こちら対魔忍特別諜報室   作:零課

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~コートララ島・米連通信室~

蛇子『はい・・はい・・・了解です。では私たちはここでそのまま。では、失礼しました』


骸佐「どうした。蛇子」


蛇子『(口寄せ)ノマドの朧がモンスター、ゾンビ、島にいるそういうもの達を整理しているって情報が来たわ。コートララにも今いるという情報も』


骸佐『マジか・・・俺たちが下手に動いても・・・』


蛇子『各個撃破されるわね。やるにしてもアサギ校長たちが任務をこなしての戻るときか、撤退の際に合わせて互いに敵を減らしつつやるほかないわ』


骸佐『その指示が出るまではうちの大将守りつつ、米連の人たちも守りつつ監視だな。下手打てねえわこれ。親ノマドもいる状況だし尚更』


蛇子『だから今はここで待機が一番。予備兵を遊ばせるのはいただけないけど、狭い下水道で下手にごり押しされ続けてもね・・・』





何だこの少女

 「はぁ・・・ああ・・なるほど。この筋肉の動きに骨格。女性の肉体でありながらも素晴らしい筋肉密度にしなやかさ。対魔忍ということを差し引いても素晴らしい・・・ああ。ちょっとこの動きも!」

 

 

 「おいエミリー殿! 流石にアサギ様にべたべたしすぎだろう!?」

 

 

 米連の調査員の一人、エミリー・シモンズを無事に救助成功。この後、ジェイムズとも確認を取れば想定以上にスムーズな動きに感謝し、体力に余裕があれば桃知の遺骸の回収を指示。

 

 

 エミリーさんもまた強化外骨格が無事ゆえに動く分には俺らの動きについていけるということでさらに任務続行。そして今は最強の対魔忍のアサギ校長の肉体の動きをしきりに観察し続けるエミリーさんに噛みつく紫先生という構図が完成していた。

 

 

 「はぁ・・・この動きの無駄の無さ、そして洗練された肉体。ああ、比較してみたいです。もう一人の対魔忍の頂点。ミス・華奈さんに」

 

 

 「いい加減に・・・っ! ふぅ・・・で、まあ・・アサギ様が最高なのは確かだ。しかし、華奈か? 言っては何だが華奈の忍術はわたしと同じ常時身体強化系。アサギ様のように人としての完成されたスペックを計るのは難しいと思うのだが」

 

 

 『華奈先生。今や下手な強化系以上のスペックを手にしていますしね』

 

 

 米連の方でも有名な対魔忍の忍術はどうしても割れている。それにまあ、華奈さんは色々な意味で裏の世界では有名だ。ただ、エミリーさんのいう最高の義肢を作る。そのために忍術のバフを差し引いても魔族相手に真っ向から立ち向かえるほどの体術、肉体を持ち、あれほどの辱めと拘束期間を置いて衰えない精神力。筋力を維持できるアサギ校長を興味を持つのは分かる。

 

 

 ただ、忍術を用いての常時バフを持つ華奈先生はエミリーさんの言う多くの人に合わせた義肢に合うのだろうか。と疑問が浮かぶ。

 

 

 「いえいえ。確かに忍術を使用しての力なのは確かですが、それを置いてもあの柔軟性や胆力。バイクを操縦する際の動体視力と反応速度。タフさは素晴らしいものですし、身体の使い方も見事なものです。なのでお二人の肉体を調べ、それで義肢を作れれば恐らくそれは最強のものに・・! あの追いかけっこの動きは本当にすごかったです」

 

 

 「ま、まあー・・・華奈さんは確かにすごいが(下手すればスキンシップしつつ惚れなければいいが・・・夜の時間が・・・)」

 

 

 「ヘンダーランドとか、結構あちこちで走り回っているもんね(ライバル増えなければいいなあ。アサギ校長あたりにでもアタックしまくってほしい)」

 

 

 「ぶふっ。ゆ、ゆきかぜちゃん。ヘンダーランドの映像はちょっと・・・くくく。思い出すだけで」

 

 

 ちょっと渋い顔をする紅とゆきかぜを置いて、周りは笑うほかない。恐らくだがエミリーさんは見ているのだろう。華奈先生がマカオとジョマと追いかけっこをしたり、歌いながら敵の攻撃をよけてくすぐりからの協力者のオカマのディープキスで敵を倒したり、ぬるぬるビルを上ってから決闘をしたりと野外での任務の内容の割に珍プレー集としか言えない映像からそっちの方に意識が行ったのだろう。

 

 

 技術者の目の付け所は違うというか、よくもまああんな映像からそっちにすぐ意識を向けられるなあと。

 

 

 「ふふ。実際、華奈ちゃんは対魔忍として忍術に目覚める前から私たちに匹敵する身体能力があったわ。だからある意味では華奈ちゃんが一番義肢のモデルに向いているのかも」

 

 

 「やはりですか! いやはや、これは桃知の件を差し置いてでも急いでデータとモデリングを・・・」

 

 

 「いや、流石にそれはいかんだろう。お師匠様。この先にモンスター、ゾンビもいますが・・・えげつないのも・・・ストップだ。小太郎。望遠機能で見てほしい」

 

