「完結」無惨様をメス堕ちさせてみた   作:flyfull

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体が冷たい。

体がダルい。

鬼になる前。病で寝たきりだった頃、その時に戻ったみたいだった。

 

 

顔色は悪く見えるだろう。

 

顔は青白くて、病弱に見えるだろう。

長く生きられないように見え、死にそうに見える。

 

 

違う違う違う違う

 

 

私は限りなく完璧に近い生物なのだ!

その筈なのに…奴一人にも会えない!!

十二鬼月も使えない!

此方に来るどころか、いつの間にか一人欠けている。

半天狗がすでにやられていた。

童磨の奴が血鬼術で複数の分身を、鬼殺隊の援護として送っているようだった。

忌々しい!童磨など鬼にしなければ良かった!

 

 

屈辱だ!

目の前の裏切り者や、産屋敷を殺してやりたい!

戦国時代の頃。

耳飾りの剣士に出会った時に、同じ屈辱を感じた。

あの時は撤退したが今回はそれは出来ないし、しようとは思わなかった。

奴に会いたい。

奴が一番大事だ。

 

 

私が一番嫌いなものは変化だ。

不変にして、永遠こそが至高。

だが、奴に会ってから変わってしまった。

自分の命よりも大事になってしまった!

奴との日々を奪われたくない!

一番嫌いなものだった筈なのに、この変化だけは嫌いじゃなかった。

 

 

このまま何も出来ないのは、あり得ない。

私を人間にする薬だと?

そんなもの分解すればいい。

一度膨張し拘束だけを剥がす。

体を肉の繭にする。

姿が醜くて嫌になる。

常に美しくありたい。奴に誉められていたい。

こんな姿でいたくない。が、奴に見られなければいい。

全力で薬を分解するのだ。

その上から氷が覆って拘束されるが、人間化薬さえなんとか出来ればいい。

 

それからまず、童磨を殺す。

童磨さえ殺せれば、奴の分身も消え上弦がすぐに鬼殺隊を全滅されるだろう。

 

 

 

「無惨。聞こえているでしょう?私の気持ちが少しはわかりましたか?大事なものが奪われる気持ちです」

 

珠世。お前とは違う。

お前は私が奪ったというが、お前が自分の手で殺したのだろう。

 

「とても私達が憎いでしょう?殺したいでしょう?」

 

ああ、憎い!私に屈辱を味わわせていること!

奴を巻き込んだこと!!

 

「私達も同じです。奪った貴女を許さない!」

 

お前達に何故許されなければいけない!

 

「無惨。彼には全てを話してある。彼は君を受け入れると思うかい?」

 

やめろ産屋敷。

 

「君は怖かったんだ。彼に秘密にしていたのは、そういうことだろう?拒絶されたくなかった。」

 

その口をとじろ!

 

「君はずっと大事なものを奪ってきたと言ったろう?それがこの結果さ」

「彼との永遠なんてこない。私達が君からそれを奪う」

 

やめろ!

私から奪うなど絶対に許さない!

薬がまだまだ分解出来ない!

 

「無惨様なんと憐れなんだろう!彼に会いたいんだね?」

「でも今の無惨様は醜いからねえ。まるで肉の繭だ。彼も見たら、化け物だってそう思うかも!」

「きっと無惨様は拒絶される。可愛そうな無惨様。俺が絶対に救ってみせる!」

 

今の姿だけは、見られたくない。

常に奴の好みでいたい。

今日も綺麗ですねと誉められたい。

一緒に料理をしたり、食べさせたい。

また月見に行ったり、行けなかった花火を見たい。

永遠が許されないなら、死が二人を別つまででいい。一緒にいたい!

奴に拒絶されたら私は耐えられない。

だから

 

 

 

『一体何の用でしょうか?急に中庭に来いなどと。あまねさん。申し訳ないのですが旦那さんから聞いた話は、信じられないのです。憐哀さんが鬼だなんて。信憑性がありません。なので早く帰してくれませんか?』

 

まさかまさかまさか

奴が屋敷の奥からやって来る。

 

『これは…一体?いや、まさか、憐哀さん?』

 

私を見るな!見ないでくれ

 

「急にすまないね。そう。あれば無惨だ。醜い肉の繭。君はずっと無惨に騙されてきた。人はあんな繭にならない。私が君に言ったことは、信じてもらえたかな?」

 

奴が此方に目を向ける。

 

『そんな……まさか。…でも分かる。憐哀さんだ。』

 

奴の目が悲しみに染まる。

やめろ!そんな目をしないでくれ!

 

『憐哀さん…!』

 

奴が駆け寄ってくる。来ないでくれ…!きっと拒絶するのだろう?

あぁ…ついに目の前に来てしまった。

あれほど会いたかったのに、今だけは会いたくなかった…!

 

『憐哀さん……全部聞きました。まさか真実だったなんて…。貴女が人ではないこと。人を食べること。その始祖で、そんな存在を増やしていることも。産屋敷さんは私を貴女が騙していると言いました。』

 

奴の手が氷の上から繭に触れる。

冷たい筈なのに、そこだけ温かい。

 

『何故言ってくれなかったのですか!私は貴女が人でなかろうと、別にいい!人を食べることも一緒に業を背負います!人だってもう貴女に殺させない!やりようはある!もうこれ以上貴女に業を背負わせない!』

『私は貴女を愛しています。憐哀さん』

 

あ、あぁ…

私もだ!

私も愛している!

 

「残念だけど、無惨に生きることを許すことはできない。」

 

産屋敷。邪魔をするな奴と話しているのだ。

 

『私は…どんな結果になろうと憐哀さんと一緒にいます。』

 

私とお前はずっと一緒だ。

お前は私のものだ。

 

「君は…申し訳ないね。」

 

『謝らないで下さい。貴方が嫌いです。私は貴方を許さない』

 

 

 

 

 

「えらい!頑張ったね!俺は感動したよ!」

「こんな弱い人間がここまで言うなんて!」

「鬼にとっての人なんて所詮食料だ。愛なんて勘違いを持つなんて奇跡だ!」

「全部全部無駄だというのにやり抜く愚かさ」

「これが人間の儚さ人間の素晴らしさなんだよ! 

君は俺が救済するべき人だ!言い残すことはあるかい?」

 

待て、童磨何をするつもりだ!

やめろ!

 

扇子が振り下ろされる。

奴に当たる寸前で童磨が何かに、殴られたように吹き飛ぶ。

 

「アカザ殿!俺達親友じゃないか!突然殴るなんて!」

 

「俺はいつも思っていた。お前はいつか殺すと。」

 

 


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