「あーここかあ。確か、コートララの中でも結構有名な場所だったみたいね。確か富豪の家だったような」
「みたいだな。しかし、見張りもあるし、場所もなるほどちょうどいい」
「きれいな場所だけどすっかりさびれて・・・もったいないなあ」
あの後屋敷の方に向かい移動。監視の目の無い範囲の少し後ろの範囲で移動してみる。
しっかりとした監視パターンの動きに加えて立地条件もいい。この建物が豪華かつ広く、コートララの海に港も街並みも見下ろせるという場所もそうだが、ここが中華連合、米連双方にとっても基地を設けている場所から反対側と言っていいほどに離れた場所。
地下のモンスターたちがまだまだ跋扈しており更には被害も出ている。今も尚モンスターや被害者たちをガソリンで焼くような現状が数か月も続いているのと。先ほどの情報が関わっている可能性がある。
(不知火さんと偽朧との戦いがあったことや、ノマドの船に生物兵器・・・ここを拠点にしつつ生物兵器を運んでいた可能性があるか・・・親ノマド派も変に妨害工作をせずに時間を稼げるし、何なら個体整理をしつつ米連、中華連合の調査隊にあてがえばそれだけで攻めあぐねるだろうし)
この情報と推察。そしてこの屋敷の警備が淫魔族の使い魔たち。これだけでもおおよそ魔族、ノマドに関わる人がいるというのがわかる。
『下手すると桃知の死体を探して鬼が出るか蛇が出るかになりそうですね・・・』
「だが、ここで引いてしまっても桃知の死体の回収が出来ないのも事実。これ以上のミスも厳しいしな」
「まあ、生きて帰るのが一番だけど、もう少しだけ踏み込んで死体の奪還を目指しましょう。エミリーさんもいいですね?」
「はい。私達の目的も桃知の死体の奪還ですし、手にしているサンプルもやはりどこまで正確に調査出来るか不明ですし」
エミリーさんも氷漬けにしているサンプルがあるとはいえ、それは血液の一部だったり古い肉片。頭髪も古いし、そもそも飛び散った肉片とか一部は古すぎて破損状況がひどく鑑定できるかも不明。
やっぱり骨や再生している新鮮な肉が欲しいということであちらも調査続行は乗り気なようだ。
「それじゃあ・・・このパターンは既に理解したし、こっそり踏み込むのと、ちょうど死角になっている窓がいくつかある。そこから踏み込んでいくということでどうでしょうか?」
「ふむ・・・そうだな。それがいい。使い魔から情報が来て大騒ぎになるのは好かん」
『じゃあ、庭の見取り図と使い魔の監視パターンを分かりやすく見せるからそれに合わせて行動してくれ』
そしてまあ、出来る限り騒ぎを抑えて帰りたい。下手打てばあの少女がモンスターたちを下水道から呼び寄せて帰り道を塞ぐ。物量戦をされると正直俺たちで増援に向かってもやれることが限られる。救援も呼べるのだができれば使わないでおきたい。
淫魔の使い魔たちの監視は機械のように同じところをグルグルと回っているのを突いて庭の植木や壁を利用して移動。全員うまい具合に死角に隠れ、窓のそばに移動完了。
「会話声が聞こえるが・・・」
「カーテンもあって内部は見えないですか・・・」
「それなら私が入り込んで開けるのと、その後にお姉ちゃんとスウちゃん、紅ちゃんとエミリーさんが一緒で、最後にゆきかぜちゃんとむっちゃんでどう?」
最適解だろう。桜花の影遁で影を伝って内部に入り、窓のカギを開けつつ影の刃で一気に制圧。無力化が可能。その後に身体能力に優れ、早業で対処できるスウにアサギ校長。そしてその後にリカバリーしやすいくれないがエミリーさんをかばいつつ移動。最後に火力と剛力で対処しきれる二人を入れる。
全員もそれがいいと判断したので頷き、早速桜花は影に身を沈ませて影を伝い、部屋の中に入っていった。
数舜してから窓がかすかに空き、すぐにアサギ校長とスウが踏み込んで薄暗い中にいる人影、使い魔たちをたちどころに制圧。
「よし・・・エミリーさん此方に・・・淫魔族か・・・やはりというか、確定ともいえるか」
「ええー・・・日本でもいたけど、なんでこんなところに・・・」