 

 『了解だ。・・・・・これは・・・』

 

 

 興奮しているエミリーさんを横目に先導をしていたスウだが、急に止まって俺にドローンの昨日を使えという。恐らくだが、龍の力を引き出せるその忍術の視力で何かを見たのだろう。俺も言われるがままに望遠レンズに切り替えてみると・・・

 

 

 先ほど戦ったモンスターたちよりも一回り成長したモンスターに、人の肉体から触手が生えているテロリスト連中が数名いる。

 

 

 『・・・おそらくだが、寄生虫型の魔族、もしくはそういう生き物に寄生されて生物兵器に変えられたようだな。痛みを感じないのもそうだが、破損した肉体から新たに宿主を変えようと出て来たり、毒を吐き出していく種類もいる。倒す際は四肢を潰して動けなくする。ゆきかぜのように雷撃で焼き尽くすほうがいいだろう』

 

 

 「今回の相手は肉体に寄生していくタイプですが、問題なのは脳などに寄生するタイプ。脳のリミッターを外したうえで外見の変化もない。いつの間にやら私たちの世の中に魔族が紛れ込んでいるかもしれない。そう思うと恐ろしいことです」

 

 

 「ええ・・・それと・・・ここかなりモンスターが集まっているわ。小太郎。もう少しドローンの高度を上げて中央部分を見てもらえない? なんか動きが変なのよ。こう・・・餌に群がっているというか」

 

 

 ゆきかぜのソナーには何か動きが変らしい。それを意識してみると・・・思わず凄絶な光景に画面越しにちょっと気分を悪くした。

 

 

 『・・・桃知の死体がある。それとだが、かなり損傷がひどいが魔薬の影響だろうな。まだ人としての肉体が残っている』

 

 

 おそらくだが薬の反動とアサギ校長たちに倒されたダメージのショックによって生物としては死亡しているのだろう。だが、魔薬の効果による。あれほどの巨大なモンスターに変化するほどの肉体の増殖、再生能力が動いているのだろう。鎧の取れている手足の部分がかじられては再生。赤肉が気色の悪い音を立てつつ再生しているのであろう様子が見れた。

 

 

 「・・・外からモンスターが追加で来ないとも限らない。この数だけど、一気に突破して回収するわよ」

 

 

 「了解です。では、私が先陣を切ります」

 

 

 「私も紅ちゃんに続いて突破口を切り開くよ~」

 

 

 「それじゃあ、私はいつも通り後方からのバックアップね。あとエミリーさんの護衛」

 

 

 「私もエミリーさんを護衛しつつ、撤退する際の先陣となる。気を使っての遠距離攻撃だけになるがそれを使おう」

 

 

 「私はアサギ様と一緒に開いた突破口を切り開きつつ維持するとしよう」

 

 

 「それがいいわね。それじゃあいき・・・!」

 

 

 陰に隠れてプランを練っていると見えた光景に更に驚いてしまう。モンスターたちがまるで人を迎え、邪魔をしないように道を開けていく。まるでかのモーセの海を割ったようにきれいに。だ。それに恐らく皆が感じている。魔族。それもかなり高位の存在が来ているのだと。

 

 

 『映像から見ると・・・少女です。ですが・・・何か、今まであってきた魔族の中でも変に思えます』

 

 

 「おそらく最高位のものなのでしょう。あれと接敵して戦い続けるのも面倒よ」

 

 

 「なら私が仕掛けます。そこからお願いします。3、2、1、今!」

 

 

 緑の髪に赤い瞳、まだ成長途中の感じにどこかふわふわと浮世離れをした空気。だが纏う感じは今までに感じた悪寒でもちょっとないもの。ここはその魔族まで倒していかずにすぐに桃知を回収して逃げるほうがいいと判断。そのための装備をすぐ使えるようにしつつ、まず紅が仕掛ける。

 

 

 風遁と邪眼を使い敵を一気に切り開きつつ、斬撃の波に乗るという華奈先生から教わった技術を使ってその少女の横をすり抜けて桃知の死体に手を伸ばす。が、少女の手から出た赤い魔力の縄のようなもので紅の手をつかんで引き留めた。

 

 

 「はぁっ!」

 

 

 「シッ!」

 

 

 ただ、そこから今度はアサギ校長、紫先生が紅の切り開いた血路で助走をつけて左右からジャンプ。その脚力を活かして壁を走ってアサギ校長が前から。紫先生が横から切りかかろうとしたのだが、それも少女はもう片方の手から見えないが、おそらく魔力弾だろうか。を打ち出してくる。

 

 

 「ぐっ!?」

 

 

 「アサギ様・・・かはっ!」

 

 

 それにアサギ校長は吹っ飛ばされつつも攻撃を受け止めつつ紅の手を拘束していた縄を出していた手に向けて苦無を飛ばせばそれで魔力の縄を途切れさせ、紫先生も斧で受け止めてから紅のそばを囲むモンスターを切り倒して退路を確保。

 

 

