蛇子「ふぅー・・・テストおーわりっ。どうだった? みんなは」
浩介「うーん。実戦訓練は狙撃とかの援護技能部分でカバーしたし、ほかもまあ、筆記は大丈夫かな」
小太郎「英語がやばい・・・かもしれない。選択問題がミスっていなければいいけど・・・」
鹿之助「小太郎ー・・・お前、結局英語は駄目だったんだよなあ。あ、でも日本史はどうだったんだ? 枕草子の問題、あれ分からないのがあってさー」
蛇子「あ、そうそう。枕草子に書いてある内容を3つ選べ。このうちの一つがわからなくて」
凜花「それは私も気になったわ。ねえ、小太郎君。何が正解かわかる?」
ゆきかぜ「あー・・・・・多分、あれよねえ・・・」
小太郎「・・・・・え? あれか? えっと・・・たしか 幼女最高 ・・・だったかな・・・」
一同(一部除く)「「「・・・・・・・・はぁ!?」」」
蛇子「ふうまちゃん・・・そんな変態な選択肢を選ぶなんて・・・」
鹿之助「おい、小太郎!? もしかして東京キングダムの一件で・・・」
小太郎「違う違う違~~う!! 本当に書いてあるんだよ! 「小さいものみなかわいい」とか「仕事失敗して涙目のメイドさん超萌える」とか「あの子の格好超最高!!」とかあるんだよ。現代訳された枕草子にもあるんだよマジで・・・」
骸佐「マイナーな問題出すって先生言っていたけどよ・・・まさかあの授業ラストのギャグじみた逸話を出すとか・・・点数が低いのが幸いだぜ」
凜花「私も歴史のマイナーな話は好きだけど・・・」
ゆきかぜ「日本って昔から日本なんだね・・・」
小太郎「(時子姉なんて昔見つけた本を華奈先生に見せたらノンケがホモにNTRされる日記の作品だと知って読んだせいで目覚めたし・・・・・・ほんと、日本って昔からこんなんなんだろうなあ・・・)」
~五車学園・校長室~
アサギ「じゃ、とりあえずは私と華奈ちゃんの仕事の補佐から始めましょうか」
不知火「・・・だいぶ仕事、減っているのね」
(華奈が先生になりたての時代を思い返す)
アサギ「長老衆の排除とか、部隊の創設、事務仕事できるメンバーも増えたからね」
不知火「はあ・・・弟子はもう私を越えているかもしれないかもかあ・・・嬉しいけど、複雑よ。っふふ・・・」
アサギ「あの子はまあ、どうにも年齢に合わないほどの経験やら技術があるからねえ。ま、始めましょうか。とりあえず、華奈ちゃんやほかの部隊の作戦立案の精査とテストの採点から」
不知火「了解よ。午後は戦闘訓練するからよろしく・・・ん・・・」
(どうしよう・・・疼きがひどいわ・・・アンダーエデンの後遺症か・・・華奈ちゃんに頼もうかしら・・・)
「・・・ハッ!? え・・・? あ、夢・・・ですか・・・」
テストが終わって、ヨミハラの淫魔族とノマドの抗争を利用しての魔族同士の戦いでこちらが戦わずとも消耗を狙ったりで任務の頻度が減ったことで久しぶりの安眠をむさぼっていると変な夢を見て起床。何やら王道ファンタジーで何かと戦っていたような・・・そんなゲームを最近した覚えはないのですがね・・・? ていうか何か変だったような
「眠い・・・ああ・・・そういえば・・・任務ぅ・・・」
ようやくテストも終了。皆それぞれ高いテストの平均値を出し、赤点も無し。苦手な科目も特技やほかを引き上げたりでうまくやっていたりとうまかったですしね。そしてその後に待っていたのは任務の事。とはいえすぐではないのだが少し準備が必要。困ったことに今回は編成するメンバーもまた少し困ったもの。幸いなのは不知火さんが来てくれたので私が長期間任務に出向いても事務仕事が鈍らないこと。
いやまあ、私がいなくても諜報部隊と第二九郎隊で仕事を回せるようにはしていますけど。
あのテーマパークもいずれはいかないとですしねえ・・・うーん・・・とりあえずは不知火さん専用装備の薙刀と幻影装置のメンテは依頼済み。任務もあるにはあるがどれも急務ではない。用意する時間はある程度はよし。出向いても不知火さんがいるので問題なし。・・・よし、遊びながら用意しましょうか。
