こちら対魔忍特別諜報室   作:零課

18 / 82
拳志「なんじゃこりゃ? いつからハロウィンはキングオブポップスの名曲の舞台になったんだ?」


華奈「もしくはキョンシーですか? やれやれ。どっちにしろこの日にこんなものを見るのは運がいいのか何なのか」


紅「皆が夢遊病のように・・・でも、大人は確かに少ない・・・?」


蛇子「いるっちゃあいるけど・・・うーん・・・」


小太郎「しかし、夢遊病にしては何で船が動くんだ? 買収されていたわけじゃない・・・いや、ありえたとしても、この人数をどこに隠すんだよ」


あやめ「いくつか集合しているポイントを割り出しました。静流さんは睡眠用や麻痺の植物の毒を出していますが、数が数です。早急な対応をお願いします。此方は・・・支援射撃とほかのメンバーとできる限り市民を無力化することに尽力します」


華奈「この際に東京キングダムの無法者たちも誘拐を狙うでしょうし、そこの対応に静流さんたちを当ててください。あれには私たちで当たります。それと、アサギさんに船の制圧と停止の部隊を向けるように。電車も同様です」


紫「私は静流とあやめの護衛を行う。華奈、拳志。情報を手にするだけでいい。深く入るのなら連絡を忘れるなよ」


華奈「もちろん」


拳志「アイアイサー」


不可思議ハロウィン 後編

 まさかゾンビ映画化キョンシーか。そんなものを見ることになるとは予想外すぎる光景です。皆が皆夢遊病のようにふらふら・・・声をかけても変化はなし・・・それと・・・甘い香り・・・うーん・・・マスクをしつつ移動して辺りを探りましょう・・・

 

 

 『先生~! 蛇子と小太郎、拳志さんはあっちを』

 

 

 『信号弾は用意しています』

 

 

 『俺の忍術が役立つかは不明だがちいと行ってくるぜ』

 

 

 先ほどの通りにメンバーを分け、今回は紫さんが小太郎君たちから離れて東京キングダムの連中をけん制するほうに移動。とりあえず、より撤退のラインを甘くしておくようには行っておきましたし、原因を探れればいいのですが・・・

 

 

 『先生・・・飴だけでは・・・』

 

 

 『ええ・・・これ以外にも何か仕掛けがある・・・マスクはしていますし・・・匂いにも甘い以外では・・・むぅ・・・』

 

 

 チカチカと光るすっかり祭りの時と比べたら寂しい街の光が暗さを引き立てて不気味です。いつもならメインゲートやその周辺も常に明かりがまぶしいほどですが、嫌に静か。あやめさんに教えてもらった場所に移動してみれば確かに甘い香りと、どこに隠していたのかが不思議なほどの魔族の気が。

 

 

 匂いも甘い香りが強いですし、でもマスク越しとはいえ毒や薬品の気配もない。甘い香りが漂う東京キングダムで夢遊病のようになった人々がどこかに移動する。不気味なものです。

 

 

 そして、同時に人々が入っていく建物の近くの影に到着。隠れつつ様子を見ても見張りの魔族もカメラもない。あちらから歩いてくれるので下手に人手を割かないのでしょうか。兎にも角にも、この中に何かがある。それだけは確かですし、この人々を救うためにはこちらも飛び込む必要が出てくるということ。

 

 

 『・・・私が入ります。拳志に連絡を入れた後に、私が突入して5分後に紅さんも来てください。それと・・・紫さんもですね』

 

 

 『先生、無茶は駄目だと・・・』

 

 

 『そうですが、どうにもこれを止めないと相手が逃げるかもですし・・・アサギ校長の増援が来てからにしましょう。その後に突入。それでいいですか?』

 

 

 『はい。先生も焦っているかもですが、相手は依然不明ですから』

 

 

 私が諭される側に回るとは。成長しましたねえ。紅さん。しかしまあ、みんなハロウィンの仮装で来ましたけどこれ、そのまま使えませんかね? 店で売っていたものの裏地に防弾、防刃の布に仕込み武器を多数。重さも程よくしてありますし。私の場合はディアンドルですから使え・・・いや、やめますか。潜入に向きません。いっそさくらさんや静流さんの晩酌の際にでも使いましょうかねえ。

