ふぉっくすらいふ!   作:空野 流星

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 教えて、よーこ先生!

「はーい皆さんこんこんわ、教えて、よーこ先生のコーナーですよ。
 このコーナーでは、皆さんが分からなそうな世界観や設定をお話していくわね!
 では、今回はこれ!」


~帝都ってどんなとこ?~


「前回の続きになりますね。 帝都と京都の2大勢力がある事はお話しましたね?
 帝都領はガイアの北半球に位置します。 逆に南半球は京都領ですね。」

「面白い事に、帝都と京都の首都は同じ日本大陸にあるのです!
 その大陸だけ領土を二分している状態ですね。 過去に起きた戦争はこの日本大陸の取り合いだったのですよ。」

「帝都は工業や科学技術の向上を主とした国家で民主主義の体制をとっています。
 まぁ皆さん達の暮らす日本と同じようなものですね。」

「――おっと、もう時間切れですね。ではまたこのコーナーで会いましょ!」

「あでぃおす!」


第三話 最凶の好敵手(ライバル)、猿女 留美子登場

―前回のあらすじ―

 結局、露出狂狐に折れた私は奇妙な共同生活を始める事になってしまった。

 ああ神よ! なんて私は不幸なのでしょうか! やはりこの世に神も仏もいないのですか!?

 

 そこまではいいとして、挙句にこの狐は学校にまでついてきやがりましたよ。 お願いだから私に平穏を下さい、お願いしますから!

 そして何やら怪しい影まで動き出してどうなるのこれ? ――君は、刻の涙を見る。

 

 

 

 

 

「危険因子、排除しなければ。」

 

 

 二人の様子を見る女性が一人。 黒のスーツと短めのタイトスカート、とても大学生には似つかわしくない姿だ。

 

 

「っていうか、どうやって大学に入ってきたわけ?」

 

「えっと、色々と記憶を改ざんしてきました!」

 

 

 うわぁ、眩しい笑顔で恐ろしい事言いやがりますよこの狐。 というか、流石に耳は隠してきてるわけね。

 昨日とは違い髪は茶髪に、瞳の色もダークグリーンへと変わっている。

 まぁそれでも、私が昨日渡した服を着ているからすぐに判別がつくわけだけど。 というかその恰好、思いっきり目立ってますよね?

 

 他の学生達の視線が注がれているのが分かる。 わかるよ男子達、この爆乳に惹かれないわけがないよねぇ。 はち切れんばかりに溢れてるもんねぇ――ぶっとばすぞ!

 

 

 

「ともかく、ここでは大人しくするのよ?」

 

「分かりましたご主人様!」

 

 

 変に騒がれても困るし、成すがままに流される方が楽だ。 それでも軽い騒ぎにはなっていそうだが……

 はぁ、先が思いやられる。

 

 

「って、言ったそばからどこいったぁ!」

 

 

 すぐ隣にいたはずの元凶は、その姿を消していた。 私は慌てて教室を飛び出し、廊下を見渡す。

 

 ――いた!

 

 その後ろ姿を確認し、急いで追いかける。 今は目立ちやすい恰好に感謝だ。

 

 

「待ちな――」

 

 

 その時、時間が止まった。

 

 

――

 

 

 

「――」

 

 

 ――現状確認。 手足は動かない、視線も動かせない。 何がどうなった?

 

 

「貴女、何者ですか?」

 

「教えない。」

 

 

 菊梨の声だ、そしてもう一人は――間違いない、猿女(さるめ) 留美子(るみこ)だ。

 すっかり忘れていた、この学校に()()()がいるという事を。

 

 

「これは疑似的に神域(かむかい)を展開するもの。 こうすれば周りに被害は出ない。」

 

「そういう気遣いは出来るのですね。」

 

「当然、施設内での戦闘も想定してる。」

 

 

 そう言って留美子は胸元から銃を取り出す。 私はアレを知っている、対霊・妖用兵器 霊銃(レイガン)だ。

 

 

「目標補足、攻撃開始。」

 

 

 ちょっと! 私が教えた台詞を真面目な顔で言わないでよぉ!

