「完結」無惨様をメス堕ちさせてみた   作:flyfull

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Fin

鬼無辻無惨がこの世を去った。恐れていた太陽の克服は、最後の切り札たる彼が、無惨の未練を絶ちきることで発生しなかった。

全てが思い通りに進み、完全勝利と言っていいだろう。

庭先にある木蓮の花を見て思う。

私がしたことは、無惨のしていた事と変わりがない。

しかし後悔は無かった。私の代で全てを終わらせたのだから…。鬼の被害は無くなり、理不尽な悲劇は少なくなるはずだ。

ふと、視線を感じる。彼が此方を見ていた。一つ会釈をし去っていく。…そうか。

彼は無惨の後を追うのだろう。私には止める資格はない。

せめてもの敬意を込めて彼が見えなくなるまで…居なくなくなっても頭を下げていた。

 

 

 

 

 

 

鬼無辻無惨が死んだのに、私は心が晴れなかった。だってずるいではないですか!

愛するものに看取られて逝くなんて!私にはもういないのに…。

…無惨がこの世を去ったことで、全ての鬼は消えるだろう。

私も例外にしてはいけない。今は私だけが唯一鬼を作れる。私も悲劇を産み出せる存在である以上、生きていてはいけないのだから…。

太陽に向かって歩いていく、一人で死ぬのは惨めだ…。

そっと手を握られる。兪史朗…。私の唯一の従者。

そうですね。私は一人ではありませんでした。

兪史朗と共に太陽を浴びる。まぶしい…太陽とはこうも光溢れるものだったのか…。体が焼けて落ちていく中、夫と我が子の声が聞こえた。

ずっと…。ずっとそばにいてくれたんですね…?

 

 

 

 

 

 

殴る殴る殴る殴る。一瞬たりともこいつの好きには動かせない。

本当に気持ちが悪い奴だ。殴られているのにずっと、笑顔だった。

太陽が昇っていく。関係ない。太陽に焼かれようがこいつを野放しにはしない。あの方とあいつの下にはいかせない!

童磨が再生を止めた。太陽に焼かれて、諦めたか?構わない。殴り続けようとして、違和感を覚えた。

そして始まる体の崩壊。まさか…!

童磨を吹き飛ばし、あの方の下へ向かう。

ギリギリだった。もう少しで太陽が俺を殺す。だがまだ死ねないのだ…。俺はまた守りきれなかったのか…?

なんとかたどり着く。あの方は…いない…!

守りきれなかった…!

倒れこみ目の前が真っ暗になる。誰かが起こしてくれた。

奴だ。

すまなかった!もう少し速くたどり着けていれば!

そう言おうと口を開く。

 

『アカザ殿ありがとうございます…!私は憐哀さんに全ての思いを伝えられました!貴方が守ってくれたお陰です!』

 

そうか…こいつはきちんと思いを伝えられたのか。

ならば、あの方は自分の死を受け入れたのだろう…。

あの方の望みはこいつと、最後の時まで一緒にいることだった。

あの方はきっと…死を後悔していない。

俺は守りきれたのか…?分からないが、そうだな…悔いはないと思った。

こいつは馬鹿な奴だ。きっとあの方を追ってしまうのだろう。こいつは弱い。地獄では護衛がいるはずだ、恋雪の次いでに守ってやる。

もう体はほとんど残っていない。

最後に一つだけ言っておこう。

 

「またな」

 

 

 

 

 

 

アカザ殿が憐哀さんと同じように、塵になってしまった。

残っているのは衣服だけ…。鬼とはなんと悲しい生き物なのだろう。

生きているのは、産屋敷さん、そのご家族と私だけ。

すぐに憐哀さんの下へ向かおう。でもここでは嫌だ。憐哀さんとアカザ殿の衣服だけでも埋葬したい…。それに私はこの場所にいたくない。とても辛くて耐えられないから。

産屋敷さんと目があう。憎い。でも恨んでどうなる?憐哀さんもアカザ殿ももういないのに。

会釈して去っていく。もう会うことはない。

 

 

 

ずっと歩いていく。自宅には向かわない。向かっているのは月見をした湖。私と憐哀さんしか知らない秘密の場所。

 

「すみません!落とし物をしましたよ!」

 

どうやら歩く事に夢中で落とした事に気がつかなかったようだ。

拾ってくれたのは額に痣がある男の子。

ずいぶん若い。背中の薪を見ると炭焼きだろうか?