 

 

 かれこれ様子を見ながら数分後。アサギさんの用意してくれた増援が来てくれてうちの部隊が動かせるようになったのでスイッチを入れて早速突入。

 

 

 人々が入っていた建物に警戒をしつつはいると地下室に。カツン、カツンと皆の靴音や私も足音を殺しているはずなのによく響く。少し進んで・・・大体4メートルほどの地下に入り込んだあたりでしょうか? そこで目に入ったものには思わずわが目を疑いました。

 

 

 廃人のような目をして真っ白な顔の子供たちが何名も何名もその場に立ち尽くし、あるいはふらつく。大人たちは別のほうで檻の中。地下室の模様もハロウィンをイメージしているものかつすごく広いせいでまるで墓場をさまよう子供たちの悪霊とそれの贄となる大人たちという光景。

 

 

 「これは・・・・・・」

 

 

 「抜け殻と、私の商品よ? とれたて新鮮な。ね?」

 

 

 「っっっ!?!」

 

 

 後ろから聞こえてきた聞きなれない声と魔族の気配に飛びのいてみると、いつの間にか立っていた一人の女性。水色がかった白い髪を二つに分け、ツインテ縦巻きロールにしたオレンジと黒を基調にした衣装が特徴の女性。まあ、美女ですし、メリハリのあるスタイルですが、同時に感じる気配は準神話級のものを感じます。間違いなく、強く、面倒くさい。

 

 

 そしてまあ、のっぴきならない言葉が。商品? 抜け殻?

 

 

 「貴女がこの事件の主犯ですか・・・名前は? 私は・・・地獄の番犬とでもいいましょうか」

 

 

 「ふふふ。丁寧に名乗りどうも♡ 私はギラミューエルン・ボールス。長いからギランボでいいわよ。夢魔で、そうねえ。ええ。子供たちの夢を有効活用して、ごみを商品としてリサイクルしている商売人よ」

 

 

 「その商品は大人・・・そして私たちのような追跡した兵士たち・・・子供の夢の有効活用・・・?」

 

 

 紅さんと時間を稼ぎつつ拳志やほかのメンバーと連携して戦おうと時間を稼ぐためにしばしの会話と情報収集。あちらもよほど自信があるのか備えがあるのか、警戒をまるでせずに楽しそうに語らいます。

 

 

 「ええ。だって子供たちは大人になる過程で夢もおもちゃのように捨てて、欲望に切り替わって明るい輝きも腐るでしょ? だから、そうなる前に私のエネルギーにして糧にするの。それと。商品は女は娼婦やおもちゃ。男なら奴隷に食品に兵士。男女でもそっちの対魔忍や米連の兵士たちみたいなら使えるのなら高値であちこちに売りつつ、パイプをつなげるわ。どうせ大したこともできない奴らが魔族や金持ちの役に立つのだもの。有意義でしょう? 地獄の番犬さん・・・いえ? アサギの秘書。船坂華奈?」

 

 

 「ぐぁっ!? ぐ・・うぅ・・・」

 

 

 言うが早いか、腕に装備していた装甲部分の突起物で殴りつけてくるギランボ。力もそうですが、同時に私のほうが力が入らない。というよりも、感覚が重い。いくら敵地とはいえガスの警戒をしていたし、それも無かった。だというのに、紫さんとの組み手で多少のパワーの差ならいなせるのにそれが出来ずに吹き飛ばされてしまう。

 

 

 たやすく接近を許したことといい。何かがおかしい。

 

 

 「貴女を見た時、驚いたわ。大人なんてどれもこれもが腐った夢を持つ。食えたものじゃないわ。けどね。あの金髪の・・・ブラックの娘だったかしら? その隣でいた貴女はなんというか・・・こう。そう、この国のナットーかしら? いい感じに腐って、おいしそうな味を持っているように感じた・・・発酵していて。こんな夢を持つ大人を見たのは初めて・・・だからね」

 

 

