転生先がファンタジーとは限らない!   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です。


第52話『アイドルの卵達のレッスン』

「うわぁ!?」

 

リボンが特徴的な少女…天海 春香が転ぶと、ダンスレッスンは一時休憩となる。

 

「春香は転び過ぎなの。」

 

休憩中に長い金髪が特徴的な少女…星井 美希がそう言葉を溢す。

 

「むぅ、美希だって転んだじゃない。」

「美希は1回だけなの。春香みたいに何回も転んでないの。」

 

2つ年下の美希にそう言われて春香は乾いた笑いと共に肩を落とす。

 

「あれ?そういえば茂波ちゃんって1回も転んでないよね?」

「はい、転んでないですよ。」

「も~、そんな丁寧に喋らなくてもいいって言ってるのに。同じ事務所の仲間じゃん。」

 

年下の2人と打ち解けようと春香は言葉遣いの訂正を促す。

 

「でも必要なことじゃないですか?」

「まぁそうなんだろうけど、身内だけの時はそんなに気にしなくてもいいよ。社長とか小鳥さんも同じこと言ってたし。」

「そうなの。茂波は固すぎなの。」

「逆に美希は軽すぎると思うけどなぁ…。」

 

茂波は小さくため息を吐くと顔を上げる。

 

「わかった。じゃあ遠慮は止めるね。」

「そうそう、その調子でいこう~。」

 

和気藹々とした雰囲気で少女達は会話を続けていく。

 

「茂波ちゃんって何か運動してたの?」

「特にはやってないかな。」

「それなのにあんなに動けて、しかもボーカルレッスンでもあんなに声が出るんだ…うぅ、これも才能の差なのかなぁ?」

 

数々の事務所のオーディションに落ち続けた春香は、自信の無さからそう言葉を溢してしまう。

 

「美希は何かやってた?」

「そんな暇があるならおにぎりを食べてお昼寝するの。」

 

美希の言葉に春香は苦笑いをする。

 

「それは健全な少女としてどうかなぁ?太るよ?」

「美希、食べても太らないから大丈夫なの。」

「今敵に回したよ!人類の半分を敵に回したよ!」

 

お菓子作りが趣味の春香は日々のカロリー摂取が多目だ。

 

故に涙ぐましい努力をしているのだが、それとは無縁という美希に羨望と嫉妬の心を抱いた。

 

ちなみに茂波も美希同様の体質なのだが、春香の様子から素知らぬ振りをしている。

 

「そういう春香は何かしてたの?」

「私?私はバスケ部に入ってたよ。といっても事務所のオーディションに合格しようと頑張ってたから、ほとんど幽霊部員みたいな感じかな。」

 

茂波と美希の脳裏に、ドリブルをしようとしてボールに蹴躓いて転ぶ春香の姿が過る。

 

「春香、大丈夫だったの?」

「大丈夫って何が?」

「美希の言うことはわかる気がする。だって春香、ボールに足を取られて転びそうな気がするもん。」

「なんでわかったの!?」

 

ワチャワチャと話が盛り上がっていたが、トレーナーが柏手を打って止める。

 

「さぁ、レッスンを再開するわよ。基礎が出来てないと、アイドルとしてデビューしてから苦労するからね。ビシビシいくわよ!」

「「は~い。」」

「美希は程々でいいと思うな。」

 

3人はそれぞれのペースでレッスンに励み、アイドルとしての実力を蓄えていくのだった。




次の投稿は11:00の予定です。

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