アクション対魔忍、皆様は楽しまれているでしょうか。此方はスマホの機種変更がなかなかできず対応できていないので未プレイです。来年にはどうにかしたいですねえ。FGOもアプデがなぜかできないのでなかなか辛い
これからもどうか寒さに負けず、日々を健やかに過ごせることをお祈り申し上げます。
暗い一室。その部屋はだいぶ広く、倉庫、コンテナ部屋だろうか多くの荷物が部屋に整理された状態で入っており、それを守るために配置された兵士たちは誰もがアサルトライフルやショットガン、刀と武装をしっかりとしており巡回を欠かさない。
常にだれかの視線が部屋を回り、カバーも出来ている。そんな部屋と外をつなぐたった一つの扉に突如衝撃と轟音が響く。誰かがここに押し入ろうとしている。やり方からして歓迎するものではないと誰もが理解していた。
「!」
「来たぞ! 守れ!」
兵士たちの動きは早く、即座に扉の周辺にある程度の距離を取ってコンテナを盾に配置。扉を壊そうとしている相手の姿が出た瞬間をハチの巣にするために構える。
音と衝撃。そして一つしかない扉への意識の集中は上への注意を疎かにし、その間に通気口を通じて部屋に入り込む二つの影。
二人とも小柄な身体だが忍者刀や苦無、手裏剣と武装はばっちり。その一人に至っては足が人のそれではなく、タコのような物。それを使い天井を自在に移動し、音もなく降りて兵士を自分の持つ忍者刀で一人、タコのような足に忍者刀を持たせて二人を排除。
「がっ・・・!?」
もう一人の小柄な影も苦無と手裏剣で声に反応した兵士たちを二人を始末。不意打ちの一撃とはいえ一気に五人を排除。十分だろう。
これに気づいた兵士たちの半数はその陰に意識を向けた瞬間、かすかな扉の隙間から漏れていた煙が徐々に兵士たちに忍び寄り、女性の細腕に変化。兵士たちの首を締め上げ、近場の兵士たちに投げ飛ばした後に拳が宙を飛びながら殴りつけていく。
上からの奇襲と扉から現れた宙を舞う腕。これに困惑してどこに銃口を向けたものかと戸惑う兵士たちの動揺をかぎ取ったかのように扉が切り裂かれ、現れるは髑髏の意匠を施した禍々しい鎧を纏い斬馬刀を手にした武者。背後にいる女性を守るように構え、切り込んでいく姿に兵士たちは圧倒されていく。
「くそぉおあ!!」
「させるかよ!」
せめて最後の抵抗をと残った兵士はグレネードを投げようとするも影の一人の投げた手裏剣で手から撃ち落とされ、タコのような足に絡めとられて無力化。兵士たちは全滅。10数名はいたはずの警護はたった4名に制圧されてしまった。
「タイム・・・・・15秒。うん。上々ですね。お疲れ様です。5分のインターバルを置いた後に攻守交替。今の攻めとは違う状況とコンテナの配置を変更。その上でどう攻めるか10分で考えて実行です」
皆様こんにちは。今日は私のクラスの訓練の授業で密室での制圧訓練を行っています。東京キングダムやヨミハラ、アミダハラなどの裏組織にとどまらず大きな部屋に敷き詰めた兵士の制圧や物資の獲得に時間をかけすぎるのはいただけない。かといって真正面から切り込むのも場合によっては危険。
というか推奨はしないので剛柔織り交ぜた突撃の訓練ですがやはりこの子たちの連携がすごかったです。
足をたこ足に変化することが出来ることで吸盤を利用して天井裏からの不意打ちや移動もできる蛇子さん、手裏剣での攻撃に鋼糸や最近使い始めた吹き矢を使い中距離のサポートに秀でた鹿之助君が通気口などからこっそり侵入。
陽動をしつつ扉の隙間をこじ開けてから待ち構えている相手を制圧するための先駆けとなるために煙で入り込んで殴り倒せる凜花さん。斬馬刀という武器でありながらも閉所での戦闘にも慣れており鎧の強度を活かした後攻突破に秀でる骸佐君で蛇子さんたちに意識が向いた瞬間を狙っての侵入と挟撃。
結果としてこの時間での制圧をこなすことに。あ、ちなみに加減はしていますし忍者刀や手裏剣、苦無はゴム製です。怪我したら大変ですしね。これほどのスコアを出した生徒はここ数年見なかったのですが、本当に連携を理解したこの子たちの伸び幅がすごいです。
