「はぁ……」
僕、鏡レンはトボトボと帰路を歩いている。
僕は小さいころからヒーローに憧れていました。保育園の皆も強くて格好よくて人々を助ける……そんな夢のような存在に憧れていました。そしてどんな個性が出るのかとワクワクしていました。
でもー
『無理だね。諦めた方がいいよ』
齢4歳の僕に突き付けられたのは無個性という現実でした。
病院でそう言われて帰った後の僕は必死に頬を抓ったりしました。
『夢なら覚めてくれと』
時には手を翳して火を出そうとしたりしました。
しかしどうやっても無個性という僕の現実は覆りませんでした。
それからというもの一緒だったはずの友達は皆僕から離れていき、親も僕を邪険にして強個性の双子の弟を可愛がりました。
両親は煩わしいものとばかりに僕を絶縁してお爺ちゃんの家に預けました。
そんな無個性の僕を可愛がってくれたのはお爺ちゃんだけでした。
そのお爺ちゃんも去年に亡くなってしまいました。
僕はバカにされようとも夢を捨てきれませんでした。
でも改めて現実の厳しさを思い知らされました。
意気込んで雄英のヒーロー科入試を受けましたが返ってきたのは不合格という結果でした。
自慢じゃないけど今まで努力してないってわけじゃない。それなりに鍛えてきた自信もある。
だからこそのすっきりとした諦めがありましたがそれ以上に悔しさが芽生え始めました。
”なぜ自分は努力してもスタートラインに立つことすら許されない?”
”なぜ自分は夢を追いかけることすらできない?”
僕の中に残ったのは喪失感だけでした。
どうしようもない怒りが身体を込み上げてきましたがすぐに虚しいことだと気付きました。
そして現在ー
「はぁ……」
僕はトボトボと重い足取りで歩いていた。
「あっ……もうこんな時間……」
僕はスマホの時刻を見てさっさと帰るようにする
最近ヒーローたちは大きな問題を抱えている。それはヴィランとはまた違う怪人と呼ばれる人々を脅かす存在だ。
奴らは3年ほど前から突然現れた。頻度は少なめだが出現すると必ずといっていいほど尋常じゃない被害が出る。それは並のヴィランとは比べ物にならないほどに。
中には鏡から突然現れたりする個体や、不死身の個体、高速で蠢く種類など一握りのプロヒーローしか敵わないような個体も出てきている。
僕が足を早めると
ピキッ……!
「なっ!?」
後ろの空間が突然ひび割れてその中から出てくるのは
「ウソ……だろ……」
灰色のムカデのような怪人に身体がステンドグラスをイメージさせる馬の怪人が僕を威嚇するように睨んでいた
ムカデの怪人が振るった鞭が僕を吹き飛ばして、僕は壁に叩きつけられる
ああ……僕……なにも出来ずに死ぬのかな……
と壁に倒れている僕に迫ってくる怪人たちだったが突然動きが止まった。
どういうことだ……!?
ブゥン……!
僕が驚愕に染まっていると横からオーロラのようなものが僕を包み込んで僕は意識を失った。
次に僕が目を覚まして見えたものはどこかの建物の天井だった。
「ここは……?」
「目が覚めたか?」
「誰!?」
僕が振り向いた先にいたのは僕とそう歳が変わらない男だった。
「貴方は……ヴィランですか……?」
「違う違う。あの時お前を助けたのは俺だぜ?」
「ってことはあのオーロラは……貴方の個性ですか?」
「んまあそんなとこだ」
「すっ、すみませんでしたっ!」
「えっ!?ちょおっ!?」
僕が渾身の土下座をするとその人は戸惑っていた
「なになにっ!?」
「いや、だって助けてもらったのに……!ヴィランと勘違いしてしまって……!」
「いやそれはしょうがないんじゃないか……?それに気にしてないから頭を上げてくれ」
「は、はい……」
僕が頭を上げると同時に僕の腹がクゥ~と鳴った
「///!!」
「ハハハ、お腹すいてるんだろ?ほら軽いものしかないが、どうぞ」
「あ、ありがとう、ございます……」
僕はそう言われて運ばれたおにぎりを頬張った。
「どうだ?言うほど美味しくないだろ?」
「いえ………美味しい……!!」
なんだろう……そんなに美味しくないはずなのに……すごい……暖かくて美味しい……
思わず涙が零れてきた
「大丈夫か?」
「はい……」
僕は渡されたハンカチで涙を拭く。
こんなに暖かいご飯はお爺ちゃんのご飯以来だ……
「辛かったんだな……」
え……?