「さてと。皆様一週間、実質5日間もテストでの神経を張り詰めての日々を良く潜り抜けました。テストも返却済み。そしてぶっちゃけそんな疲れた後でしょうし授業も緩めに行きましょう。ということで今日はハロウィンの簡単な授業と参りましょか♪」
「ハロウィン? あのお菓子を貰えるイベントの?」
授業というよりは豆知識講座なノリにまたいつものかと授業の時よりも気楽な空気が流れる教室と首をかしげる浩介君。まあ、そういう考えでいいかもですが、私たちからすれば割と身近で根深い話かもですしねえ。
「いまではそうですね。ですが、元をたどるといわばハロウィンは収穫祭とお盆が同時に行われたようなものですね」
「んー・・・ああ、そっか秋ごろと言えば確かに収穫期。天高く馬肥ゆる秋。だものな」
「確か古代ケルトの一年の終わりである『死者の日』が起源とされているんですよね。だからある意味では大晦日にも近い・・・?」
ほうほう。流石小太郎君と紅さん。二人ともよく私の授業を聞いてくれますからね。覚えもいい。
「そのとおり。で、その際には死者の魂がこの世に帰ってくるのですが、ハロウィンはそれと一緒に悪魔や悪霊もかえってくるのです。その悪霊たちに襲われないために怪物たちのふりをして身を守るのが始まりと言われています」
「古代ケルトではその日だけ魔界の門でも開いたのかね?」
「古代ケルトって資料も少ないしねえー骸佐ちゃんの言う通りその古代ではそういう時代もあったのかなあ?」
そこも知りたいですが、こればかりは魔界の住人から聞くしかないでしょうねえ。何らかの取り決めがあったのか。確かに気になります。
「・・・? なら先生。あのカボチャのランタンはどういう理由? かぼちゃには魔よけの効果があったっけ?」
「ああ、これに関しては元はカブのランタンを作る風習があったのですが、アメリカではカボチャのほうが手に入りやすく安価だったのでかぼちゃのランタンになったのです。そのランタンもジャックという悪魔も天国の門の管理者も騙してどちらにも魂がいけないという悪人がいたのですが、そのジャックを哀れんだ悪魔が煉獄の炎に燃える石炭を一つジャックに渡し、ジャックはこれをカブの中に入れて明かりとした。これが始まりです。
で、それがハロウィンのシンボルとなっていき、カブやカボチャを人の顔の形にくりぬいてろうそくなどの明かりを入れて提灯代わりにすることで魔除けとする。それがかぼちゃのランタン。ジャック・オー・ランタンです」
「あれ、魔除けだったんだ」
まあ、ぱっと見では魔除けとは思いませんよね。それと日本では仮装パーティー扱いですし。いやまあ、私も同じようなことしましたけど。
「じゃ、あのトリックオアトリートはどういう意味? お爺様は確かお祈りへのお礼とか言っていたけど」
「ああ、それですか。それは大体幻庵さんの言う通りです。お祭りの間貧しい人々が使者のために祈りを唱え、お礼として訪ねられた家の人々が『ソウルケーキ』と呼ばれるパンを与えていたのですよ。それがいつの間にやら訪ねてきた子供たちにお菓子を与えるものに変化したのですよ」
「もし断ったら?」
「子供たちにいたずらされちゃいますね。確か聞いた話では手投げパイや卵を家に投げつけるとかなんとか? まあ、関わりたくない人は玄関の明かりをつけないようにすればいいですよ」
「・・・それを利用して先生たちも昔あの騒ぎになったと」
「・・・あはは。あれはもういろいろ凄かったですものね」
明かりをわざとつけて反応をせず、子供たちが悪戯をしようとしたところを大人側も仮装して飛び出して迎撃する。悪戯合戦があるのも現代のハロウィンおなじみの光景らしいのですが、数年前に私と諜報部隊、さくらさんでやったことがありました。