ちなみに最短記録はアサギさん、さくらさん、紫さんの三人での記録で5秒。早すぎですよね。
「華奈先生。どうでした?」
「不意打ちに忍術をうまく活かした潜入。鹿之助君をしっかりと目標の一つの場所に移動させているのもグッドです。蛇子さんの忍術は白兵戦でもこういう場所でも役立つので今後も腕を磨けば小太郎君の助けになるでしょう。あ、そうです。後もし長引いた場合はその足でコンテナを動かして盾にしたり押しつぶすのも一考です」
「うん! ありがとう。先生。足で盾になってもいいけど、痛いもんね。そうする。ふふ。ふうまちゃんの助けになれるかあ・・・」
優しくなでると両手をほほに当てて笑う蛇子さん。忍術や小柄な身長をコンプレックスにしていましたが、それゆえにいろんな場所に隠れやすいですし忍術で天井だろうと壁だろうと動ける。墨を使えば私なら東京キングダムの端から端だろうと追跡も容易。ぶっちゃけ、かーなりオールマイティな能力なんですよね。本人も見極めもいいですし副官としての才もある。小太郎君に恋心を抱いているようですし、実ることを願うばかり。
指の隙間から見えるほほが赤くなっていましたし、明るい未来像でも想像しましたかね。
「鹿之助君は最後のグレネードを見切った対処。お見事です。手裏剣などのヒットした場所も無力化するにはいい急所ばかり。もう少し鍛えてから威力のある重めの手裏剣の訓練も始めて行きましょうか」
「おう! いつか時子さんや白い通り魔みたいな投擲術をものにするんだ!」
今回は忍術を使うことで出る光による目くらましを抑えて自分の動きや姿を見られないようにするための制限を課しても見事に相手を察知して最後のフォローも見事。手裏剣という才能はやはり光るものがありますし、火薬や毒、糸などの工夫を使えば蛇子さん同様補助に秀でた器用さを持てるでしょう。
後は、ビビりすぎずに危機感を持てればどこまで踏み込んでいいかの見極めもできるでしょうから。それと、時子さんはまだしも白い通り魔はいいのですかね?
「はぁー・・・守りかあ・・・どうするかねえ?」
「そこはみんなと相談ですね。骸佐君は突撃のタイミングも凛花さんへの射線を防いだのもいいです。剣の技術も柔軟さが増していますが、小太郎君と?」
「おう。小太郎の奴相当動きが自由になってなあ。あの銃で突撃してあの刃の部分や銃身で殴ってくるかと思えば弾丸ぶっ放すわ銃と剣の達人二人を同時に相手している気分だ。それに引っ掻き回されていたらどうにか」
骸佐君も相変わらず自主トレを欠かしませんね。先の授業で小太郎君も剣への対処の動きがよくなってきていましたがやはりそういうことですか。忍術も強力なものですし、みんなのタンク役、大物つぶしの役を任せることが出来そうです。任務もいくつかこなしていますし、成長速度で言えば任務をこなす分だけ骸佐君は成長を必ずしますし一番ですかね。
「凜花さんはすぐさま相手を潰すのではなくほかの相手に投げつけて多くの相手を封じたのがいいですね。倒すタイミングの見極めに忍術を活かした意識への不意打ち。後、握力も向上しましたか?」
「パンチ力を上げるために頑張りました。でも、少し戦闘がすぐ終わったので技を試せませんでしたよ」
「いやいや、その技を後に残せるのはいいではないですか。戦闘訓練は後でできますし」
凜花さんも判断力がいいのと教材を前日渡して以降ボクシングを訓練していました。そのせいか拳のキレが上がっていますし自身の修めた格闘術と組み合わせてさらなる進化を狙っている模様。今回の訓練は上出来なのですが思った以上にすぐ終わって消化不良の様子。訓練熱心というか戦闘好きというか。
この後は兵士役の生徒たちと役割を入れかえての訓練を再開。ちなみに小太郎君のチームのほうも同じスコアを出したのでこれまた先生たちも驚き、最後は骸佐君たちのチームと紅白戦になったそうです。私は少し井河の老人会に呼ばれたので途中から自習に。残念です。
「はわぁー・・・・・・・ねむい・・・・」
「相変わらずあの連中は・・・ごめんなさいね。華奈ちゃん」
