転生先がファンタジーとは限らない!   作:ネコガミ

51 / 87
本日投稿3話目です。


幕間『中里 佳奈子のベイビーステップ』

私は中里 佳菜子(なかざと かなこ)。

 

いわゆる転生者よ。

 

前世では実業団でテニスをしていたわ。

 

でも前世の私はテニスプレイヤーの職業病(?)とでもいうべき、足首のケガに悩まされていた。

 

痛みを気にせず思いっきりテニスをやりたい。

 

何度そう思っても結局はケガを抱えた自分の身体と付き合いながら、騙し騙しテニスをしていくしかなかった。

 

このケガのせいで前世の私が痛みを気にせずにプレイ出来たのは中学生まで。

 

もちろん他の選手だって多かれ少なかれケガを抱えているのは理解しているわ。

 

それでも…人は『もし』を考えてしまうもの。

 

もしこのケガがなければ高校生の時にプロを本気で考えたのではと…。

 

言い訳だと言われればそれまで。

 

でもこのケガが更に悪化してテニスが出来なくなるのが怖く、私はプロの世界で戦うのを諦め実業団へと進んだ。

 

そんな前世の私に転機が訪れたのは日本リーグの祝勝会の時だった。

 

その頃の私は『実業団テニスの女王』なんて呼ばれて浮かれていたの。

 

更にオリンピック強化指定選手のパートナーに選ばれたりして、私が浮かれるのに拍車をかけたわ。

 

うん、簡単に言うと飲み過ぎたの。

 

それが私の死因…だと思う。

 

まぁ、間違っていないと思うわ。

 

だって酔って寝ちゃって気が付いたら、目の前に女神様がいたんだもの。

 

女神様は呆れた様な顔をしながらも、私に特典を与えて転生させてくれると言ったわ。

 

そこで私が貰った特典は『ケガや病気をしない健康で丈夫な身体』だったわ。

 

これはテニスに限らず多くのスポーツ選手が望むものだと断言出来る。

 

転生して意識が目覚めた後は早くテニスがしたいって思いで一杯だったわ。

 

思い返せばどんな世界かってことに考えが及ばない程に浮かれていたわね…。

 

そんな私が二度目の小学生になろうとしていた頃のこと、私は両親に頼んでテニススクールについて調べて貰っていたんだけど、そこで前世で見覚えのあるテニススクールを見付けた。

 

STC。

 

前世で愛読していたベイビーステップに出てくる、神奈川の強豪テニススクールだ。

 

私は両親に頼み込んで体験教室に参加した。

 

そしてそこで出会った。

 

原作主要キャラの鷹崎 奈津ちゃんと池 爽児くん…そして覚えのない『葉輪 風路』くんに。

 

体験教室が始まる前に話し掛けてみると、3人は近所の幼馴染みって返答があった。

 

たぶん葉輪くんは私と同じ転生者ね。

 

受け答えが子供っぽくない時があるもの。

 

まぁ、それは私も同じなんだけど。

 

それから体験教室が始まると私は3人の動きに注目した。

 

なっちゃんは原作通りの感覚型で、池くんは運動神経抜群の男の子って感じ。

 

そして葉輪くんだけど…2人と比べるとパッとしなかったわね。

 

ただ転生者だからなのか、単調で飽きやすい基礎練でも楽しそうにやってたわ。

 

その楽しそうな雰囲気につられて皆が笑顔になってたのが凄く印象的だった。

 

なんか実力関係なく人気がある選手になりそうね。

 

体験教室が終わって家に帰ると私は両親にSTC入会を頼み込んだ。

 

兄貴がカートをやってるから心配だったけど、私の熱意が伝わったのか両親はオーケーをくれた。

 

これで私もSTCの一員だ。

 

またテニスが出来るってだけでなく、将来有望な美ショタの池くんと一緒なのだからテンションも上がるってものよ。

 

まぁ、葉輪くんも将来はイケメン確実な美ショタなんだけど、彼にはなっちゃんがベッタリだしねぇ。

 

というわけで私は池くんを貰います!

 

いや、もちろんテニスはプロを目指して真剣にやるわよ?

 

ただ乙女としての潤いも欲しいというかなんというか…ね?

 

とにかくそういうわけなのよ!

 

こうして私の第2のテニス人生が始まった。

 

前世では諦めたプロテニスプレイヤーに…私は絶対になる!

 

あと池くんを彼氏にしないとね。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。

…幕間の続きを書くかは未定です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。