人を呪わば恋せよ少女   作:緑髪のエレア

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胎動と目覚め

 意識が浮上する。

 

 窓の外はまだ暗い。私はベッドから起き上がると、自らの着衣の乱れを確認する。寝相の範囲内であること了解すると、寝間着を脱いで体を確認していく。

 

 鍵はかけているが、いつ壊されるか分かったものではない。侵入された時点で「終わり」だとは思うが、この辺は鍵を付ける前に身についた習慣だった。

 

 ブラジャーにもショーツにも異変はなかった。私は制服に着替えると、直方体をずらすだけの簡素な鍵を開け、洗面台へと向かう。

 

 廊下は静かだった。

 

 まだ誰も起き出していない。太陽が昇っていないためまだ薄暗い中を、電気を点けずに歩く。

 

 ふと、鼻先を悪臭がかすめた。

 

 ドアの隙間から室内の臭いが漏れているのだろう。私は顔を顰めつつ、静かに足を速める。

 

 洗面台についた。なるべく音をたてないように顔を洗い、髪を整える。来たばかりの頃はいっそ女と思えないほど短くしてしまおうかと考えたこともあるが、結局はそうしなかった。自尊心が許さなかったからだ。

 

 

 音が出てしまうためドライヤーは使わず、櫛を通しただけの髪を一つにまとめる。うっすらと茶色がかった髪が、私が左右を向くのに追従して揺れる。

 

 

 私は自室へと戻ると、教科書の入ったリュックと小物類の入ったバッグを持った。先ほど使用した櫛もここに入れる。外側から自室に鍵をかけると、走りやすいスニーカーを履き、玄関の扉を開けた。

 

 

 

 

 pcの光が室内を照らしていた。

 

 スナック菓子の袋、丸められたティッシュペーパー、飲み終わったペットボトル、その他ごみが散乱している。部屋の中央に置かれた座卓は、種々のごみに埋もれて表面が見えない。床に敷かれたカーペットは何年も取り換えられておらず、様々な液体がしみ込んでいる。

 

 一人の男がいた。

 

 小学生用の学習机に向かい、pcの画面を見つめている。規則的に体を前後に動かし、男の体重にこれまた小学生用の椅子がきしきしと鳴る。ふと机の上にあるスナック菓子の袋が微かに揺れた。男は動きを止めると、外界の音に耳を澄ませる。

 

 

 数秒後、男の耳にマンションのエレベーターが到着したことを知らせる音が微かに届いた。

 

 男は立ち上がった。散らばるごみを踏みしめ、廊下に出る。

 

 男が向かった先は洗面所だった。彼は床に這いつくばると、何かを探し始めた。男の目が一本の茶色い髪の毛にとまると、彼はそれを指先で拾い上げた。男はしばらくの間その髪の毛を眺めると、唐突にそれを口の中に入れた。

 

 

 男は目をつむり、多幸感に浸るように身を震わせる。

 

 

 男は思う。

 

 ネットの奴らは哀れだ。アイドルやアニメキャラを推しだなんだと言って祭り上げている。自分の近くに推せる存在がいないからだ。でも僕は違う。僕は推しと同居している。手を伸ばせば触れられる距離に、僕の推しはいるのだ。

 

 男は口の中で髪の毛を舐り続けている。

 

 二年前、引きこもっていた僕の前に突然現れた、僕だけの天使。きっと生まれつき他の奴らよりも持っているものが少なかった僕に、神様がくれた「特典」なんだ。そうだ。幸せと不幸せは同じ数になるんだ。そうでなきゃおかしいんだ。

 

 僕は彼女()幸せになるんだ…!

