ナディア「大量ね」
華奈「ナディアさんの提案あってこその臨時収入ですし、ナディアさんが全部使ってくださいな」
ナディア「え! いいの? んー・・・じゃあ、みんなのためにご飯やお菓子を買いましょう? ふつうならこの場所に私を受け入れてくれること自体がすごいことだし、せめてここにいる皆に少しでもお返ししたいわ」
華奈「うふふ。了解ですよ。じゃ、明日にでも買い出しに行きましょうか。ナディアさんも好きなもの選んでくださいよ~」
紫「お、お疲れだ」
華奈「お疲れ様です。紫さん」
ナディア「お疲れ様。うふふ。仕事はひと段落かしら?」
紫「あ、ああ。どうにか事務仕事もできるようになってきたよ。私も上忍の家になったし、アサギ様から宗家の情報もさばけるようになっているのが幸いだ。そ、それでだな・・・」
華奈・ナディア「?」
紫「あ、あの・・・あの薬。予備はないか?」
華奈「あー。静流さんに聞いてみます」
ナディア「体調悪いの? 私踊る?」
華奈「ああ、大丈夫ですよ。それとは別のものですので」
ナディア「? 分かったわ」
「さて・・・と。俺がまさかリーダーになるとは思わなかったが、よろしく頼む」
「へっ。お前なら問題ねえよ。それと、俺たちだけで堅苦しい挨拶はいらねえ」
「そうだな。小太郎。最後の打ち合わせ。やっちまおう」
「あ、じゃあちょっと待ってね。えっと・・・はい」
先生がまさか過ぎる偶然でスネークレディーに貸しを与えて鹿之助を救っていたあの騒ぎから後日。俺、骸佐、鹿之助、達郎の4名で集まっていた。理由はもちろん任務。今回はなかなかの大人数で挑む強襲、殲滅任務。その中で俺たちはBチームとなってAチームが敵を強襲して逃げたやつらとそこに集まった連中を排除するのが任務となっている。
拳志さんと不知火さんの下調べを加えて先行するAチームは星乃深月先輩と上月佐那先輩をリーダーとしたチームで動く。どちらも華奈先生の教え子であり今も若手の実力者として勇名を馳せている。これに加えて凜子、凜花先輩たちも参加しているという徹底ぶり。
正直、これだけでも普通の組織であれば中規模でも潰せるのだが、今回は数を殲滅するのが目的。だからこそ俺たちにもまさかの大人数でお鉢が回ってきた。
達郎がホワイトボードに写真や情報を張り付け、そして簡単な絵を描いてくれる。
「じゃ、再度説明するが今回狙うのは敵の中規模組織の高層ビル。そこの組織と周辺の傘下を狙う。今回は淫魔族、ノマドどちらにも属さない連中がどちらかに日和る前につぶしておくのが狙いだな。で、まずはAチームら先輩チームが敵を強襲。拳志さん、きらら、蛇子らのバックアップCチームもいる。そこから敵を追い出してCチームが俺たちBチームのいる場所まで誘導。そこから俺たちが敵を叩く算段だ。問題なのは」
「敵の思わぬ増援。それとAチーム、Cチームと遭遇してからの俺たちへの遭遇。相手も心構えが出来ている可能性があるから虚を突けない」
「ノマドやほかの組織が動く可能性もある」
「敵の武装はぎりぎりまで調べたけど思わぬものがある可能性を最後まで考慮する。これくらい・・・?」
理解が早くて助かる。やっぱり訓練も一緒にこなして、私生活も一緒の事が多い分余計な説明が要らない。
ぱぱっと簡単な情報をかき込み、俺たちの場所をさす。
「そうだ。だが幸いなのが俺たちがぶつかる場所は広場の周りが隘路のような場所になっている。そこなら俺たちの力を活かせる。俺と骸佐で真正面からぶつかる。狩場を鹿之助が用意。達郎は狩場の補佐をしながら遊撃。必要なら持ち前の機動力を生かしてA、Cチームの補佐にも回る。いいか?」
「了解だ。お前の背中は俺が守る」
「了解。電池の充電もばっちり。思い切りやってやるさ」
「僕は通信にも気を使わないとね。分かった。じゃ。小太郎・・・いや。リーダー。お願いします」
