「それでは第7回765プロ乙女会議を始めます。」
光介がアメリカに行くまで残り1ヵ月となった頃、765プロの事務所にある会議室にて乙女達は会議を始めていた。
「先ず最初の議題は小鳥さんの抜け駆けです。先日の事ですが、小鳥さんはライブの打ち上げの後に、酔った勢いでプロデューサーの家に上がり込んで朝帰りをしています。判決は?」
「「「ギルティ(有罪)!」」」
異口同音で有罪判決を言い渡されて小鳥が挙手をする。
「律子議長!反論の機会を!」
「どうぞ。」
「確かに朝帰りをしましたけど、まだそういう関係になっていません!なので有罪判決はどうかと思います!」
彼女の反論に疑問の空気が漂うと、律子が代表して問い掛ける。
「いや、えっと…どういうことですか?」
「どうもこうもないですよ!こっちは据え膳のつもりで勝負下着まで身に付けていたのに!赤羽根さんは私をベッドに寝かせると、自分はソファーでぐっすりですよ!」
「流石はハニーなの!とても紳士的なの!」
赤羽根の行動に美希が称賛の声を上げるが、律子は同情の視線を小鳥に送る。
「えっと、残念でしたね?」
「普段から私なりにアピールし続けてるのにあれはなんですか!?私にはそんなに魅力が無いんですか!?」
「いや、その、落ち着いてください。」
小鳥を問い詰める場だったのだが、彼女が半泣きになりながら訴えると同情の雰囲気が生まれてしまう。
「まぁ、とにかく、今後は抜け駆けしようとしないでくださいね?赤羽根さんに好意を持っている娘は多いんですから。」
765プロに所属するアイドルの半数以上が彼に好意を抱いているが、今年になって重婚が合法化された事で好意を持っている者達で話し合い、赤羽根との交際において協定が結ばれている。
その内容は『相手の重婚に対する心の準備を待つ事』と『アイドル活動を疎かにしない事』の主に2つだ。
そこに現役アイドルではない小鳥個人に対して、『抜け駆け禁止』が今回新たに追加された形になる。
「とりあえず小鳥さんへの罰は後で考えるとして…。」
「なんでギルティ(有罪)のままなんですか!?」
「茂波、たしか高橋 光介が来月にはアメリカに行くのよね?そっち側の進展はどうなってるのかしら?」
そっち側というのは光介に好意を抱いている面々の事である。
対象メンバーは茂波、真、双海姉妹の4人だ。
「えっと、皆で御飯を食べに行こうって話しはあるけど…。」
茂波の言葉に律子が少し意味深な笑みを浮かべる。
「そこで彼に告白するのかしら?」
「でも食べに行くのがラーメンだからねぇ。雰囲気的にちょっとどうかと思わない?」
ボーイッシュな容姿と言葉遣いの真だが、その内面はしっかりと乙女である。
故に告白の場の雰囲気なども大事にしたい。
「でもピカリンはニブチンだから、こっちから行かないといつまで経っても変わらないよ?」
「そうそう、ピカリンのニブチンは筋金入りだから。」
真美の発言に亜美が相槌を打つ。
「でも、ラーメンだからなぁ…。」
真とてその事は理解している。
それでも乙女として一世一代の告白をするのならば、舞台をしっかりと整えたいのだ。
3人がそんな会話をしていると茂波が発言する。
「私は告白するわ。光介がアメリカに行ったらそう簡単には会えなくなるもの。雰囲気も大事かもしれないけど、向こうで変な虫がつく前にあいつを確保しとかないとね。」
彼女のそんな言葉に3人は顔を見合わせると頷く。
「うん、そうだね。僕達を惚れさせた光介には責任を取って貰わないと。」
「「そうだそうだ~。」」
前向きになった雰囲気に笑みを浮かべて律子が柏手を打つ。
「はい、告白をするって事で決まりね。それじゃスケジュールの確認と調整を皆で話し合うわよ。4人を万全の状態で勝負の舞台に送り出して上げないとね。」
「うっうー!告白大作戦ですぅ!」
やよいが元気に声を上げると、乙女達により765プロの会議室は長く占拠され続けたのであった。
本日は3話投稿します。
次の投稿は9:00の予定です。