「親にも、友達にも個性だけで裏切られたなんてどれだけ悲しい事か……夢を追い求められない悔しさも……だけどよく耐えた」
どういうこと……?僕の過去がこの人にはわかるってのか!?
「貴方は……」
「でもお前は世界を恨むことなく前を歩き続けた。そんなお前はきっと……誰かのヒーローになれる」
ッ……!!!
僕が一つだけお爺ちゃんに後悔があるとすれば……
『レンよ。夢を見るのは悪い事ではないが……現実というものも見据えねばならんぞ』
あの時言ってほしかったのは……!
「本当に……僕は……ヒーローになれるのですか……?」
「ああ、お前はヒーローになれる」
「うっ……!!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
この言葉だったんだ……!
僕は泣いて……ただひたすらに泣いた……
そして泣き止むと
「ごめんなさい……」
「いや気にしてないから土下座止めなさい」
僕は涙でこの人の服を汚してしまった。だから……
「もういいから」
「は、はい……」
僕は気になったことを聞いてみることにした
「あの……さっきなんで僕の過去が分かったんですか?」
「……それは今は言えない。だがお前がヒーローたる存在になれた時に教えよう……時間か……」
「あ、あの……?」
手から光がポワッと輝くとなにかバックルのようなものがその人の手の中に現れて、そして僕にバックルを渡してくれた。
「これは……?」
「これは……君が本当にヒーローになりたいと思った時に力を貸してくれるはずだ……じゃあな」
「あっ、あのっ!」
僕が質問しようとしたがその人は突然目の前から姿が消えた。
・・・・
「あの人は結局何だったんだろう……?」
僕は建物を出てみたがそこは僕の街の外れだった。
商店街を通って帰ろうとしていると
ドガァン!
「なんだ!?」
僕が向かった先で見たのはさっきの怪人たちによる惨劇だった。
逃げ惑う人々を怪物が襲っている
「ひっ!」
僕も怖くて逃げようとしたその時、目の前に小さな女の子が倒れていた。上からは建物の瓦礫が落ちてくる
それを見た瞬間僕の身体はその子に向かって動き出していた
そして瓦礫から少女を抱えて瓦礫を回避した。
でも……目の前に怪人が放った衝撃波が僕に向かってくる。
ああ……今度こそ死んだ……
と思っていたら
『よくぞ、勇気を振り絞った……おまえになら……我らの力を受け継ぐに値する……』
そして僕の手にはさっきのバックルが握られていた
「これは……それに貴方たちは……!?」
とふと見てみると僕以外のすべてがスローモーションのように遅くなっていた。
そして目の前にいるのは何十人もの仮面の戦士たち
『我らは今はお前の中に眠ってある……だがおまえが覚悟を決めれば我らは戦える……おまえに……ヒーローとしてこの世界を守る覚悟があれば……』
僕の……覚悟……
『おまえの闇はわかっている……嫉妬……羨望……絶望……だからこそ……我らの闇を受け止められる……あとはお前の気持ちしだいだ』
「……」
『おまえが本当になりたいものを思い出せ……さすれば……力は自ずと手に入る……』
僕の……本当になりたいもの……
「僕は……ヒーローになって……助けたい!人々の希望になりたい!」
『覚悟は出来たか……ならば……我らがお前の力になってやろう……』
そして止まっていた全ての時が動き出した。
僕は怪人の攻撃を避けてバックルを腰に当てるとベルトとして装着されてライドブッカーから一枚のカードを取り出す。
「……変身!」
『KAMEN RIDE DARKDECADE!』
幾つもの影が重なって僕は黒の戦士ダークディケイドとなった。
