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難産!
『アカザ殿!』
「無事か?」
ギリギリだった。
だが間に合った。
『ありがとうございます!助かりました。』
ありがとう、か。
今度こそ守る。
今度こそやり遂げる。
そして恋雪と師範に、胸をはって言うのだ。
長い間生き恥を晒してきたが、その意味はあったのだと。
二人を忘れてしまっていた、俺の最後の贖罪だ。
…童磨に近づいていく。
「ここから先には絶対に手出しはさせない。お前にはやるべき事があるだろう?」
『アカザ殿には助けてもらってばかりですね。アカザ殿は最高の友達です!きっとご無事で!』
友か…もう一つだけ二人に報告しよう。
唯一無二の友が出来ていたこと!
それにお前は助けてもらってばかりというが、それは違う。
俺が貰った物に比べれば、助けた内に入っていない。
それに、友とは助け合うものだ。
お前が俺に大切な二人を思いださせる切っ掛けをくれたように、今度は俺がお前の望みを達成する切っ掛けとなろう!
「童磨。お前は俺のことを一番の親友と言ったが、それは違う。俺はお前の事が嫌いだ。」
童磨と対峙する。
「アカザ殿!照れているのかい?俺は悲しいよ」
もういい
「もう嘘ばかりつかなくてもいい。お前は何も感じていない。違うな感じられないんだ」
「今の俺は心臓が鼓動する所や、血の巡りまで全てが見える。お前は悲しいと言うが、一切なにも変化していない。お前は空っぽだ。空っぽの心を嘘で固めている。お前は空虚だな?」
「お前は一体何のために生まれて来たんだ?」
雰囲気が変わる。
不快感はあるらしい。
「そんな酷いこと言うのは、アカザ殿が初めてだよ」
童磨が動く。
右側からの扇子の斬撃。
速いな。
前なら受けていたかもしれない。
破壊殺__滅式
何が起きたか分かっていないようだな?
お前は一体幾つの分身を作っている?
それにあの方を覆う氷を、維持するのは大変だろう?
今の俺はお前より強い。
だが、鬼と鬼では決着はつかない。
今この場でこいつを殺す事が出来るのは、あの方だけだ。
ならこうすればいい。
俺はお前を一方的に殴り続ける。
お前に出来るのは再生だけだ。
いくぞ。
終式__青銀乱残光
ー
アカザが童磨を殴りながら離れていく。
お手柄だアカザ。
生きた心地がしなかった。
童磨の扇子はあと少しで首に届いていた。
もう奪われたくない。
『憐哀さん…今とても怖かったです』
そうだろう。死ぬのは怖い。嫌だ。
怪我はないか?
怪我なんぞで死ぬのは許さない。
『死ぬかもしれなかった…でもそれ以上に憐哀さんと会えなくなるのはもっと怖かった!』
私もだ…。
私も自分の命よりもお前が大事だ。
同じ気持ちなのだ!
「貴方はいままで無惨がしてきたことを知っても…人ではなく人を食べる鬼だとしても受け入れるんですか?」
「この鬼を愛しているんですか?」
珠世!
何をするつもりだ!
こいつに近づくな!
『もちろんです。この気持ちに嘘はありません』
「私が鬼になったとき、私は余命が幾ばくもなかった。よくも分からず無惨の提案に乗って鬼になってしまった私は息子と夫を喰い殺していた!」
「無惨は鬼になれば人を食べることなど、言ってはくれなかった!」
「そんなことが分かっていれば私は鬼になどなりたくなかった!私が病で死にたくないと言ったのは、我が子が大人になるのを見届けたかったから…!」
「無惨はそんな私を見て楽しんでいた!残虐な鬼なんですよ!」
『貴女は…いえ』
『貴女になんと答えればいいのでしょう…。私の言葉はきっと貴女を傷つけてしまう。でも嘘偽りなく貴女に答えます。それが貴女に対する誠意だと思ったので…』
『私は…憐哀さんがどんなに悪人だったとしても、どんなに化け物だったとしても、私にとっては憐哀さんと過ごした日々が全てです。貴女の事を聞いた後でもそれは変わりません!きっと人としては、おかしいのでしょう。ですがそれでも。私は憐哀さんを愛しています!』
珠世は自業自得なのだ。
まともに聞く必要はない!
薬の分解さえ間に合えば全てが収まるのだ!
珠世の戯れ言すらどうでもよくなる。
珠世がつめよってくる。
「どうして…どうして!!」
「お前のような最低な鬼が!」
「ずっとずっとずっと!奪っていたでしょう!?」
「私からも奪っていった!」
「私が愛する夫も!子供も!」
「それなのに!幸せを手にするなんて許せるはずがないでしょう…!」
今度は奴につめよっていく。
「貴方はとても残酷だ!」
「無惨からなら後腐れなく奪えたのに!」
「貴方から無惨を奪ったら、私は無惨と同類になる!
貴方さえいなければよかったのに!」
「…すみません。……童磨が薬の分解を妨害することが出来なくなった時点で貴方を力ずくで退かしてでも、無惨に人間化薬を追加で投薬しようと思ってました」
「ですがその必要は無さそうです。太陽が無惨を焼き殺す」
「やはり私は無惨を許せない。無惨と同類になろうとも、無惨には命で償って貰います。」
『憐哀さんはきっと諦めていません。私も諦めない』
『私は憐哀さんと運命を共にします。最後まで』
勿論だ。
先程までよりも明るくなってくる。
日の出までもうほんの僅かだろう。
薬がまだ分解できない。
死んだらもう二度と会えない
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
『憐哀さん繭の中に入れてくれませんか?』
繭の中に?
わかった。
私も顔がみたい。
死の恐怖が襲う。
童磨はもうこっちの事を伺う余裕などないらしい。
簡単に氷を砕き
奴を招きいれた。
無惨様反省するところが、想像できんかった…。