「ありがとう。じゃ、今から各種道具を確認後個人装備の点検。集合時間の1時間前にご車学園に集合。最終チェックと時計合わせをする。その30分後に垂直離陸機に乗って東京キングダム移動。以上だ」
大規模な組織には属してはいないがそれでも中規模の組織。その地位に登れるほどのやつらがいる。気は抜けないな。
夜。東京キングダムの一角。そこに鎮座するビルの一つ。そこには多くの犯罪者、裏社会の人間、魔族たちがひしめく巣窟。まあ、東京キングダム自体がそのような場所なのだが、そこの主であるノマド、エドウィン・ブラックに属さずにその勢力を持てる実力がある組織のもの。
彼らもまた今の魔界都市、ひいてはそこの組織の抗争にどうするかを考えていた。地獄の番犬と呼ばれる対魔忍船坂華奈。彼女の仕向けでノマドと淫魔族の抗争があちこちで勃発。更にはそこに淫魔族に龍門の気配が感じられるようになっていた。東京キングダム、ヨミハラはノマドの街と言えるが、その中をかいくぐるように勢力を伸ばしていた淫魔族のぶつかり合い。淫魔族はその能力を活かしての種族を問わず多くの兵士を用意しぶつかり、ノマドはもとより人も魔族も多くが在籍する多国籍企業。そして龍門は中華連合の隠れ蓑であり、技術力も馬鹿にできない。
どちらに組することで今後の覚えを良くするか、それとも様子見をするか。それを考えていたのだが、その思考やいざという時に備えて武具の整備をしていたその組織の兵士たちのビルにそよ風が吹いたと思った次の瞬間。突風の刃が吹き荒れた。
「ギャガッ!?」
「ぎぁああ!?」
「な、なん・・・ぐぶへ!」
その風は強化ガラスをもたやすくたたき割ってなお勢いは衰えず、風自体が殺傷力をもって多くの裏社会の連中をガラスを交えた無数の刃で身体をずたずたに引き裂いていく。
「やはり早めに叩いておくべきでしょうね。正解ですよ。はあぁっ!」
汚い悲鳴の中でも響く凛とした声。白を基調とした対魔忍スーツ。黒い髪を後ろにまとめ、巨大な扇をもって割れた窓から降り立つ美女。星乃深月。華奈の教え子にして扇嵐の対魔忍と呼ばれる新進気鋭の戦力である。
彼女が再び扇を振るい、巻き起こる突風。風遁の術を乗せた扇の一撃は周辺にいた敵を切り裂き、それと同時に風に乗って紫の煙が一気に奥へと吹き飛び、迎撃態勢を整えた魔族、人間の前に移動。
「先輩に何を向けている・・・つぶれなさい!」
紫の煙はすぐさま人の上半身を形となり、白髪の美女が姿を現す。それは紫藤凜花。得意の煙遁で肉体の一部を煙にできる忍術だがそれを華奈や小太郎たちとの鍛錬でさらに強化。体の一部分は愚か全身の7割まで煙に変えても尚余裕が残り、射程範囲も80メートルまで強化。今の移動も深月の後ろに着地した瞬間に上半身をほぼほぼ煙に変えて風遁に乗って移動。敵の懐の入り込んだ瞬間に上半身を実体化し、今度は足を煙に変えて引き寄せて実体化することで移動中に攻撃を貰うこともなく移動を可能とする。
そして、敵の目の前で実体を表し、即座にその鉄拳を振るう。まるで速射砲のごとく放たれるオリハルコン製のナックルの連撃は一つ一つが相手のマシンガンを、銃を、金棒を、刀を壊し、砕き、人も魔族も身体をえぐられ、骨を肉もろとも引き裂かれて砕かれていく。拳闘に重きを置いて新たな対魔殺法の武術体系を作り上げたその攻撃は効率的に、合理的に人も魔も問わずに殺し尽くす。
エリート意識なんて華奈と小太郎たちとの日々でとっくに砕かれつくし、捨てた。あるのはひたむきに前に進み続け、自分を磨き続け、他者のいいところを我が糧にできないかとみんなで走り抜けた日々の成果はここで現れ、紫の煙と血煙がビルの中に吹き荒れる。
「ひ・・・! 鬼腕と扇嵐だ! 逃げろ! 殺されるぞ!」
誰かが恐怖に支配されてその言葉を吐いて逃げ出してしまえばその恐怖は深月たちを除いたほぼほぼ全員に伝播。すぐさま我先にと逃げまどい始め、それに耐えていた敵もさすがに相手をするには不利と悟って撤退を開始。
