「これから作戦の概要を説明する。」
皆、草原に整列してアフラムの話に聞き入っている。 作戦前で誰もが緊張した面持ちだ。
「この作戦の目標は二段階ある。 まずは敵の主砲である
「そして
「
守られる側はいい気分ではない。 彼らは皆、私の盾になるのだから……
それとは逆に、周りの士気は最高潮である。
「
「一つ確認だけど、
「それは構わないが、その時の状態にもよるだろう。
実際、まだ
「まぁ、やってみないと分からないだろうけど。 確実に
「一番辛い仕事を任せて済まないな……」
今更死ぬのが怖いなんて言わない――だって、もう後戻りは出来ないから。
「今日の戦がロキアの未来を決める! 皆の奮戦に期待する!」
『オォ――!!』
――天に向かって雄々しく拳を突き上げる人々。 それが私には、歪で気持ち悪かった。
―――
――
―
「心の準備は出来たか?」
「何言ってるの、そんなの今更でしょ?」
「昨夜、あれだけ泣いてたのによく言えるな。」
「うるさい! 翡翠だから弱みを見せただけよ!」
「――そいつは嬉しいな。」
次々と龍達が飛び立って行く。 青空は覆い隠され、日の光は遮られる。 これだけの数なのに、銀華の話ではかなり少ないと言っていた。 しかし、この数でさえも押し切ってしまう魔導兵器が待ち構えているのだ。
「私達、やれるよね?」
「当たり前だ、今の俺達に不可能なんてないさ。」
そう言って勇気付けてくれる。 そうだ、今なら彼に全てを委ねられる。 私にはもう彼しかいないのだから。
「じゃあ、やろっか?」
「――緊張してるな、深呼吸してみろ。」
「うん。」
両手を広げて大きく深呼吸をする。 ……ほんの少しだけ肩が軽くなったような気がする。
「少しはマシな顔になったな。」
「――ありがと。」
不器用なりに彼も心配してくれているのだ。 まぁ、不器用なのは私も同じなんだけどね。
私は翡翠の頬に軽くキスをして手を握る。
「行こう、翡翠。 私達の青空へ!」
ゆっくりと瞳を閉じて意識を集中させる。 身体が暖かなモノに包まれる感覚がする。 ――それと同時に突然の浮遊感が襲ってくる。
「きゃっ……」
『大丈夫だよエリカ。』
翡翠の声が聞こえてくる。 耳からではなく、脳に直接響くような感覚だ。
私は閉じた瞳をゆっくりと開いた。
「あっ……」
普段とは違う視界がそこには広がっていた。 私が右手を動かすと、龍になった翡翠の右手が動く。 それはまるで、私が翡翠の身体になってしまったような感じだ。
「これが
『俺はいつもと変わらないが、そうなのか?』
「そうなの、まるで私が翡翠の身体を動かしてるみたいなんだけど。」
『俺達の思考が完全にシンクロしているって事なのか?』
「とりあえず、飛んでみよ!」
『あぁ!』
翼に力を入れる。 初めてのはずなのに、まるで今まで何度もやってきた行為のように簡単に動かせる。 翼の羽ばたきに合わせてゆっくりと身体が浮き上がる。
「う、浮いてる! 私達浮いてるよ!」
『そんなのいつもの事だろう?』
「感動が全く違う!」
『ふふっ、そうだろうな。』
力強く翼を羽ばたかせて一気に上昇する。 更に宙返りをして軽く旋回、風を切る感覚がとても心地よい。
「慣らしはこんなものかな。」
いつもと比べ物にならない量の
私は布陣の後方に並び、メルキデスの方角を見据える。
「行くわよ、巨蛇討伐作戦開始!」
私の指示と同時に、全員が咆哮を上げて進軍を開始した。