華奈先生が泣き疲れて倒れた翌日。俺たち・・・小太郎に、骸佐、きらら、紅、鹿之助、蛇子、ゆきかぜで先生たちの事務仕事を手伝うことになった。ぶっちゃけ、対魔忍のトップのアサギ校長の秘書。いわば事務方のトップにして前線働きでもナンバー2が倒れたような事態。人手は欲しいだろう。という考えと先生が戻ってきても支えられるように今からでも経験を積もうということで決まった。
後日は交代で凜花先輩、達郎、凜子、銃兵衛、時子姉でやることになった。さくら先生や紫先生には自分たちも次世代幹部や宗家を背負うことになるし雑用でもいいから使ってほしい。ということで納得してもらっての参加。したのだが・・・
「・・・おい、マジかよ・・・米連や中華連合の機密でとんでもレベルの出てきてんだが」
「え・・・いいのこれ・・・? その。0が10個はくだらない金額がぽろぽろ出てきてるけど・・・これ、私が決裁していいの?」
「この前の汚職のニュースの情報・・・数か月前からすっぱ抜いて、うっわあ・・・言い訳もできない、逃げられないレベルで調べつくしている」
「拳志さんから聞いているけどさ・・・うん。各国の次世代新兵装の情報に試作品の現物まで全部情報手にして一部は手にして・・・これ、ちゃんと管理しないとやばいよな・・・しかも一部先生たちがばれないようにコードやら魔改造して使っているものだし」
「作戦立案・・・? え? 壁の材質に組織のパイプ? 報告書にここまで書かないとだめなの・・・? うぅ・・・大変だわ・・・」
「くそ・・・この書類の量が多すぎる・・・」
いきなりくじけそう、困惑の嵐だった。人材の用意に作戦の草案。報告書の精査ならまだしも、数十、数百億の金銭が軽いノリで動いていることや報告書がもはや一冊の本レベルの出来に、更にはこれをほかの部隊の分まで用意している現状。
更には魔族や裏社会の連中のみならず国外まで目を光らせている上にその腕前で各国の機密上に武装などまで情報や現物を仕入れている手腕。これを16、7のころからやり続けて、情報の重要さと書類の量につぶされてなかったことに皆が驚き、そしてその一部をこなすだけでもてんてこ舞いな状態だった。
「ふうまちゃん。みんな。お茶が用意できたし、ほら、一息入れて?」
「はぁ・・・・・とりあえず私がやってもいい決済は終わり・・・きらら先輩。壁の材質とかはそのパソコンに素材の特徴一覧表があるのと小太郎と一緒にやったほうがいいかと。私も残りをやったら他を手伝いますし」
その中でもどうにかこうにか出来ているのは蛇子とゆきかぜ。蛇子は天音姉や時子姉たちの執事の教育で事務仕事をしつつのさりげない気配りができる余裕があるし、ゆきかぜは前からしばしば不知火さんの作業を少し手伝っていた経験からかある程度は出来る。後は家が大富豪。華奈先生と買い物をしているせいか金額に戸惑いながらもめまいを起こさずに仕事を消化している。
・・・正直、いちおうはふうま当主の俺が驚いていてゆきかぜに頼んだのが助かったかもしれない。俺は俺で作戦草案やそれを文章にまとめるほうが性に合っているし。
「ごめんなさいね。みんな。そして本当に助かっているわ」
「本当に、ありがとう・・・」
そして、俺たちの提案を許可してくれて、自身も仕事をしている不知火さんにアサギ校長。華奈先生がいないことで二人ともやや気落ちしている感じこそするが仕事の手は緩めず、もりもりと書類の山を片付けていく。
「ん・・・ありがと蛇子。ふぅ・・・これ、こなしながら対魔忍の任務をここ最近はこなしていたわけだよな・・・本当、大変だよこれ」
「ええ。いつの間にやらほぼほぼ独立した諜報部隊の分の仕事もあるし、いつもいつもすごい量よ」
「アサギ校長はアサギ校長ですごい量ですよね。それを毎日・・・」
「そうかもね。でも、これでもだいぶ楽な方なの。いろいろ裁量を分配できているから」
これで少ない。一体以前はどれほどだったのか。そして、これを続けることが強いられる対魔忍の組織。改めて、魔からの国防、そして町一つの諜報組織の運営の大変さがしのばれるというものだ。