「いいですよー取るもの取りましたし」
すっかりと夜の暗さが覆う帰り道。そう言ってほわほわと緩い笑顔で笑い返す華奈を見て本当にとんでもない出会いをしたなあとアサギは内心つぶやく。
今回の井河の長老の連中の話も華奈やアサギがふうまたちのほうも任務成功率をあげていることに関する愚痴と井河の威光が薄れたとの文句。そしてふうまに甘い対処をしていることへの叱責とまあ意味のないものだった。正直な話こんな連中が自分の前の時代の対魔忍を引っ張ってきたのかと内心呆れてしまう。
ようは井河の独占状態を維持しつつ裏切り者で邪魔なふうまなんかに手柄を寄越すなよということ。
ただでさ万年人手不足の対魔忍の状況。華奈の用意した第2九郎隊と5つの諜報部隊を用意しても情報も人も足りない。井河の栄光だのなんだの言ってる余裕があればかつての協力体制の復活と学生たちを育てて力を蓄えるほうが有益だというのに権力と金に耄碌したか。まるで現状を理解していない。4時間も意味のない話を聞かされ続けてアサギもさすがに笑顔に怒りが混じり始めたり、華奈に至っては眠りこける始末。
もっともそれも計算なのか怒りの矛先を向けたところで老人たちに内容をはぐらかしつつうまそうな話と餌をたらしつつも権力やコネのパイプをまたいくらかもぎ取ったり宥めさせたりとやりたい放題してお土産で機嫌を取って帰宅。
「後で冷静になってぎゃんぎゃん言おうがもうアサギさん・・・井河の現頭領に譲渡したので後でやっぱ駄目だと言えばそれこそ周りからの反感を買いますからねえ・・・クーデターでも企てているかと騒いでやればそれで面白いかもですし、ふふふ・・・そ れ に」
「井河の任務失敗の多く、人員損耗率が高かった対魔忍の多くは老人の下で甘い汁をすすったり権力を利用してさび付いた子飼いの連中。これを公表したり政府に情報を流すと脅す。ほんと、よく用意していたわね」
ふうまの反乱以降隷属状態に置かれたふうまたちの弱みを利用して殿や危険な任務を押し付けていた井河。華奈はそれに警鐘を鳴らしていたがはたして数年もすればそれが如実に表れた。アサギらの世代のメンバーは引退したりで精鋭はいなくなり、ふうまを小間使いにしていた連中は自分の実力や感覚を磨かないせいで実力はあろうが現場での感働きもできやしない。
そのくせ金だけは中抜きするという状況で楽をすれば成長なんてできやしない。そしてそれを多くしていたのはアサギの裏で好き放題していた長老連中になびく対魔忍たち。井河もようやく最近は錆を落としていけたがこれを流せば井河の対魔忍の組織運用の杜撰さや悪評が出回る。それこそ数こそ減らせども結束力のあるふうまをアサギと変わって対魔忍のトップにすげ替えて実権を握らせるように華奈が動けばそれはすぐできる。
華奈自身も元が井河、ふうま、甲河のどこにも、そもそも対魔忍の家系でもなければアサギが拾っただけの女。出自の縛りもないのでそれこそ井河の権力を支えているうえに政府にも覚えがいい、資金源の一人だが気楽に移籍をできる。ついでに井河の弱みや教え子たちを引き抜いてふうまに移籍してパワーバランスひっくり返すことも。
『実際、裏方部隊を用意する際の被害の割合を調べる際に統計してみたらああなりまして・・・今回のコネは上原やほかの家に渡しておきます。これで・・・・大体7割ですかね。もう老人会はわめくだけで権力を使いあれこれは出来ないでしょう。アサギさんが井河の実権を集中して運用できますね。後、裏で好き勝手やるために使っていた家印も既に回収しておきました。こうなると・・・』
『強硬手段となるわけね・・・老人連中の子飼いも錆びついたとはいえ実力は確か。誘拐や・・・弱みを狙うかもね・・・私のほうでも監視しておくわ』
これ以上のことは下手に聞かれてはいけないと盗聴対策にふうまから教わった特殊な会話術、口寄せの術。それを井河風にアレンジたもので互いの頭の中に会話を届けていく。
