「はーい、皆さんお久しぶりです! よーこ先生ですよ~!」
「このコーナーも久々な気がしますね。 皆さん、先生の事は覚えていてくれましたか?」
「――なんだか返事が少ないような気がしますが、まぁいいでしょう! これからも張り切ってこのコーナーを続けますよ!」
「では、今回のお題はこれです!」
~この世界の神様ってどんな人?~
「はい、これは皆さんも多少気になっているのではないでしょうか? え、そうでもない? ――コホン! では説明しますね!」
「基本的には皆さんの良く知る仏教、神道が布教していますね。 キリスト教やイスラム教は私達の世界には存在しません。 日本がベースの世界と思って頂ければ幸いです。」
「なので伝えられている神話も、皆さんのよく知る日本書紀等を参考にして頂ければ大丈夫です!」
「そしてここからが重要点、私達の世界独自の神話のお話ですね!」
「始祖三神という神様達がおりまして、その内のお一人が造化三神等の神々を生み出していった事になっているのです!」
「あとの二人の神様は何をしていたのかですか? このお二人は天地開闢を見届けた後、神域(かむかい)にお引き籠りになったのです。 なので始祖三神というよりは、始祖神と呼んだ方がいいのかもしれませんね。」
「前に説明した葛の葉は、この始祖神の使いって事になるわけです。 その事から、始祖神は狐のような姿をしていたとも伝えられているのですよ! 実際どうなんでしょうね?」
「では今回はここまで、皆さんあでぃおす!」
女性は家路を急いでいた。 友達とはしゃぎすぎ、ついついこんな時間になってしまった。 寂れた街灯の明かりだけが頼みの暗闇の道を、ブランドバックを抱えながら小走りで進む。 パンプスの靴音が、静かな辺りに奇妙に響いていた。
――ねちゃり。
嫌な感触を足元で感じた。 女性は慌てて足元を確認する。 田舎道のアスファルトの上だ、もしかしたら誰かが吐き捨てたガムかもしれない……
「最悪、これ高かったのに。」
女性は嫌悪感を顔に出し、足を地面から離そうとするが――
「うっそ、何よこれ!」
どんなに力を入れても地面から離れようとしない。 粘着質な音がするだけで、両足は地面に固定されてしまっていた。 いや、そこから既に間違っていたのかもしれない。
「これ、ガムじゃない? なんか白い糸みたいなのが――ひっ!」
自分は確かに帰り道を駆けていたはずだった。 しかし、一面に敷き詰められていたのは白い糸だった。 そう、それはまるで蜘蛛の巣のようで――
「何よこれ! なんでこんな事になってるのよ! 新手のドッキリ番組か何かなの!?」
女性は混乱していた。 あまりに非現実的な事態に、思考が追いつくわけがなかった。 もがけばもがくほど糸は絡まり、彼女を身体を絡めとっていく。
「いやぁ! 誰か助けて!」
必死で助けを呼ぶが、こんな時間に人通りがあるわけなく、彼女の声は虚しく響くだけであった。 しかし、一人だけその声に応える者がいた。
「あらあら、可愛い声で鳴くのね。」
「ひっ!」
女性は声が出せなくなった。 だって、そこに現れたのは正真正銘の化け物であったからだ。
「いいのよ、もっと可愛い声を聴かせて頂戴。」
「ぁ、ぁぁ……」
蜘蛛のような体に、女性の上半身がくっついた化け物は、嬉しそうに女性に微笑んでいた。
「大人しくなっちゃって、まぁいいわ――そろそろ、頂きまぁす。」
「いやぁぁぁぁ!」
女性の悲鳴が、虚しく暗闇の中に響いた。
―前回のあらすじ―
第二シーズン開始早々の新キャラ登場に波乱の幕開けとなったふぉっくすらいふ! 兵隊幽霊なんのその、メイド喫茶の店長は元将校という恐ろしい真実が明るみとなったわけなんだけど、よくあんな店作ろうと思ったわね…… まぁ、1日無料券を3枚も貰ったし全ては予定通り! あぁ、もちろん口止め料っていう名目なんですけどね! というわけで今回も明るく元気に――ってわけにはいかなそうね。
「……」
留美子は昨夜の事件の調査をしていた。 被害者の女性は生気を吸われて瀕死の状態、濃い妖力だけがその場に残されていた。 改めて現場検証をしているが、特に新発見は無かった。
「留美子ちゃん、こんな場所で何をしているんです。 ご主人様が心配していましたよ!」
「菊梨、何用?」
「ご主人様に様子を見てこいと言われたんです! 全く……」
留美子は納得したように頷く。 昔、雪に言われた通り無茶な単独行動は避けるようにしている。 今回はただの現場検証であり、昼間のため比較的安全な状態だ。
「大丈夫、すぐ戻る。」
「ならいいんですけど――しかし、物凄い濃い妖気ですね。」
「何か分からない?」
「ふむ、そう言われましても……」
菊梨は辺りを見渡しながら数歩前進する。 そこで足を止めると、その場に屈んで何かを拾い上げる。
「なるほど、これは面倒な相手ですね。」
「何か見つけた?」
菊梨は拾い上げたソレを手のひらに乗せて、留美子に見えやすくする。
「蜘蛛の糸……」