 

 男は自室に戻ると、おもむろにズボンを脱ぎ、下半身を露出させる。推しの同居人の髪の毛を執拗に舌で舐りながら、男は自身の一部をしごき始めた。

 

 

 

 

 時計の針は九時を指していた。私はタイムカードを切ると、お疲れさまでしたと声をかけて裏口のドアを開ける。男の声でおつかれさまと返答が返ってきたが、最後まで届かないうちにドアが閉まった。

 

 私は夜の道をこっそりくすねた廃棄のパンを食べながら歩く。二つ折りの携帯を取り出して確認すると、友人からメールが届いていた。

 

 次の休みに遊びに行くらしい。了承の返事を送った。

 

 交差点に差し掛かり、私は少し迷う。このまま夜の街を徘徊したいという気持ちが強まったため、私は家とは反対の方向へと体を向けた。

 

 適当に歩いていると、ふとある家からもれる楽し気な声に足が止まった。四人分の声色。両親と兄、そして妹が、楽し気に会話をしている。

 

 私はしばらくその家のフェンスにもたれかかり、幸福な一家の団欒の漏れ声に耳を澄ませていた。

 

 家に帰る頃には、時計の針は一〇時を回っていた。私は憂鬱と警戒心と嫌悪感を抱きながら、玄関のドアを開ける。

 

 自室のドアの前に立ち、少しの間立ち尽くす。バッグから鍵を取り出して開錠する。回すときの感覚に変化はない。私はドアを開けると、すぐに室内をざっと見渡した。朝と配置が変わっていないか、何者かが入った形跡はないか。

 

 次いで空気のにおいを慎重に確認する。己以外の臭いがしないか、臭気がまき散らされてはいないか。私はベッドを見て、それからクローゼットの中を見る。

 

 そして最後にごみ箱の中を恐る恐る確認する。

 

 幸い今日は異変も臭気もなく、私はドアに取り付けた簡素な自作の鍵をかけた。

 

 

 

 

 彼は同居人の少女が帰宅したことを、廊下を歩く気配で認識した。

 

 彼は思った。

 

 こんな時間まで家に帰ってこないなんて、普通ならとても悪い子だ。けれど僕の天使は違う。

 

 彼女はアルバイトをしているのだ。

 

 僕と一緒に暮らすためのお金を、高校生なのに頑張って稼いでいるのだ。

 

 本当に健気でかわいい。けれども大丈夫だろうか。

 

 幸せと不幸せは釣り合うようにできている。けれどもこんな天使な子が僕の元に来たら、少し幸せの方に偏りすぎじゃあないだろうか。

 

 彼は考える。己のこれまでの不幸せと、彼女が来てからの幸せは釣り合うだろうかと。しばらく考えて、彼は何かを思いついたように目を開いた。

 

 そうだ、まだ幸せは始まっていないんだ。なぜなら僕と彼女はまだ結ばれていないからだ。

 

 いつか僕と彼女が本当に結ばれて、二人きりで暮らし始めた時、そこが、僕の幸せの始まる地点だ。

 

 それに、これまでの僕の不幸せは並大抵のものじゃなかった。それに比べれば、天使が近くいても、その天使と結ばれていない今なんて、幸せの猶予期間みたいなものだ。不幸せに対する幸せの埋め合わせは、まだ始まってすらいないんだ。

 

 

 彼は納得のいく答えが見つかったことに満足すると、今廊下を通った時の、彼女の押し殺した足音を思い出し、恍惚の笑みを浮かべた。

 

 待っててね、恥ずかしがり屋の天使ちゃん。

 

 

 

 

 私がここに来たのは、私が中学二年生の時だった。

 

 生まれた時から父親はいなかった。というかそもそも父親が誰なのか、母にも分かっていないらしかった。

 

母親は美しかった。そして、美しいだけの女だった。

 

 私は母親に呪われた。母親の遺伝子に呪われた。私には、母から引き継いだ異性を惹きつける形質のようななにかが、確かに存在しているようだった。

 

 小さいころから容姿によって肯定され続けた母親は、大学を卒業するまで特別な努力を何もしなかった結果、必然のように、その容姿で所得を得るようになった。

 

 

