「はーい皆さん、こんこんわ。 教えて、よーこ先生のコーナーですよ。
このコーナーでは、皆さんが分からなそうな世界観や設定をお話していくわね!
では、今回はこれ!」
~ガイアってどんなとこ?~
「はーい、ふぉっくすらいふの舞台ですね。 ガイアっていうのはこの惑星の名前ですね。
人が住める星という意味では、皆さんの地球と変わりませんね。」
「このガイアって星は、大きく分けて二つの勢力があります。
帝都と京都ですね、みなさんも似たような名前を知ってるかもですが、全くの別物なので勘違いし ないように。」
「帝都と京都は、約800年ほど前に戦争をしてたんだけど、今はもう仲良しさん!
その時に年号が帝京歴になったらしいわよ!」
「あら、もうこんな時間! 今回はここまでね。
ではまたこのコーナーで会いましょ!」
「菊梨、何してるの?」
「ぁ…… あでぃおす!」
―前回のあらすじ―
おっす、私坂本 雪、青春を謳歌する普通の女子大生! ちょっと人とは違う能力があるけど、そこはまぁ流してちょーだい。
ドノーマルな人生を歩む予定だったんだけど、今私の目の前に大きな障害が現れたわけで……
なんか、
さてさて、どうしたものやら――
「貴女に届けこの思い♪ 恋の狐火が燃え上がる♪ 365日ずっと貴女の隣に寄り添いたいの♪」
「何歌ってるの?」
「OP曲、”恋の
「アニメじゃないんだから、そんなもんいらんでしょうがー!」
「別にいいじゃないですかぁ……」
「こんな駄狐無視して、始めるわよ!」
「あ、もしもしポリスメン?」
「ちょっと、どうして警察に通報してるんですか!」
「いや、だって露出狂が現れたわけだし?」
まぁ、まだ電話したわけじゃないんだけどね。
露出狂は必死に私の腕を掴んで止めようとしてくる。 ――って、ちょっと力強すぎない!?
「いたい、痛いから! 通報してないから放しなさいよ!」
「ご、ごめんなさい!」
露出狂は本気で凹んでいるご様子。 というか、こいつ何者なの?
記憶を整理するに、荷物を開けた後に発生した霧、その後にコイツは急に湧き出た事になる。 ――うん、普通じゃないよね。
「ところで、アナタ誰よ?」
「先程名乗ったではないですか、菊梨です。もう旦那様ったらぁ……」
「なんか既にもう旦那扱いなんですが、というか私女なんですけど!?」
「そんなに照れないでください、
あれれ、おかしいなぁ? なんだか会話が成立してない気がするんだけど。 そうだ、きっとこれは夢だ、そうに違いない!
右と左の頬を同時に抓る。 ――痛い。
スマホを取り出して日付の確認。 帝京歴785年、4月19日、天候晴れ。
うん、紛れもない今日その日だ、朝にも見たしね。
「旦那様?」
「菊梨――だっけ?」
「はい!」
露出狂――菊梨は、花のような笑顔を咲かせた。 こう見ると美人だな、頭にある狐耳に目を瞑れば。
「あんたってさ、妖怪なわけ?」
「――はい、その通りです!」
少し間を空けてそう答えた。 でっすよねぇぇ!!
元々憑かれやすい私だけど、今回はとびっきり面倒なのに掴まったようだ。 なんと言ったって、おばちゃんの結界を抜けて来た相手なのだから。 これはおばちゃんに連絡してどうにかしてもらうしか道はないだろう。
「そ、それでさ…… なんで私が旦那様なわけ?」
「よくぞ聞いてくれました!」
目を輝かせ、鼻息も荒くなっている。 もしかしてこれ、地雷踏んだ?
嫌な汗が背筋を流れる。 私、明日を迎えられるのかな……
―――
――
「つまり、私の前世が菊梨の旦那様だったと?」
「その通りでございます!」
「へ、へぇ…… 今の世の中そんな事も分かるのね。」
「はい! 今は妖怪向けにそういうサービスがありまして――」
「待って、なんかそれ以上は言ったらダメな気がする。」
触らぬ神に祟り無しよ、きっと踏み越えてはいけない領域があるのよ。
「ん? ともかくそういうわけなのです、旦那様。」
「うん、大体わかった。」
「では!」
「もちろん却下だ!」
前世だろうがなんだろうが、今の私には何も関係ねぇ! って言っても帰ってくれないですよね? だって捨てられた子犬みたいな目でこっち見てるもん。 何? 同情誘って家に置いてもらおうってやつ?
