こちら対魔忍特別諜報室   作:零課

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アクション対魔忍にようやく移動。ある意味シーズン2? 特撮基準で考えるとなかなかにオーバーした後に移行ですけど。





~五車研究所~

みこと「先生。完成しましたよ。新型兵装」

華奈「ありがとうございます。じゃあ、あとは私がテストして、負担やそこら辺も記録したり感想を伝えますね?」

みこと「お願いします。しかし・・・先生はだいぶ兵装が多いですよねえ」
(カバンを渡す)

華奈「そうです?」
(カバンを受け取る)

みこと「いや、そうですよ。太刀、脇差、ハンドガン、ライフル、ガトリング、棒手裏剣、手甲、剣、寸鉄、槍、どれもが一級品ですし武芸百般というか」

華奈「子供相手に修行つけたり、色々必要でしたしね。ほら、これのためにも」
(仮面をかぶる仕草をする)

みこと「ん・・・そうですね。じゃ、テストの結果は後程」

華奈「ええ。それと、ゆいさんと拳志が心配していたので徹夜はほどほどに」


始まるアクション対魔忍
特務中隊設立、大陸からこんにちは


 「ふぅ・・・これでよし。と・・・」

 

 

 出来上がった書類に裁決のハンコを押して一息つく私。かれこれ五車に来て十数年。また季節がうつろい、その間に色々ありました。

 

 

 小太郎君も若き頃の私やアサギさんのように部隊を作って方々で活躍。凜子さんたちは高校三年生となりいよいよ卒業からの一人前の対魔忍となる。その前に凜花さんたちと一緒に私の家に入るための許可をもらいにきて私も許可したのですでに内定獲得済みのような感じに。

 

 

 船坂家の屋敷が完成したので私は私で紅さん、ゆきかぜさんとのW結婚式を行いました。

 

 

 不知火さんが私たちの花嫁衣装と、花婿(私はドレスじゃなくてタキシードの男装だった)を見てぼろ泣きしたり、その結婚式で今まで私が行った任務の中でもギャグ満載の任務、ヘンダーランドに珠由良族、ブタのヒヅメ団との激闘、五車の記録でもハロウィンヒーローショーが上映されて笑いを誘ったりと愉快なものに。

 

 

 そして、子宝にも恵まれました。紫さんと不知火さんが出産。不知火さんの子どもは当然私。もう、ゆきかぜさんはこの子が愛人の子どもとして接すればいいのか、妹なのかと困惑していたりしましたが目出度いことです。きららさんなんて鼻水流しながら号泣して「私の妹・・・絶対に、守るわよ・・・!」とすんごい愛を見せていましたし。

 

 

 で、その際に紫さんと不知火さんから私に名前を付けてほしいとのことでしたので紫さんの子どもには「香子」不知火さんと私の子どもには「愛花」と名付けることに。名前の由来に関しては紫さんの方は紫から紫式部。教養ある、いい子に育ってほしいものです。ちなみに、3歳くらいになったら船坂家に預けたいとのこと。小太郎君たちを育てた実績からぜひともとアサギさんらに頼まれました。

 

 

 静流さんはうちは託児所じゃねーぞという感じで言っていましたがもう子供二人にメロメロで親に負けないほどに優しくしているので、まあ受け入れることに。私も子供好きですし。ちなみに、これを見たみことさんとゆいさんは拳志さんに一服盛って夜を始めるなどお盛んになった様子。猿鳶家も跡継ぎは問題なさそうですねえ。

 

 

 恋愛ラッシュは続き、きららさんと骸佐君での許婚の関係を結ぶことになったり、権左さんと友奈さんの本格的な結婚を前提にしたお付き合い。小太郎君も若さくらさんと紫さんをはじめとして多くの女性に手を出していますし、いやはや、ベビーブームが来そうです。天音さん妊娠させて紫さんの代りに事務員になったのは呆れましたけど。おかげで災禍さんと時子さんの目が、もううん・・・ね?

