メル◯デスのワークスチームと契約を結んでから数日、オフシーズンで時間があった俺は家族に直接話すべく、愛車の青のFDに乗って実家に帰っていた。
…そういえば、この愛車もメル◯デスの物に変える事になるのかな?
企業イメージもあるだろうし、やっぱり変える必要があるだろうなぁ。
それなりに愛着はあったんだけど仕方ない。
そこら辺もプロなんだからしっかりしないとな。
あとで接骨木さんに細かい契約内容を確認しよう。
はぁ…いくらメル◯デスと契約したからって浮かれすぎだよなぁ。
まぁ、今シーズンの戦いがそれだけ厳しかったってのもあるし、世界的に有名なところから誘われて嬉しかったってのもあるけどさ。
うん、反省しよう。
そう思いながら愛着のステアリングを操作していると、やがて実家が見えてきた。
「父さん達は喜んでくれるかな?やっぱりマ◯ダ党だから悲しむかな?うわっ、少し緊張してきた。これならレースの方が気が楽だよほんと…。」
◆
「父さん、俺、メル◯デスと契約したよ。」
家族と兄弟の婚約者が集うリビングでそう告げると、リビングは沈黙に包まれる。
10秒程経った頃に父さんが息を吐いてから俺に目を向けてくる。
そして…。
「おめでとう、光介。」
その一言を笑顔で言ってくれた。
俺は心底安堵して大きく息を吐く。
「はぁ…よかったぁ…うちはマ◯ダ党だから、喜んでくれるか不安だったんだよね。」
「大切な家族の躍進なんだ。喜ばないわけないだろう。」
「じゃあ、10秒も言葉を溜めたのはなんでさ?」
ジト目でそう問うと父さんは唇を片方だけ上げて悪い顔になる。
「いわゆるドッキリって奴だな。海外ならこういう悪ふざけやサプライズも多いだろうからな。今のうちに慣れてもらいたかったのさ。」
「それだけのために皆を集めたの?」
「みんな喜んで協力してくれたぞ?」
ニコニコと笑う父さんを見て肩を落とす。
なんか力が抜けちゃったよ。
そんな俺に啓兄ィが肩を組んでくる。
「やったじゃねぇか光介!メル◯デスと契約するなんてよ!」
「マ◯ダから離れちゃうけどいいの?」
「F1に行くんだろ?うちにはF1のワークスチームがねぇから仕方ねぇさ。だから気にすんな。それよりも日本人初の快挙を成し遂げたんだ。その事をもっと喜べよ!」
前世ではどうだったのか知らないけど、この世界では欧州のワークスチームと契約を結んだ日本人及びアジア人のドライバーはいなかった。
そんな状況下で俺はメル◯デスと契約を結んだ。
後日には安達さんが満面の笑みで取材に来るだろうなぁ。
啓兄ィを発端に涼兄ィ達からも祝福の言葉を貰う。
それが嬉しくて自然と笑顔になっていた。
そんないい雰囲気の中…。
「こほん…えぇ~、そろそろ孫の顔を見たいのだが?」
「そうねぇ、早く孫を抱かせて欲しいわぁ。」
父さんと母さんがそう言った事で、俺達兄弟は息を合わせて素知らぬ顔でその場を去った。
両親に孫の顔は見せてあげたいけど、まだ恋人や婚約者とイチャつきたいというのが俺達兄弟の同一意見だ。
だからもう少し待ってほしい。
さて、次は茂波ちゃん達と話し合わないと。
喜んでくれるといいなぁ。
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。