 男は母が好きだった。そして母も、自分に価値を与えてくれる男たちが好きだった。女性に知性を感じられないと食指がわかないという男でない限り、母はどんな男からも愛された。

 

 

 そして母の方も、そんな男たちを愛していた。

 

 

 私はそんな母親を嫌悪した。そんな価値の認められ方を嫌悪した。男の欲を刺激し続けなければ生きていけない生き方を嫌悪した。

 

 そうして自分の価値を模索した。容姿以外の価値を。

 

 ある時、母親が死んだ。自殺だった。私と母は考え方こそあわないものの、仲が良いと思っていた。だから母の遺書の中で、娘である私について一言も書かれていないのを知った時、私は自分でも意外なほどひどく狼狽した。

 

 母は見抜いていたのだろうか。私の中にあった嫌悪を。

 

 ただ、私は母の生き方を嫌悪していたが、侮蔑はしていなかった。

 

 そういう生き方もあるのだと理解しようとしていたからだ。

 

 しかし、母の遺書の中に『違う生き方をしてみたかった』という言葉を見つけたことで、私のそれまでの努力は一瞬にして致命的な疑念に変じてしまった。

 

 母は。

 

 そういう生き方を選んだのではなく。

 

 そういうふうにしか生きられなかったのではないか、という疑念へと。

 

 その時、私を恐怖が襲った。私もそうではないのか。私も母のように、そういうふうにしか生きられないのではないか、と。

 

 

 そんなことをぐるぐると考え続けているうちに、私の引き取り先が決まった。どうやら母には弟がいたようで、彼の家に引き取られることになったのだ。そしてそこには一人、息子がいるらしい。小学生の頃にいじめにあって以来引きこもりになり、以来一〇年間引きこもり続けているようで、彼の父親はもう諦めているようだった。

 

 私は引きこもってしまった彼も、そういうふうにしか生きられないのだろうかと思った。自分の部屋の中で、自分の匂いに囲まれることでしか、生きていけないのだろうか、と。

 

 始めて会った時、彼は怯えたような目で私を見ていた。贅肉を付けた体はぷよぷよと柔らかそうで、私より三つは年上のはずなのに、全体的に雰囲気が幼い。

 

 風呂に入っていないのか、髪の毛はひどくべたついているし、微かに腐った油のような悪臭も漂わせていた。

 

 容姿だけしか持っておらず、容姿を活かす生き方しか選択できなかった母の影響で、私は相手の容姿を評価しない癖を、早くから身に着けていた。私は彼に向ってほほ笑んだ。すると彼は、心底驚いたような目で私を見た。

 

 

 そういうふうにしか生きられないのならば、私たちはどうするべきなのだろうか。それ以外に選択肢が存在しないとき、私たちは敬虔な宗教者のように、ただその運命に身を任せることしかできないのだろうか。

 

 

 母親を亡くしてセンチメンタルになっていた中学二年生の私は、そんなことを考えていた。

 

 

 

 

 私はその日、疲れていた。ストレスからか生理周期が狂い、結果、一番体調が優れないタイミングに長時間のバイトが重なってしまった。休もうにもバイト先に代わりを頼めるような友人なんていないため、仕方なく出勤しいつもより適当に作業をこなしていたら、頭のおかしいクレーマーが、態度が悪いだのなんだのいちゃもんをつけてきて、店長は助けてくれず、結局小一時間赤ら顔の中年の相手をすることになったのだった。

 

 

 私は帰宅するといつものルーティーンをこなし、消臭剤を部屋いっぱいにスプレーすると、倒れこむようにベッドに入った。寝入る直前、何かを忘れているような気がしたのだが、生理のだるさと長時間のコンビニ勤務の疲れが合わさり、私の意識は瞬く間に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 ふとした違和感で目を覚ました。

 

 

 暗い自室。その中に自分のものではない気配がある。目を開き、ベッドの脇を見ると。

 

 

 

 

 

 

 息を荒げた従兄が、私の上半身をまさぐっていた。

 

 

 

 