で、その時に私と何名かでプレデ〇ー、そしてほかのメンバーが半分以上がエイリ〇ン、そしてメイトリ〇ス、ラ〇ボーのコスプレを敢行し、ロケランに弓矢にマシンガン。武装も各種完全に再現し、いざ鎌倉とやってみれば特撮映画張りに作り込んだスーツに武装、そして対魔忍の身体能力と合わさった結果映画を完全再現どころかそれ以上のクオリティーを見せてしまうことに。
当然子供たちは大号泣、大絶叫。特に骸佐君と鹿之助君、紅さんの泣き方がガチでした。引率の権左さんも「いたぞぉ! いたぞぉぉぉぉぉぉ!!」と叫ぶわアスカさんも「目です大佐・・・目だけが光ってた・・・!」と紫さんに抱き着くわでノリの良さと騒ぎの両立ができるカオスなことに。紫さんもしれっと「出てこいクソッたれぇええええ!!」と子供たちを守りつつ斧を構えてノリノリでしたし。
そんなプ〇デターに仮装した私たちと子供たちに襲い掛かるエ〇リアンに仮装したメンバーとそれに応戦する対魔忍組、それに応援で駆け付けたメイ〇リクスとラン〇ーのコスプレしたメンバー。そしてアサギさんと不知火さん、朧さんに時子さんに天音さんたち。
最終的にはエイリア〇VSプレ〇ターVS対魔忍&コ〇ンドー&ラン〇ーというカオス極まりない戦いが繰り広げられ、剣戟と筋肉と火薬とお菓子飛び交う凄まじい光景に。私たちの武装はロケランはお菓子詰め合わせの弾頭、マシンガンはキャラメルや飴玉が飛び出し、ブレードはチョコ菓子と悪戯合戦した後にお菓子を上げるつもりでしたので両者からお菓子が飛び交う甘い香りとお菓子の雨あられがそこかしこに降り注ぐ。
しれっとアサギさんがコスプレメイトリク〇と「こいよプレデ〇ー。武器なんて捨ててかかってこい」と挑発したり、それにプ〇デターに仮装したさくらさんと拳志が「野郎オブクラッシャー!!」と叫びつつ子供たちにお菓子の詰まった武装をプレゼントしてからのダブルバトル勃発したりとしましたがオチとして何かのヒーローショーになっての大騒ぎとなってしまい、みんなで仲良くお菓子を配ったりとしましたが、危うく本当に魔族扱いされかけたりと凄いものでしたとも。ちなみに次の年はウルトラ〇ンや仮面ラ〇ダーでコマ〇ドーなノリのショーをしたりして愉快でしたよ。
ペガサスフォームの射撃とスペシウム光線のダブルアタックやウルトラ式ベネ〇トチャージが出来ましたし。ちなみに変身アイテムのお菓子やアイテムを作ったらすごく受けが良く、小太郎君たちはいまだに部屋に変身アイテムを飾っていたり。
「あれ、いまだに伝説だもんね~華奈先生たちほどの暴れっぷりとクオリティーで未だに映像記録残っているみたいだし。ふうまちゃんとたまに見るわ」
「え”? あれ残っているんですか?」
「いや、だって動きがもうすさまじいし、そのくせ飛び交うのはお菓子とかシュールすぎて多分持っている人はみんな消していないんじゃないですか?」
私も残してはいますけど、いやはや、思った以上に皆も思い出になっているのですねえ。嬉しいです。ちなみに見せてもらいましたが実況と解説に静流さんと朧さんがいたり。編集の手間がすごい。
「あはは。これはいいですね。ああ、そうそう。ちなみに日本でも最近はハロウィンも認知度が高まってきおり結構な規模の祭りもあったりで・・・」
その後はハロウィンのあれこれや悪魔や悪霊の事を解説していると授業終了。最後にテストで80点以上取った人には稲毛屋でアイスが無料プレゼント、それ以外の点数にも応じてお菓子がもらえると伝えたら皆様大はしゃぎ。やる気の一助になればいいのですが。稲毛屋のおばあさんも『あんたのおかげで売り上げがすごいよ』と喜んでくれました。この無料キャンペーンのお代は私もちですからねえ。
「紅さーん。ちょっといいですか?」
「ん? 先生? どうしたの?」
「ちょっと一緒に校長室まで来てくれませんか? 任務のことで少し」
授業も終わり放課後。紅さんを捕まえてさっそくアサギさんのところへ。今回の任務は本当に危険極まりないですからねえ・・・気が進まないですが、対処できるのならしたいですし、紅さんたちの実力はもう現役のメンバーのベテランにも追いついてきていますから。それとこの案件の性質的にも必須ですし。