 

 

 「大将。例の子も日本に来たみてえだ。政府の方で山本長官と顔合わせをしてから明日に俺らと対面となる。小太郎の方も大丈夫そうだし、頼むわ」

 

 

 「ええ。はぁ・・・」

 

 

 拳志の報告も入り、いよいよ前々からの話が正式に五車にも届き、同時に任務も言い渡される。正直心底嫌ですが、こればかりはしょうがない。

 

 

 「まま、こればかりはしょうがねえよ。せめて俺らでサポートしつつ頑張っていこうや。俺らが明るくないと小太郎やアサギも不安がるってもんよ」

 

 

 からからと笑いながら手を振って出ていく拳志。ほんと、静流さんたちとは別ベクトルで私を支えてくれるからこの明るさは助かります。私も頑張りましょう。うん。

 

 

 とはいえ、キッツい内容なのとこれからの事を考えたらもう、明日色々ぶちまけすぎないように甘えたいと頼み、子育て中で悪かったのですが不知火さんにさくらさん、ナディアさんに思いきり甘えました。はぁ・・・ひたすらに死にかけて子供のため、恩人友人のためにと走りぬいて、ようやく落ち着いたと思えば次の大波がくる。本当、こういう時じゃないと安らげないです・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 「しかし・・・大抜擢だな・・・これは」

 

 

 五車で俺が目抜けと煽る輩も少なくなり、先生たちの助け合ってとはいえ自身の部隊をもって任務こなしていくことしばらく。俺たちの部隊も成長し、桜花(若さくら)、愛子(若紫)蛇子、鹿之助、骸佐をメインにした小隊はようやく華奈先生の特別諜報部隊とも連携を取れるようになってきた。

 

 

 今日は最近前線に出ることも増えてきたアサギ校長と学生結婚。しかも紅と一緒に華奈先生と結婚したことでいろいろと話題をさらったゆきかぜとのバーチャルを活かした訓練。

 

 

 その後には山本長官から日本だけではなく世界各地で動き回るテロリストへの対抗策として動き回る新しい対魔忍部隊の設立。その隊長へと任命されるというとんでもないおまけがついてきたが。しかもアサギ校長も部隊員としているという超弩級の対応。

 

 

 山本長官から随分と若いと言われたり、からかわれたりもしたがアサギ校長が「15の華奈ちゃんを特例で1年で卒業させて対魔忍させるよう私に頼んだり、そちらの膿を何度吐き出させたか忘れたわけじゃないでしょう? 歳だけでは測れないわよ彼も」と言われて笑ったり、ゆきかぜと桜花の気の抜けそうな軽い発言に困惑していたりと、思わぬ一面を見れたりもしたので良しとする。

 

 

 これからはアサギ校長に華奈先生を抜きにして会う機会も増えるでろう存在。その振る舞いや癖を知っておくのは必要だ。

 

 

 「特務中隊・・・ね。ま、俺ら以外にもアサギ校長やほかのメンバーの経験を借りながらなんとかしていこうや。比丘尼のババ様も手を貸すってよ」

 

 

 「そうそう。それに、ふうまちゃんも覚えているとおもうけどギランボ。あれの存在やノマドのことを思えば、長官の今回の話もなおさらだよ」

 

 

 「だよな・・・日本だけでつぶしても、逃げられて別の国の拠点で回復されても意味がない。追うための、対処していくための新部隊・・・かあ」

 

 

 蛇子のいうことももっとも。あのギランボの一件もそうだが、日本国外に逃げられればそれ以上は対魔忍は今まで動けなかった。だからこそその場で仕留めたりすることに重きを置いたが魔族と手を結んだテロリストが魔界の門を利用して逃げて他国に逃亡。しかもノマドのように世界にまたがる企業のバックアップを受ければどこでも力を蓄えて戻ってくる。しかも此方への経験も積んだうえで。だ。

 

 

 骸佐の提案もありがたい。戦国時代、その後のいざこざも知っている比丘尼の経験を活かした部隊運用なら100人を超える人員を動かすためのノウハウも学べる。一気に話が上に来た感じは否めないが、ふうま当主としての次の経験を積むと考えておくほかない。そう考えるのだが、今までは5~10名で現場での任務に走り回っていた自分がいきなり国際的なテロリスト対策部隊の隊長になり、100名近い人員をのトップ。それの緊張はぬぐいきれない。

 

 

 せめてもの救いは時子姉がこのことで小遣いを少し増やしてくれたくらいだろう。

 

 

「で、更には俺ら以外のやつを副官に据えるね・・・米連当たりの、アスカ、レティシアさんあたりか? 目的としては日本の組織の俺らの目付け役、首輪ってところか」

 

