは心配そうにアランに尋ねる。

 

「いや思い出せなかったことが今思い出せたんだ。ありがとう!!」




【用語解説】
相対論:相対性理論。特殊相対論は任意の慣性系において物理法則が不変であることと、光速度不変の原理を認めることで定式化される。古典力学ではx, y, zの3次元空間を考えたが、相対論では時間tを加えた4次元時空を考えることになる。


気づけば1ヶ月以上経ってましたね......
着手していたことが少し落ち着いたので更新しました.

週1以上で更新できる方々尊敬します.すごいですよね......
これからは少しペースを落として更新します.
引き続きよろしくお願いします.

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