ここまで自分たちの力を削いで、意向をガン無視していた華奈を老人たちは許さないだろう。それにもう自分たちの実権が減っているのも自覚しているはず。それを知ってなお抑えていたのはいくらか華奈が泳がせていたこともそうだが資金力や救援部隊による井河の被害減少。そして華奈の実力による影響とアサギの秘書代りという肩書ゆえ。時間をかけてえさを与えつつなのもあったのだろう。
しかしこれ以上はきっとない。ふうま小太郎を中心にわかいふうまの対魔忍たちの成長。天堂事件での活躍をはじめとして紅や骸佐など既に現役と引けを取らない暴れぶりだ。出る杭は打たれる。その杭を育てている華奈、そして教え子たちにも手を下すよう老人どもは考えている。それが今の対魔忍の土台を崩す愚行とも考えず、栄光や自分の利益だと信じて。
『実際、私の弱みを握ったりいうことを聞かせて資金を引き出したり、ふうまを弱らせてまた隷属状態に置けば楽ができるわけですからね。一度それを知った連中はうごくでしょう。私も既に部隊を動かしています。タイミングがわかれば・・・私とアサギさん、九郎さん、九郎隊とうちの部隊でやりましょう』
『分かったわ・・・それまでは私達だけでの話に。権力を分散させつつも実行力と権威は私に集中。仕事量もどうにか抑えているし、本当助かるわ・・・それに・・・私自身もあの件で一つ物申したかったしね』
会話をしているアサギの目にもかすかに戦意と怒りが宿る。実際問題、老人たちには世話になっている部分もある。権力闘争や交渉事はてんで苦手なアサギにとっては海千山千の経験を積んでいる老人たちの力や長年の蓄積のコネやパイプ、ノウハウ、外交手腕は頼もしいだろう。
しかし自分の恋人だった沢木恭介との結婚を認めないわ上忍でも死に行くような任務をあてがわせる始末。救出しに行った自分も汚され、沢木恭介は帰らぬ人に。しかもその葬儀の時も裏で葬式に行くことを抑えるようにしていたのだから怒りもわく。
それでもと頼っていたが華奈の動きでその力も薄れ、やりたい放題していた力の源泉も奪われてアサギらや今の世代たち、名家たちに譲渡しつつ陰ながら老人たちにつかないように働きかけて混乱も抑えていける。
『私もですねえ・・・教え子に煮え湯呑ませようとした挙句に甲河への件・・・うふふふふ・・・・どうしてくれようか』
華奈も笑顔ではあるが瞳の底が沈み、蒼のきれいな瞳が少し深い海色となる。天堂事件以降たびたび紅に渡された任務は危険なものも多かった。
不審に思いそれを調べれば老人たちのふうま憎しの感情とエドウィン・ブラックの血を引く娘である紅を事故死、任務で死亡と処理しようとしていたからというもの。実力はあれど不得手なものやまだ修行中の技術を使わないといけない任務もあった時は我が目を疑う程。
裏でこれを流していたノマドの傀儡の政治家もいたのでついでに処理しつつ。他にもいい機会だと調べれて叩いてみれば埃があふれることあふれること。ひどい話では甲河の隠れ里へのノマド、エドウィン・ブラックの襲撃に関しても甲河と井河の権力争いから井河サイドがリークしたという噂の裏付けとなるもの。
アスカに朧という間違いなく最高レベルの実力者であり頭領としても素晴らしい才能にそれを支える傑物がこれをきっかけに対魔忍を抜けるのだからたまらない。公私ともども仲良くしてもらい、技を磨き合っていた友人の悲劇、こんな形で袂を分かつには悲しんだ分、華奈も思わず怒りのまま井河の縁者全てを斬り捨てようかと思ったものだ。
『もう実権もほぼ握った。これ以上のさばらせて阿保をやられるのは嫌だものね。これからもお願いするわ。華奈ちゃん』
『もちろんです。アサギさんや・・・教え子たち、ともがらのためにもやり切りましょう。あ、そうです。今からヨミハラに行くのでそのまま出撃許可を貰えませんか?』
『分かったわ。今はヨミハラも小康状態だけど、気を付けてね』
『ええ。もちろんですよ。では』
その後はアサギから偵察任務の許可をもらい諜報部隊と一緒に出動。銀閃妖狐の装備を整えて華奈は出撃していった。
「・・・よし・・・ここもOK・・・ふむ・・・一応の大きな変化はなし・・・と」