「了解だよ先生。じゃっ。行こう」
「ええ。お願いします」
そして到着校長室。アサギさんの横で不知火さんが早速書類仕事に・・・この匂い・・・あー・・・少しスイッチ入っていますね・・・鎮静剤、用意しておきましょう。それと既に来ていた小太郎君と蛇子さん。
「アサギさん。到着しました」
「ええ、さすが早いわね華奈ちゃん。紅ちゃんもリラックスして頂戴」
「わかりました・・・ん・・・小太郎たちもか?」
「紅も? 先生の任務で学生が多く出るのは珍しいなあ」
「先生、最大で2名、それ以上は必ず大人数で挑むけど・・・うーん? 先生。どうしたんですか? 珍しいですね」
私の作戦の人選の意向をよくわかっていることに若干苦笑しつつもとりあえず落ち着くように宥めて、持っていた情報端末をセット。アサギさんの後ろに用意していたホワイトボードに映像を・・・・っと。
「今回の任務が少し特殊なものなんですよ。というのも、世界各地で起きている行方不明事件・・・まあ、魔界都市がある国だと割と最近は増加傾向と言えますが、その中でも特に世界各地で行われている行事・・・ハロウィンの時の行方不明者数が異常なものとなっています」
「もちろん世界各地のその国々の諜報部隊や軍、私たちのような影からの戦力を差し向けてもその原因がつかめないどころかその兵士たち、戦力すらも行方不明者が出る始末・・・で、そこからが問題なのだけど・・・」
おっとと。不知火さんが操作を変わってくれたので私はアサギさんの隣に・・・ほいほい。
「この行方不明となったもの達の割合がほぼほぼ子供と調査をしたもの達。そしてそれが後日遠い別の国の裏社会での兵隊、生物実験、あるいは奴隷として扱われていたり兵士として使われていることが判明したのです」
「「「!!?」」」
「行方不明者の割合もそうだが・・・いや、なんでだ!? 国の調査網をこの数が潜り抜けるのは不可能だろ!?」
「それほどの人員を乗せるのなら船も足がつくだろうし・・・さすがに一度も捉え切れていないというのは・・・先生、ノマドとかじゃないの?」
まあ、そう来ますよね。世界中に支社を持つ指折りの財閥、企業のノマド。貿易会社や航空会社を駆使した輸送ならお手の物。なんですが・・・
「私達でも探りを入れ、朧さんたちにも協力要請を仰いで米連でも調べましたがシロ。むしろノマドの戦力や幹部レベルすらも後日廃人として別の国でこき使われていることが確認できています」
「ノマドも被害にあい、こうも広く暴れまわる神出鬼没・・・ターゲットはハロウィンパレードやお祭り・・・か・・・魔族が魔界の門を通ってあちこちでうまく誘拐しているってのが一番近いかも・・・で、俺たちに任務が来たということは・・・東京キングダムで来週行われる」
小太郎君の言葉に続く形でホワイトボードにうつる画像。あの魔界都市と言われた人工の島が一層きらびやかにうつり、明るい光で照らされた写真。そしてファンシーでメルヘンな文字。一つのビラ。
「その通り。東京キングダムの繁華街エリアとメインゲート周辺で行われるハロウィンパレード。日本最大規模のお祭りにもこの誘拐犯が現れると政府と私たちは考え、それに対処する形となりました。そして、この誘拐された・・・いわばターゲットにされたもの達が・・・」
「子供・・・しかも私たちとそう変わらない年ごろの子供たちもいれば米連や中華連合、ノマドでも戦士階級も・・・つまりは先生や私たちを餌につり出すと・・・そういうわけか?」
「ええ・・・ですが、バックアップに私の部隊を2部隊、紫さん、静流さん、あやめさん、拳志を加えた大規模な合同チームで行います」
「それと、私や九郎もできる限りバックアップに動けるようにしておく。・・・ノマドですらも手を焼いている謎の相手。勝ちは情報を少しでも持ち替えること。討伐は次にと考えてもらっていいわ」