 

 いつもは鍵をかけている同居人の少女が、今日に限って鍵をかけていなかった。彼はそれを、恥ずかしがりやな少女の精一杯の「OK」のサインだと解釈した。

 

 そうして深夜、彼が彼女の部屋に侵入すると、彼女は眠っていた。彼は、彼女は待ちつかれて眠ってしまったのだと思った。もっと早く来てあげるべきだったのだと後悔した。

 

 気が使える兄としては、今日は帰るべきかと思ったが、彼の別の部分が、今日を逃したらシャイな彼女がもう一度その気になるのはもっとずっと先かもしれないと言っていた。

 

 彼は眠っている彼女を見た。

 

 端正な顔立ち。艶やかな肌とぷっくりした唇。彼の天使は、何度見ても天使だった。

 

 彼は激しく後悔し、己をなじった。

 

 どうしてもっと早く彼女のサインに気づいてあげられなかったのだ。日頃規則正しく生活している彼女が、こんな時間まで起きていられるはずがないだろう。兄としての気遣いが足りないんじゃないか。

 

 彼は彼女の規則正しく上下する胸元を見た。

 

 そして彼は気が変わった。

 

 折角愛する推しが恥ずかしさを堪えてサインを出してくれたのだ。ここは彼女を起こしてでも、それに応えるべきではないのか。そうだ。彼女もきっと、それを望んでいる___

 

 そうして自らの欲望のまま彼女の胸に触れると、彼女が目を覚ました。彼はまだ感触がわかるほど触っていないため少しがっかりしたが、同時に期待もした。彼女はどんな反応をするだろうか。恥ずかしがる?それとも嬉しがる?あるいはようやく自分の願いがかなったと涙をながす?

 

 しかし彼女の反応は期待していた予想と大きく違った。

 

 彼女は彼を力の限り突き飛ばしたのだ。彼は痛みを感じるよりも先に、激しく困惑した。

 

 彼とて眠っている少女の体に触れることは悪いことだと思っていた。けれども同居人の少女は、彼の推しは、そんなことで彼を拒絶しないだろうと思っていた。いつか見た画面の中の少女のように、あるいは好んで読む小説のヒロインたちのように、仕方ないんだから、と笑って、でも満更でもないような雰囲気を出して、そうして彼と懇ろな仲になるものだと思っていた。

 

 そして彼は思った。

 

 彼女は突然のことに驚いてしまっただけなんだ。僕が彼女の立場でも驚いてしまうかもしれない。ただ僕なら、すぐに状況を判断して彼女のことをやさしく受け入れるだろうけどね。まあ、初めて男に触られたから驚いたんだね。でも突き飛ばすのはだめだなあ。これはお仕置きってやつをする必要があるんじゃないかな?

 

 そうして彼が彼女を見ると、彼女は殺意のこもった眼で彼を見ていた。汚物を見るような、地を這うゴキブリを見るような目で。

 

 彼はその目に覚えがあった。小学生の頃、クラスの女子共があんな目で僕を見ていた。あんなふうな、汚いものを見るかのような目で__

 

 彼の中にどす黒い感情が生まれた。

 

 どうしてそんな目で僕を見るんだ。君は、君だけは、僕をそんな目で見ちゃいけないだろう。僕の推しは、僕の天使は、そんな目で僕を見たりしない。僕の、僕の天使は!

 

 そうして彼は彼女に掴みかかろうと、清潔なカーペットを握りしめた。

 

 

 

 

 私は悲鳴をあげてそれを突き飛ばした。

 

 大きな音を立てて尻もちをつくそれ。体は大きいが筋力はないため、踏ん張ることができず後ろ向きにひっくり返った。

 

 それは「何が起きたか分からない」という表情で私を見ていた。呆然と、どうして自分が拒絶されたのか分からない、とでも言うかのように。

 

 心の底から意外そうで、傷ついたような表情さえ浮かべていた。

 

 

 その、何も分かっていない顔を見て。

 