 

『ありがとう…!これはとても大切なものなんだ。私の妻のものでね…何かお礼をしよう』

 

口紅を落としてしまっていたらしい…よりにもよって口紅とは。

この子は恩人だ。

 

「いえ!お礼なんてそんな!」

 

手をブンブンふって断られる。

 

『なら、その薪を全て買おう』

 

持っているお金を全て渡す。もう必要ない。

 

「ありがとうございます!じゃあ…」

 

薪を渡そうとしてくるのを止める。

 

『君はその薪をまた拾ったんだ。それは君のものだよ』

 

「それは!」

 

『いいんだ…。もう私には用がなくなるものだから』

 

もう少しで湖だ。そこで私は命を断つ。

 

「俺は鼻がいいんです。貴方からは悲しい匂いがします。きっと貴方は命を捨てるつもりだ!命は尊いものなんです!簡単に捨ててはいけない!」

 

この子はとても優しい子だ。そしてとても正しい。

真っ直ぐな眼だ。

 

『そうだね…君の言うことは正しいよ。でもね私は自分の命を捨てたとしても、自己満足であったとしても。彼女に会えるかもしれないなら命を捨てるよ』

『どうしても、彼女に会いたいんだ…』

 

「間違ってます!彼女も喜ばない筈です!」

 

『君は本当にいい子だね…。いつか…いつかきっと君にも自分よりも大切な誰かが出来る。君は絶対にその人と、死ぬまで幸せになるんだ』

『私には出来なかった…。この気持ちはとても辛いから、君みたいな優しい子にはそうなって欲しくない』

 

君は幸せになるんだよ、と言ってその場を去った。

あの子は見ず知らずの私に、本気で心配してくれていた。

あの優しさに触れていると、泣き出してしまいそうだったから…。

 

 

 

 

 

 

 

湖に着いた。満月。あの日と同じ。

違うのは憐哀さんがいないこと…。

空を見上げる、月が綺麗だ。

憐哀さんのお墓とアカザ殿のお墓を作る。

アカザ殿もこの場所を知ってしまったな…きっと憐哀さんに怒られる。

 

少し前に戻りたい…。きっと幸せだから。

お墓を作り終える。

憐哀さんのお墓と、アカザ殿のお墓の間に寝転び月を見上げる。

手を伸ばすけど月には届かない。月がとても遠くに離れているのを、見せつけられるようでとても悲しかった。

 

『憐哀さん…アカザ殿いまから、そちらに向かいます…』

 

木蓮を切った小刀。それを首に当てる。

自分で命を断った者は地獄に堕ちるという。

待っていてくれているはずだ。さっさと憐哀さんに会いにいこう。

ためらわずに刃を引く。

 

意識が薄れていく。憐哀さんとの思い出が次々と過ぎ去り…そして。

 

 

 

「遅い!私を待たせるのは許さない」

 

『憐哀さん!』

 

駆け寄る。

抱き締めてから口付けを交わす。

これからは離れない。地獄でどんなことがあろうとも、ずっと一緒だ。

 

 

 




完結です!
皆様ここまでお付き合い頂き誠にありがとうございました!
誤字脱字報告してくれた方々にはとても助けて貰いましたし、評価感想を頂いた時はモチベーションがとても上がりました!
完結続けられたのも皆様のお陰です!
本当にありがとうございました!

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