そしてみればまあ、淫魔族がごろごろ。ゆきかぜからすれば母親と自分が捕まったアンダーエデンに関わっていた組織だし、王や側近もろとも華奈先生に皆殺しの目に合い、魂までくそみそな展開で殺し尽くすという目に合って魔界でも領地全滅。
なのに日本で組織立った動きを起こし、更にはここでも会う。正直何でという気持ちと渋い顔になるのも分かるというものだ。
「それは今から聞けるでしょう。むっちゃん。私とここから先のダイニングホールを制圧。桜花は先に影に隠れてから一気に刃と奇襲で先陣を切って。紅ちゃんとゆきかぜちゃん後衛。スウちゃんとミス・エミリー、小太郎君は淫魔たちから情報を出していて頂戴」
そういってすぐさま次の制圧に動くアサギ校長とそれに続くメンバーたち。このくらいの連携はいつもの事なのでスウは手ごろな淫魔を一人捕まえてビンタを数回して起こす。
「痛いいたぃ!? ちょっ、何するのよこのチビ助! 貧乳!!」
「・・・質問に応えろ、答えなければこのまま頭を握りつぶす。余計な口を聞けば手足をもぎ取ってゾンビの餌にする。自分の手足が食われるのを見た後に殺してやろう」
『落ち着けスウ。深呼吸だ。その後に手を放せ。そしてエミリーさん。一応拘束をお願いします。スウ。あれを出してくれ』
「あ、はい・・・」
起きるなり罵倒をかます淫魔にブちぎれそうになって最初からエンジンふかした尋問をしようとしたスウにおびえるエミリーさんに指示を飛ばし、スウもスウで内ポケットから指などに使う専用の拘束具をいくつか出して渡してくれる。
しかしその間も淫魔を養豚場の豚を見るような目をしていたので下手すればここでスイカが爆ぜるような光景を見たかもしれない。
「ここに人間の死体を持って来た女がいるはずだ。どこにいる?」
「二階にいるよ。ご主人様たちに会いにきた女でしょ?」
本当にぺらぺらとしゃべってくれるなあと思いつつ、同時にご主人様。ときたか。淫魔の高位階級はもういないことからも他種族の高位存在がいるということ。それは確定だ。
『誰だそれは。それと、日本での淫魔族の騒ぎに関わりはあるか?』
「名前は忘れちゃった。てへ。もうずっとご主人様と呼んでいるから。あと、私は船でここに来たけど長いこといるし、日本の事は分からないね」
「・・・役に立たないな。この色ボケ淫魔は」
「なによう。色目も使ってもらえないド貧乳に性格のくせに」
「~~~~~~~ーーーーーーーー」
とてもではないが、聞くに堪えない罵倒がしばらく続くが聞かないことにした。淫魔も淫魔でむしろその反応を楽しんでいるようだし、それでスウもイラついてのループ。これは相性が悪いなと思い、ドローンに仕込んでいる銃火器を出しつつ言う。
『魔界の門もないのにこうして集まっているのはなんだ』
「さあ? 一人のご主人様はいろいろしているし、もう一人のご主人様もよくわかんないや」
『そうか。ご苦労』
もうこれ以上は情報もないだろうなと見切りをつけてドローンの火器から麻酔銃を肩に撃ちこんで眠らせる。
その間にあちらも制圧が終わったようなので俺たちも移動していけば、ホールには無数の淫魔族、妖魔族たちが気絶ないし絶命している。このわずかな時間ですべて制圧したというのが相変わらずであり、その早業は聞こえてきていた音声からもよどみないものだったと語る。
「みんな無事? それと小太郎君、スウちゃん。情報はどうかしら?」
「少なくてもあの少女以外にも高位魔族らしき存在が二人。目的は不明。あの少女は二階です」
念のために気絶したふり、死んだふりをしていないかチェックしつつ、怪談を歩いていく。
「しかし、流石の剣術に体術。最強たる技術と高みがよく分かりましたよ」
「ぜひとも私も見て見たかったです」
「剣術だけなら貴女も相当よ紅ちゃん」
「いえいえ。華奈さんのようにはできませんし」
苦笑しつつも目指す剣士たちの高みに気合を入れる紅。ゆきかぜも負けないよう頑張ろうと気合を入れるようにぺちぺちとほほを叩く。