 紅もすぐに後ろに戻り、その間に周りのモンスターを蹴散らして進んできてくれたゆきかぜたちと合流。確保も切り抜けることもできずに向かい合うことになってしまった。

 

 

 「手ごわいわねアイツ・・・っ!? え? なにこれ!?」

 

 

 その後にその少女は俺たちには興味を示さずにすぐに桃知の死体のそばに移動し、なんと桃知を小さくしてからまるでソフビ人形のようにしてしまい、手に収めてからすたすたと何処かへ行ってしまう。

 

 

 俺たちもすぐさま追いかけていきたいが、道路を埋め尽くすほどのモンスターたちが堰を切ったように襲い掛かってくる。

 

 

 『特殊兵装を使うぞ! グレネード!』

 

 

 「りょう・・・かいっ!」

 

 

 ただ、ここは不幸中の幸いか、下水道なのもそうだが桃知が落ちた場所。天井が崩れ落ちてしまい排水、水道水などがここには多くこぼれている。エミリーさんを除いて全員がスーツから手りゅう弾を2個取り出して放り投げる。

 

 

 その後に来る爆風と冷気。紅の風の防壁でガードをし、払えば辺りのモンスターたちは残さず氷漬けになって動けなくなった。液体窒素と氷結剤を練り込んで作った特性グレネード。そこかしこにある水を爆風で張り付けての瞬間凍結。普通ならこれで大概は倒せるのだが・・・

 

 

 「動けずともまだ生きているやつらが多い。急いで行くぞ。サンプルに関してもこれに入れていくがやはりあれを持っていくほうがいいだろう」

 

 

 「了解。ミス・シモンズ。サンプル保管用のケースはあります?」

 

 

 「え、ええあります。ですがこれだけではなくもう少し・・・」

 

 

 「そんなことしている暇はないわ! すぐ動くのも出てきそうだし急ぎましょ!」

 

 

 やはり高温かつ、肉体も肥大化しているモンスターたちは芯まで凍らせることが出来なかったようだ。だが、この氷の柵、地面が後ろから追いかけてくるやつらの一部の脚を鈍らせてくれるだろう。

 

 

 桃知の死体があった場所を氷ごと一部剥ぎ取り、保管ケースにしまい込む。もっと欲しいと言ってとどまろうとするエミリーさんの背後を襲う相手はスウが対処してゆきかぜが距離を取るまでの間雷撃弾を乱射して処理する。

 

 

 「急ごうみんな! 遺体も取り返さないと!」

 

 

 『それは構わないが・・・しばらくはまっすぐ走ってくれ! 今ナビデータを・・・オッケイ。更新した。今どうにか望遠レンズと生体反応を応用して追いかけている。このドローンが壊れない限り追跡は出来るから出来る限り敵のいない場所、少ないルートをたどるぞ』

 

 

 「い、いつの間に!?」

 

 

 『マーク機能と生体データを可能な限り取っておきましたからね。急ぎましょうミス・シモンズ。ここにあるサンプル以上に貴重なものがなくなりかねません』

 

 

 いつまでもここのサンプルにこだわらないように急がせるための発言と実際にデータを用意できたからの発言だったがエミリーさんが驚いている。偉そうに言っているけど、これ全部このドローンの機能だしなあ。味方以外の危険な生物は即マークしてレベル別マーク出来る。

 

 

 ほんとありがたいと思いつつ、必要ならグレネードで身を氷漬けにして塞ぎ、あるいは魔物たちを不意打ちで処理しつつ走ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『よし、そろそろ出るぞ・・・外には逆にモンスターや魔族の気配がないな』

 

 

 「それはそれで有難いわ。でも、ここから一体どこに」

 

 

 「ふぅー・・・・・汚いし臭い下水道とはここでお別れね。よかったわ」

 

 

 どうにかこうにか敵を切り抜け、あの少女の逃げたルートをたどり、あるいは沿いながらの追跡。そうしているうちに少女の反応は急に飛び、俺たちも無事に下水道を突破。モンスターたちも追ってはこず、久しぶりに感じる臭さの少ない空気に肺の中身を入れかえるようにみな息を入れる。

 

 

 「ふぅ・・・敵の様子もない・・・な」

 

 

 「待ち伏せも考えていたのですがふうまのドローンが壊れていないですし本当にないのかもですね」

 

 

 『ああ。それとだ。ここから俺たちが桃知の死体を負うのであればあそこになりそうだ』

 

 

 皆が出てきたところでドローンの生体反応が追えた場所。そしてそれ以外にも多くのモンスターがいる場所の反応が出ていることを伝える。

 

 

 下水道を出てすぐ、高い場所に立っている白いレンガ造りの大きな窓が特徴な見事な建物。反応が今は途絶えたが、そこにいるであろう可能性は高く、俺たちはすぐにその建物を目指すことにした。




 育ての親であり姉代りみたいな存在で、魔界の門の増加を防いで大物魔族を封印。封印されていた魔族を開放しようとするのを防ぐ任務しているのに教え子たちにあんな映像呼ばわりされる道中になる最強の一角。


 コートララ島編も多分あと2話くらいで終わりますかね。
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