ノマドもこのイベントで手に入る利益や広告の威力はさすがに痛いのか警備もしっかりしていますし、裏社会の連中にもイングリットや幹部を使ってでも堅気に手を出すなと再三警告しているほど。規模も大きければ専用の船も出る。この相手からすれば美味しい餌場でしょうしねらい目でもあるんですよね。
そしてここにいれなきゃならない学生でここまで信を置けて実力も判断力も申し分ない子たちはいないんですよねほんと・・・骸佐君やきららさん、凛子さんたちは実力が高いゆえに既に見習いながら引っ張りだこ。浩介君や達郎君も援護がうまいし書類仕事も上手。実力もあるわで・・・苦労の末にようやく3名、問題なしなこの子たちが来てくれて本当によかった・・・ほぁあ・・・
あ、ちなみにゆきかぜさんと鹿之助君は拳志が修行しているので現在は襲撃任務など簡単なものばかりに。何でも「こりゃ化けるぜこの二人」ということでみっちりしごくとか。あのサイコガンの部隊員と一緒に。
「それで、私は紅さんと。小太郎君と蛇子さんは紫さんと拳志をつけてのグループでこの祭りに潜入。少しでも相手の手口や情報を探ることとなります。・・・危険な任務、相手の正体も分からない煙をつかむようなものです。辞退も問題ありません」
最悪私が行けばいいですしね。肉体がまだ16のままですし。・・・あれ? 教え子に肉体年齢も抜かれるかも・・・・? いや、抜かれているのか・・・複雑です。
「私は参加します。先生の補佐。どこまでできるかはわからないが・・・お願いします」
「俺もだ。忍術が使えないけど、その分相手が油断できれば蛇子との連携と紫先生、拳志さんなら利用してくれるさ」
「もちろん蛇子も参加します。せっかくの楽しいお祭りを利用されるのは嫌だし、お菓子もおいしくなくなっちゃうからね」
決意を固めた紅さんに笑う小太郎君。おどけて冗談を飛ばす蛇子さん。ふむ。目の奥の戦意も良し。小太郎君と紅さんはヨミハラでの経験での我慢もできれば蛇子さんはそこのブレーキもいい。よし。
「では、任務を言い渡します。今から一週間後の東京キングダムのハロウィンパレードに潜入。情報収集を開始すること。隊長を華奈として任務にあたり、情報を持ち帰ることを第一とするように」
「了解しました。アサギさん。ではこれで一度解散し、準備に当たらせてもらいます」
「よろしい。この任務中の情報端末と通信機はここに。任務のデータも入っているので目を通すように」
アサギさんからみなが情報端末を受け取ってその場は解散。さてさて・・・
「紅さん。早速ですが、少し準備をしませんか?」
「準備ですか? でも、まだ祭りの会場も出来ていないようですし・・・何を?」
こてんと小首をかしげる紅さん。ああ、実際、下手に今はうごけはしないですからねえ。でもまあ、潜入するわけですので。
「いやぁ。ハロウィンでしょう? つまりは仮装するわけでして。そのための衣装、必要でしょう?」
「・・・あ。確かに。では早速備品課とかから用意を・・・」
「うふふ。それもいいのですが、それだと下手すれば気づかれかねないでしょう?」
何せノマドや米連、中華連合すらもだまくらかす相手。下手に最新鋭の素材を表に出した変装など逆に見破りそうですから。今回は遊びつつもまじめにという感じがきっといいはず。
「むぅ・・・ですが、それだと防御や備えが・・・」
「ですので、市販のものの裏地にそれらを用意して、素材の面からもばれにくくするのですよ。そして、っふふ♪ 今はちょうどそのハロウィンの季節、仮装の小道具や衣装は街に行けばたくさん。どうです? 明日の休日にでもいっしょに買い出しにでも」
「なるほど。それはいいですね! それならいろいろ自分でのアレンジもできますし、やりやすいものができるかも。了解です。では、蛇子たちも誘って」
「ああ、そこはすでに小太郎君と一緒に行くようですので、紅さんは私と。いいですか?」