東京の地下300メートル下にある魔界都市ヨミハラ。地下に構えていることもあって政府も対魔忍も目を完全に届かない闇の都。衛星などの監視もできず、移動手段も東京キングダムやアミダハラよりも限られる。
そのせいでただでさえ人員も施設も入れ替わりが激しく経験や道の変化も多い裏社会の巣窟の中でも逃走ルート、切込みや相手の兵の配置を考えるのにも一苦労。人員を送るのにも骨が折れるという天然の要塞であり、面倒くさい極まりない場所。
ノマドの拠点であり街なのもあり幹部連中とのエンカウントの可能性も高いという具合であり、調べるにも一苦労。荒事になれば危険度は高く、逃げづらい。そんな場所で華奈は特殊メイクで老婆に変装し、ローブで身体を隠して鼻を慣らし、耳を澄ませて道を杖を使いながら一歩一歩踏みしめるようにしながら歩く。
今行っている任務はヨミハラのマップの更新、そのデータ作製。地面の質、裏路地やルートの精査。大通りの変化や今巣食う勢力をぱっと見のチェック。ヨミハラで任務をこなす対魔忍たちのための用意をこなしていた。
匂いを嗅げばひどい匂い、耳を凝らせば娼婦と野郎の獣じみた声。喧噪、銃声に喧嘩の声とやかましいことこの上ない。地下で風通しも悪い分五感が鋭い華奈にとっては本当に嫌な環境だ。
しかし、この魔界都市は東京の地下という場所であり目も届きづらい場所。ゆえに腐敗した連中も集う場所であり場合によっては東京キングダムに負けないほどのものがここにはある。天堂のグリードハウスもここにかつてあったことやノマドの拠点と言えばわかるだろうか。
それゆえに気を抜けず、華奈たちも用意を細々としていた。その用意は多岐に渡るものだがまだ足りない。ある程度の隠密技術を使いつつそこら辺にいる、たとえ捕まえても意味のない、労力に見合わない老婆を演じつつ動くことしばらく
「・・・・・・!!!!? っ・・・!!! ??? っぃ・・・!」
鼻に飛び込んできた情報、それに思わず演技が乱れるような動揺が走り、とっさに繕う。その後動揺と理解の出来なさ、めちゃくちゃすぎる事実に振り回されつつ路地に移動し、空箱に腰かけて一息休むようにしつつ通信をつなぐ。
「・・・拳志。今私を見ているメンバーは何名?」
『おう? 俺一人だなあ。他は隠れていたりバックアップ、ヨミハラのほかの地区を当たっているが・・・』
「あの兄妹を・・・獣遁で私の周りを監視してもらうように・・・少し、用心を深めないといけません」
『・・・了解。俺も少し警戒を強めていく。集中して構わねえ』
それだけを告げると通信を切る。相変わらず普段はおちゃらけているがこういう時の切り替えは助かる。
(なんで・・・何で今不知火さんの匂いが・・・? しかもここで・・・・・・・匂いの帯まで残っているなんて・・・)
鼻の中に残る匂い。間違いなく華奈の師匠の一人にして『幻影の対魔忍』としてアサギと同格とまで言わせるほどに勇名を馳せた女傑。水城不知火の匂いが飛び込んできたのだ。しかもご丁寧に歩いていたのか匂いの帯や足跡、そこからのにおいまでばっちりと。
人の往来もそこそこあるヨミハラでも追跡に秀でた華奈の技能で見抜くが、だからこそ解せない。ヨミハラは天堂の件といい数えきれない程に足を運んでいる。それは不知火が行方不明となってからもだ。それまで全く気配も何も感じられなかった不知火の匂いがなぜ。罠かと感じつつも、救出できることでの対魔忍へのプラスは大きい。
華奈同様に裏方もできる上に潜入任務に荒事何でもこなせるオールマイティな上に温和。人望もある。彼女が戻ってこれるのならどれほど心強いか。
数年前に華奈自身が用意していた備えを渡した直後に突如消えてからまるで掴めなかった影を追えることに危険さを感じつつも追跡を開始。拳志、自身の部隊の術で用意した偵察用のネズミたちの匂いを感じてから歩き始める。
(うん・・・匂いに作り物感はない・・・ラバーでしょうか・・・? 皮の匂い・・・薬品の匂いがひどい・・・しかし、そこらの安い娼館のものではない・・・実際向かっている場所は高級娼婦などのあるエリア・・・)