「えぇ、おそらくは女郎蜘蛛の物ですね。 また厄介な妖怪が出てきましたね。」
「うん、これで繋がった。 なんとか出来ると思う。」
「あの引き籠りを退治するつもりなんです?」
「私の任務は捕獲、だから奴を餌で釣る。 ――菊梨の許可もいる。」
「留美子ちゃん、まさか……」
「今から全部説明する。 大丈夫、絶対にうまくいく。」
留美子は自信満々にそう言い切った。
―――
――
―
「これで完成。」
「うーん、慣れない恰好だと違和感がヤバイ。」
私は何故か留美子の勧めでコーディネートされていた。 何故こんな事になったかと言うと、私がおしゃれに疎いから、いつもの恰好のままだと一緒に出掛けたくないという事だ。
「大丈夫、似合ってるから自信持って。」
「ヘイヘイ。」
胸元に大きくよく分からない文字の入った半そでの白シャツ、下はデニムのショートパンツに白のニーソ、極めつけはエナメルパンプスだ。
「というか太もも出すぎでしょ、めちゃくちゃ恥ずかしい。」
「あまてるちゃんは、美脚だから無問題。」
「そ、そうなのか。」
正直脚なんて興味もないし分からないジャンルだ。 女はやっぱり胸だろ! ――脳内に留美子と菊梨の胸が思い浮かび、自らの胸を見て絶望が押し寄せた。
貧乳はステータスだ! 希少価値なんだよバカヤロー!
「あまてるちゃん、行こう。」
「えぇもう、どこまでもついて行きますとも!」
しかし、留美子にこんなセンスがある事を知らなかった。 どこかで勉強でもしているのだろうか?
「置いてくよ。」
「ごめんごめん!」
私は慌てて留美子の後に続く。 ――電車に乗り込むと、平日なだけあってかなり空いていた。
「なんか1年前を思い出すよね。」
「うん。」
「あの頃はよく二人買い物とか行ってさ~」
「カラオケで、あまてるちゃんが爆睡してた。」
「あれは前日徹夜してて眠かったのよ!」
しかし、菊梨がついてこないなんて珍しいな、いつもなら意地でも引っ付いてくるのに。 まさかこっそりついてきてるわけないよね!
――そのまさかだった。 明らかに怪しい女性が少し離れた席に座っていた。
「菊梨、サングラスだけじゃ変そうにならないのよ……」
つい言葉が漏れてしまった。 だって、いつもの恰好のままでサングラスしてるだけなんだもん! しかもフレームの形がハートって何なのよ!
「バカ……」
留美子を呆れてそう口走っていた。
―――
――
―
電車を降りた私達は、久々にあちこち回る事にした。
「うわっ、この超合金欲しいけどくっそ高い。」
おもちゃ屋立ち往生したり。
「10段アイス。」
「留美子、どんなバランス感覚してるのよ。」
涼を求めてアイスを買ったり。
「燃え上がれ! 燃え上がれ!」
カラオケで熱唱したり――
「はぁ、久々に楽しんだわ!」
1日たっぷりと遊んだのは久々ではないだろうか。 ここ最近色々あったりで、何かと羽を伸ばせていなかった気がするし。
「私も、楽しかった。」
「誘ってくれてありがとね、留美子。」
「ううん、いいの。」
何やら複雑な顔をしているが、何かあったのだろうか? 腕時計を見ると、既に時刻は20時を過ぎていた。
「そろそろ帰らないと遅くなっちゃうわね。」
「うん、帰ろう。」
私と留美子は繁華街を歩きながら駅を目指す。 しかしなんだろう、何か違和感を感じる。 上手く表現できないが、何かねっとりとした視線というかなんというか……
「ねぇ留美子、って……」
いつの間にか、隣にいたはずの留美子の姿が見えない。 慌てて辺りを見回すが、それらしい姿を見つけられない。
「ちょっと、どこ行ったのよ留美子!」
――白い髪の女性が路地に駆けて行くのが見えた。 あんな目立つ髪色をしているのは留美子くらいだ。 私は急いでその後を追。
「留美子! 待ちなさいよ!」
奥へとどんどん進んで行く留美子を追いかけるが、その距離は縮まらない。
――途端、ねちゃりと粘着質な音が聞こえた。
「ちょっ、何よこれ!」
よく周りを観察すると、あちこちに蜘蛛の巣が張り巡らされていたのだ。
「――ぜんぜんとれない。」
パンプスが地面に張り付いてしまったかのように微動だにしない。 どんなに引っ張ってもねちゃりという粘着質な音が響くだけだ。 いっその事脱いでここを離れるべきか? いや、おそらく同じように蜘蛛の糸で身動きが出来なくなるだけだ。
「あら、随分冷静なのね。」
聞いた事の無い女性の声が響き渡る。 どうやら黒幕のご登場らしい。
――その姿は、巨大は蜘蛛に女性の上半身が張り付いた化け物だった。 確かに女郎蜘蛛とかいう妖怪だったか? 人気の少ない場所で結界という巣を張り、迷い込んだ得物の生気を吸い取るとかいう。
「妖怪には慣れてるからね。」
「つまらないわねぇ、貴女の恐怖に歪む顔が見たかったにの。 まぁいいわ、こんな美脚なんて早々いないもの。」
「何、アンタ脚フェチなわけ?」
「キーッ! 失礼な!」
女郎蜘蛛は顔を真っ赤に染めて怒り出した。 妖怪って変な性癖持ちが多いのだろうか?