「はい。テストも終わり、明日も任務も無し。予定も特になかったのでお願いします」
いい返事を貰えたので明日の9時半に学校前でと待ち合わせの約束をして、一度解散。私も私で用意をしないとですからね。さてさて・・・予算とか・・・はまあ気にしないでいいくらいお金はありますが、うーん・・・何を仕込めるようにしましょうか・・・あ、あと移動手段は・・・
「・・・あれ? 蛇子たちは別行動で動く、私と先生だけ・・・任務の・・・だけど衣装の買い出しに二人きり・・・・・・・・これ・・・・ここここここっこ、これ・・・・デート・・・?」
このことに気づいた紅。しばし悶絶し、柱にもたれかかって真っ赤な顔で何かをうめいていたそうな。
「えっと・・・これでもない・・・これは・・・地味すぎる・・・・・下着とかも・・・うぅぅ・・・先生だしなあ・・・」
「紅様。如何なさいましたか?」
夜。心願寺邸宅の紅の自室でクローゼットやタンスを引っ張り出してあれでもないこれでもないと何着も何着も衣装をとっかえひっかえ、鏡の前でかれこれ2時間ほど一人ファッションショーを悩ましい表情で行っている紅にあやめもさすがに不思議に思い、思わず声をかける。
晩御飯の時からどこか上の空。同じ任務に就いてからというもの。ずっとこの調子でさすがに従者かつ紅ラブなあやめも心配になるというもの。華奈も学生は最悪外すことも視野に入れてるのでそれを打診も考えていたのだが
「あ、あやめか・・・いや・・・その・・・明日は先生と買い物に出かけるからな・・・少し、どんな服装がいいか悩んでいた・・・」
「そうですかそうですか。そういえば華奈さんと紅さんはペア・・・ぺぁ・・・・つまり、デート・・・?」
「ちちち、違う! 任務のための用意だ! だ、だがそのための出かけるための用意・・・どうしたものかと・・・」
違う違うと手を振って否定する紅だが、その様子がすでに雄弁に物語っているというもの。華奈も明日は完全オフだと聞いているので、おおよそパレードの中に潜入することや今回の相手が相手ゆえに緊張をほぐそうという華奈の配慮だとは思う。けど、紅からすれば敬愛、そして愛している恩師、姉替わりの人物からの誘い。意識しているのだろう。
これにはあやめも思わず渋面を浮かべる。紅は自分が愛している、けれど同時にその紅と自分を救い、失敗するはずの任務を成功させ、それ以降も紅を害そうとする連中を始末し、つねに心願寺のみならずふうまの復活にも尽力した華奈だ。自分にとっても恩人。そして、紅に負けないほどに欲しいと思っている相手。
愛する女性二人同士での買い物という何とも背中を押したいが押したくもない複雑な感情を殺しながら、また自分の世界に入って衣装探しを続ける紅の様子を見る。
(下着まで念入りに選んで・・・ああ・・・本当にもう・・・でも、楽しそうな紅様の笑顔が素敵で・・ああ・・・)
「・・・よし! これだ! これにするぞ! もうなんかどれがいいかわからなくなる前に決めておこう! あやめ、ありがとう。それと任務の時はまた援護射撃よろしく」
「え? は、はい! このあやめ命をかけて紅様の援護射撃、そして周りへの目を光らせておきますゆえに!」
結局、どう切り出そうかと悩んでいた間に準備を終えた紅が感謝の握手をし、半ば混乱状態のあやめはそれに笑顔で握り返してその手の感触を味わうことしかできなかった。
「ふんふふーん♪ おや、紅さーん。早いですねえ。まだ10分前ですよ? そして綺麗ですね」
「華奈先生こそ、早いですね。そして・・・先生もきれいですよ」
さてさて、買い出しの日になりましたが、今回は車で移動することになったのでセーフハウスの一つ、通称武器庫から車を一台引っ張り出して紅さんと五車学園の校門前で合流。紅さんは胸元を少し晒した灰色セーターに猫の模様が入った赤のジャンパー、ホットパンツに膝のすぐ下まであるブーツとかわいらしくもきれいな装い。紅さんは細身ながら鍛えているゆえに足のラインもメリハリがありつつ細いですからおみ足が生えること映えること。
