そんな、あったかもしれない物語   作:ザクシャ

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タイトルが思いつかなくて逃げた者です。許してください...




お出かけ②

 

 昼飯も食べ終わり、次は由比ヶ浜が子供の頃から好きなアトラクションがあるということなのでそこに向かっている。

 

「さっき言ってたお気に入りのアトラクションってどんなのなんだ?」

「銃打つゲームだよ!超楽しいよ!」

「ああ、あれか。確か名前は...パスファインダーのカストロブラスターだっけ?」

「全然違うし!てかパスファインダーって誰だし!」

 

 あ、この子パスファインダー知らないのね...まあゲームとかやらなそうだしそりゃそうか。ちなみに俺はいつもヴァルキリー使います。え?イメージと違うだって?1人で浮けるってイメージ通りじゃない?てかパスファインダーの方突っ込んでくれて助かったな...

 

「そうだ!点数で勝負しようよ!勝った方は負けた方に命令出来るってことで!」

「どっかで聞いた事あるな...てか俺初心者なんだけど」

「うーん...じゃあカートの操作はあたしがやるよ!ハンデってことで!」

「まあ、いいか。勝ったら俺の命令を聞ける覚悟があるってことだな?」

「えっ!?そういうお願いはちょっと...その...時間欲しいっていうか...変態!」

「ひでぇ...」

 

 ちょっとこの子何想像したのかしら...そういう反応されるとこっちまで伝わって来るからやめて欲しい...

 

「でもあたしが言い出したし乗った!だって勝てばいいんだし!」

 

 

 

 

 

 さて、皆さんはどのような結果を望んだでしょう。恐らくはわたくし、比企谷八幡が勝利しあんなことやこんなこと...という結果だと思います。しかし現実とは残酷なもので。結果は俺の惨敗。なんでかって?敗因は由比ヶ浜さんにカートの運転を任せたせいですね。いちいち体動かすもんだから、腕とか当たって銃の照準がまるで合いませんでした。くそぅ...

 

「んで、何命令するんだ?言っとくが金銭的余裕はないぞ」

「そんなん求めてないし!...そしたらまだとっとく。」

 

 なんかそう言われると怖くなってくるな.....だってこいつ下手するととんでもない事に使ってきそうだし。

 

「次もういっこ行っときたいとこあるんだけどいい?」

「ああ、いいぞ。二度寝したおかげで体力にはまだ余裕がある」

「お!ヒッキーにしては随分前向き!じゃあ早速レッツゴー!!」

「お、おー」

 

 彼女は基本いつも元気だが、今日は特に元気溌溂だ。元気の広告塔になっても良いと思う。そう思えるほど楽しんでくれているという事実が単純に嬉しい。ここまでひねくれてしまった俺だが、それでも彼女はいつでも眩しく見える。他の人にもそう見えるように。願わくばこの輝きが色褪せる事のないように。維持ではなく、更なる輝きを。人とは年を取り、文字通り年季が入る。ある人はパンのように外見も中身も腐る。ある人は卵のように外見は一見普通だが、中身が腐る。ある人は金塊のように変わらない事もあったかもしれない。でも。彼女にはワインのようになってほしいと思う。日々熟成され、いつか最高の領域に至るために。熟成とは、放置ではない。だから、俺が。雪ノ下が。彼女に魅せられたすべての人間が。彼女の輝きの為に彼女と関わってほしいと、切に願っている。

 

 そのそばに、俺がいてもよいのだろうか。その問いに俺はまだ答えられない。

 

 

 

 

 

 

 段々と日が陰ってきたからだろうか、クリスマス仕様になっている街灯が点灯し始めた。

 

「もう暗くなってきたね~。早いな~...」

「冬真っただ中ってのもあるが、もういい時間だからな。レストラン行くならそろそろアトラクションは考えて乗らないとな。」

「そしたらあれ乗りたい!」

 

 由比ヶ浜が指さしたのは、目の前にそびえ立つ氷山が模されたジェットコースターのアトラクションだった。ちなみに俺はあのアトラクションの正式名称が分からないんだが、何と言うのだろうか。アイスバーグマウンテンか?微妙に語呂悪いな...それならアイスプラッシュマウンテンか?いやそれとも...そんな脳内会議をしていると、もう由比ヶ浜が並んでいた。

 

「ヒッキー遅いよ!早く並ぼ!」

「あー、ちょっとだけ待ってくれるか?」

 

 この長い列に並ぶとなると、2時間は見た方が良いだろう。ならさっき見つけた...