「もういいわ! さっさと生気を頂く!」
「糸でグルグル巻きにされてエナジードレインとかされちゃう! エロ同人みたいに!!」
「そんな事しないわよ!」
そう言うと女郎蜘蛛はこちらにゆっくりと歩み寄り、顔を私の太もも辺りに近づける。 息が当たって少しくすぐったい。
「間近で見ると、更に際立つわぁ。 正に100年に1人の逸材ね。」
そう言いながらぴちゃぴちゃと全体を舐めまわし始める。 これは本格的に冗談を言っている状況ではなくなってきたようだ。 この結界内では、留美子や菊梨が私の危機を察知出来るかどうか……
「さぁて、そろそろ頂こうかしらね。」
自分で切り抜けるしかない。 ――幸い両手はまだ自由に動かせる。 こういう時のためのアレではないか。
両手に霊力を集中させて霊剣を形成させる。 当然いつものようにハリセンの形になるのだが、霊力の塊という時点で妖怪相手には良い打撃になるはずだ。
「なんとぉぉぉぉ!」
ハリセンの炸裂音が結界内に響き渡る。 これぞ秘儀! 二刀流ハリセン落とし!
「……」
「――効きました?」
「結構。」
どうやら有効打のようです。
「もう許さないわよ!」
女郎蜘蛛は、怒りだし。 女郎蜘蛛は、かみつくをくりだした。
「いたっ!」
思いっきり太ももに噛みつかれた。 どうやらこうやって生気を吸い取るらしい。 実際足元から力が抜けて、私は座り込んでしまう。
「何よこれ、美味しすぎるぅ!」
「さすがに、笑えない状況……」
女郎蜘蛛は夢中で吸い付いている。 それに合わせて私の力も抜けて行く。 だんだん意識も朦朧として――
「あ、あれ?」
何故か女郎蜘蛛が気絶していた。
「それは、あまてるちゃんの霊力が強すぎたから。」
「留美子!」
丁度いいタイミングで留美子が現れる。 まるで、タイミングを見計らっていたかのように。
「あまてるちゃんの霊力は、目視出来ないようになってる。 ソイツは気づかずに生気と一緒に霊力を取り込んだ。」
「あぁ、それでダウンしたわけか。」
霊力は妖怪にとって毒のようなものだ、それを内部に取り込んだならば自殺行為のようなものだ。
「ちょっと待って、まさか!」
「ごめん、そういう手筈だったから。」
留美子は女郎蜘蛛に何か注射をし、携帯している
どうやら、ソレが留美子の目的だったらしい。
「私を餌に使うなんていい度胸ね!」
「これはあまてるちゃんにしか出来ない作戦だったから……」
多分菊梨も共犯者だろう、そのためにずっと1日付きまとっていたのだろうし。
留美子は私をお姫様抱っこで抱き上げると、そのまま唇を重ねてきた。
「んっ!?」
――体に力が戻ってくるのを感じる。
「これで大丈夫、帰ろうあまてるちゃん。」
「絶対許さないんだからね!」
物陰でも誰かが発狂している声が聞こえた。
―田舎のおばちゃん、今日も私は元気です―
次回予告―
「私を餌に使うなんてゆるせーん!」
「ご主人様と接吻なんてゆるしませーん!」
「そもそもあんたも共犯者でしょうが!(スパーン!)」
「あーん/// ご主人様の愛の鞭///」
「二人にはその内借りを返してもらうからね!」
「うぅ、ごめんなさい……」
「さて、次回もまた面倒な事になりそうね。」
「次回、第十五話 結成、ゴーストバスター隊!」
「ごーすとばすたーず!」
「掃除機用意しとかなきゃね。」