私は白の肩だしと胸を少し見せるケーブルニットに赤のロングスカート、黒のパンストにロングブーツ。サファイアを入れた銀のネックレスも用意しましたがにあっているとよいのですが。紅さんはぼっとしていますが大丈夫でしょうかね? おーい
「え、あ、ああ。では、早速行きましょう。どこに行くのです?」
「んー東京の六本木や原宿、そこら辺をゆるりと回ろうかと。車はセーフハウスなり知り合いのところに預ければいいですし」
紅さんが乗り込んだのを確認して早速発進。流石は普段は相手の索敵範囲から逃げたり火器をぶっ放して応戦するために改造されている車。いい馬力です。
「~♪ ~~♡」
「先生。案外運転とか大好きなのですか?」
「え? うーん。そうですね。わりと。のんびり田舎の道を走らせたり、誰かとドライブしたりしていましたよ」
まあ、教師と対魔忍、諜報部隊の隊長してからは満足にできず、出来ても任務を終えての逃走とかですから碌なものではないですしね。それに爽快感も少し物足りない。
「これが今日は紅さんと一緒にできるので、私も内心すっごくわくわくしていたんです。うふふ。任務のための準備ですのに、少し不謹慎ですかね?」
「そんなことは! わ、私もすごく楽しみで・・・その、嬉しかったです・・・から・・・」
顔を真っ赤にしちゃった紅さん。でも、嬉しそうでよかったです。いつもまじめで頑張る紅さんですから必要以上に気負っていないか心配でしたし。用意していたジュースを渡して、音楽を流しながら車を走らせつつ楽しく会話をしつつ到着。
知り合いの店にとめさせてもらい、早速町中に繰り出す・・・のはいいですが・・・うーん? 視線が・・・多い?
紅さんでしょうかねえ。美人ですし。最悪用意していた私服警官の身分を用意して切り抜けたり、縮地も使うことを考慮しながら大型のデパートに。それになんだかあやめさんも近くにいるようですし、買い出しか、それとも護衛か。匂いも近いですし問題ないでしょう。この店、コスプレ用品も扱っている店があるのでチェックしてたんですよね。
「えーと・・・うーん・・・やはりシンプルに魔術師の格好がいいですよね・・・で・・・ローブ・・・」
私の場合武器も多めに使いますし、とりあえずはディアンドルを基調に上からローブを羽織って魔術師風に。杖は少し大きめのものを選んで、そこに仕込み刀と銃。探知機の類を仕込んで・・・刀は・・・忍者刀を腰に履くくらいでしょうか・・・? 太刀は・・・出来ても1振りですね。
ローブは厚手の黒。革のかけらや同じ布をいくつか用意して内ポケット、そこに予備のマガジンも仕込めればいいですし・・・小太郎君と暴れることも想定してあちらの予備のマガジンも杖とここで4つの計2セットでいいでしょう。よし。私はこれでいいですか。
「せ、先生! どうだろうか・・・?」
「・・・・・すっごく奇麗ですよ。紅さん。これは誰もが魅了される夜のお姫様です」
「いぃい、言いすぎですよ!?」
「何をおっしゃいますか。女の店員さんでも見ほれるほどですよ? うふふ。魔術師の私が側を固めますゆえにお嬢様は安心して私の手を握ってくださいね?」
紅さんも衣装選びを終わったらしく見てみれば、いつもの白いリボンではなく黒のこうもりを思わせるリボンで神をツインテールに結い上げ、首には黒のチョーカー。胸元にはジャック・オー・ランタンをモチーフにしたリボンをつけ、黒と赤のマントに黒の長手袋、そしてまあ胸元を大胆に見せる衣装。なんだかピエロと吸血鬼を足して割ったような煽情的ですらある衣装に色合いも赤と黒とオレンジとハロウィンらしいもの。
なるほどこれならまあ問題はないでしょうねえ。似合っていますしウィンクを飛ばして私と服選びをしていた女性店員さんも見惚れているようですし。
