白眼の兎姫   作:志村犬

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ヒナタの一途な愛って、見方を変えたらカグヤのチャクラへの執着心と同じに見えなくもないという…。



妾の名は、日向ヒナタ

 

 

 木ノ葉隠れの里が一面雪に覆われている。

 

 外を出歩く者は少なく、こんな寒い日に外で盛り上がっているのは、雪に舞い上がっている子供達くらいだろう。

 

「やーい、白眼妖がふぉぉ!?」

 

 しかし、それとはまったく別の盛り上がりを見せている子供達もいるようだ。

 

()に対して相も変わらず随分と失礼極まりない態度じゃな」

 

 自分よりも大きい男の子を殴り飛ばしたのは、古風な口調で喋る青紫色のショートヘアーに、薄紫色の瞳に瞳の周りに血管の筋を浮かべたまだ幼い少女である。

 

「貴様らも懲りん奴じゃ…何度、妾に挑もうとも勝てるはずもないというのに…何人でかかってこようとも結果は同じ、変わることなどない。妾ももう飽きた。だから…今日で()()()にしようぞ」

 

 この寒い空間が、更に寒くなったような…。

 

 幼い女の子は、両手の掌から鋭利なモノ───驚くべきことに()を出現させ、無関心そうに正面に立つ男の子達へと視線を向けた。

 

「う、うわぁぁぁぁぁ!!」

「な、何だよそれぇぇぇ!?ば、バケモノだぁ!!」

()()()()として出しただけだというのにそんなに叫び声を上げるとは…実に情けない。貴様らの()()()()()()()()()()()はただのお飾りか?

 ならば…どれ、そんな情けない貴様らのそれを妾が切り落としてくれようではないか」

 

 いや、大人でもこの光景を目の当たりにしたら驚くはずだ。3歳か4歳とは思えぬほどの大人びた妖艶な笑みを浮かべる少女は、恐ろしく、そして美しい。

 

「むっ、貴様ら…せっかくの綺麗な雪を汚してくれおって」

 

 目の前の少年達が、恐怖のあまりに股の部分から湯気を発して───失禁してしまっているのも仕方ないだろう。

 殴り飛ばされ、一撃で気絶してしまっている少年は、気絶させられたことが幸運だったのではなかろうか…。

 

 ただ、その少女が一歩、また一歩と迫り来る。

 

「やめろォ!!」

 

 そんななか、その少女と少年達の前にとびきり輝く()()が舞い降りた。

 

「お前ら!女の子相手に3人で恥ずかしくないのかってばよ!?」

 

 だが、どうやらその現れた金色───金髪の少年は盛大な勘違いをしているようだ。

 男の子達が1人の女の子を虐めている。そう思っているのである。

 

 どう見ても、女の子が男の子達を返り討ちにしているのだが…。

 

「おぬし…何者じゃ?」

「オレが来たからにはもう大丈夫だってばよ!!」

「いや…妾は今から其奴らのイチモツを切り落とすという仕置きを」

「うわぁぁぁぁぁ!!」

「ま、ママァァァァァ!!」

「あ」

 

 気絶した男の子を引きずり、何度も木に激突させながらも一目散に逃げる男の子達。

 もう、女の子に絡んでくることは二度とないのではなかろうか。

 

 だが、せっかくの機会を失った女の子は少しだけ不機嫌気味だ。

 

「余計なことをしてくれおって。雪を赤く染める機会を逃してしまったではないか」

「んん?いったいどういうことだってばよ?どうしてアイツら逃げて…うわぁぁぁ!?お、お前ッな、何だってばよソレはぁ!?」

 

 金髪の少年が驚くソレとは、彼女の瞳と、そして両手の掌から出ている骨のことだろう。

 ハッキリ言って、今の彼女の姿は異形でしかない。

 

 ただ、そんな金髪の少年の反応に、彼女はため息を吐く。いつもと同じで、少年も恐れを抱き一目散に去るのだろうと、彼女は見慣れた光景に飽き飽きとしていた。

 