 その後も両腕の鎧や拳闘を組み合わせた格闘で私に殴りかかってくるギランボ。いなし、受け流しがうまくいかず、ぶつかるたびに吹き飛ばされ、傷が増えてしまう。おかしい。技量ならイングリットやほかのメンバーよりも下。パワーはあるけどそれも対応できる重さのはず。だというのに、手がしびれ、防戦一方のまま。

 

 

 「情報ぜーんぶ引き出して、利用した上で貴女の夢を抜いて、私のペットか、ブラックにでも売りつけてあげる・・・わっ!」

 

 

 「ごほっ! ぐぶ・・・ち・・ぐっ・・・あぶ・・・お・・・」

 

 

 私の両手をつかんで強烈な前蹴りで私の腹部を蹴り飛ばし、壁にたたきつけるギランボ。ああ、もう。おなかから血の味がせりあがる感覚が久しぶり・・・この壁の模様のかぼちゃランタンの模様の月があざ笑うように見えてなんだか悔しいです。

 

 

 「さてと・・・そろそろ・・・ああ、抵抗は無駄よ? 町中に催眠効果、サブリミナル効果のあるライトを仕込んだもの。私を探しながら町中を、ライトを見続けた貴女はいま、自分で自分の力も技量も無意識にセーブしているの。変に動かせば神経が焼き切れるから。馬鹿よねえ。甘い香りも魔の気配も私の魔力を仕込んでいるから探しに来た奴ほどこれに引っかかるんだから。薬に気づいたしすぐさまここに来たのは及第点だけど、一人で来たのは駄目よ」

 

 

 私のほほに手を添え、拘束具を持ち出していくギランボ。私を拘束してさっさとここを出るつもりなんでしょうね。でもまあ。これで種はわかりましたし。時間です。

 

 

 「神眼剣! 川蝉!!」

 

 

 「きゃっ!? ち・・・紅か!」

 

 

 「先生!? ご無事・・・血が!」

 

 

 二つの剣閃が鳴り響いたと思えば私の力の感覚が戻り、そしてギランボのいた場所に飛ぶ斬撃。紅さんの突入の時間に間に合ったようで、彼女のもつ邪眼。あらゆる存在を見極める神眼にたゆまず磨き続けてきた剣技を合わせた奥義。私の概念斬りを再現し、その威力で私にかかっていた催眠と魔力での拘束を解除。

 

 

 ふぅ・・・力に刀を握る感覚が戻った・・・さっきは催眠を斬ろうとするための技量も力も封殺されていましたから本当に助かりました。

 

 

 「大丈夫です。こほっ・・・油断しないでください。相手は夢魔・・・とはいえ。力量も相当です」

 

 

 「ええ・・・先生が血を吐くなんてあの動揺した時以外初めてですから・・・ギランボ。貴様を殺す・・・!」

 

 

 「あーあー・・・ブラックの娘なんて厄ネタ。手元においても意味ないからなあ。あとで適当な場所に転がすか・・・いや、捨て子なら高く売れるか。それと、やってみなさいな」

 

 

 あちらもどうやら本腰を入れ始めたようでいくつも自身の分身を作り出し、部屋中のライトが怪しく輝きだす。あっという間に私たちをギランボが取り囲み、水色の目をぎらつかせながらあざ笑う。

 

 

 「絶技・旋風陣・剛!」

 

 

 「はい甘い甘い。台風の目が弱点でしょ?」

 

 

 即座に紅さんも旋風陣を使い応戦。しますが分身たちも即座に距離を取り、本体らしきギランボは天井にジャンプしてから天井を蹴って技の発動元。紅さんの頭上から頭を叩き潰そうと拳を振るう。まあ、それは正解なんですがね。私と紅さんならそれも対応済み。

 

 

 「ギザミ斬り」

 

 

 「シッ!」

 

 

 私の蟹の鋏を思わせる大小の斬撃と紅さんは即座に身体を軽く横にして上から迫ってくるギランボの拳を斬り捨てようと刀を振るう。けどギランボもとっさに腕を曲げて装甲で攻撃を防いでまた距離を取る。

 

 

 「だめか・・・でも」

 

 

 「対応済みですが?」

 

 