・・・ただまあ、さすがに武器を隠せないので私のローブとおそろいの布でさらに上から羽織るマントを用意してもらい、同じものだと後で一緒の刺繍をしてあげました。白猫の絵を刺繍したら喜んでくれましたしよかったよかった。なんだかあっさりとですが決まったので衣装を買い込み、時間が予想以上に早かったのでその後は自由行動。
映画を見たり
「いやぁ・・・まさかあそこからゴ〇ラに成長するとは予想外でしたよ・・・パンフレットも買ったかいがありました・・・」
「そうえいば、ヤシオリ作戦って由来は神話ですよね?」
「ええ、そうですね。おそらくはヤマタノオロチ伝説でしょう。人が酒、薬や知恵を活かして巨大な神、荒魂を倒す。初代ゴジ〇も製作スタッフは皆が荒魂、もしくは荒ぶる神をイメージしたそうですし、現代風のゴジ〇を再現する際の意識の表れかもです」
「・・・なんにせよ面白かったあー・・・小太郎と骸佐にあとでこのメダルもくれてやろっと」
本を探したり
「はいはい・・・あった! 最新刊とスピンオフ。ほうほう。ならばそれぞれ2冊買って・・・・・あ、静流さん? 不知火さんが料理の本を欲しいと。ふむ。了解です。それも一緒に」
「えーっと・・・よし。この小説、読みやすいから好きなんだよね。あ、新作の転生もの・・・これ、面白そう・・・後でゆきかぜと読もう。好きそうだし、修行の息抜きにもなるかもだし」
ご飯を食べたり
「・・・なにこれ!? ウナギってこんなにおいしいの!!?」
「うふふ。すごいでしょう? 料理人の技量も米もたれも何もかもが最高級。ここの大将だからこそできるのですよ。大将。これをまむしで持ち帰りを」
「え? で、でも先生・・・ここ、老舗で持ち帰りは書いてな・・・」
「大丈夫ですよ♪ 私とここの大将は先代も含めてかれこれ10年の付き合いですから。ありがとうございます。お代はこれと。チップです。ふふ。いつもありがとうございます。では、今日はこれで」
「え、あ!? おお、お邪魔しました!」
そして帰宅。
久しぶりに好き勝手した、自由な時間でしたよ。そうこうしていたらもう夜。紅さんもいろいろ一緒にはしゃいだので疲れたかすっかり助手席で夢の中。うふふ・・・可愛い寝顔。こっそり写真を撮ってあやめさんにもお裾分け。一日中警護有難うございました。と心の中で。
「・・・必ず、かえってまた遊びましょうね。紅さん」
子供たちを誘拐する相手・・・紅さんも狙うでしょうし、任務に組み込んだ私は必ずこの子を返してあげないとですね。こんなに優しくて明るいいい子ですも。ハロウィンで現れた悪霊か悪魔か、はたまた魔族か。渡すにはもったいなさすぎるほどの宝です。
この後あやめさんを家に送り届けたところで小太郎君たちからも連絡が届き無事に帰宅できた模様。小太郎君は武器を隠しつつごまかしもききやすいとミイラ男と厚着をチョイス。蛇子さんはそのフォローと武器を隠すためにピエロ、大道芸人としての仮装を選択していました。いやあ、ぴったりでしたしほんとこういう任務がなければ次は教え子皆で仮装してハロウィンで子供たちと悪戯合戦をまたやらないか提案しましょうかね?
うちの部隊はみなノリノリでやってくれるでしょうし。そのためにも、この任務は無事成功させないと。あ、あと不知火さんのお誘いがありましたがそこはとりあえずどうにかこうにか鎮圧。亡くなった旦那様に申し訳が立ちませんよええ・・・
ハロウィン編スタート。枕草子にはマジでこんな感じの話があるから面白い。
紅の衣装はハロウィンのあの衣装まんまと思ってくだされば幸いです。
華奈って苦労人気質がなければ対魔忍の中でも屈指の道化、もしくはトラブルメーカー扱いされるでしょうね。そしてその騒ぎ、起こすイベントは大体裏表ないもの、シンプルに楽しむものが多く、裏があっても互いの利益になるのでアサギも朧もノリノリで付き合ってくれます。自身のガス抜きも含めて。
この時点で元ネタに気づく人がどれほどいるか少し不安です。とりあえず、この話含めて3話構成になりそうです。どうぞ生暖かい目で見てくれたら幸いです。