「ふぅー・・・今日の仕事はおしまい・・・んーう・・・」
特務中隊の任務も一度ひと段落し、米花町での爆弾騒ぎも公安、警察がやってくれた。魔界都市も朧がこちらの方で捕まっていることに加えて私、井河アサギ、そして華奈ちゃんたちがいることもあるのかノマドの動きも大人しい。
最近米連からレティシア・ベルメールがスウの特務中隊の参加・・・まあ、中華連合のより日本に優しい配慮と国際的協力の姿勢を見せたゆえの対抗だろうがあのアネモネ・・・魔界の上級、それも支配階級の姫君相手に手傷を負わせた精鋭が来るのもあり、今は五車が穏やかそのものだ。以前の忙殺されそうな日を思えば休日の昼にすらならない時間で仕事が終わるのは本当にありがたい。
「お疲れさまお姉ちゃん。香子ちゃんの方は大丈夫?」
「あらさくら。そっちも終わり? ええ。香子は大丈夫よ。むっちゃんと浩君がちゃんと見ているから」
「うん。任務の報告書の訂正も完了♪ ふふーお姉ちゃんにも子供が出来て、船坂家も待望の嫡子は麒麟児で、養子のきららちゃんも二車の骸佐君と付き合い始めたんでしょ? いやー未来は明るいね」
さくらから受け取った報告書を見て、間違いがないことを確認して背伸びをする。そう。本当に大きく未来は見通しが良くなった。
長老衆のいざこざと我儘に振り回され、ふうまを小間使いにしていたせいで錆びついた井河のベテランをはじめとした質の低下。これ以外にも挙げればきりがないほどの問題も解決していき、人材不足も徐々に解消されつつある。
それの大きな部分は華奈ちゃんと、その周りに井河ふうまのかかわりを無視して動ける優秀な人材が多く集まっていることが大きい。歴史と人数は浅く少ないが、その実力と質、資金力はすさまじいものですっかり政府、五車の派閥内を調整するバランサーだ。
「ふふ・・・まさか1年ちょっと前にはこうなるとは予想もできなかったわ。戻りましょうか。今夜は確か拳志の提案でみんなで飲み会だったでしょ?」
「そうそう。華奈ちゃんはちょっとアミダハラ・・・ノイ・イーズレーンと話があるから参加できないっていいっていたけど、そうだね。うふふー久しぶりのお酒だよ~♡ 大吟醸キープしていたんだよね」
「呑みすぎは駄目よ? 確か、あやめとカヲルが面倒を見てくれるっていうし。今夜は飲みましょうか」
書類を片付け、部屋の明かりを消しつつ学園を出ていく。後は昼はのんびりと昼寝をして、明日の朝食を作り置きしておいてからゆっくりと船坂家の屋敷へ行けばいい。優雅な休日だ。浩君も小太郎たちと遊んでくるようだし、無礼講。思いきり酒を飲んで、楽しく過ごせればと思う。
~一方そのころの華奈~
華奈「わわっ!? 精霊(ジン)アナゴ~~!? な、何でこうなったんです! あ、こんにちは」
リリス「か、華奈先生の娘を召喚術であやそうとしたら突然水遁を見せられて驚いてから魔力が暴走を・・・ご、ごめんなさーい!」
華奈「と、とにかく急いで五車中で召喚された精霊アナゴを帰しつつ散らばった魔力で自動召喚されないように回収しましょう。紅さん、ゆきかぜさん。用意!」
ゆきかぜ「大丈夫よ華奈さん! ふふ。なんだかこういうゲームみたいで楽しい♪」
紅「体術や護身術は鍛えられたが、魔力はもう少しノイおばあさんに学んだほうがいいな・・・よし。行こう」
リリス「ふぇえ・・・わ、悪いことしていませんように・・・」
華奈「精霊アナゴは温厚な性格ですし、よっぽど驚かれたり、忍術での攻撃をしない限りは暴れたり・・・・急ぎましょう。やっぱり不安です」
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「あ、皆さんお待ちしていました。ささ、どうぞどうぞ」
「待ってたよ~」
船坂家屋敷。水城家の豪邸に負けないほどの大きな屋敷。まあ、娯楽のためと同居人、住み込む人が多い故の大きさだが、機能の充実と頑丈さ、防犯性は学園に負けていないほどのもの。対魔忍屈指の特殊部隊と名家当主の住むのだから妥当とも言えるのだが。
私、さくら、むっちゃんを迎えたのはふうま時子、亜希。方や船坂家、特別諜報・救援部隊の秘書を務め、方や華奈の愛人、部隊の遊撃手を務める腕利き。
ぴしりとスーツ姿で迎える時子と、ジャージ姿で迎える亜希の二人のしぐさもあって本当に対照的だ。まあ、集まりとはいっても宅飲みの緩いものだし、むしろ時子の方が変かもしれないが。