「まあ、あの子の剣術は色々おかしいから。速度と切り合いじゃどうにかなるけど斬撃を飛ばしたり、概念すらぶった切るのはほんとどうなっているのか・・・」
「ほうほう。やっぱりというかそれくらいのレベルになっていたのねー」
「っ!?」
「はぁーい・・・久しぶり?」
全く気配も、ドローンにも反応せずに現れてきた魔族。その声、纏う空気にかつて感じたメンバーは驚きつつももう遅い。
「ようこそ。少し散らかっちゃったけど書斎もあるからそこで探し物をしたらいいんじゃない・・のっ!」
その魔族の振るう拳で全員が書斎にそのまま吹き飛ばされ、対応しても踏ん張り切れないほどの膂力だった。
「ノアー貴女の言う玩具が来たわよ。ちょっと遊んでいかないかしら?」
「ん・・・いい、よ?」
「ギランボ・・・! 何で貴女がここに・・・?!」
ギラミュー・エルン・ボールス。その手練手管と高位魔族に匹敵する力量でSSSランクに匹敵する脅威と認定された魔族でかつて世界各地で起きたハロウィンで毎年起きた誘拐事件の犯人にして奴隷商人。
更にはその後ろには書斎にいたあの少女。最悪だ。ただでさえ紅、アサギ校長に紫先生の連携ですら殺し切れなかった相手に加えて様々な策を弄しつつ強い魔族がいる。対応できないわけではないが、まだほかの魔族が来る可能性も否めない。
「そりゃー私は商人よ? こんな新鮮で、時間とともに価値の上がる兵器がある上に人材を派遣できるもの。使わない手はないわ?」
「ん・・・オモチャ、一杯くれる」
「・・・・・小太郎。お前の方は」
『ああ・・・今米連、中華連合の方にモンスターたちが下水道、崩落していた穴から湧き出てきていて部隊で対応中だ。こっちに救援は送れない』
「くそっ! 相変わらずの手腕のようだな」
一方でこっちの方も今モンスターたちが出てきた故にその対応に骸佐を向かわせ、米連の部隊と連携して対処中。反対側の方にあるゆえ救援を送ってもすぐに対処は出来ない。
「ふふ・・・最強の対魔忍に、次期隊長。後は・・・その懐刀の伴侶が二人・・・うんうん。これはいい商品で釣り餌♬」
「壊しちゃ、だめ?」
「ええ。代わりに美味しいご飯あげるわ!」
ギランボはアサギ校長たちを見ても尚勝てると思っているらしく余裕そうに俺たちを眺めた後に襲い掛かる。早い。速度が前よりも段違いだ。ノアと呼ばれていた少女もそれに合わせてとびかかり、両手を巨大な魔獣の手に変化させて振り下ろす。
「ちっ・・・桜花!」
「りょーかい! 影熊!」
「はーい甘い! お返しよ!」
それをよけつつ紅が斬撃を飛ばし、桜花が影遁で作り出した巨大な熊で攻撃を行うがそれぞれの攻撃をギランボは片手でしのぎ、影熊に関しては弾き飛ばしてゆきかぜの雷撃弾の車線を防ぐ壁にすらしてしまう。
「持ち帰った死体の場所、教えてもらうわよ。ハァッ!」
「むぅん!!」
「あんなモノが必要。なの?」
一方でノアを相手に立ち回るアサギ校長と紫先生にスウ。三方向からの同時攻撃を受けてもすぐさま飛び回ってよけ、何より先ほども見せた能力なのか・・・多種の生物の手足を再現して逃げ回る。動体視力と反射神経。何よりもとっさの判断力が凄まじい。
「しっ・・・ぃ! はぁあああ!」
ただ、それでも歴戦の対魔忍に若き精鋭。一度見た技故に先ほどよりも動きはいい。逃げた先にまずスウが切り込み、そしてスウが視界を防いでいる裏で紫先生が破壊力を重視した荒々しい飛ぶ斬撃を放ってノアの足場を壊す。
足元がおぼついたノアの懐に飛び込んだスウが小柄な体を活かして回転力の高い打撃の嵐を叩き込んで手足を変化させようとも肩の付け根や腰などを猛打してそもそもの攻撃をさせないようにする。
「これで・・・どう・・・よ!」
それでも巨大な、それこそベヒモスや特大級のオーガレベルの腕を出して肘を曲げているだけでもスウの背中を切り裂こうとするノア。それをアサギ校長が腕を斬り捨てることで防ぎ、心臓に刺突を一撃。更に刀をえぐって心臓の傷口を広げ、横に薙ぐことで肺の片方もろとも切り裂く。
「これで・・・どう・・・だ!」