「おうおう。時間どおりもいいところだ。少しはさぼれると思ったのによお」
「そういいつつも先輩、心配そうでしたよね?」
「ばっ・・・! ああ、もう。少しはかっこつけさせろよな。さて・・・んっぐ・・・ふはぁ・・・・~」
ただ、その逃げた先もさらなる死地となっているとはつゆ知らず。斬鬼の対魔忍こと秋山凜子。豪閃の対魔忍、上月佐那の二人が表口に陣取り、降りてきた連中を片っ端から斬り捨てていく。無数の刃が敵を細切れにし、何もかもを砕くような一撃が敵の防御も何もまるで豆腐のようにもろく粉砕。凜子は空遁、佐那はその巨大な太刀と華奈譲りの飛ぶ斬撃を使うことで二人で広いホールを制圧し、敵が下りてきた階段から動けないように制圧。
「ほれほれ・・・いいのかなあ~・・・? 来るぞ。死の風と煙が・・・よッ!」
「数にものを頼むのは兵法でも正しいがな。今は質と地の利を取られてお前たちが不利だろうな」
直後に佐那と凜子の言葉を裏付けるように上から吹き飛び、身体の一部が切り取られ、殴りつぶされた死体が降ってくる。そして、再び爆風。あの二人が追い付いてきた。それを察した連中は我先にと裏口から撤退。窓ガラスを破り、仲間を踏み越えることをいとわない何ともまあ情けない撤退を見せつけつつ逃げていく。
「うっし・・・こちらAチーム。敵は逃げ出した。まだ数は多いかな。Cチームはどうだ?」
『こちらCチーム。準備は出来ている。凜子の体力は残しているな? 次は4人そろって俺らと合流。いざという時は凜子の空間跳躍で離脱できるようにしておけ』
「りょーかい。凜子いけるか」
「問題ない。拳志さん。その後撤退の用意ですが、私はCチームに残ってそちらがすぐに戻れるようにしたいのですが」
『分かった。なら蛇子ちゃんを合流した際にそっちと会わせる。帰りの足の場所の確保を頼む』
「拳志さんたちは私たちが見えたらすぐに移動しても大丈夫です」
『OK じゃあ通信終了』
それを見届けた佐那たちが通信機のスイッチを入れてcチームリーダーの拳志と通信をつなぐ。簡単な決め事を確認、細かな修正を加えて即座に敵の背中を追いかける凜子たち。文字通り鬼を砕き殺す面々が襲い掛かってくるのだ。きっと生きた心地が相手はしないだろう。しかし、それもこの細い道がひしめく裏路地に逃げ込めれば撒いてしまえることも、反撃をしてあの美女たちをわがものに。そう希望を抱くものも少なからずいた。いたがそれはその路地に潜むさらなる罠でつぶされていく。
「なっ!? なんだこの巨大な触・・ぎゃぁあああ!?!?」
「氷の壁だあ!? 銃弾も通らない・・・ひっ・・・あ、足が凍り付いて動けな・・・ががががが!!」
路地の陰から巨大なタコの足が一人、一人と引き込まれては首の骨を折られ、ねじ切られ、あるいは巻き付けられて背骨をへし折られ、あるいは巨大な刃を持った触手に切り刻まれる。それに応戦しようと射撃をしてもあたる前に物陰に隠れ、かと思えばマンホールや下水から飛び出てまた一人死者が増える。
それからも逃げようとすれば道々に設置された氷の壁。銃弾すらもはじくほどの硬度と一息では飛び越えられない高さ。それに一瞬でも足を止めてしまえばいつの間にか足首まで氷で動けなくなっており、直後に電撃と銃弾で命を奪われ、電撃と銃弾は地面をはい、あるいは跳弾して更に獲物を狙う。
猿鳶拳志と鬼崎きららの氷と雷撃の罠。相州蛇子のそのたこ足を活かした機動力を生かした陰からの不意打ち、奇襲を繰り返す攻撃。先ほどの真正面からのぶつかり合いではなく、動けども、動かずとも命を奪われるテリトリー。それにたじろげば後ろから聞こえる対魔忍たちの足音。
とにかく遠くへ、この場所から離れて。その一心で冷気の感じない場所、触手の隠れる場所のないところへと犯罪者共が足を向けて走っていけばいつの間にやら細い路地を抜けて広場になっている場所に出た。
「時間ぴったり・・・さすが先輩たちだ」
「おう。今度は俺たちが頑張る番だな」