「ああ。そういえば、先ほど華奈が何やら走り回っていたが、何があったんだ?」
「あ、そういえばーなにか大きなちん、チン・・・チンアナゴ? みたいなのも見たけど」
「ああ、それは・・・」
「なんでも召喚魔術の暴走で精霊アナゴがあちこちに召喚されたからそれの解決のために走り回っていたって。で、これをもらえたわ」
そういって亜希が見せるのは何やら綺麗な宝石。なんでも、宝石の原石が海の砂に揉まれて丸くなり、魔力をため込んでいるのがたまたま精霊アナゴの巣穴に入って保存されたものだとか。
「だからあちこちでなんだか変な声が聞こえたのね。で、この後華奈ちゃんは?」
「リリスをノイ・イーズレーンの元に送り返すために一緒に移動しているようですね。武者修行といいつつもバイトと肉体鍛錬に精を出しすぎて本来の魔術師が遠のいていると」
ドタバタと騒ぎに巻き込まれつつ、今度は教え子みたいな存在を送るために動く。本当に多忙だ。
「そのまま茶会に行く感じでしょうね」
「華奈ちゃん、本当にいつも動いてばかりだなあ・・・こんど何か用意しよ」
「有休でも取らせては如何です? スケジュールで休みの日を教えますからそこに追加で休ませて連休でも与えては」
時子の提案にそれはいいと一同頷き、屋敷の広間に移動。そこには既に不知火、あやめ、災禍、静流、拳志、ナディアたちが料理を並べ、酒を用意していた。
「待っていたぜ~皆さん。ささ、のんびり飲もうや。井河、ふうま、船坂での飲み会のスタートよ」
「こちらは当主がいないのがあれですが、ま、のんびり気楽に行きましょう」
そういって皆に促されて用意された席に座り、私たちは昔では考えられない、ふうまも井河も、それぞれの立場やしがらみ関係ない気楽な飲み会を開始した。
~一方そのころの華奈~
華奈「はふー・・・ふぅ・・・よ、ようやく裏山の方に出た精霊アナゴを帰すことが出来ました・・・が・・・」
紅「一匹なついてしまいましたね。しかも金色の・・・」
リリス「でも、この金色の精霊アナゴは魔界でも激レアの激レア、幸運の象徴なの・・・すごい! おばあさまの本でようやく見れたくらいなのに」
ゆきかぜ「まーそれならいいんじゃない? 餌も生肉とか野菜でいいみたいだし、移動は魔法陣で移動したり、うちの屋敷の砂砂利や畑の土に籠るんでしょ?」
華奈「なら、そうしましょうか。少し大きくなれば愛花の遊び相手にもなってくれそうですし・・・あ、寿命とかわかります?」
リリス「寿命は特にないみたいです。あ、写真撮っておこ」
紅「何というか・・・はあ、護衛を続けるのでこれからアミダハラに行きましょうか。ついでに、このアナゴを使い魔として扱うためにも」
~~~~~~~~~
「だーかーらぁ・・・・! 華奈ちゃん、船坂家は今後も井河の元が絶対にいいのよ!」
「何を言いますか! アサギの次は紫が総隊長でしょうがその次はお館様、その際に師であり、多くの精鋭を抱えた船坂家が支えたほうが間違いなく今後のためにもなります!」
「私はアサギ様と同意見だ。やはり・・ヒック・・・ふうまは今も精鋭が多ければ若手も、小春や龍美など多く船坂家に預けて成長させている。今後も・・・井河とふうまのバランスを取るためにはあの戦力と人材は欲しい。私としても公私ともに華奈の存在がアサギ様に引き続き秘書をしてほしいからな・・うぅ・・・」
「わ、私としては魔界の戦力や技術提供のためにもこっちにも来てほしいなー・・・なんて」
飲み会が始まってしばらく。私、ナディアは甘いお酒をちびちび飲みながらいよいよ酒が回って華奈さんの話題でヒートアップ、そこから船坂家をどちらの家の名家にするか。というのを熱く語り合っていた。
私は領地をメイアに譲ったとはいえ、一応あちらでは私を今でも慕ってくれる人も多いらしいし、私の伴侶として紹介もしたい。あと、今日は比丘尼から歴史を学びに行っているアネモネもだけど、魔界での有力者との協力もしやすいとは思う。
「それは無理だな。ノマドの件もあるし、こうして受け入れている時点でかなりの破格の待遇なんだ。それはそれとして・・・華奈がいない今だが、副官、幹部はどう思っているんだ?」
