☆ダンジョン5階層
「…結構広範囲に逃げ出したな。被害が出てなきゃいいんだが」
第一級冒険者特有の脚力によって床や壁を踏み砕きながらも5階層を疾駆するファビウス・クゥエイフは時たま通り過ぎる同業者や袋小路に目を通しながらも階層を駆け回る。
『ブルルル…!』
「――ッ!そっちか?」
鳴き声を聞き取り、一気に加速し走り寄る。ミノタウロスは
(ここの階層が適正な狩場の下級冒険者ならまず助からない…急いだほうがよさそうだ)
逸る心に鞭を打ちながらより一層の疾駆を敢行するファビウスは地面を砕け散らせつつ腰の短剣を引く抜く。
(ミノタウロス程度ならこの程度で充分…取り回しの点からもこっちの方が適切だ)
そのまま咆哮を頼りに捜索していると別の道から輝くような金髪が目に飛び込んでくる。
「…!ファビウス、さん」
「アイズ!?そっちもミノタウロス探しか?」
「はいっ…私たちが、取り逃がしてしまったので……」
「さっきミノタウロスの鳴き声を確認した!多分この先にいるから先行を!!」
「――――【
ファビウスの報告にすぐさま彼女特有の
(ひとまずこれで一安心。【剣姫】の機動力はフレイヤ様とこの【
そう思いつつもさらにもう一歩強く踏み出す彼の斜め後ろから、銀髪と刃物の様に鋭利な耳が特徴的な
「おい!!アイズのやつ見なかったか!!?」
「【剣姫】ならさっきミノタウロスがいると思われる場所に先行させた!心配はないと思うが俺達も行くぞ【
「テメェ何回言ったら人のこと
先程の【剣姫】――アイズ・ヴァレンシュタインと同じ派閥に所属するベート・ローガと共に後を追う。いずれも迷宮都市【オラリア】でも名の知れ渡った俊足達。本来変則的とはいえ曲がりなりにも
「天下の【ロキファミリア】様が取り逃がすとは珍しいな。
「知るかっ!勝手にあのミノタウロス共が急転換して逃げてきやがったんだよ!!」
『知るかっ!』という言葉の割には仔細を話してくれるベート・ローガ。
(コレを『つんでれ』と言うんだったか?)
変な雑学を話す着ぐるみ姿の主神を思い浮かべ、なぜが口元がにやけそうになるのを手で押さえることによって堪える。
『どうした?』と心配してきたベート・ローガに対し『何でもない』と誤魔化し、そのまま疾走を開始す――
「うわあああああっ!!!?」
――ようとした瞬間、甲高い少年の悲鳴が響き渡った。
「「!?」」
『あの』アイズ・ヴァレンシュタインがまさかそんな犠牲者を!?と内心密かに慄く二人の前に、先程の悲鳴の持ち主と思われる白髪――しかし本人はバケツをひっくり返した様な血塗れ――の少年が自分たちの反対側からやって来た。
「あああああああ!!!」
そしてそのまま走り去っていった。
取り敢えず血塗れだったので反射的に腰のポーチから割れ易いタイプの試験管に入った
「…何だ今の」
「Lv.1にしては早かった。中々の【敏捷】だ」
呆然と呟くベート・ローガに対し律儀に判明したことを言うファビウス。
「にしても今の少年が被害者か?走るフォームも特におかしなことなかったから多分アレは血を浴びただけだな…逃走。うん。いい判断だ」
「ミノタウロスからか?」
ハンっと鼻で嘲笑ろうとするベート・ローガだが、ついこの間ベート・ローガに関する【逃走】の記憶があったファビウスが口を挟む。
「…いや、俺たちだって昔から逃げてばかりだ」
急にしみじみと語り出すファビウス。不審げな顔をするベート・ローガ。
「人の歴史とは【逃走】の歴史だ」
「何言ってんだオマエ」
哲学を言い出した同僚に対しいよいよヤバいものを見る様な目で見据える
「時にベート」
「……なんだ」
「お前この前また
「ウガアアアァ!!」
瞬時に沸騰した自らの血潮の赴くままに目の前のテキに対し
「テメエ何言ってやがる!!!」
「いや俺は事実をそのまま言っただk…」
「俺があんな雑魚と釣り合う訳ねぇだろうが!」
次いで開始される決死の
それを遠くから眺める金の人影が一人。
(ベートさんとファビウスさんって、あんなに仲良かったかな……?)
助けた筈の
「500万ヴァリスの攻撃だ大人しく喰らいやがれぇぇぇ!!!」
「だが断る!!」
虎の子である【
因みに結論としてはファビウス・クェイフの魔法とカチ合った末にボロボロに階層ごと打ち壊され、二人は
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☆オラリオ【バルドル・ファミリア】本拠地
「お。ニュー【スキル】獲得した」
「新しく発現した【魔法】強い…強くない?」
「レベルアップ〜」
「発展アビリティ何にした?」
「無難に【狩人】」
「おぉ〜〜〜」
遠征から無事犠牲無しで帰還した【バルドル・ファミリア】各団員。
『ポップコーン』を配る主神と待機メンバーの出迎えを受け、その後主神からの
ファビウスが睨んだ通り数々の【ランクアップ】、【スキル】や【魔法】が発現した。
騒がしい喧騒が大広間を駆け巡るが、そんなことは関係ないと我らが主神の間にて幹部が集合していた。
「……………」
「ん?どうしたのかねぇファビウス君」
「…いえ、相変わらず
「……そう、だねぇ」
「アレ作ったの副団長ですよね?」
「そういや主神とフィガロの野郎はどこにいるんだ?」
「向こうでスティタスの更新中です!」
「俺がッ、俺たちがッッ、一番星だ!!!」
黒目黒髪の重戦士に、白衣の男。鍛え上げた肉体と赤を基調とした帽子を被る金髪の男。警邏のような服装とプロテクターを纏う少女に輝くような銀髪にピンクのメッシュが目に悪い輩
状況は
短剣で相手の攻撃を弾き、態勢を崩したところに強力な一撃を叩き込む
【
研究者でありながらダンジョンに入り、奇妙奇天烈な発明で道を切り開く
【
鍛え上げた筋肉と格闘術、偶に火を噴く拳法が敵を打ち砕く
【
スキルと魔法の組み合わせにて己の分身を使用しての挟撃を持ち味とする
【
未知のエネルギー
【
そして、オラリオの【頂天】の片方。
【
二つ名の数はいざ知らず。
――――――――が、これだけは言える。
「――揃ってるね。」
数多の武器、幾多の術でどんな相手にも対応し打倒せしめる
【
彼と、彼が所属するこの【バルドル・ファミリア】は、間違いなく一線級の最強ファミリア
もう中二が過ぎる……痛い。胸が痛い………ッ!!