そこに待ち構えるは二人の男。邪眼・夜叉髑髏に身を纏い、愛刀の斬馬刀『猪助』を肩に担いだ二車骸佐。黒のバトルジャケット一式にコンバットブーツ。腰には討魔剣士と同じロングソードを履き、両手には銃剣とマガジンの尻底に半月上の刃を付けた改造拳銃を構えるふうま小太郎。
ふうまの若き二枚看板が這う這うの体で逃げおおせた魔族、人間たちの前に立ちはだかる。
「チッ! 対魔忍とは言えガキ二人だ! さっさと殺すか人質にでもするぞ!」
しかし、それを見ても先ほどの勇名を馳せている対魔忍の強襲から始まり氷の壁に化け物の襲撃に加えて電撃と銃弾の不意打ちから二人の脅威を判断できないほどに興奮していたか、麻痺していたか。勢いのままに武器を構えて襲い掛かる。
「けっ・・・軽いなあ。武器と体躯だけかよ・・・おらぁ!」
その攻撃全て、一度に7人以上の男、オークたちが振り下ろした斧や刀を斬馬刀を片手持ちで全て受け止め、くだらないと軽く一閃するだけで切りかかってきた連中を全て真っ二つにしてしまい。ちょうどいいと斧の一つを奪うと傭兵オークに投げ捨ててしまう。
傍から見れば無造作に投げたそれだがその威力たるや本人の鍛錬と夜叉髑髏の強化もあってオークの頭が血煙と共に吹き飛び、奥の壁まで粉砕。
「なぁっ・・・! 撃て! うてぇ!」
近接ではかなわないと判断した男たちは今度は拳銃、マシンガンを骸佐、小太郎に向けて放つ。
「ふぅ・・・」
「軽い軽い」
しかしそれも二人にとっては何の苦も無い。小太郎は左右の拳銃を胸の中心で合わせ、片方を天に。片方を地面に銃口を向ける構えを取り、骸佐も猪助を両手で構えて少し力を入れる。その後は小太郎はまるで地面を滑るような動きで敵の銃弾全てをよけ続け、勢いのままにあっという間に敵との距離をつめてその顔面に向けて弾丸を叩き込み、銃剣で首を斬り捨て、敵の振るうナイフや刀をよけて拳や蹴りで骨を砕く。
骸佐はその銃弾全てを猪助で防ぎ、叩き落としながら前進して上段の振り下ろしで眼前の敵を地面ごと叩き切り、砕いた地面に足を取られた連中の身体をすっぱりと泣き別れ。その肉体をつかんでまるで野球ボールの様に投げ飛ばせばそれに巻き込まれた3、4人の内臓がつぶれてあっけなく死亡。
このころになってようやく敵側もこの二人もまた精鋭、手練れなんだと理解していき、ほかのルートから逃げおおせてきた敵組織の連中も合流。味方が無残な肉袋に代わっていく様を見て流石に状況を理解したか、オーガ、羅刹オーク、鬼族も交じってきたこの状況であっても骸佐、小太郎たちを取り巻くように距離を取り、取り出したのはグレネードランチャー、RPGなどの爆発物。
「骸佐、来い」
「応」
敵のほうもデカブツを出してきたことを見た小太郎の指示で骸佐は小太郎の背中を守るように密着し、小太郎はくるくると拳銃を回しながら敵の爆発物をじろりと一瞥。
「死ねクソガキども!」
その言葉と同時に放たれた爆発物の数々。次の瞬間には小太郎、骸佐の二人を中心に爆発、爆炎が上がりそのすぐ後には爆風が広場を埋め尽くす。
いくら対魔忍と言えども人間。鎧武者のほうはまだしも隻眼のほうは殺せただろう。誰もがそう思い始めたその刹那に、一振りのロングソードが炎の中から飛び込み、オーガ、人間、鬼族を3人腹を貫通して切り裂き、吹き飛ばす。それだけでは終わらず、二つの赤い何かが飛んで来たかと思えばそれがオーク2体の脳天を貫通。
「俺たちにそんなのは効かねえ!!」
爆炎の炎を切り裂いて飛び出したは小太郎。自分たちに襲い掛かってきたRPG、グレランすべてを銃弾で叩き落とし、手前で誘爆させてしまい、更には腰のロングソードを抜いて爆発前に手頃に数体殺せる相手の場所を覚えておいて敵の気が緩んだ瞬間に投擲。
ついでにマガジンチェンジも兼ねて適当な相手に尻底が半月上の刃になっているマガジンを銃を回転させて投げ、マガジンを上空に投げつつ爆炎の中を脱出。