「わたしは~・・・ふうまがいいよ。ふうまはずっと華奈さんに支えてもらってきている大恩を下忍までみんな知っているし、何だったら今は半減したふうま八将の一角に据えても問題ないレベル。んふぅー・・・井河に関しては・・・やらかしがいろいろありすぎるし・・・可愛い子も今は船坂家ばかりだし」
「うぐ・・・ひ、否定はできないけど・・・」
「まあ、うん・・・ふうま隷属時代のバックアップや無体を働こうとした人たちをどうにかしていたのは華奈ちゃんだしね。私も手伝っていたけど。あと・・・アサギにさくらに紫に私・・・トップがそろいもそろって華奈ちゃんの助けが無ければあれだったのも」
「ひえ・・・う、わ、私ちょっと失礼」
みんな酔いが回っているのにすごい剣幕、亜希さんもひょうひょうと話しているけど目が笑っていない。少し席を外すふりをして比較的明るく酔っている拳志さんたちの方に移動。
「あーらナディアちゃん。いやーみんな大将が好きなんだぁーね。イッヒヒヒ♪ まあー俺もだけど」
「はぁー・・・何でこうなるのかしら」
「ふぅーまあ、うん騒ぎの中心とイベントの多くにうちが絡んでいるからじゃない?」
ビール片手にカラカラ笑っている拳志さんと酔いながらも渋面をしている静流さん。不知火さんたちが参加してますますヒートアップしていた場所から離れてチューハイと里芋の煮っころがしをつまんでいる亜希さん。
比較的安心できるメンバーの元でほっと一息つき、おつまみのサラダを食べながら酒を飲む。
「あー・・・うん。だよなあ。五車の新入生歓迎のレクリエーションで今年は確かヴィレッ〇ピープルとキングオブポップスの曲をアレンジしたやつやそれに合わせたダンスを披露したんだろ?」
「やったやった。華奈さんがボーカルで私、亜希、不知火、静流、さくら、ナディアで思いきり踊ったわね。あのリクルートソングを対魔忍のに変えて曲の中での小芝居をしたりで面白かったわ~」
「不知火さんの腰の動かし方と、演技がガチすぎて何名か前かがみになっていたね。くぴ・・・ふぅー・・・中等部はまだしも高等部なんてみんなおじさんばっかりなのに私の華奈さんに欲情するなんて・・・」
「振付考えたりアレンジするの楽しかったなあー・・・えへへ。で、今日は精霊アナゴの暴走召喚を抑えてからのアミダハラ・・・うん。五車の話題の中心だよね」
私が五車に来る前からの騒ぎと任務の功績を見ても、あの人はすさまじいし、とんでもない。任務の話でも話題に上がれば、日常生活や笑いの面でもここの皆はほぼほぼ関わるばかり。恩も笑いもあればそりゃあ酒の席でも話題に上がり、欲しがるのは当然と言えるのかも。
「私が拾って五車に呼んで、さくらと同じ妹みたいなものなのよ私には! お願い、私たちの方に組み込んで頂戴! あの子の調整能力とかほんと必要なの!」
「なんでそちらは執事システムを採用しないのですか! それだから名家ですらも馬鹿しでかすし、上がああなるんですよ!」
「それを言えばふうまもだろう!? 弾正の残した負の遺産や阿保騒ぎに何度華奈が出向いたと思っているんだ!」
「うぐ・・・それを言われると・・・天音も私もギリギリまで弾正のそばにいつつ何もできませんでしたし」
「どっちもどっちに思えてきたわねー・・・ふぅ・・・まあ、私は井河の方でもいいと思うけど。飛燕さんの事もあるし・・・隷属時代の仕返しを考えるとねー・・・」
とうとう泣きが入ってきたアサギさん。まあ、うん・・・上からは説教と我儘、報酬ピンハネで苦労して、同世代はだらけて腕を落とすばかり。下からも文句の突き上げに、ふうまとの付き合いもうまくいかないし、身内の意見を思えばと強く言えない。そんな日々を解消した人が井河から抜けるとなれば、鳴きたくもなるだろう。
確か、船坂家の幹部もそういう、井河からの冷や飯を嫌がってここにいる人も多いというし・・・
「ね、ねえ。拳志さんたちはどっちのほうがいいの? 一応、どちらにせよ対魔忍総隊長を補佐することは変わりないと思うけど」
「あー・・・おれはふうまだねえ。すっかり引退したやつらが多いが、俺の忍術での使い方、裏方や小細工を使ってするりと情報や物を盗んでくることに文句たらたらな奴らばかりだったし。大将が見出してくれなきゃいまだ下忍だったよ」
「私もふうま。アサギに情報戦、諜報の大切さを説いても右から左に流されて終わりだったし、その後はアサギシンパから頭ごなしに怒られて学生ながら嫌がらせや襲われそうになったりもあったし。そこらへん。ふうまは比丘尼やカヲルとか、理解ある人多いからね」