 

 「その首輪が来たみたいよ小太郎」

 

 

 「ゆきかぜ。お前、ゲームの大会に向けて練習するんじゃなかったのか?」

 

 

 実際そうなるだろう。日本の組織がしっかり動いているか、米連内での椅子取りゲーム。利用価値の確認。そのために呼ばれる副官。顔見知りなら有難い。そう思っていたのだが、その思っていた話題を持ちかけてきたのはまさかのゆきかぜ。思わず皆が振り向く。

 

 

 「ま、そうだったけどね。山本部長に伝言頼まれて。校長室にいるから来てほしいだってさ。国際情勢に長けたエリートってやつらしいわ。拝みに行きましょうよ♪」

 

 

 「ふぅん? エリートねえ。ま、実際にアサギ校長や山本長官の言う人なら興味あるし」

 

 

 「しばらく身内顔見知りとの任務ばかりだからな。あっちも緊張させ姉に俺らも挨拶してくか」

 

 

 どうやらもうすぐ来いということでゆきかぜを戦闘に俺たちも付いていくことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「失礼します」

 

 

 「ふむ。来たか。ふうま君。それに、中隊の皆もか」

 

 

 「はい。せっかくの新隊員。互いに早い段階で顔合わせをしたほうがいいかと思いまして」

 

 

 校長室に入り、山本長官に頭を下げて入る俺。その後ろにゆきかぜに骸佐、蛇子が続く。蛇子の一言でまあいいかと思ったのかこれ以上言うことはなく、山本長官はすぐに内線電話を取る。

 

 

 「来たぞアサギ」

 

 

 その連絡を終え、校長室の奥の扉が開いてアサギ校長が出てきた。来たのだが。

 

 

 「あれ? 校長先生だけですか?」

 

 

 「ああ。後ろ後ろ。紹介するわ。彼女が中華連合人民解放軍情報部所属の捜査官」

 

 

 「スウ・ジンレイだ・・・」

 

 

 姿が見えず、困惑したがすぐに好調の後ろからひょっとこりと出てくる小さな影。その影は少女。それも下手すれば自分達よりも幼い女の子だ。

 

 

 中華連合独特の服に身を纏い、帽子をかぶっているがその整った顔立ちに金の瞳。長く伸びた赤く奇麗な髪が特徴的。そして、感じるのはその武の匂い。相当に使える手練れと判断して問題ないだろう。

 

 

 「は!? 中華連合!? 米連じゃなくて!?」

 

 

 「え? あ・・・あぇ? 何か最近大きなニュースがありましたかアサギ校長!?」

 

 

 「今度は中華連合で魔族騒ぎがあった故のヘルプじゃねえだろうなおい」

 

 

 「落ち着いてほしい・・・が難しいか。まあ、理由は話そう。皆落ち着いて聞いてほしい」

 

 

 そして驚く皆。当然だ。中華連合と米連は国際関係でも対立し、日本ともかつての敵対国。今もいい関係でなければ裏で龍門などの組織を使い日本を侵略しようとしている。正直な話こうして単身捜査官が来ている時点で相当に驚くもの。

 

 

 まあ、華奈先生が龍門を潰し切り、関係組織のパイプの資金もすべて奪い、生物兵器も拠点も粉砕爆破解体したせいで今はもう青息吐息、裏社会でろくなことはできないが。

 

 

 皆を落ち着かせた山本長官から語られた内容はざっくばらんにいうと日本の情報を米連に売りつけていた武中なる教授。この教授自身の専攻である政治学のノウハウで政府の機密にも触れられることを活かし日本を米連に売り、更には米連すらも闇社会や世界各国に売りつけていく情報のビジネスマン。

 

 

 これだけならまだただのブローカーの一角で済むのだが、少し前にこの武中のもたらした情報で米連がこっそり日本国内で「BOW」強烈な感染力を誇る生物兵器のガス等などを輸送中に武装勢力に襲われる。しかもこれを華奈先生やほかの組織が調べたところ(おまけとして生物兵器を持ち込む提案をしたやつらは全員アスカと華奈先生に掴まり米連本国で社会的にも精神的にも肉体的にも殺し尽くした挙句に魚の餌にしたそうな)武中が武装勢力にその情報を流したということを知ることに。

 

 