「そしてまあ・・・時間切れだ。じゃあな、阿保ども」
その後に続きつつもその身体能力の高さですぐさま小太郎の横をすり抜けた骸佐がすぐさま鬼族の戦士に切りかかり、対応できた鬼族の腕を切り飛ばし、剣筋が乱れた次の瞬間には首が飛ぶ。小太郎は脱出後に上空に投げていたマガジンを銃にセットして敵のど真ん中で銃と銃剣の両方を使った乱舞を披露。僅か2秒。その一瞬で新たに20以上の躯が積みあがる。
最後に骸佐の言葉を聞いた直後に小太郎と骸佐は地面を蹴りつけてジャンプ。そこからは見えない、見えなかった糸を足場にあっという間にビルに乗り移り離脱。まだまだ残る敵の次に降り注いだのは苦無の流星群と、雷の獣だった。
「ヘラジカ!」
「鉄華豪雨!」
達郎の持つ風遁・叢雲断ちによってはるか上空から全体の動きを見回り、そこから放たれる無数の苦無の投擲。鹿之助、白い通り魔(華奈)、時子、多くのメンバーと鍛えた技術と凜子をはじめとした怪物たちと積み重ねた経験はたとえ距離があろうとも敵に攻撃が外れるというへまはなく、一発一発が戦車砲の威力をもって敵を粉砕。地面も先の爆発と骸佐の剣戟で壊れていたのもあって一部は陥没すらも発生。
さらにそこに追い打ちをかけるのは鹿之助の専用武装の雷遁専用蓄電池。出力はまだまだ弱くともそれを日々電池に充電し、操作性、苦無や周辺に張り巡らせていた鋼糸を用いて作り出すは雷の獣。自身の名前、鹿にあやかりその雄々しさ、形状から巨大な角を持つ、肉食獣でも早々襲えない草食獣。ヘラジカがその雷の出力、熱をもってなお生き残っている運のいい敵、もしくは生き残れる力量を持つ相手を達郎の苦無と連携して縦横無尽に広場内を駆け巡り、焼き殺し、感電死させ、雄々しく吠える。
無論、広場から逃げようとした奴らもいたが、そうしようとした相手は既に鹿之助の苦無、手裏剣で射抜かれ、あるいは雷に焼かれて死亡。無数の糸と苦無をとっくに張り巡らせていた広場とその周辺数百メートルは既に鹿之助の視界の中に入っているも同然であり、更には上空から達郎もフォロー。
時間にして20秒ほどの蹂躙劇を終えて生物の気配が自分たち以外いなくなったことを確認して小太郎が通信機にスイッチを入れる。
「こちらBチーム。殲滅完了。鬼族、羅刹オークにオーガと流石に兵の質も高かったですね。人数までそちらの報告通りでした」
『こちらCチーム。こっちも奥で穴熊決めてこっそり後ろから不意打ちしようとしたボス連中の排除を終えた。ついでに物資諸々も回収。すぐに戻れる』
『こちらAチーム。すでに離脱の準備は出来ている。ルートは2番を通って欲しい。念入りに掃除をしておいた。あと2分後にエンジンをふかす。音で余計な奴らが来る前に帰ろう』
「了解です。よし、帰るぞ」
小太郎の通信を終えて骸佐、鹿之助、達郎たちは狩場を解除して即座にその場を離脱。時間にして数分の時間をもって東京キングダムの中堅組織の一つは根こそぎ壊滅。人員も物資も建物も全てを壊し尽くされた惨劇としか言えないものだった。
「時間にして5分。中級組織をあの人数とはいえ文字通りの全滅か・・・」
「それと、あの3人の覚醒具合もね。化けたものだわ」
任務を終えて離脱中の小太郎たちをさらに遠くから見ているのは甲河アスカと甲河朧。今回、華奈から同盟をまだ続けるのであれば今後手を結ぶ相手であり実動部隊、そして次期ふうま宗家、それを支える8将、井河の最高幹部候補の動きを見ていて欲しいと大金まで積まれての頼みであり見に来ていたのだが、正直な話、大金を此方から払いたいほどのもの、特に小太郎、鹿之助、達郎の力量はうわさよりも二回り以上も上だった。
電遁と揶揄されるほどの出力ほどしかなく、馬鹿にされていたはずがゆきかぜに迫るほどの出力の技を披露し、更にはあのソナーに正確無比な投擲術を見せた鹿之助。
忍術に目覚めず、気弱な一面を見せてたはずが荒々しい暴風を降り注がせ、空中の移動すらも手にしていた達郎。しかも彼はまだ剣のほうも残しているというおまけつき。