さらに紫先生が思いきり力を溜めて振るう戦斧の一撃で胴体と腰が泣き別れ、更にその風圧でノアは吹っ飛び、本棚に激突。
「ん・・・」
ただ、それだけの攻撃をもらっても何事もないように起き上がり、すぐさま傷口がふさがっていく。恐ろしいのはその再生力もだが対魔忍トップランカー三名でようやくこの状況。更には傷もすぐ治ってしまい打開策が見当たらない。
ノアの方も全く応えていない・・・いや、そもそも自分たちを敵と捉えているかも不明のレベルだ。
「全く・・・いやになるな。この強さとは」
「? わたしは強くないよ? それよりも・・・あっち」
「がはっ・・・! ぐ・・・」
紫先生がそれに忌々し気につぶやくとノアは首をかしげて自分は強くないと言ってのける。そして、彼女が指さす方向から飛んで来たのは傷だらけになっている紅。
「きゃっ!? あ・・・づ・・・」
「ふ・・・ふぅー・・・」
「うんうん。ちゃんと鍛えておいたかいがあるわね」
その後に桜花もゆきかぜも投げ飛ばされ、桜花に至っては忍者刀が取り上げられている。投げられてきた方向ではギランボが上機嫌で忍者刀を握りつぶしている光景だった。
『おいおい・・・以前とは比べ物にならないほど強くなった三名で押されているのか・・・』
「ああ。その声は小太郎か。そりゃー私だって強くなっているわよ? リベンジはしたい性分だし、対策を練ってこそ気持ちのいい商売が出来るものね?」
手のひらからぱっぱと金属片を払い、籠手を握りなおして一歩一歩迫ってくるギランボ。
「ぐ・・・この・・・(人魔合一を使うか・・・? だが、もう一人のご主人様とやらがいる以上倒すのにこだわってしまうのも。逃げる時に使う方が・・・)」
「ふっ・・・ん・・・(救援のサイン送ったほうがいいかしら・・・小太郎たちは無理っぽいしもう一つの方に)」
「・・・むっちゃん。退却用意。小太郎君。そっちもそっちの指揮に集中して構わないわ」
「アサギ様・・・了解です」
迫るギランボを見てアサギ校長の判断は早かった。俺、骸佐、蛇子は愚か米連の部隊もモンスターに掛かり切り。紫先生とアサギ先生、スウの連携を持ってもけろりとしているノアに加えて前よりも強くなったギランボがいる。そしてさらにもう一体の高位魔族もいることがほぼ確定。
エミリー・シモンズを失い、せめてもと持ってきているサンプルまでもここで奪われる事態になっては元も子もないと判断したのだろう。
『了解です! ではエミリーさんもいる以上地下を進まないでもいいので地上のルートを送ります! 活用してください!』
「おーおーいい判断。流石ね。でもまー・・・うん。時間切れ」
ギランボの言葉の直後、部屋の気温が一気に上がり、轟々と燃え上がる炎の塊が揺らめいてこちらに来る。
「ふわ・・・騒がしいから来てみれば・・・ねえ、ノア。私は予定を乱されるのが嫌いなの。そして、ギランボ。貴女がいながらなんでこの程度のネズミ対処できないのよ」
「なーに言ってんのよ。貴女も欲しかった相手じゃないの? アスタロト」
「「「「「「ッ!!?」」」」」」
つかみどころのないノア、底をあえて見せないギランボ。彼女たちの得体の知れなさと比べるとそれはまさしく焔そのもの。燃え盛る火炎のような赤い髪とドレス。煌き映える陽光のような意思が満ち溢れる灼熱色の瞳。その肉体は大変美しく豊満で、まさしく絶世の美女。
気だるげにあくびをし、立ち揺らぐ姿は隙だらけだというのに、その気になればすぐさま回りを焼き尽くせるという確信があった。
「? ああー・・・対魔忍。そうね。何年振りか何日ぶりか・・・人の世界の日にち感覚は慣れないのよ。でも・・・んー・・・銀髪の子・・・青の瞳・・・そんな子はいなさそうよ?」
「でも、オモチャ・・・いっぱいだよ?」
「それは貴女のでしょノア。はぁー・・・私が会いたいのは地獄の番犬よ」
「鈍いわねーアスタロト。対魔忍は人質取ればすぐに餌にできるじゃない。こいつらはその価値があるわ。だから、眠るには惜しい相手と思うわよ?」
