無限城にある一室に彼らは集められていた。
「十二鬼月」
最強の鬼の称号である。下から下弦の陸に始まり上弦の壱に終わる12の強者の鬼達だ。
彼らは普段は顔を合わせることはなく、さらにいうなら下弦と上弦の間には途方もない実力の差があり一度に呼ばれることはなかった。
十二鬼月の上弦の参アカザは感じていた。
十二鬼月全てが呼ばれるなど、何かが起きる。
あのお方はついに鬼殺隊の本拠地を突き止め、決戦のために我らを喚んだのかもしれない。
強者達の柱と武を競い、新たなる領域「至高の領域」に至るかもしれない。さすれば、入れ替わりの血戦にて上弦の弐を超えるだろう。上弦の壱のいる「至高の領域」とはそれほどのものだった。アカザは静かに闘気を高めていた。
「十二鬼月は解体する。」
十二鬼月全てが騒然とした。
「うるさい。平服して耳を傾けろ。私を虚仮にしたある男がいる。殺すのは生ぬるい。奴の全ての自由を奪いとる。貴様等にはそれを手伝ってもらう。」
「だが、貴様等は目立つ。鬼殺隊の狂人どもは十二鬼月を見つけると羽虫のようによってくる。」
「貴様等は囮だ。」
「各地を移動しながら騒ぎを起こし鬼殺隊に、追わせろ。」
「それは半天狗、玉壷、下弦の肆を除く下弦全てで行え。瞳の数字は残すが貴様らはもう十二鬼月ではない。囮だ。十二鬼月という特別はもういらない。駒として動け!貴様等は鬼殺隊を殲滅するか鬼殺隊から逃げ続けるのか勝手にするがいい。だが、騒ぎを起こさなければ私自ら殺してやろう。」
「妓夫太郎、アカザ、童磨、黒死牟、零余子は別の用件があるから残せ。他の奴等にはもう用がない。鳴女」
ベベンっ
「黒死牟お前にはある町にいる、鬼殺隊と思わしき奴等を排除してもらう。奴等は鬼殺隊の中でも一際狂人で男色だ。すぐに見つかる。囮が暴れていればこちらで鬼殺隊が数名消えても、応援は少ないだろう。奴等は貧弱ですぐ死ぬ人間で、万年人手不足だからな。」
「……御意」
「童磨、貴様には気持ち悪い信者供がいたな?それを使い私の言うように噂を流し、情報を操作しろ。」
「ご随意に。それにしてもお美しい格好でいらっしゃいますね!逢い引きに行ぐっ…」
童磨の首が飛ぶ。あの方の許しもなく話すからだ。
「私は貴様が話す許可を出していない。」
今度は童磨の手足全てが切り飛ばされた。さすがの童磨もあの方の怒りには逆らえないらしい。黙ったようだ。
「アカザお前は私と一緒に来い。零余子もだ。お前達には護衛をしてもらう。」
鬼の祖たるこの方の護衛だと!歓喜するとはこういうものなのだろう。この身を呈して守るのだ。
「妓夫太郎には追って用件を伝える。以上だ。励むがいい。」
ベベンっ
視界が急に切り替わる。あの琵琶鬼に飛ばされたのだろう。
状況は瞬時に把握した。頭をたれる。
「アカザ。ここがお前の護衛場所だ。」
どうやら、このお方を護衛するわけではなかったようだ。
「アカザお前はこの場所と中にいる人物を、守り抜くのだ。奴は私を虚仮にした人物。私が罰するために私の物にすると決めた人物だ。傷一つつけることは許さない!」
「は!」
この方の怒りをかって生きているなど本当に何者だ?
強者なら一度死合たいが残念だ。
「今から3日後に奴と会え。黒死牟が鬼殺隊を排除し、童磨の信者が失踪事件を町に広めるだろう。そして伝えよ。お前は憐哀の2人いる護衛の一人であるがこの前失踪事件があり、奴を「私」が守ってやるために護衛するように言われて来たと!」
「奴は私に感謝し、私に恩を返さなければいけなくなる。そして、少しずつ奴から全てを奪っていくのだ!」
「失敗は許されない。わかったか?」
「は!期待にこたえてみせましょう!」
ふと何か思いだしかけたような気がしたが…思い出せなかった。