敵は……魔兵グールに下級バグスター、星屑忍者ダスタード……奥にいるのはセンチピードオルフェノクにホースファンガイアか……
下級怪人が襲ってきたが僕はライドブッカーをソードモードに変化させて次々に斬り捨てていく。そしてライドブッカーから一枚のカードを取り出す。
なぜこれかはわからない。でもこれだと確信できた
『KAMEN RIDE GAOH!』
バックルにカードを装填すると僕の周りにアーマーのようなものが出現して僕に装着されて僕はワニを沸騰とさせる仮面をした戦士ガオウへと姿を変えた
『ふん……俺様を呼び出したからには情けない戦い方はするんじゃねえぞ』
僕の頭に誰かの声が流れ込んできたが不思議と驚かなかった。そして今ならわかる。僕はこの人の力を受け継いだのだと。
そしてガオウガッシャーを手に持って襲ってきた敵を次々に薙ぎ払う。
不思議だ……どうやって戦ったらいいかわかる……まるで僕の身体がなにかに動かされているかのようだ……
僕の身体を動かしているガオウの戦闘センスは凄まじいの一言だった。
相手の攻撃を受け流しては一瞬の隙をついてのカウンター。そして相手の防御を崩す技術
僕は怪物たちの群れに突っ込んでいくと周りを囲まれる。
だがこれが僕たちの狙いだ!
『FINAL ATTACK RIDE GA GA GA GAOH!』
ガオウガッシャーにエネルギーがチャージされ先端部が射出されると円を描くように回転すると先端部もそれに反応して敵を斬り裂いて薙ぎ払い一瞬遅れて爆発が起こる。
ガオウの必殺技タイラントクラッシュによって初級怪人全てが葬られ残ったのはセンチピードオルフェノクにホースファンガイアだけだ。
『ふん……少しはマシな戦い方じゃねえか……』
僕の頭にあの人の声が流れるとバックルからカードが飛び出して僕はダークディケイドに戻る
そして次にライドブッカーから飛び出したカードを僕は装填する。
『俺の力を……誰かを守るために使ってくれ……』
『KAMEN RIDE CARRIS!』
『CHANGE!』
僕はカマキリの仮面ライダーカリスに変身すると
『FORM RIDE CARRIS WILD!』
『EVOLUTION!』
ワイルドカリスになった僕は専用武器ワイルドスラッシャーを手に持つ。
センチピードオルフェノクが鞭を振るってくるが鎌モードにして斬り裂いて防ぎ、鞭の先端を引っ張って引き寄せたセンチピードオルフェノクを斬り裂くとセンチピードオルフェノクは灰と化した。
ホースファンガイアが逃げようとしたが
『FINAL ATTACK RIDE CA CA CA CARRIS!』
必殺技ワイルドサイクロンでホースファンガイアを吹き飛ばすとホースファンガイアはガラスが割れるように消滅した。
そして怪人たちにやられた人をみて
『ATTACK RIDE RECOVER!』
光が傷を負った人たちを包み込むとその傷がどんどん和らいでいく
僕が帰ろうとした時
「そこのおまえ!どこのヒーローだ!?」
マズい!僕は免許なんて持ってない!どうしよう……!
出した結論は
『ATTACK RIDE AURRORA CURTAIN!』
逃げるが勝ち!
「まっ、待てっ!」
オーロラカーテンは僕がくぐるとすぐに消えた。
「あの人は……一体……」
僕はいまだにこれが夢なんじゃないかと思っていた
でもすぐに現実だとわかった
嬉しさもあったのだが同時にこれは普通のヴィランに向けると危険なものだともわかった
(制御できるようにならないとね)
言い忘れてたけどこれは最高の力を受け継いだ僕がヒーローになるまでの物語だ
鏡レン
見た目 鏡音レン
個性 無個性→ダークディケイド
好きなもの 歌を歌うこと
嫌いなもの 両親 自分を裏切った友だち 弟