「私もふうま。小太郎たちいるし、遊撃手として好き勝手やらせてもらっていたけどその際井河からの文句と警戒から小言多くてさー・・・・・あと、ぶっちゃけ、もう船坂家はふうまじゃないの?」
「え? あー・・・そうかも?」
これ以外にも以前部隊員たちに聞いているが、中には妬み、捨て駒扱いを井河からされてここに来た人も多かったし、あやめさんは過去の事から井河、もしくは中立を考えている見たいだけどやっぱり心情はふうまなんだねえ。
みんなはふうまの方にと考えているが、そこで亜希さんの発言で先ほどまで激論をしていたメンバーまで振り向く。それを気にせずに亜希さんはささみのから揚げを食べつつ酒をあおる。
「だってさー・・・華奈さんの伴侶は片方はふうま八将の心願寺頭領直系の紅で、今のところ長女となるきららは今後次第だけど同じくふうま八将の二車の当主骸佐と付き合い始めたでしょ? 初代頭領と養子とは言え嫡子がこれだもん。愛人でもふうまだけで私、あやめがいるでしょ? もう、ほぼほぼふうまじゃない? あ、おかわり」
「ですよねえ。不知火さんも華奈さんの部隊・・・船坂家だからとカムバックをしてくれたし、その後に生まれた愛花はいっちゃえば家設立後。船坂の娘。だからあれで井河の方どうこうは言えないし・・・そうかも?」
「・・・・・さくら」
「ほえ?」
「貴女、華奈ちゃんとの子ども、欲しくないかしら?」
亜希さんの説明を聞けばみんな空気が固まり、特にアサギさんたちが硬直した。が、その後に爆弾発言。まさかの実の姉から妹分との子どもの話を出されれば混乱もするのと、恥ずかしさからか顔を真っ赤にする。
「ええぇえ!? ちょ、ちょっとお姉ちゃん! いくらなんでも急すぎない!?」
「あの子を、井河の方にいさせてほしいの! いずれは小太郎たちに総隊長の実権を渡すけど井河でいてほしいのぉ~~!!」
「わ、私もやぶさかではないけど、任務の事もあって避妊しているし・・・」
「そこは華奈の仮面の対魔忍たちや若い私たちに任せるとして、さくら。お前も子作りしろ・・・ひっく・・・次世代のためにも・・だ・ぁ・」
「あやめ! 亜希! 貴女たちも頑張りなさい! 愛花ちゃんという前例もあるし、邪眼使いも多く生まれるかもしれません。今後の戦いのためと、ふうま、対魔忍全体のためにも!」
酔いが回り普段なら言わないであろう発現を真顔でかます紫さんに、酔いが回ってハイテンションな時子さんはふうま当主直系の娘でもあるのでまさか過ぎる発言。それを皮切りにますます混沌を極めるこの騒ぎ。
「はぁー・・・こりゃー・・・収まらねえなあ。静流。酒とってくるわ。適当な企画出しておいてくれ」
「はいはい。ナディア。踊りで活力を上げたり、前したみたいにアルコールを胃袋に出せる?」
「え? あー・・・一応、みんなが許可してくれれば」
「よし。この酔いどれ色ボケ集団寝させるからその後の二日酔い対処手伝ってね。はぁーあ・・私の思い切り飲むのは後ね」
しょうがないという風に立ち上がり、酔いが回りに回っているみんなの前で立ちはだかる静流さん。
「今からゲームをして、それで勝ったやつに次の華奈さんの子どもを孕める機会、指名権をあげるわ! だから落ち着きなさい酔っ払いども!」
それから始まるトランプや花札、これで時間を稼ぎつつもその間に強い酒をちびちび飲ませていくことで一人、また一人と酔いつぶれてぶっ倒れていく皆さん。酒の香りとみんなの香りで包まれたある意味阿鼻叫喚の様相を呈してきた。
「ただいま戻りましたー・・・酒臭い!! え? この人数でこの蜜度ですか!?」
リリスさんをノイおばあさんに預け、紅さんとゆきかぜさん、新しく我が家のペット、使い魔となった黄金の精霊アナゴのジンを今日は私の別荘で休ませ、飲み会があったので一応どうなっているかと気になって屋敷にいけば感じてはいたけど扉を開ければそれ以上の濃厚な酒精の香り。
「ふぅう~~・・・変な騒ぎになったからみんな酔い潰す作戦にしたのぉ~・・・ふぅ」
「あ、亜希さん? ええ? うわぁ。千鳥足じゃないですか。ほら、楽に楽に。水呑みます?」
「うーん・・・ちょうだあぁい・・・ふぐ・・・んふぅ・・・えへへ・・・華奈さんは昔のまんま綺麗で・・・ずっと大好きぃ・・・」