 

 銃声が戦いの合図となった。 真っ直ぐ飛来した銃弾を菊梨が左手の手刀で弾くと、留美子が左足で回し蹴りを放つ。 それを右腕で受け、左足でのハイキック! 蹴りは留美子の額を掠め、2発撃ち込みながら後方へと飛び退く。

 

 なんだこれ、いつからバトル物のお話になったのよ。 というか二人のやりとりがなんで私に見えるわけ? この時間を止められた状態が影響してるのだろうか。

 

 

「人間にしてはやりますね。」

 

「妖怪の最上位種、初めて見たけど手強い。」

 

「貴女が何者か知りませんが、(わたくし)とご主人様の邪魔をするなら容赦はしません!」

 

 

 菊梨の纏う妖力が一気に跳ね上がる――髪は金髪に戻り、狐耳が姿を現す。瞳も本来のライトブルーへと変色する。 恐らくは本気という事なのだろう。

 

 これ、まずいよね?

 

 私の脳裏に浮かんだのは留美子の死だった。

 

 

「負けない、あまてるちゃんのためにも。」

 

「行きますよ!」

 

 

 だめだめだめ! 絶対止めなきゃ! 動け!動け!動け! 私のポンコツボディ! 今やらなきゃ、留美子が!

 

 

「すとぉぉぉぉっぷ!! ――げふん。」

 

 

 盛大にコケた。 しかも顔面から。

 

 

「ご主人様!」

 

「あまてるちゃん!」

 

 

 二人が叫んだのも、また同時であった。

 

 

――

 

 

 

「うーん、ポテチはのり塩がいい……」

 

「寝ぼけてないで、しっかりして下さいご主人様。」

 

「あれ、菊梨? ここどこだっけ?」

 

「あまてるちゃん、無謀すぎ。」

 

 

 目を覚ますと、先程と同じ廊下に寝転がっていた。 正確には菊梨に胸枕されていた、やわらかぁい。 留美子も心配そうに私を見ている。

 

 

「よかった、止められて。」

 

「どうやって、神域(かむかい)を抜けて来たの?」

 

 

 不思議そうに留美子がそう尋ねる。 どうやってと言われてもねぇ。

 

 

「根性でぶち破ったとしか言えないよ。」

 

「全く、あまり無茶をしないで下さいね?」

 

「ごめん、今回のは私の落ち度だわ。 留美子の事を伝えるの忘れてた。」

 

 

 留美子は”組織”とかいうのからの命令で、私の監視と護衛を命じられているらしい。 本業は人に害を成す、妖怪や幽霊の退治だ。

 妖怪である菊梨を狙ってくるのは予想出来たはずだ。 それをまず伝えるべきだった……

 

 

「ご主人様が無事ならば、(わたくし)はそれでよいのです。」

 

「うーん、それだと私の気が済まないから、今度埋め合わせするよ。」

 

「それ、本当です!?」

 

 

 まずい、これは失言だったか? 明らかに菊梨は目の色を変えた。

 

 

「あまてるちゃん、私にも事情話して。」

 

「そうね、留美子にも話しておかなきゃね。」

 

「あと、私にも埋め合わせ。」

 

「あ、はい……」

 

 

 口は災いの元、確かにそうかもしれない。 埋め合わせ、どうしようか――

 

―田舎のおばちゃん、今日も私は元気です―




―次回予告―

「よし、今回の次回予告は留美子がお願いね。」

「ご主人様! 私(わたくし)はクビなんですか!」

「そういうわけじゃないから、今回は留美子にお願いしたいだけ。」

「ま、まぁそう言うなら……」

「じゃあ打ち合わせ通り宜しくね!」

「――わかった。」

「埋め合わせのために訪れた遊園地。」

「楽しい時間となるべきデートは、恐怖の時間となる。」

「両手に凶器となった雪の運命はいかに。」

「第四話 ハラハラドキドキデートタイム。」

「次回も、サービス、サービス。」

「はい、よく出来たわね留美子。」

「えへへ。」

「次回も読んで下さいましね!」

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