 国際的にも米連との深いかかわりのある日本国内でこの扱いをしていることを米連はひた隠すために武中を亡命させて事実を消すために動き、同時に日本もさすがにこれには憤りを感じたためにあらゆる治安当局、情報組織が動く。結果日本国内の米連基地、その中の一般市民や米連の兵の家族をテロから守るという名目を通して基地を封鎖。残るは一般空港からの脱出になるが行き先を絞れば後はこちらのもの。その空港も米連の動きがあった関西国際空港を見つけ、民間機に関しても既に把握できているそうだ。

 

 

 武中を米連の手の内に逃がし切る前にこちらで捕まえ、華奈先生の知り合いと部隊による尋問というか人間の尊厳破壊をしつくして確実に吐かせ尽くして壊すことが今回の中隊結成への起こり。

 

 

 同時にその武装勢力に関しては東南アジア。中華連合の支配地域内でいくつもの被害を出している国際テロリスト。中華連合としては日本に恩を押し付けつつ米連のこの大失態を世界に晒すことで鼻を明かしつつ味方を増やし、米連の発言力を奪う。また、テロリストも制圧すれば中華連合の手腕をアピールできるし生物兵器も手にできれば米連のテクノロジーを奪える。そのために動いた。

 

 

 日本としてもいくら同盟国と言えども過ぎてはいけない一線を越えた。この事を示しつつ、また会えて中華連合の人員を懐に受け入れることで逆にあちらの出方や情報を探る。そう言った思惑の重なりから話は進み派遣されたのがスウ・ジンレイということらしい。

 

 

 「と・・・いうわけだ。これから君たちは近畿国際空港に向かい、武中の身柄の確保。そして生物兵器の確保を行ってほしい。スウ・ジンレイ君も来て早速で悪いが副官として彼らに同行してほしい。ふうま君たちも彼女は中華連合が認めた橋渡し役にして捜査官。よろしく頼む」

 

 

 「それは構いませんが・・・ひとつ質問が」

 

 

 「何かね?」

 

 

 こちらが頭の中で情報を整理していた俺たちだが、副官となり同時にある意味「お客様」でもあるスウが訝しむ表情になり、切れ目の瞳を細める。

 

 

 「こんな若造たちが本当に・・・特務中隊の隊長。そしてそれを支える隊員だとおっしゃるのですか?」

 

 

 スウの発言に俺は思わず驚き、周りは固まる。特に骸佐とゆきかぜの反応は怒りを少し含んだもので反応もすぐに出た。

 

 

 「ちょっと!? あんた何言いだすのよ! 喧嘩でも売っているわけ!?」

 

 

 「俺らと同い年くらいだろうが。そう言われる筋合いはねえと思うが?」

 

 

 「・・・見たままを言ったまでだ。いかにも経験がなく頼りない。国際テロ相手に動けるとは思えないが?」

 

 

 まあ、実際に経験がないのも事実。しっかりと部隊を動かした経験も1年もない。補佐や連携を含めればそれなりにあるとはいえるが、こうもズバズバと言われれば学生の身ながら戦い続けたことを馬鹿にされた気分で周りも黙れない。

 

 

 「・・・きけばふうまちゃんやみんなを好き勝手言って。私達もそれなりに功績をあげていて、だからこそ山本長官やアサギ校長先生から任されたんだよ? なのに知らないでそんなふうにいうあたり、経験がないのはそっちじゃないの?」

 

 

 「だな。ったく。多少腕が立つからってこうもでけえ態度されちゃあ困る。うちの大将やほかの連中の骨太具合を知らねえでいうあたり器もおつむも程が知れらあ」

 

 

 「ちんちくりんの小娘が馬鹿にして! あんたも怒りなさいよ小太郎! こんな大物魔族と一回もぶつかったことのないような奴にさ!」

 

 

 「い、いや・・・俺はこれくらいは別に・・・」

 

 

 蛇子すらもカチンときたのか怒り始め、皆も怒りの炎をじりじりと燃え上がらせているのが見える気がするほどになる。逆にそれが俺を冷静にさせてしまうのでむしろ引いてしまう。

 

 

 「ちっ、ちん!? 貴様、私を愚弄する気か!?」

 

 

