転生先がファンタジーとは限らない!   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です。


第45話『接触』

本戦がスタートするとカペタは第1コーナーから果敢にアタックしていく。

 

(これじゃダメ?ならもう1回!)

 

マシンと対話しつつ攻めるカペタの走りは、コーナーを1つ抜ける毎に冴えを増していく。

 

だが、それでも光介をオーバーテイクするまでには至らない。

 

(まだまだ!)

 

諦めずにアタックを続けるカペタの後ろで、奈臣はじっくりと観察を続ける。

 

(速いことは速い。けど、タイムアタックとレースは別物やでカペタ。まぁ、俺もそれを心から理解するまで随分とかかったもんやけどな。)

 

タイヤを温存する走りで前の2人を追走しながら、奈臣は後ろについている拓海に意識を向ける。

 

(拓海は後半追い上げ差しきりの走りがすっかり板についたなぁ。ナイトキッズ内の練習じゃ先行逃げ切りの走りもやっとるみたいやけど…。)

 

まだ実戦で使えるレベルじゃないのか、はたまた隠しているのか。

 

奈臣はライバルの成長を喜びながらも内心でため息を吐く。

 

(俺には現状武器と言えるもんはあらへんからなぁ。手広く手を出しすぎやろか?)

 

どこか停滞を感じている奈臣は幼少時からの積み重ねに疑問を抱いてしまう。

 

だが深呼吸をしてその疑問を振り払う。

 

(アホか。プロを見据えて取り組んどるのに、今勝てへんからって止めてもうたらそれこそ意味ないやないか。)

 

疑問を振り払った奈臣はレースに集中する。

 

(先ずはこのレースや。これからのことはそれからや。)

 

しばらくしてレースは中盤に差し掛かる。

 

ポジションの入れ替わりはないが、カペタのアタックは続いていた。

 

(これもダメ!?)

 

マシンと対話しつつアタックしていたカペタだが、その意識が少しずつマシンから離れていく。

 

(もっと…もっと!)

 

速く、速く。

 

コンマ1秒でも速く走り光介を抜く。

 

カペタはそのことだけに集中した。

 

マシンの声が聞こえなくなるほどに。

 

故に必然だったのだろう。

 

ブレーキングの限界点を超えたマシンは止まらず、コーナリング中の光介に向かって突っ込んでいってしまう。

 

そして…。

 

ドンッ!

 

接触…いや、競艇という競技で『ダンプ』と言われる程の勢いでカペタは光介にぶつかった。

 

コーナリング中に勢いよくぶつかられた光介のマシンは、スピンをしながらコースアウトしていく。

 

対してカペタのマシンは目に見えて姿勢が乱れることなく…先頭を走っていた。

 

(あっ…あぁっ!?)

 

光介を弾き飛ばしてしまったカペタは走り続けているものの動揺が酷く、その走りからキレが消えた。

 

そんなカペタに奈臣と拓海が仕掛けた。

 

奈臣はカペタをあっさりとオーバーテイクすると、一気にスパートを仕掛けた。

 

そんな奈臣に拓海も続く。

 

(カペタ、やってもうて動揺するのはわかるで。せやけどそんな暇があったら全力で逃げんかい!せやないと…。)

 

奈臣はとある気配を感じるとゾクリと鳥肌が立つ。

 

その気配は数年前のジュニアカデットクラス全国大会以来の、本気になった光介の気配なのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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