「な、何かスッゲェってばよ!!」

「え?」

「どうなってんのかわからないけど、何だかお前カッコイイってばよ!!」

 

 彼女がこれまで向けられたことのない、少年の純粋な眼差し。キラキラと興味深そうに瞳を輝かせる少年に、彼女は驚き、唖然としてしまう。

 

「オレはうずまきナルト!よろしくな!!」

「わ、妾は…日向ヒナタじゃ」

「よろしくな、ヒナタ!!」

 

 まるでお日様のように、心を温かくしてくれるその笑顔に、彼女は困惑する。

 これまで、彼女の異形に恐れをなした者は数知れず。しかし、このように純粋に歓喜の声を上げてくれた者など、彼女の記憶でも1人もいなかったのだ。彼女の父親ですら、戸惑い、そして畏怖の視線を向けていた。

 

「ナルト…と、言ったな。そ、その…妾が気持ち悪くないのか?怖くないのか?」

「ん?どうして気持ち悪いって思うんだってばよ?怖くもねーし」

「妾のこの瞳、突き出した骨…とても人間とは思えぬ姿に見えるのではないか?」

 

 ついさっきも、妖怪だのバケモノだの散々言われていた。一族内でも、陰で気味悪がられ、バケモノと言われているのを彼女は知っている。

 だからこそ、うずまきナルトの反応が彼女は少しも理解できずにいた。

 

「お前人間じゃないのか!?あ、も、もしかして幽霊!?お、オレってば幽霊だけはこ、こここ、怖いってばよォ!!

 悪霊退散だってばよォォォ!」

 

 この異形をまったく恐れないのに、幽霊は恐れる。そんな少年の反応に彼女は呆気にとられ、それと同時に笑いが込み上げてくる。

 

「ふッ…ハハハ…アハハハハ!」

「え!?ど、どうしたんだってばよ!?」

「アハハハハハ!お、おぬし、ふはは、お、面白い奴じゃな!妾のこの姿は怖くないのに、幽霊が怖いなど…ふ、ふふふ」

 

 彼女がここまで笑ったことなど、短い彼女の人生で一度もなく、見た者もいない。

 笑いすぎて涙が出るなど、彼女はそのような体験をするなど想像もしてなかっただろう。

 

「面白い奴じゃ、うずまきナルト」

 

 生まれて初めての心からの笑顔を浮かべる彼女は、この世界でもっとも美しい。

 

 その笑顔に、うずまきナルトも見惚れていた。

 

「ん?」

 

 それと同時に、彼女の瞳が変化する。これは、人生初めての歓喜がもたらした変化だ。

 

「あ…目の色が変わったってばよ」

「む、何が起きてるのだ?」

 

 薄紫色から、淡紅藤色へと変化したその瞳は、その瞳に3つの勾玉を浮かべている。

 

「キレイだってばよ」

「ッ!?」

 

 ぽつり───無意識に呟かれたその言葉に、彼女は更に驚愕する。

 今日1日で、それどころか彼女がここまで驚くことなどこれまで一度もなかった。己に恐れをなさないだけでも驚きなのに、あろうことか綺麗と言われるなど…。

 

 日向ヒナタは、この日のことを一生忘れないだろう。何故なら、彼女にとってとても大切な思い出になったからだ。

 

 日向ヒナタが、うずまきナルトと初めて出会った日。それは日向ヒナタにとって、何よりも大切な最愛の人と出会った日となった。そして、彼女の中に芽生えた想い───愛は、止まることを知らずにどこまでも大きくなるのである。

 

 それは未来永劫、朽ちることなく。

 

 

 

 






原作では、ヒナタは大筒木ハムラの転生者?チャクラを色濃く受け継いだ存在?的な存在みたいですが、ここではカグヤのチャクラを色濃く受け継いだというか、神樹の実を口にする前のカグヤに似ているというか、そんな存在になってます。

白眼だけではなく、屍骨脈も受け継ぎ、歓喜によって白眼と写輪眼が融合。
一応、オリジナル瞳術で、流転眼と名付けようかと…。

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