須藤さんの所に茂波ちゃん達とラーメンを食べに行った帰り、俺は茂波ちゃん達に告白された。
そう、茂波ちゃん1人だけじゃない。
真ちゃん、亜美ちゃん、真美ちゃんも合わせて4人の女の子にだ。
確かに今年から日本では重婚が合法になったけど、だからといって自分がそうなるとは考え…いや、俺も男だから想像したこぐらいはあるけどさ…。
とりあえず吃驚し過ぎて何も考えられなかった俺は、彼女達がしてくれた告白の返事は少し待ってもらうことにした。
「啓介だったら『男らしくねぇ』とでも言うところだろうな。」
「言われるだろうなぁ…。」
告白された翌日、折よく休みだったこともあって俺は涼兄ィに相談に乗ってもらっていた。
「それで、どういうところに悩んでいるんだ?」
「いや、重婚ってものが想像つかなくてさぁ…。」
重婚が合法化されてから数ヵ月が経つ現在、既に重婚をしている有名人や著名人が結構いる。
凄いなぁと思ったりしたものだが、父さんが言うには重婚の合法化をより多くの人達に認知させる為に、予め根回しをしていた結果なのだそうだ。
「そういえば涼兄ィも重婚が合法化されてから、恋人がいても何度も告白されてるよね?」
「あぁ、そうだな。」
「でも、複数の人と付き合ってないのはなんで?」
「そうだな…。」
涼兄ィは少し考えてから答える。
「趣味を認め合える、もしくは妥協し合える相手とは思えなかったから…といったところか。」
「趣味を?」
「そうだ。俺は医者になって落ち着いたら、またカートに関わっていくつもりだ。この事は香織も認めてくれている。」
どこか惚気気味にそう言う涼兄ィはどこか幸せそうだ。
「だが、そういう俺の趣味を認めてくれる。もしくは妥協してくれる相手というのはそう多くないんだ。」
「そうなの?」
「基本的に金が掛かるスポーツだからな、カートは。」
少なくともうちはお金で苦労する場面はなかった。
だから実感は薄かったけど、少し考えてみれば当然の事だ。
「涼兄ィに告白してきた相手の人達は、カートに興味が無かった人達だったってこと?」
「全員がそうとは言えないが、それでも香織の様な女性は貴重だ。」
なるほど、新しく出来た恋人が趣味を認めてくれなかったら色々と気まずいもんな。
それを考えると茂波ちゃん、真ちゃん、亜美ちゃん、真美ちゃん達は、全員がレースに理解がある娘達だ。
更に同じ事務所のアイドルで皆の仲はいい。
あれ?特に問題はないのか?
ただ俺がへたれているだけなのか?
そう思った瞬間、なんとも自分が情けなくなってきた。
「光介、そう落ち込む必要はない。重婚が合法化されてから後先考えずに複数の相手に手を出す事が懸念されている現状で、今のお前みたいに悩むのはむしろ誠実な証だ。」
「前向きにとらえたらそうなんだろうけどなぁ…。」
「今のお前の悩む姿を見ると重婚もそういいものではないのかもしれないな。もっとも俺はそう悩む前に香織と交際を始めたから、今更悩むこともないんだがな。」
涼兄ィの言葉に苦笑いを返した俺は顔を張って気持ちを切り替える。
「相談にのってくれてありがとう涼兄ィ。ちょっと電話してくるよ。」
「わかってるだろうが、返事をするならちゃんと直接会ってしろよ。」
「うん。」
その後、4人にしっかりと返事をした俺は彼女達と交際する事が決まる。
それからの日々はあっという間に過ぎていき、いよいよ俺はアメリカに旅立つのだった。
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