最後にいまだ忍術、邪眼に目覚めず、更にはそのせいで隻眼のハンデを会って尚も敵の攻撃をすべてもらうことなくしのぎ切り、忍術ではなく純粋な自身の体術であの暴れっぷりを見せた小太郎。
際限なく成長し続けられる骸佐の事も驚いたが、教師をしていた朧、頭領として、前線で暴れることもよくあるアスカとしても五車の里でも忍術がない、出力の弱さのことで馬鹿にされていたはずの3人のこの成長。更にはほかのメンバーの動き、連携にも目を見張るものがある。
「これに華奈先生が復帰・・・それと、ゆきかぜや紅たちの今の成長と、朧さん、華奈先生世代のメンバーがいれば・・・」
「エドウィン・ブラックへのリベンジも夢物語じゃなくなる・・・・・わね」
アサギ、華奈の世代も黄金時代と呼ばれるほどのものだったが、次代のメンバーの化け具合をこの目で見てアスカは自身の美しい亜麻色の髪を揺らしながら体に走る興奮を抑える。自分たちの世代の頼もしさ、そしてあの時激情と井河への更なる失望から同盟を破棄せずに本当によかったと過去の自分に感謝しつつ、小太郎たちが見えなくなると腰をあげた。
「華奈先生の復帰、その後の初動を見てから再度同盟の件を打診しようと思うけど、どう?」
「悪くないわ。だけど、一度華奈に連絡してからね。あちらから動いてもらった方がこちらのメンツが立つし、部下たちも納得がいくわ」
「わかったわ。それじゃ、今日は最高の情報と臨時ボーナスが入ったし、パーっとやりましょうか」
背伸びをし、踵を返して朧の経営するバーに戻ろうとするアスカ。それを朧も後を追う形でついていきつつ、仮面の下でクスリとほほ笑んだ。
(休職していても騒ぎを呼び込んで、いい方向に変えていくわ魔界の大物の血を引く魔女とも仲良くなっていた・・・彼女が完全復帰して、いえ、あの血を血で洗うような10余年を過ごした経験と疲弊した身体を完全に癒し切った状態でまた来てくれたのなら・・・それを支える仲間も多い今なら・・・うふふ・・・久しぶりね。教師としての血が出るなんて)
朧、不知火、アサギ。彼女らのもとでひたすらに走り続け、みるみる成長し続けていた華奈がまたどんな形で戻ってくるか、どんな景色を、暴走を見せてくれるのか、師匠の一人としてそれを早く見てみたいと穏やかな笑みを浮かべ、少し甲河に引き抜きたい。そう思いながらアスカに振る舞う酒は何にしたものかと思案を巡らせる朧。
今日は自分も少し酒を飲むと心に決め、自分の頭領兼妹分を追いかけた。
小太郎君の戦闘描写。難しかったですし下手かもですが書けて良かったです。小太郎は華奈のもとでの熱血に目覚めるは鍛錬、食生活も管理されていくわの日々で原作よりもかなり強くなっています。
鹿之助、達郎も同様。骸佐は原作よりも夜叉髑髏が数段強化状態+剣術も向上。他のメンバーも能力が数段向上、身体能力も強化。凜花はほぼほぼスモーカ中将状態。エリート意識は華奈に煙をとらえられるわ年下の小太郎やほかのメンバーに接戦されるわで砕かれまくっています。代わりに向上心と優しさが成長していますが。
華奈のヒーロー、戦士の在り方ってどれに近いと思います?
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ウルトラマン
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仮面ライダー
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こち亀
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クレヨンしんちゃん
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スーパーヒーロー戦隊