「・・・ぎゃああああぁああ!? あのガチホモオーク兄弟取引相手かよお!?? しかもなんだこれ!? 筋肉モリモリマッチョマンになっているわ別の種族レベルでイケメンじゃねえかあ!?」
「あはは。意外と助かってるんだぜぇ~♪ シーツや寝具、それを運ぶ道具にメカを忍ばせてそのまま諜報したり、世間話をしたりしたのを録音したりして表部分の組織の情報を仕入れたり色々よ」
「お疲れ皆。いやあ。あのオークたち、男磨きを頑張った結果ああなったらしいわよ。私相手でも色目も使わないし、紳士だしで、変異種かなんかじゃないかしらね?」
鹿之助が以前東京キングダムでプロポーズだったかをされたオーク3兄弟の情報を見て絶叫しているとそこに赤ら顔で入り込んできた拳志さんと静流さんが。二人とも手にマイバッグをもってきており、かすかに香る酒気から一杯ひっかけている途中なのだろうか。いやに機嫌がいい。
「お疲れ様です。拳志さん。静流さん。居酒屋帰りですか?」
「おうよ。大将の家でヘンダーランドからの任務成功と、大将の様子を見るために飲み会しようってな。・・・大将から誘われて、不安だったが明るいよ。油断は出来ねえけど」
「で。華奈さんと拳志から皆に差し入れってわけ。あ、不知火さんは後日華奈さんからお礼の品や休暇を用意できるようにしているから御免なさいって言っていたわよ」
「気にしないでいいのに・・・もう。律儀な子・・・」
「あの子は・・・性分なのでしょうけどね・・・」
苦笑する不知火さんと申し訳なさそうに眉根を寄せるアサギ校長。拳志さんたちはそんな二人に荷物の一つを手渡し、俺たちにも用意していたタッパーや容器を開けていくと・・・いい匂いで部屋が満たされた。
「からあげにサラダ、里芋の煮っころがし。焼き鳥。春雨スープ、緑茶にジュース。おにぎりもあるぜ」
「あ、あとね。ヘンダーランドの映像記録に音声やBGMとかを入れてみたものがあるからね。息抜きに見てみるといいわ。多分、対魔忍の任務をなんやかんや学生時代から10年くらい続けているけど、いろいろ衝撃的なものよ」
「うわぁ・・・いい香り・・・みんな。蛇子が紙皿持ってくるからみんなで食べようよ」
「じゃ、私が紙コップを。給湯室に華奈先生が用意していたはずだし」
「俺も手を貸す。えっと。明かりは・・・」
ホカホカの華奈先生の手作り料理。あんな心労からすぐだというのに、俺たちのことを気遣ってのものに、そのにおいに皆が胃袋を刺激されてか誰とも知れず腹が鳴る。すぐさま蛇子と紅が動き、骸佐も念のためとエスコート。
そして衝撃的と言わせるヘンダーランドの任務。やはり娯楽施設の中で魔女と戦うというのはすごいものだったのだろうか? なんだか想像すると魔法少女というかそんなものを想像してしまう。戦ったのが華奈先生とナディアさんというのもあって尚更。
「じゃ。俺たちはこれで。大将たちが待っているからな。みんな。何かあれば俺たちにも聞いてくれよ。酔っ払いだからちゃんと反応できるかわからねけど。わはははは!」
「もう。ふふ。みんな。本当にありがとう。明日にも二日酔いかもだけどできる限り手を貸すわ。・・・ありがとね。華奈さんのために働いてくれて。でも、無理はしないでね。私もみんなが大切だから」
酔っ払いらしい大笑いでひらひらと手を振って出ていく拳志さんと、苦笑しつつも俺たちにウィンクを飛ばして出ていく静流さん。なんだかんだ。華奈さんの周りの人たちも優しい人が多い。ハロウィンでも羽目を外せる時間をくれたり。修行もしっかりと褒めるところとは褒めるし、アドバイスも優しいし何度聞いても怒らない。
俺たちも手を振って見送り、蛇子たちが用意してくれた皿、コップにご飯やスープをよそってひと段落。
「ふぅ・・・落ち着く・・・おいしい・・・考えたら、晩御飯まだだったわ」
「ん・・・あ。権左から晩飯どうするかのメール来てたわ。えっと・・・返信・・・」
「お母さん。何食べる?」
「サラダとスープからもらおうかしら? ゆっくり食べるし、ゆきかぜが先に選んで頂戴」
「おいしい・・・! 煮っころがし・・・はぁあ・・・」
みんなで食事を始めて、舌鼓を打ちつつ張りつめていた空気が拳志さんたちが来てから緩くなり、気を抜いてリラックスできている。