アスタロト。対魔忍のデータベースにあっても敵対するべからずという評価と過去に対魔忍を部隊単位で、そして遊び半分で皆殺しにしたという破壊の権化。魔界の中でも不死に近い最上支配階級のさらに頂点の炎使いの魔人。「獄炎の女王」が目の前に現れたのだ。
「なぜ・・・こんな『何もない所』にこれほどの魔族が?」
「――黙りなさい。ギランボとノア以外に口を開いていいと言っていないわトカゲが」
「・・・・っ」
スウの言葉に対して高圧的な態度で答えるアスタロト。普段ならスウも食って掛かる。自分の持つ忍術すらも馬鹿にされているのだ。だというのに彼女は唇をかんで黙り、冷や汗を流す。格が違う。龍の力を引き出せる獣遁。自身の才能も確かなはずの才女ですらそうせざるを得ないほどの差を感じたのだろう。
「そうそう。弱い子犬はキャンキャン吠えることなく頭を垂れているほうが可愛げがあるってものよ」
「あんたねえ! いちいち馬鹿にして。私達の実力を知らないでいわないでほしいわ! スウもこんなのにすぐ呑まれてんじゃないの!」
「そうそう。数もこっちがまだいるし、まだまだ負けないよー?」
「流石番犬の教え子たち。本当にタフだわ。でも、先生たちはそうじゃないかもね?」
この状況でこういい返せるゆきかぜと桜花の胆力も大したものだ。だが、同時にそれを言いつつも実際撤退する方が正しいのも事実。でも情報が欲しいというのもある。
「ふぅん。面白そうね。お前たち」
うまくいけばこの状況でどうにかしたいの場所の大まかな情報でもらえないか。そう思っているとあちらから情報をくれた。
「私が持ってきたモノが必要みたい」
「今楽しい話の最中だし黙っていなさい。ノア。でもあんな死体が欲しくて来たの? つくづく面白いわね。で、死体か・・・ま、教えるわ。眠気も覚めたし。あの死体はすぐに燃やしたわ」
「・・・なぜ?」
「私にとってはどうでもいいけど、応える義理もないからね。これ以上は言わないわ。で? どうするの? 対魔忍の諸君」
面白そうに目を細めつつ、周囲の熱気が更に強くなる。アサギ校長も立っているだけで汗が噴き出すような熱気を見せ、ドローンもその温度に警報を出す。何より、もともとの体力の下地が違いすぎるエミリーさんは既にふらつき始めているほどだ。
「私たちはしゃべらない。そして魔界でも領地を失い頭を失った夢魔たちがここにいて、魔族がいて、ギランボもいる。知りたいことはたくさん」
「うまくいけばSSSランクだっけ? の魔族とそれに近しいノア含めて3体倒せるし、まあ功績は大きいわね。桃知の死体を燃やされちゃったミスをカバーして余るくらいに」
「だったらここで倒す・・・といいたいがな・・・それも難しいのだろう?」
「あら。鋭いわね」
紅の言葉の後に後ろからぞろぞろと出てくる淫魔族に妖魔族。そして火炎を走らせる魔道具を持つ魔人が数名。アスタロトの護衛と屋敷の周辺にいた淫魔族だろうが。これで数の有利の方も潰れてしまったことになる。
「ご主人様―侵入者が強くて倒せませんよ。仇を取ってー」
「興がそがれるわね・・・こんな力量も計れずに噛みつく子犬の相手をしなければいけないの? お前たちがろくに警備もできないのに尻拭いを私がしないといけないのかしら?」
「あうぅ~・・・・」
現れた淫魔族の能天気さにアスタロトが毒気を抜かれてしまうのか威圧感が霧散し、雰囲気が変わって殺気を淫魔族たちに向ける。能天気な淫魔族たちもこの圧力には石像のように硬直してしまう。視線すら逸らせず、してしまえば死んでしまうと本能が訴えかけるように。
「・・・ま。そういうところが気に入っているのだけれど。ね?」
「・・・ほ・・・っ」
「さすがに拾い集めた淫魔族をポンポン潰されちゃ困るわ。なんやかんや使える仕事はあるしね」
「・・・感情の起伏が激しいやつ」
「いや、遊んでいるだけだろう。反応がこの場でこうもころころ変わるしな」
目の前で行われる主従のコントにとことん商人根性を隠さないギランボ。それに呆れるゆきかぜに、紅は腰に佩いている刀を取り出すようにしつつ救援信号を送り、何時でも逃げられるようにしていく。
