転生先がファンタジーとは限らない!   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第42話『ジュニアカデットクラスでのラストラン』

安達さんのインタビューと前後してジュニアクラスの全国大会が行われたんだけど、大会を制したのは東堂塾の二宮さんだった。

 

走りにムラっ気がある人なんだけど、当日はいい方に振れた様で啓兄ィや保先輩、そして毅さんを寄せ付けない圧倒的な走りを見せたんだ。

 

インタビューで二宮さんは俺の走りが刺激になったって答えたんだけど、正直に言ってどう走ったかよく覚えてないんだよね。

 

こうして今シーズンの戦いが終わり翌年、ジュニアカデットクラス最後の年だ。

 

オフシーズンに奈々子監督とシゲさんが再婚したんだけど、カペタくんはオートハウスに所属せずにプライベーターを続けるらしい。

 

義弟のワガママに奈臣が頭を抱えていたよ。

 

ジュニアカデットクラス最後の年って言ったけど、実は来年もジュニアカデットクラスで戦うことも出来るんだよね。

 

でも俺と奈臣は悩むことなく、来年はジュニアクラスで戦うことを選んだ。

 

そして始まった今シーズンの戦いは去年以上に順調だった。

 

なんというか、去年の全国大会から能力との親和性が上がった感じがするんだよね。

 

あの日の俺は何をしたんだろ?

 

まぁ、いいや。

 

速く走れるのは悪いことじゃないしね。

 

シーズンの戦いはあっという間に過ぎていき、今年も無事に全国大会出場を決めた。

 

去年みたいに体調不良でわけがわからない内に終わらない様に気をつけよう。

 

知り合いで全国大会出場を決めたのは奈臣、拓海、カイ、勇といったメンバーだ。

 

武は残念ながら1ポイント足らなかった。

 

そしてカペタくんなんだけど、シゲさんが初めて買ってくれた中古のフレームを使う事に拘るあまり、走りに影響が出て勝てるレースを何度も落としてしまった。

 

その結果、全国大会出場にはポイントが足らなくなっちゃったんだよね。

 

それでシゲさんと義母となった奈々子監督の2人に説得されて、来シーズンからはちゃんと新しいフレームで走るそうだ。

 

ちなみに奈臣も義兄として説教したみたいだけど、カペタくんは聞く耳持たなかったみたい。

 

奈臣も苦労するねぇ。

 

さて、最後のジュニアカデットクラスのレースだ。

 

体調も万全だし全力で走ろう!

 

 

 

 

「は、速過ぎるだろ…」

 

全国大会出場が叶わなかったチームカペタだが、せめて観戦だけでもとサーキットに足を運んでいた。

 

そして光介の全力の走りを目にし、その凄さにノブは思わず呟いてしまったのだ。

 

「ふんっ!カッちゃんが出てれば軽く捻ってやったんだから。」

「も、茂波…さすがに軽くは無理だろ。」

「なによノブ、カッちゃんを信じられないの?」

「そうじゃねぇよ。俺はカペタの才能を信じてる。でもなぁ…。」

 

茂波とノブが言い合ってる横で、カペタは一人静かに光介の走りを凝視している。

 

「どうしたカペタ?」

「お父ちゃん…あいつのマシン、喜んでる。」

「喜んでる?」

 

カペタの言葉にチームカペタの皆は首を傾げる。

 

「俺、マシンが嫌がらない走り方はわかるけど、あそこまで喜ぶ走り方はわからない。」

「ちょっとカッちゃん!あいつに勝てないって言うの?!」

「…今は。」

 

カペタの言葉に茂波は憤るが、茂雄とノブはカペタの闘争心に気が付いた。

 

「よし!来シーズンは新しいフレームを使い倒すつもりで一杯レースに出場だ!そして一杯経験を積んでジュニアクラスに乗り込むぞカペタ!」

「…ノブ?」

 

不思議そうに首を傾げるカペタの肩に茂雄が手を置く。

 

「カペタはレースで勝つことを考えればいい。他のことはお父ちゃん達が頑張るからな。」

「ちょっと!チームカペタの監督は私なんだから!」

 

この和気藹々とした雰囲気こそがプライベーターの良いところだろう。

 

だからこそカペタはこのチームで勝ちたいと心から思うのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。

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