 どうせ旋風陣の威力故に一瞬ふさがる視界と自分の攻撃で意識が別に向いているうちに分身で攻撃。なんてことなんでしょうけどもこちらも旋風陣の合間を縫って刺突の斬撃を飛ばして分身には対応済み。大技を利用するというのはやはり同じですねえ。

 

 

 「ああ、もうやりづらい。じゃ、次はこれよ」

 

 

 そういうと今度は自分の手足に使っていた世界各国の兵士、魔族たちの混成部隊が奥からぞろぞろと出てくる。困ったことにその中には警備員、警察官など一応は表の世界の民間人も。魔族や兵士なら容赦なくいけるのですが民間人は・・・紅さんはやりづらいでしょうし私が対応しつつ。どうにか紅さんの援護を・・・

 

 

 「タコタコスラッシュ!!」

 

 

 「ちわーっす。違法建築解体業者でーす!!」

 

 

 「先生、紅! 無事か!?」

 

 

 「ちっ、雑兵どもは私たちが食い止める! 拳志、小太郎、蛇子はそいつを仕留めとけ!」

 

 

 ようやく拳志たちも天井をぶち抜いて参加。紫さんは即座にウチの諜報部隊と一緒に廃人、洗脳されている操り人形状態の兵士たちを食い止め、小太郎君、蛇子さんは加勢。拳志は少し離れた場所で何かを開始。

 

 

 「ああ! もう! 何なのよ!? ここまで動きの速い相手は初めてよ! ますます面倒じゃないの!?」

 

 

 「私たちと先生を舐めた結果だギランボ! 蛇子! 私と合わせろ。あれをやるぞ!」

 

 

 「りょーかい!」

 

 

 「小太郎君。私と動きましょう」

 

 

 「了解。二人の援護ですね」

 

 

 互いにペアを入れかえ、私と小太郎君でギランボの分身を対応。紅さんと蛇子さんでギランボの本体と思わしきものを狙う。

 

 

 「「「「「やれるものならやってみなさいよ!!!」」」」」

 

 

 さらに分身の数を増やし、魔族らしいぎらついた瞳と腕の装甲を伸ばして刺突のできるとげに変えて手に武装したギランボが一斉に襲い掛かる。昔美女が増えて周りを取り囲む光景を某忍者漫画で見ましたが、ダメですね。迫力と異質さが先行して何というか楽しめない。笑えない。

 

 

 分身を小太郎君が銃弾で打ち抜き、私の斬撃を飛ばすことでフォロー。近接戦も私や剣豪組で鍛え上げた小太郎君なら相手のパワーが上でも問題なくいなせるほどに上達。時に二丁拳銃。必要なら剣を抜いていなしてその隙を私が狙う。

 

 

 分身とはいえそれでも鬼武者、波の生物兵器のそれではない実力故に分身を相手しつつ小太郎君のフォローをするので少し忙しい。まあ、問題はなさそうですが。

 

 

 「ほらほら、ここっだよーそれ!!」

 

 

 「ハアッ!!」

 

 

 「ぐっ・・・ふぎっ!? ・・・くそ」

 

 

 たこ足を活かした天井も壁も活かした部屋の中とは思えないほどの自由自在な場所から攻撃、その攻撃も最大30メートルまで伸びる射程範囲と少し大きめの忍者刀。自身の持つ忍者刀を活かした蛇子さんの動きでギランボを翻弄し、そこに持ち前のパワーとスピード。風遁と剣技を活かした強烈な斬撃で少しでも蛇子さんに意識が向けば首を落とさんと襲い掛かる紅さん。

 

 

 「ぬあぁあっ!!!」

 

 

 「はーずれっ。たこ足シュート!!」

 

 

 「鬼車!!」

 

 

 たこ足が伸縮自在ならと最大射程まで足を延ばして吸盤を張り付け、伸縮させることですさまじい移動速度。そして忍者刀をとんでもない速度で振るうことでギランボの膂力すらも凌駕する攻撃の数々。一度足のサイズまで縮めた足を一気に最大射程まで伸ばして放つ刺突。紅さんの放つ円環の斬撃を同時に受けて吹き飛ばされるギランボ。

 

 

 いくつも裂傷を既に受けており、二人の連携を崩せないことに大層いら立っているようで。

 

 