 

 私の中で、何かが切れる音がした。

 

 

 ふと、過去の光景がフラッシュバックする。

 

初めて会った時の怯えたような表情、

食事を部屋に届けた時の呆然とした表情、

徐々に減っていく私物、

帰宅すると妙に配置が変わっている自室、

ある時発見したねばついた洋服、

激怒、

鍵の取り付け、

その日自室に入ると感じた違和感、

独特の臭い、

おそるおそるクローゼットを開けた時の吐き気、

 

穢された下着たち。

 

穢された下着たち。

 

穢された下着たち。

 

 

 殺してやる。

 

 

 私の内側から何かが流れ出した。

 

 それは腹のあたりを起点に生じ、滲むようにして全身を浸していく。指先までそれが行き渡ると、私の全身は充足感と全能感に満ち溢れていた。

 

 私は目の前の生物に意識を向ける。

 

 これを殺すのに、具体的な動作は何も必要ない。言葉も、イメージすらも必要ない。今の私はそのことを純然たる真実として了解していた。

 

 だから、私がそれをあえて言葉にしたのは、純粋にそうしたかったからであり、それだけ私の中で培われた殺意が確かだったからだ。

 

 

 『死ね』

 

 

 とてもシンプルに表出された殺意は現実としての質感を伴っており、それを真っ向からうけた私の従兄は、抵抗する間もなくその精神を崩壊させた。

 

 

 

 

 男は体を痙攣させ倒れ伏した。

 

 芋虫のようにもぞもぞと動き、一定の間隔で発作のように大きく体を震わせる。

 

 口からは唾液が流れるままになり、おえ、おえ、とうめき声を絶えず発している。

 

 そんな男のことを、彼女は汚いものを見るような目で見下ろしていた。

 

 ふと彼女は気が付く。

 

 廊下に、この部屋に近づく気配がある。

 

 彼女はそれが、もう一人の同居人である、この男の父親、つまりは彼女の叔父であると認識した。

 

 時刻は二時過ぎ。深夜に何事か騒いでいるので小言を言いに来たのだろうと推測する。

 

 彼女は今目覚めたばかりの『力』に意識を集中させる。

 

 彼女の部屋のノブが回り、中年の男が顔を出し、口を開いた。

 

 「おいうるせえ」

 

 ぞ、と言い切る前に、彼女の『力』が男を襲った。

 

 

 『これを殺せ』

 

 

 男に対してそう命令することに、彼女はなんの倫理的葛藤も感じなかった。

 

 彼女の言葉を聞いた叔父は、芋虫のように這いずるそれの首に手をかけた。

 

 「あっ、が」

 

 呼吸を阻害された男が苦し気にうめく。

 

 実の息子を手にかけている男は、しかしいたって普通の表情を浮かべていた。

 

 面倒な仕事をしている時のような、誰もやらないごみ出しをするときのような。

 

 

 まるでそれが日常であるかのように。

 

 

 やがて男の動きが止まった。父親の手が息子の首から離れる。横たわった「彼」は、もう二度と、起き上がることはない。

 

 「彼女」が、その父親に殺させたから。

 

 命令を遂行した「父親」に対して、彼女は言った。

 

 『お前は殺したいから殺した。

 

 こいつを殺した殺意は確かにお前の中にあった。

 

 殺した時の意識は明瞭だった。

 

 実行は突発的だったが殺したいという思いは常に胸の奥にあった。

 

 それがほんのわずかな正義感と一緒になることで実行へと至った』

 

 男は、彼女の言葉一つ一つにうなずきを返す。

 

 最後に彼女が、「警察に『人を殺した』と通報しろ」と言うと、彼は部屋から出て行った。

 

 数秒後、彼女の耳にリビングからぼそぼそとした話し声が届いた。

 

 彼女は掛布団をつかむと、自らの元へ引き寄せた。そして警察が着くまでの間、じっと「従兄」だったものを見つめていた。

 

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