「じー」
「却下!」
「じー、じー」
「そんな目で私を見るな!」
痛い、良心が痛いよぉ…… どうすればいいのよもう!
「そもそもね、あなたを飼う余裕はこの家に無いの? おk?」
「自分の生活費くらいは稼げますよ?」
自分で稼げるとな。 やはり夜の街でアレなお仕事をするわけですな、露出狂だし。
「ってかあんた! いい加減服着なさい!」
「あ――」
何その、今思い出したみたいな顔は。 嘘でしょ、まさか気づいてなかったってわけじゃ――
「
「だめだこいつ、早くなんとかしないと。」
――
―
「わぁ、ありがとうございます旦那様!」
「ま、まぁ裸よりはマシじゃない?」
胸囲の差で私の服のほぼ全ては全滅だった。 もしやと思い取り出した、着物と長羽織でなんとか露出狂状態は止める事が出来たわけだ。 問題は、思いっきり胸がはだけてしまっている事だろう。 このバカ乳め、マジゆるさん。 うらやまけしからんぞ!
「赤の着物に花柄の長羽織、似合ってます?」
「あぁ~はいはい似合いますよ、どうせ私じゃ無理ですよー」
おばちゃんが買ってくれたものだが、正直袖を通す勇気が無かったというのが本音である。 しかしこう見ると、どこかのお姫様みたいに綺麗だなぁ。
「っと、それと下着は後日買いに行くとして、部屋は――」
「
「おいこら、何調子乗ってるの!」
少し優しくしたら、この狐はすぐに調子に乗る。 これは徹底的なしつけが必要かしら。
「仕方なく! 心の広い私が! 情けをかけて住ませてあげるのよ! そこの所分かってる?」
「もちろんでございます!」
本当に分かっているのだろうか? 既に頭が痛くなってきた……
「まぁいいや、まずは私の部屋の掃除からやってもらおうかねぇ。」
「分かりました旦那様!」
「あとそれ、旦那様禁止。」
流石に女性の身で、旦那様と呼ばれる事に喜びは感じない。 せめてここだけは改善してもらわないと。
「えっと、ではなんとお呼びすれば?」
「いや、普通に名前で呼んでくれていいよ?」
「それは絶対ダメです!」
「あっそう……」
果てしなくめんどくせぇぇ!
「では――ご主人様で!」
「もうそれでいいや……」
妥協大事、うん。 今度の休みの日にでも、おばちゃんに相談の電話してみようかなぁ、私じゃきっとどうしようもないだろうし。 ――って、待った待った、すてぇぇぇい!
「私のコレクションを捨てようとするなぁぁぁ!」
「え、ゴミじゃないんですか?」
「当たり前よ! 私の大事な同人誌コレクションに、アニメのBD、そしてプラモデル達!
全部宝物なのよ!」
「なら綺麗に片づけておけば……」
「はい、その通りですね、片づけられない女ですんません。」
「なら一緒にやりましょ? ご主人様と一緒なら頑張れます!」
「しゃぁない、やるかぁ……」
―――
――
―
「ふぁぁぁ……」
――寝不足だ。
大学の教室の中、欠伸を噛み殺しながら席に座った。
確かに部屋は綺麗になった、なるにはなったさ。 むしろ見違えるほどで、どこに何があるか分からないレベルになっている。 そこまではまだマシだった。 まさか、菊梨があそこまでアニメに興味を持つとは…… やはり妖怪にとっては物珍しいんだろう。 お蔭様で、そのアニメの視聴に付き合わされて寝不足なんですけどね。
「ご主人さまぁ!」
ほら今だって、大学にいるはずなのに菊梨の声が――
「ご主人様、見つけました!」
ほら、柔らかい何かが背中に押し付けられる感触が――
「……」
「ご主人様?」
「なんで、あんたがここにいるのよー!」
―田舎のおばちゃん、今日も私は元気です―
そして、その二人の様子を見る女性が一人。
「危険因子、排除しなければ。」
―次回予告―
「突然大学に現れた菊梨、そして謎の影の正体! 一体私はどうなってしまうのやら!?」
「大丈夫ですよご主人様、私(わたくし)が命に代えてもお守り致します。」
「そ、そこは確かに安心なんだけどさ、相手が悪いと言いますか。」
「もしかして、ご主人様の知り合いの方なのです?」
「えっとそれは……」
「任務了解、攻撃開始。」
『出たぁぁぁ!』
「次回、第三話 最凶の好敵手(ライバル)、猿女 留美子登場。 読まない人も、粛清対象。」
「もうやだこの子。」