 「っ。小太郎君!」

 

 

 「先生、俺はそっちを!」

 

 

 これを打開しようと分身を向かわせようとしたギランボへ小太郎君が即座に突っ込んで銃剣で食い止め、足払いからの水面蹴りで転ばせ、空になったマガジンを投げ飛ばして紫さんの背後を取ろうとした兵士たちのうなじを切り裂く。あのマガジン。尻底も刃がついているのでこうして武器に使えるんですよねえ。

 

 

 私は私で空き始めた別の収容所の扉を斬撃で壊し、逃げ道と増援の入り口を封鎖。

 

 

 相手もさすがに私と紅さん以外の増援が早いことに加えてその質の高さまでは計り間違えていたようで。先ほどまでの余裕がなくなり始めている。

 

 

 今度は何やらスイッチを手に持ち、ボタンを押そうとしている。おそらくは町中に仕込んだ催眠のライトなんでしょうけども・・・まあ、大丈夫ですね。

 

 

 蛇子さんと紅さんに問題ないとアイコンタクトで合図し、二人とも持ちうる最大限の攻撃を放つ準備を始めた。

 

 

 「一度逃げたほうがいいかなあー・・・じゃ。これで・・・・あれ・・・・あれ・・・?」

 

 

 「ああーただいま悪趣味なライトは撤去しました。代わりにこちらをどうぞ」

 

 

 「!?!? あの猿顔の・・・なっまぶしっ・・・!?」

 

 

 「これ、で・・・っ! フッ!」

 

 

 「行け! 蛇子! 紅!!」

 

 

 ギランボがライトをつけようとしたところに響く拳志の声。と、その直後に目を潰すほどの強烈な光が部屋中に隠されたライトから数秒間照射され、ギランボの視界を潰す。

 

 

 私たちは拳志の行動を予測し、ついでにこの声で何をやるかを確信したので目をつぶり、その後に私がまずギランボを一本背負いの要領で小太郎君たちが壊して地上と吹き抜けになった穴に向けてぶん投げる。そこに私の飛ぶ斬撃の刺突を放ち、小太郎君の銃弾と共にギランボの腕や手の装甲の隙間や関節を潰し、足も壊して動きを封じる。もはやギランボは上空で動きが出来ず、ダメージにひるんだ状態。

 

 

 「ツインタコスラッシュ・ハイパー!!!」

 

 

 「黒縄・颪!!!」

 

 

 そこに振るわれるのは蛇子さんと紅さんの必殺技。蛇子さんはたこ足を一気に最大限まで伸ばし、その反動を活かして二つの足に持たせている刀を振るう攻撃。人間が持つ手持ちの近接武器で普通の人間でも鍛錬を積めばソニックブームを出すことが出来る武器が鞭。これを対魔忍が、しかも30メートルの長さのしなりと何十倍の重量を文字通りの手足として扱う。更には手の数倍の筋力を持つ足で先端には太刀ほどの大きさの忍者刀を振るうのだ。

 

 

 超特大の巨人が扱うような巨大な刃付きの鞭から振るわれる二つの巨大な斬撃は紅さんは愚か私でも早々出せないほどの強力な斬撃を放つ。教え子の中でも剣術の攻撃力でいえばダントツの一撃。

 

 

 そして紅さんは一気に多数を屠る全包囲攻撃の旋風陣の攻撃を収束し、方向性を定めて放つ無数の斬撃の津波を放つ。大小さまざまな斬撃が縫い目のないほどに密集し、荒れ狂いながら一直線に襲う死の刃の魚群がギランボに殺到。

 

 

 一つの攻撃だけでも魔獣ベヒモスや多脚戦車Tempesutを殺し、壊し尽くしておつりがたくさん出るほどの二つの攻撃はギランボに命中。とんでもない風切り音の嵐と悲鳴。その斬撃の余波は遠くの東京キングダムの裏社会の会社が集まる高層ビルまで吹き飛ばした。

 

 

 「うわぁ・・・相変わらず、とんでもない威力ですね・・・生きている!?」

 

 

 「ちっ! とどめを!」

 

 