よぼよぼと、歩きながらルートを頭に叩き込みつつついた場所は高級娼館があるエリア。そして、隠れながらついた場所に驚いてしまう。『アンダーエデン』ノマドの持つ娼館の中でもひときわ高いものであり、魔界の技術によって特別な調教、訓練を施された奴隷娼婦を用意している、政府の重鎮も多く足を運ぶという場所。
そこから不知火の匂いが嫌というほどにここにいますと伝えてくる。それ以外の場所にも匂いがあるのだが、そこもまた淫魔族のいると調べていた娼館。
「おい、婆さんよ。ここになんのようだ。ぼけっと突っ立てやがってよ。あいにくとあんたみたいなやつの仕事はねえんだ」
「ああ・・あぁ・・・・すまないねぇ・・・・少し、魔界から観光に来ただけですじゃ・・・すぐ戻るゆえにねえ・・・警告ありがとうよ・・・お兄さん・・・」
「けっ・・・」
アンダーエデンの門の前に立つ護衛に急かされ、そそくさと移動しながらアンダーエデンの裏に移動する。護衛のほうの気配もそこらの雑魚よりもいくらか上。兵士の質もまあ高いものが多いと推定できる。
(確か・・・つかんでいた情報では今の政府の幹部連中に幹事長の矢崎がここに足を運んでいるのと、ここの主で調教師のリーアルは兄弟でしたかね・・・・・・・ち、不知火さんの声まで聞こえる・・・もうこれ確定じゃないですか・・・)
耳からもかすかに聞こえる不知火の甘い声。防音設備は良いようだがそれでも華奈相手では甘い。室内の扉を開けた瞬間に聞こえた声で確信を抱いてしまう。どういういきさつかはさておいて数年前に行方不明になっていた不知火はここと、淫魔族に十中八九捕まり、行き来していたということ。
なぜ今になって動いたかは不明だがこれは間違いなく現在持ち得る対魔忍の情報の中でも最上級のものであり、同時に一番に機密としておくべき情報だろう。何せあの『幻影の対魔忍』の不知火、そして名門水城家の女性だ。
その美貌や家柄に今までの功績。これを救出するのは当然だが、手柄を不知火に認めてもらう、もしくは未亡人の彼女をわがものとしようとする輩に独断専行、命令違反をする対魔忍たちによって藪をつついて蛇を出すではないが下手に暴れてもらいヨミハラの警戒を上げた挙句に手の届かない場所へ遠ざけられては目も当てられない。
普段の任務ですらも脳筋突撃からのカウンターでの被害があるのにこれを任務とすればアンダーエデンというノマドの力を入れている施設の一つの粉砕、矢崎の汚職の裏取り、そして不知火の救出と手柄が山ほど。絶対に先走る輩は出てくる。
(それにまあ、あえて表に出してこれを私みたいな連中がつかんできたのを利用した罠かもですし・・・救出は確定としても準備に時間が欲しい・・・深入りは怖いですし一度引きましょうか)
「拳志・・・ひきますよ。マップの調査はどれくらいできましたか?」
『8割と5分残りはまた今度だな。・・・後はエレベーターで合流して帰還。話は・・・上でだな?』
「ええ・・・」
その後は華奈もヨミハラを脱出し移動用のトレーラーの中で内容を報告。常に1部隊はヨミハラで監視をそれとなく続けつつ用意を始めること、それとなくアサギたちにヨミハラへの報告で小康状態ゆえに別の魔界都市への対策に注力すべきだと伝えることで対魔忍たちをヨミハラに行かせる合を減らすことに。
さくらや紫がいなくなった後でアサギにだけは他言無用で口寄せの術を使いこのことを話し、華奈の部隊だけでとりあえずは深入りはせずに何時でも踏み込めるように準備をする。ゆきかぜをはじめとした井河のメンバーには絶対に、絶対に伝えないと念を押してから裏での特別任務を華奈と諜報部隊は受諾。
華奈の仕事量がまた増えた瞬間でもあった。
蛇子や鹿之助って一騎当千とはいきませんが、間違いなくチームに組み込みたい器用さもあると思うんですよね。性格といい忍術の応用性といいチームにいれたら派手さよりも安定感が増すといいますか。
ヨミハラでの騒ぎはしばらく後になります。華奈たちも場所が場所。不知火のネームバリュー故に絶対容易に踏み込んではいけないと感じているので普通の任務の何倍も備えていくことに。
なので次回も多分緩いノリはあるとは思います。