「そういえば。ヘンダーランドの報告書は一通り目を通したけど、映像だけはなかなか目を通せなかったのよね・・・よければみんなで見ないかしら? なんでも血なまぐさい話はなかったと言っていたし」
からあげをほおばりながらアサギ校長がふと思い出したように手を叩き、プロジェクターの用意を始めた。皆も血なまぐさいものはないからということで席を片付けて見やすいようにし、食事を皆にいきわたらせてからの視聴用意ばっちり。
時子姉たちも一番愉快な任務という対魔忍。諜報の仕事らしからぬコメントだったし、気になるので見ることに。
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華奈『行きますよナディアさん! キン肉バスター!!』
ナディア『OK華奈! キン肉ドライバー!!』
華奈・ナディア『マッスルドッキング!!』
静流(実況)『あーっと華奈さんのバスター号とナディアさんのドライバー号、美しき衛星のドッキングが見事成功~!! その衝撃の威力はあの朧とフュルストでも耐えきれずにノックダウン! この勝負は人魔即席タッグの大勝利! このヘンダーランドでの一大合体ショーと美しき美の共演を見せてくれましたー!!』
骸佐「いや、先生剣使えよ。何で素手で朧のクローとフュルストの肉体変化の一撃や魔術凌いでいるんだ。しかも2対1で普通に傷一つ貰っていねえ」
小太郎「なんで討魔剣士の剣持っているんだろう? 華奈先生確か刀だったような?」
きらら「あ、あれじゃないの? 刀がメンテ中だったからちょうど休みの討魔剣士から借りたとか。あれも業物だったし」
紅「あり得るな。華奈先生は色々武器を使えるし、討魔剣士への剣の技術を教える際の予備かもしれない」
きらら「(多分。変装を考慮しての事よねえ・・・なんでプロレスで続けたかはわからないけど)」
アサギ「ハロウィンの時もそうだったけど、ほんと静流ノリノリで実況するわね。しかもうまいし」
マカオ『あたしはマカオ』
ジョマ『あたしはジョマ』
マカオ・ジョマ『仲良くしましょ』
ナディア『メイアを返してもらうわよ! マカオ、ジョマ!』
華奈『ただでさえ魔界都市には苦労しているんです。これ以上増やさせることはしませんよ。あ、それはそれとしてあいさつどうも。私は華奈です』
蛇子「ちょっwww まって! ぶふ・・・! え!? 魔女って聞いていたけど、オカマ!?」
鹿之助「おい、オカマなのに魔女ってどういうことだ!? 魔『女』だろう!? そこはオカマ魔法使いじゃねえのかよ。しかも華奈先生も華奈先生で頭下げているし」
小太郎「ナディアさんも頭下げて。うん。なんだこれ? カオスだなあ・・・」
マカオ『さ、次は貴女たちの番よ』
ジョマ『ああ、音楽は審査員に頼めば用意してくれるわよ。人間界の音楽も用意しているから』
華奈『それは助かります。・・・えっと・・・これを・・・・・・審査員さんお願いします。では・・・ミュージックスタート』
ナディア『魔界の踊り子と呼ばれるのが伊達じゃないと教えてあげるわ!』
アサギ「ええ・・・本当にダンスバトル始めているの・・・? しかもどっちもレベル高いし」
紅「先生・・・踊り上手だなあ・・・社交ダンスの激しいものもピシッと決めているし・・・はぁあ・・・」
不知火「数年前の潜入任務の際に一緒に踊ったものね。まだ練習していたなんて・・・うふふ。かっこいいわね。華奈ちゃん・・・素敵」
ゆきかぜ「スーツでポニテなのもあって胸を目立たないようにすれば男装に見えちゃうし。すごく奇麗。あ、審査員も先生たちの勝利にあげたわ」
華奈『このカードが欲しいのでしょう!? でしたら、どうぞ!』
マカオ『あっ・・・っ・・・もうちょっと・・・んくっ・・・・・キイィィ~~!!』
鹿之助「あーはははははは!! くっそwwwwwどこからそんなカード・・・! ひぃ・・・お、お腹痛い・・・!」
ゆきかぜ「これ自作BGM? もあってすっごくコミカルに・・・ふひ・・・ふふふ・・・www し、しかもヘンダーランドのパスだしこれ・・・だ、騙され方が・・・!」
紅「ほ、本当に先生たちは何をしていたんだ・・・www お、お腹痛い・・・笑いすぎて・・・ふぅ・・・ふぅう・・・」