「ええ。コレは私の買った玩具で私はご主人様。だからどう扱おうと自由でしょ? ・・・生かすも壊すも。ね」
にやりと笑いつつも先ほどまで自分たちに向けていた威圧感ではなく殺気を向けるアスタロト。それに反応したアサギ校長が隼の術を使用した超高速でアスタロトに肉薄。斬撃を振るったと思った次の瞬間にはアサギ校長は窓の外に吹き飛んだ。
「・・・え?」
桜花の間の抜けた声と、ガラスが外で落ちて割れる音が響き、一寸遅れてその状況を俺たち全員が理解できた。
「いい動きね。・・・ああー思い出したわ。井河アサギ。あの男の言う人間の中ではまともに遊べる相手だったかしら・・・? 二番目くらいに」
そういいつつアスタロトの左手の掌にできた傷を舐めつつ、右手には溶けた忍者刀が握られていた。あの一瞬の攻防でアサギ校長はかすり傷一つがせいぜいであり、対してアスタロトは武器を奪い、カウンターでアサギ校長を吹き飛ばせるという力量の差を見せてくすくすと笑みを浮かべる。
「紫先生!」
「ああ! 撤退!!」
紅の声にすぐさま紫先生も反応。紅は無数の斬撃と風遁でそこかしこの破片と本を使っての紙、ごみの吹雪を作り、スーツの裏に仕込んでいた爆薬を全て放り投げて起爆。
爆風と無数の灰燼、アスタロトの起こす熱での陽炎で視界を防ぎつつその間にゆきかぜがエミリーさんを抱えて紫先生の戦斧を足場にアサギ校長が吹き飛ばされた場所へとジャンプ。紫先生もすぐに力の限り戦斧を振りぬいてゆきかぜたちを離脱。
桜花は陰に隠れてすぐにアサギ校長たちの後を追い、スウもゆきかぜたちを追うように紫先生と離脱。
「分が悪いのでな。機会を改める!」
紅と俺のドローンも部屋の中を埋め尽くす小さな竜巻に舞う破片を足場に、あるいは隠れ蓑にしつつ離脱。全員がこの屋敷を逃げ出すことにはどうにか成功。
俺もこうして通信しているが現状モンスターたちとの切った張ったの中。アサギ校長たちが来てくれないと合流は難しい。
「小太郎。救援のシグナルは出した・・・そっちは持ちこたえられそうか?」
『すでに船に用意していた予備の爆薬も来ているし、蛇子と骸佐がいるから耐える分には問題ない。しかし、そっちに歯向かうことが難しい。だから・・・救援が来るまではそっちだけで耐えられるか?』
屋敷を出てすぐに風遁と身体能力を活かして木々を蹴ってものすごい勢いで離れていく紅との会話。その中で俺たちは救援に来れないということを聞いても紅は笑みを浮かべ
「大丈夫だ。逃げて時間を稼ぐくらいならな」
そういいつつベルトのバックルと内ポケットから円筒を数本投げて視界を埋め尽くすほどの大煙幕を展開。これで少なくても淫魔族などの下級相手なら時間を稼げるだろう。
「追いかけっこか。まあ私は好きだし、いいわ。付き合いましょう」
「狩りがいはある相手よ? うまくいけばマカオとジョマ、ジャークを封印、仲間に引き込んで、メイアも認めた対魔忍が来るかも」
「へえ? あの連中をねえ・・・地獄の番犬と仮面の対魔忍。そしてその部下たちかしら?」
「正解。あんたのドS精神でうまくいたぶればだけど」
アスタロトさん登場。色々規格外というか、結構対魔忍の中でも強いですよねえ。対魔忍は基本雑魚だと思っていたけどこの作品では華奈の暴走で興味を持って地上に出たけど会えなくてつまんねーやと半分ふてくされていました。マカオとジョマ、ジャークは魔界でも強くて有名。
ギランボ登場。再生怪人ではなくパワーアップした怪獣枠です。具体的に言えばゼットさんのときのバラバみたいなものです。
紅たち ここから鬼ごっこ開始。なんやかんや地下道での戦闘からの連戦とアスタロトの炎で体力消耗していたりできつい。原作よりも強化していますがそれでも種族の壁は高い。
小太郎たち 現在米連の部隊と連携してモンスター退治。モンスターの突然発生はギランボのせい。実は最前線で剣を振るいつつドローンの映像を見つつどうしたものかと作戦練っています。
救援部隊 次回登場。