私を出迎えてくれた亜希さんもべろんべろん。なんとなくは察しましたが、とりあえず肩を貸して一緒に移動。
そしてまあ、広間を見てさらに驚きました。
「大惨事じゃあないですか・・・はぁー・・・みんな二日酔い確定ですね」
「まっひゃくよぉー・・・・みーんな本気だったし、久しぶりの痛飲だからもう凄くて」
「俺らは抑えていたってのにあの飲み具合はなあー・・・」
「えへへー・・・ふわふわするう・・・」
転がる大量の酒の瓶に缶。あちこちで酔いつぶれて横になっているアサギさんたち。もうむせ返るなんてレベルじゃないほどの酒の香りに顔をしかめていると介抱しつつちびちび酒を飲んでいる静流さん、拳志、ナディアさん。
事情を聞けば私たち船坂家が家を建てる前からの騒ぎや功績の話になり、そこからどうしてか井河、ふうまどちらの方の家に組み込むかで改めて議論になり、更には子作りにまで話が飛翔。
混乱が収まらないから私との夜の権利をかけてのゲームでみんなを釣って記憶がなくなるほどに飲ませて酔いつぶれさせることで無理やりに騒ぎを収束させてのんびり飲んでいたとか。
「全く・・・で、拳志、ナディアさん、静流さん以外はみんな参加して、最後まで残ったのは亜希さんと」
「いぇーい・・・ピースピース・・・うぇへへ・・・」
「まあ、こっちの思惑に乗ってもらうために無茶してもらったし、華奈さん。亜希と今度一晩相手してもらっていい?」
「いやまあ、いいですよ? うちの部隊でも遊撃、場合によってはアサギさん直々の任務を与えることもある分欲しいのなら頑張りますし」
ぐでんぐでんの亜希さんを見ていろいろ自由にさせている分難易度の高い、あるいは行為の魔族との相手を任せている分、こういう時には応えてあげないとなあとは思いますしね。それを差し引いても亜希さんも綺麗な人ですし。
「大将も悪いねえ。色々騒ぎを収めた後だってのに酔っ払いどもの騒ぎにまきこんじまって」
「いいんですよ拳志。むしろ下手すれば何名かが今すぐにでも私の方によって突撃していたかもなんでしょ? 抑えてくれたのはありがたいですから。じゃ、軽いつまみも用意するので飲みなおしましょうか」
「あー♪ じゃあ、私、ゼリー化チョコが欲しい♡」
「私は豚の腕の肉の塩焼き~♡ スティック状で焼いてほしいなあ」
「わらひは・・・うぶ・・・トイレ行ってきます・・・その後にお水欲しい・・・」
トイレに行った亜希さん以外のリクエストを聞いて残ったメンバーでちょっとの間ですがの見直しを再開。丑三つ時まで昔の思い出話や笑い話に花を咲かせてから私以外が全員疲れと酔いで眠った頃合いに毛布と枕、吐き出してもいいようにバケツを用意してから私も近くの部屋で就寝。
翌日。屋敷のトイレのそこかしこで嘔吐の声が聞こえたり、頭痛で唸っていたり、スポーツドリンクを飲んでぐったりしている皆さんが見れました。あと、夜の誘いが激しくなりました。
精鋭諜報部隊と資金力、バランサーも多くいる家ですし欲しがる。井河とふうまの過去の事を見れば抑止力、戦力としてほしがるよねと。ついでに言えば若い並行世界のアサギ達もついてくるという。
ちなみに、あのディスコソングの名曲を生み出してきたグループのコスプレに関しては
華奈 ボーカル
さくら インディアン
不知火 バイカー
静流 土方
ナディア 水軍
亜希 カウボーイ
こんな内訳で歌って踊りました。華奈も女声の中でハスキーボイスにチェンジして楽しく歌いまくり。
対魔忍最精鋭部隊当主と幹部のやることじゃねえやこれ。
華奈のヒーロー、戦士の在り方ってどれに近いと思います?
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ウルトラマン
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仮面ライダー
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こち亀
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クレヨンしんちゃん
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スーパーヒーロー戦隊