 あの二つの攻撃を貰って床にたたきつけられたギランボですが準神話級の相手。まだ息があるらしく急いで私と小太郎君で攻撃を仕掛けます。が。

 

 

 「げほっ・・・ゲぐほ・・・まだ、まだぁ・・・」

 

 

 分身をとっさに出し、傀儡の兵士たちを盾にして攻撃を塞いだかと思えばまだ仕掛けてあった落とし穴に自ら落ちていく。

 

 

 「今回は私の負け・・・ここも好きにすればいいわ・・・ふふ・・・ここに来た皆高く売りつけられるだろうし、今度はうまくやる・・・じゃあねー・・・ぶふっ・・・ごお・・・」

 

 

 水音がしたりする当たり東京キングダムの下水道から逃げていった様子。追いかけたいですが、落とし穴にすらも仕掛けがあるので下手撃てないですし、民間人や傀儡の兵士たちを抑えなければいけないので追跡も難しい。匂いも仕掛けのせいで落とし穴より先は私も鼻で追えませんし・・・

 

 

 「ふぅ・・・民間人の避難と廃人になっていた子供たちも回復した・・・眠っているがな。船も制圧したようだ。華奈、みんな。とりあえず・・・任務成功だ」

 

 

 いつの間にやら敵兵を抑えるどころか民間人も避難させ、動いていた紫さんが戻ってきたことでようやくみんな一息。敵には逃げられましたが手口や情報を得るという目的は達成。民間人や誘拐されていた人、行方不明者もみんな船で運びつつ、ギランボの拠点から漁れるだけ物を漁ってから帰還。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんですかこれ・・・本当にえげつない・・・・・」

 

 

 「早めに知れてよかったですね。先生・・・」

 

 

 この後別荘でギランボの持つ情報端末やパソコン、もろもろの道具を調べたことで分かったことですがギランボはいわば奴隷や情報などのブローカーであり。夢魔でありながら肉体能力の強さと夢への干渉が出来なかったようです。

 

 

 あの飴も食べた相手の胃液や粘膜に反応して脳が眠った後に動くようにし、あのハロウィンイベントの町中のライトにわからないほど細かに催眠効果のあるライトとが出る部品を仕込み、更には町中で流れていたBGMにも同様の効果が出るものが仕込まれ。飴を舐めて、イベントのライトを一定時間以上みた、音楽を聴いた相手は眠った後に特定の時間の後に夢遊病の状態になって東京キングダムに向かうように仕向けていたそうです。

 

 

 そして私たちのような諜報部隊、探りに来た兵士たちはすぐにその子供や大人の集合場所に気づき、探るだろうっということでライトやBGMに仕込まれているもう一つの効果で甘い香りや部屋にかすかに流した魔力を感知した時点で自分の力を抑制するように暗示が出来るように仕組むことで米連、ノマドを問わず実力者たちを抑え込み、販売。その際にそれをサービスしたり手土産にすることで商売先の相手の事情も探り、金を手にしつつ情報を手にして方々で活動。

 

 

 ノマドも利用するほどの相手だったようで相当に情報対策、防諜がうまいのかなんとノマドの幹部レベルを誘拐しつつそれを手引きして売ったのが今までばれなかったほどなそうで。

 

 

 立ち回りのうまさと知恵の創意工夫で今までの誘拐も成功し、私腹を肥やしつつも新たな市場を求めて人間界に数年前から出没。ちょっとした情報屋として世界各国でもいくつもの偽名で現れ、汚れ仕事の鉄砲玉や娼婦、少年兵を売りつけていたようです。

 

 

 こんな怪物に手傷を負わせ、しばらくは動けないようにできたことや今後はこの手段への対策が取れることに一息つき、報告書は明日に回すことにして端末と資料をまとめておく。いい加減疲れました・・・ダメージは抜けましたが、さすがに・・・一応検査のために後で病院ですし。

 

 

 「ふぅ。もう休みましょうか・・・紅さん。こんなハロウィンに一緒に戦ってくれてありがとうございます。かっこよかったですよ♪」

 

 

 「はい・・・あ、先生。まだ、ハロウィンは続いていますよね?」

 

 