 「もちろんよ! どこの国の捜査官だか知らないけどねえ! 私たちのことを知っているのなら、少なくともハロウィンとかのことを知っているのなら足手まといよ! 私たち同士で連携を組んで戦ったほうがずっと早いもの」

 

 

 「! ・・・ハッ。よく言えたものだなゆきかぜ。雷撃の対魔忍の名前の通りに一人早く勝手に突撃して光の速さであわや奴隷娼婦になりかけて師の計画を壊して煩わせたというが、なるほどこの口のうるささと性格は納得だ。そんな貴様が連携だと? 笑わせる。またそのぶっ放すしか脳のない脳筋貧乳馬鹿具合を見せつけないよう気を付けろ」

 

 

 ゆきかぜの言葉にヒートアップしかけたスウだがむしろ冷静になり、前もって手にしていた情報か、アサギ校長たちから知っていたのかゆきかぜの過去の失敗を持ち出してむしろ煽り始めた。

 

 

 「・・・・・・・殺すわ」

 

 

 そして、親のことを思うあまりの無謀な突撃と失敗。自分の無様さと今は婚約者の華奈先生の事を煽られればゆきかぜも切れる。ブチッ。そう聞こえるほどにゆきかぜの堪忍袋が切れ、同時にゆきかぜの回りにバチバチと雷が走り始めた。

 

 

 「うぉぉお!? まてゆきかぜ! 流石にやべえ!」

 

 

 「そ、そうだよゆきかぜちゃん!? 校長室どころかあたりが吹っ飛ぶ!」

 

 

 「知るかあ!! ちょうどいいじゃないの! 私の本気受け止められるかどうかでこの中隊にふさわしいかテストしてあげるわ!」

 

 

 「・・・・スウ。流石にいいすぎよ。ゆきかぜも。怒るのは分かるけど、ここを吹っ飛ばすことでの問題の大きさと、米連、日本、中華連合の絡んだ問題の解決を遅らせるのは私もかばいきれないわ」

 

 

 一触即発。あまりのゆきかぜの怒気に骸佐も蛇子も落ち着き抑える側に周り、それでも止まらないゆきかぜを抑えたのはアサギ校長。応戦の構えを見せていたスウも構えを解き、どうにかこの緊迫した空気もひと段落。

 

 

 その後更に語られた衝撃の事実としてスウは第二次世界大戦の際の残留孤児を曾祖父に持ち。その曽祖父が対魔忍の血を引くものであり、スウはそれを覚醒。更には頭脳も優れたものでありこの歳で幾つもの飛び級をしたうえで北都大学という世界でも名を聞くことのある名門校を首席で卒業というまさしく麒麟児というにふさわしい経歴。

 

 

 バサラのことで中華にも対魔忍がいたのは知っていたが、まさかあの国に根付いた対魔忍の血を引く一族がいるというのが皆驚き、更にはそのスウはアサギ校長の愛弟子。これを話した際のスウはまるで年相応の、憧れのお姉さん、敬愛する人に出会えたような態度になり先ほどの刺々した態度はどこへやら。ネコのように見えるほどに可愛らしくなるから尚驚く。

 

 

 華奈先生以外にも弟子がいたことに驚きだが、あまり長く日本にはいたことが無いので数度の稽古をつけた程度。しかしその訓練だけでアサギ校長が愛弟子というほどに素晴らしい素質であり、最強の対魔忍から折り紙付きと言われるのだ。ある意味そこまで太鼓判を押して信頼する存在は華奈先生だけだと思っていただけに驚く。

 

 

 (ただ、性格は矯正できなかったか。まあ・・・あのなつき具合。アサギ校長の前じゃあ借りてきた猫、忠犬みたいに大人しいんだろうなあ。でなくちゃあの場ですぐには収まらん。それにあれこれ言う連中はその才能と努力でねじ伏せるだろうし、呑み込みも早い分)

 

 

 (ゆきかぜちゃんをあおり倒すし、実際経歴も私達とは雲の上の存在。だからだろうなあ・・・脳筋具合を一層軽視している節があるのと、本能型、直感を使うタイプは合わないのかも)

 

 

 「スウ。小太郎君は私が推した指揮官であり、華奈ちゃんの愛弟子、討魔剣士の技を持つ戦士でもあるわ。確かな実力はあるし、共に働けば気に入ると思うわよ」

 

 

 「お、お師匠様のお言葉と言えども、あのような・・・」

 

