ジュニアカデットクラスの全国大会が行われた翌週には、ジュニアクラスの全国大会が行われた。
ここで啓介は保や中里とのデッドヒートを制して、初めての全国大会制覇を成し遂げた。
東堂塾の二宮も健闘したが精神的な脆さで自滅し、彼にとっては不本意な結果で終わっている。
この翌週には東堂塾の館が15歳の若さでオープンクラスの全国大会を制覇し、カート界の話題を独占した。
館が安達へのインタビューにFSRS(フォーミュラ・ステラ・レーシング・スクール)に行く事をハッキリ告げると、カート界だけでなく日本のレーシング界も熱くなっている。
こうしてシーズンを終えて翌年、小学4年生となった光介は後輩の少年達と顔合わせをしていた。
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オートハウスのジュニアカデットクラスにキッズクラスから顔見知りの2人が上がってきた。
新庄 武(しんじょう たけし)と飛田 勇(とびた いさむ)だ。
2人は俺と奈臣と同じくキッズの頃からオートハウスに所属してカートに乗っていたんだけど、今年9歳だからジュニアカデットクラスで一緒に戦っていく事になる。
「光介さん!奈臣さん!今年から俺も同じジュニアカデットクラスです!よろしくお願いします!」
今挨拶した武はコーナーでの思い切りのいい突っ込みが得意で、少し前の啓兄ィに似た走りをする…というのが涼兄ィの評価だ。
「僕もよろしくお願いします!」
勇は武の様に走りにこれといった特徴が無いけど、ブロックをするのがやたらと上手いらしい。
今日はこの2人も加わってナイトキッズとの走行会だ。
噂をすればなんとやらでナイトキッズのメンバーがやって来た。
拓海の近くには樹と沙雪さんがいる。
そして去年の途中からナイトキッズのジュニアクラスに入った沙雪さんの友人の真子さんは、じっと涼兄ィを見ている。
う~ん…わかりやすい。
毅さんも気付いているんだろうなぁ。
熱いを通り越して熱苦しくなってるもん。
とばっちりで絡まれてる啓兄ィと保先輩はご愁傷さま。
さて、先ずはジュニアカデットクラスのメンバーで走る事になったんだけど、スタート位置はくじ引きで決める事になった。
1番グリッドは拓海、2番が勇、3番が武、4番が奈臣で…俺は最後尾の8番グリッドだ。
むぅ…こういう運の勝負だとだいたい拓海が1番になるんだよね。
拓海はもっている男なんだろうなぁ。
まぁ、いいや。
レースでは負けないぜ!
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(きついぜ…っ!?)
オートハウスとの走行会でポールポジションからスタートした拓海だったが、3周目には奈臣と光介に後ろに張り付かれてしまい、なんとかオーバーテイクされない様に2人をブロックしている状態だった。
拓海は後ろに張り付く2人のプレッシャーからかほんの一瞬、ミスと言うには酷な程の小さなブレーキングのミスをしてしまう。
だが…。
(っ!?マジかよ!?)
その些細なミスで奈臣に抜かれ、更に光介にも並ばれてしまった。
そして次のコーナーに差し掛かると光介にもあっさり抜かれ、拓海はポジションを2つ落として3位になってしまう。
拓海は前を走る2人に必死に食い下がろうとする。
だが少しずつ前の2人と差が開いていく。
(くそっ!ついていけねぇ…!けど、あいつらが曲がれるなら俺も曲がれるだろ!)
その一心で拓海はコーナーに突っ込んだ。
しかし…。
「っ!?ダメだ!」
勢い余ってスピンしてしまった拓海は完全に前の2人に置いていかれてしまった。
しかも後ろから来ていた勇と武にも抜かれてしまい更にポジションを落とす。
その後の拓海は動揺から走りに精細を欠いたが、終盤にはなんとか落ち着きを取り戻してかろうじてポジションを1つ上げて終わりを迎える。
今回のジュニアカデットクラスの走行会は1位光介、2位奈臣、3位勇とオートハウスが上位を独占する結果となった。
この結果に拓海は自身の未熟さに悔しさを感じたが、それでも課題が見えたことで僅かながらの手応えも感じたのだった。
本日は3話投稿します。
次の投稿は9:00の予定です。
作者は拓海の一番凄いところは『勝負運の強さ』だと思っています。