 うーん? まあ、まだ丑三つ時から少し過ぎた時間。夜明けをタイムリミットとすればまだでしょうか? というよりも紅さんはどうしたのでしょう。何やらほほが赤いですが、戦いの興奮が抜けませんかね。

 

 

 「おそらくは?」

 

 

 「な、なら・・・・と、トリックオアトリート・・・!」

 

 

 「はえ? っふふ。なるほど。確かに今年は私からはまだ。では・・・・あら? あら・・・ら?」

 

 

 思わぬサプライズにお菓子を探すも、無い。あ・・・しまった。ここ最近の任務やテストの用意でお菓子の補充するの忘れていました! 明日病院行きがてら大量に買い込みましょうか・・・20キロほど。

 

 

 しかしどうしましょう。お菓子はないですし。ふーむ・・・皆も休んでいますし、まあいいですか。

 

 

 「お菓子はないですね。さあ、紅さん。悪戯をどうぞ?」

 

 

 「あ、えぁう・・・はい・・・はひ・・・じゃ、じゃあ先生は目をつぶってください」

 

 

 ローブを脱いでディアンドルの衣装を出しつつ両手を広げるとたじろぐ紅さん。でも、リクエストが早速来たので目をつぶる。何をするのでしょう? 墨で顔に落書き・・・は羽子板ですし。着せ替え?

 

 

 「んっ・・・」

 

 

 ほほにひんやりとしつつも汗で湿った紅さんの手の感触がしたと思えば、ほほに感じる柔らかな感触と紅さんの声がすごく近い。目を開くと紅さんが私のほほにキスをしていました。

 

 

 「え? あ、あれ? もう。紅さんったら。ふふ。かわいいいたずらですね♡」

 

 

 「う・・・うう・・・あ、ありがとうございましたああぁああっ!!?」

 

 

 紅さんを抱き寄せて耳元でささやくと紅さんが何やら真っ赤なオーラを放ちながら別荘の紅さんの部屋に走っていきました。恥ずかしいのでしょうか? しかし、最後に最高のプレゼントがもらえました。これは任務成功にも負けないほどのものですね。

 

 

 ちなみに、実は蛇子さんと小太郎さんも同じことをしていたようで小太郎君は蛇子さんのほほをムニムニし、蛇子さんもお返しにとやればお菓子でいなされてほほを膨らませていたようです。

 

 

 その後はみんなで病院に行けば紅さん、眠れなかったのか目にクマが出来ていましたし、報告書、一応手伝いましょうかねえ。検査結果はみな異常なし。ただ一応疲労を抜くために報告書作成後は休むようにと念を押されて、甘いお菓子をみんなお医者様からもらいました。はぁー・・・落ち着いた気分で食べるお菓子はやはり最高です。




はい。感想でもいわれていましたが今回のハロウィンイベント。ウルトラマンティガに登場した異次元人ギランボの起こした話ですね。姿は擬人化したギランボをイメージしてくれればうれしいです。


元ネタは異次元人なのですがネタ的に夢魔でもできそう。異次元人だと別世界の若いアサギ、さくら、紫も出ないとかと思ったのでこの世界では夢魔に設定変更。ついでに元ネタでは夢を吸い取った子供たちを夢の墓場に置いていましたがこの世界なので利用する商人に。廃人で好き放題に人格も肉体もいじりほうだいな人間、魔族を取り扱うというわけです。


ギランボの登場したティガのこの話は大の大人たちがノリノリで仮装して祭りを楽しんでいること、ハロウィンイベントに力を入れている町の登場などぶっちゃけ現代を思わせる作品となっていますがこれが今から約24年前の作品とは思えません。


時代を先取りした話の一つと思います。作中でも隊員の一人がいずれクリスマスのようにメジャーなイベントになるかもね。と言ってたりしますし。本当に表現や雰囲気がとても面白く、一見の価値ありな作品となっています。


紅は鍛錬の結果邪眼の使用可能。蛇子は華奈の教え子の中でもたこ足を活かした攻撃ならメンバーでも随一の火力に。実際30メートル巨大鞭の先端に刃つけて足のパワーで振るうとかとんでもない火力になると思います。


そして紅は一歩前進? はしました。とりあえず勇気は出しての行動で先生にキスを成功。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。