 

 「まあ、各々型言いたいこともあろうが、近畿国際空港以外の米連のチャーターした民間機への妨害もしている。こっそりとだがな。より動く先を絞った後に君たちは動いてもらう。そのための用意を怠らないように」

 

 

 「あ、あの。その事で一つ・・・アサギ校長もこの部隊に参加するのですよね?」

 

 

 「そうだが?」

 

 

 ひとまず場が収まり、スウもアサギ校長先生が宥めてくれているので少し気になった疑問を聞いてみる。このままお開きでは、少し不安があったからだ。

 

 

 「それだと、最強の対魔忍が五車不在。しかも国際テロを追うための組織の一隊員となれば長く開けるかもしれません。その間の留守に関してだれが・・・」

 

 

 「そんなものは決まっている。アサギと並ぶ実力を10年で手にし、そのアサギの手足たる最精鋭九郎隊に並ぶ精鋭の諜報部隊をいくつも作り上げた運用能力とそれを支える腕利きだらけの配下。ふうまの反乱を察知し戦力の引き抜きをすれば甲河とのつながりを用いて米連の技術や情報を手にする手腕」

 

 

 山本長官の言葉になんとなくわかっていたがはっきり聞いて安心する。あの人がいてくれるのなら。という安心感と頼もしさ。

 

 

 「米連、中華連合の情報網をかいくぐる奴隷商人を補足し、神話の住人を幾つも退けた功績、必要であれば魔族だろうと元内閣閣僚であろうとひっとらえて情報を全て吐かせ潰した組織の数も無数。最強と新しい新鋭を出すのなら、地獄の住人すらも叩き切る番犬が守るほうがいいだろう」

 

 

 その言葉と同時に扉が開き、三人の人が立っていた。

 

 

 「留守は任せたわ。華奈ちゃ・・・」

 

 

 その三人は船坂華奈、高坂静流、猿鳶拳志、井河三羽烏とアサギ校長、さくら先生、紫先生と並ぶ実力者で船坂家を興した俺たちの師匠とその仲間・・・が・・・ジョジョ立ちで立っていた。華奈先生が承太郎。静流先生がジョセフ。拳志さんがポルナレフのあれで。

 

 

 「留守は私たちに任せてくださいね♪」

 

 

 「ついでに日本国内ならサポートも手厚くできる」

 

 

 「どこの空港から逃げるかもあともう少しで補足できるからすぐ伝えるわ。あれ? 反応薄い?」

 

 

 いろいろ空気をぶち壊したせいです。とはだれも言えず、色々と変な空気になることしばらく。

 

 

 「ふぅむ。出来れば私はジョルノとブチャラティも捨てがたいのだが・・・どうだろう?」

 

 

 「うーん。じゃあ、そうですねえ。今度権左さんとか、ふうまの若い衆も誘って一度頼んでみましょう」

 

 

 「いやいやいや!? 先生。どこからどう突っ込んでいいかわかりませんよ!?」

 

 

 「あら? 駄目でした? じゃあ、今度は不知火さんとあやめさんも呼んでギニュー特戦隊でも・・・」

 

 

 「華奈ちゃん、違うそうじゃないわ。あ、でも見てみたいわね」

 

 

 「お師匠様!? それと、華奈さん・・・ということはあれが船坂家、特別諜報・救援部隊の幹部・・・」

 

 

 山本長官もまさかのノリノリ具合と、あのノリの軽さでさっきまでのどこかつんけんした空気は一転。こうして、俺たちと組む中隊の初任務は幕を開けた・・・




スウちゃん登場。いろいろ原作でもズバズバものをいう、短気ながらに頭の切れる天才ですよね。しかも割と素直。


口の悪さはイベントや敵への態度を見ても割とえげつないんだろうなあと思います。色々言われていたはずの小太郎ですら聞くに堪えない罵詈雑言というほどのものを言うらしいですし。


今回は華奈たちはバックアップ。部隊員もいろいろ出てくるかもしれません。サイコガンなアイツとか、合法ロリ忍者で蛇なあの子とか。

華奈のヒーロー、戦士の在り方ってどれに近いと思います?

  • ウルトラマン
  • 仮面ライダー
  • こち亀
  • クレヨンしんちゃん
  • スーパーヒーロー戦隊

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