小太郎「でも、これ魔界の門を新たに開かせない戦いだっていうな・・・た、確かに重要任務のはずなのに・・・」
映像を見終わって、とりあえず全員が爆笑しておなかや顔を抑え、目じりに涙を浮かべるのも多い始末。正直、血なまぐさい、えげつない映像が多いはずの対魔忍の映像記録でこの状況になるあたり本当にこの任務は色々ぶっ飛んでいたというのがわかる。その中でなんやかんやいつも通りのノリを貫いた華奈先生やナディアさん含め。
そして、皆がこの映像の保存や予備を欲しがりアサギもしばらく後でならこれは問題ないということで許可。とりあえず、カットもされているのか機密情報もさほどなく、あるとすれば封印されたマカオとジョマの目的が魔界の門を開こうとしていたことくらいだろう。
新しい五車の里の大騒ぎの記録。ハロウィンの祭りやクリスマスの勝負。これに続く第3のお笑い、お祭り騒ぎな映像となるだろうと思いつつも、さりげないこの爆笑映像の記録の大きさも理解している。
「ひぃ・・・ひい・・・こんな偉業を成した人がまた元気になれるようにしねえとな・・・はは・・・あー・・・よっしゃ。仕事終わらせるか」
骸佐がほほを叩いて気合を入れて立ち上がるのを同時に俺たちも立ち上がって飯をかき込んで、書類仕事を再開。こんな愉快な任務もこなすし、かと思えばアンダーエデンのような緻密さからのアドリブを用意もできる。華奈先生やその部隊のメンバーと一緒に仕事をしてみたい。皆がそう思っているのだろう。
この後はみんなで協力して仕事を終わらせて、アサギ校長から華奈先生たちが俺たちに用意したバイト代を貰った。その額は・・・日当で30万。しかも封筒に入っていたメモには
「私の部隊たちやアサギさんたちで触れていた機密をこんな早い段階で触れさせて申し訳ありません。そして、これを受け取るということは終わらせたのでしょうね。お見事です。私はしばらく休みますが、どうぞ今まで通り私の家にも別荘にも来てください。皆様の元気な様子を見れれば私も元気を貰えます。どうぞ無理をなさらぬよう。お給料は仕事のわりに少ないですが、せめて受け取ってください。そして、自分のためにできること、やりたいことの足しになれれば幸いです。こんなことしかできませんが、もらってくれれば。 華奈より」
と書かれ、皆に一人一人違う応援やメモが書かれていた。・・・どこまで優しいのだろうかこの人は。明日のメンバーにも華奈先生とはいつも通りに過ごしていけるよう連絡し、その後は俺たちも解散。家に戻ると時子姉は華奈先生の家で休むとか。
明日は俺もいって、何かお菓子でも差し入れにして話でもできればと思う。タッパーも返しながらヘンダーランドの話もできればいいな。あのダンスはすごかったし。
~華奈の自宅~
華奈「すぅ・・・うふふ・・・ふあぅあ・・・♡」
(下着姿で爆睡)
ナディア「ぐっすりね・・・よかったわ」
(ほろ酔いで脱ぎ癖が出てしまった華奈を膝枕している)
時子「ええ。とりあえず、これで隠れている心の傷を癒せれば」
華奈「・・・ごめんなさいね・・・時子さん・・・みんな・・・・また・・・みんなでワイワイ、遊べるように頑張りますよー・・・えへえへ・・・」
拳志「・・・あー・・・うん。だよなあ。大将はあの時期をもう一度って頑張っていたし」
静流「ふふ・・・この対魔忍の、裏の世界を知っていながらこの望みか・・・いい馬鹿さよね。でも、私は頑張りたいわ」
拳志「俺もだ。あの時の楽しい時間はずっと続いて欲しいしなあ
時子「そうですね・・・・・ああ、そうです。お二人とも。少し話が。先に戻ったあやめたちにも伝えましたがね。ナディアさんも協力してくれるそうです」
ナディア「ええ。出来れば、通るといいんだけど」
華奈の仕事量。改めてふざけているなあと。報告書一つで大学ノート一冊分。保存する倉庫もえらいことになっていそうです。
華奈の望みはかなり青臭く、対魔忍の仕事しているのに何考えてんのレベルです。ギップルが絶叫するレベル。
華奈のヒーロー、戦士の在り方ってどれに近いと思います?
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