 

「春巻!」

「一応スプリングロールって名前らしいけどな、まあまあ並びそうだし小腹空くだろ」

「ヒッキーが紳士だ...どうしちゃったの?熱ある?」

「バカ言え、俺はとても気が利くんだぞ?こういう所に来た時は他のメンバーの邪魔にならないように事前にはぐれておく程だ。」

「せめてついていきなよ!?心配されるでしょ!」

「本当にそう思うか?」

「.........」

 

 そこで黙るのが何よりの証拠だね!ちなみにこれは校外学習で行かされたのだが、俺自慢のステルスヒッキーにより、先生にすら見つかることなく最後まで人間観察に勤しんだ。え?途中で帰れば良かったのにって?小町へのお土産をずっと悩んでました。リア充爆発しろと思いながら何度同じ店に行った事か。おかげでコンビニの常連さん並みにキャストの人から声かけられました。何かお探しですか?と。いやホントにほっといてほしい。それが仕事の一環なのだろうが。それでも僕はやめてほしい。

 

「でもあたしは心配するよ!ヒッキーほっとくといっつもすぐどっか行っちゃうし!」

「否定はできないが、流石に今日はしないぞ?」

「今日は、でしょ?だからやっぱりヒッキーはほっとけないね!」

「いやほっといてくれていいんだが...」

「やだね!あたし達でゆきのん支えなきゃだし、何よりヒッキーいないと寂しいよ!」

「っ...」

 

 こいつはまた恥ずかしげもなく言いやがって...いっそ録音して聞かせるべきか?その後そんなに俺にいてほしいですか~って聞いてやる。...いや俺の方がダメージ大きくなりそうだからやめておくか。

 

「っと、春巻冷めちまうな、いただきます」

「あっ、いただきます!......ん~、美味しい!」

「初めて食べたが、これうまいな」

「あたしもこの味は初めて食べた!そっちの味も気になるから一口頂戴!」

「ああ、いいぞ、ってもう食ってるし...てか」

「ん?どうかした?」

「い、いや、何でもない」

「???........あっ!」

 

 もうこの子のことは知りません!

 

 

 

 

 

 

 

 並ぶこと2時間弱。ようやく俺たちの番が来たようだ。実は比企谷八幡、このアトラクションに(恐らく)載ったことがないので割と楽しみだったりする。少なくとも俺の記憶にはない。

 

「綺麗...」

「だな...」

 

 どうやらこのアトラクションが期間限定のクリスマス仕様だったようで、愉快というよりは、氷から放たれる幻想的な雰囲気や曲によって見事にロマンティックさを出している。流石は千葉の誇りの施設だ。

 

「あ、サンタさん...小さい頃は本気で信じてたな...ヒッキーは信じてなさそう」

「そうでもないぞ?毎年願ってたからな、友達欲しいって」

「悲しすぎる!でもほら、今はあたし達がいるじゃん!お願い、叶ったね!」

「まあ、そうだな...」

 

 そんな顔で言われてしまったら皮肉の一つも出てこない。だが、ただ願い事を享受するのではダメだ。それではいつか失ってしまう。変わらないものはなく、変わることを恐れるのはいい。だが拒んではいけない。現状維持という選択は遅効性の毒と変わらない。

 

「由比ヶ浜は何を願ってたんだ?」

「そうだな~、普通におもちゃとか新しい服とかかな~」

「普通だな」

「ヒッキー見てると普通も良いものだって思えてくるよ...」

「ごめんね?もっと普通に見えるように努力します」

「今更だからいいよ...それにヒッキーが普通になったら逆に気持ち悪そう」

「ひでぇ...」

「ヒッキーは今欲しいものあるの?」

「5000兆円欲しい」

「現実的じゃなさすぎる!他にないの?」

「そう言われると難しいな...欲しいものは自分で手に入れるもんだと思うから、ソラに願う事はないな...お前は?」

「...........あたしはあるよ、欲しいもの」

「へぇ~、何が欲しいんだ?」

「全部」

「は?」

 

 由比ヶ浜の言った事の意味が分からず困惑していると、もうそろそろ最後の落下地点のようだ。夜の独特の空気と、クリスマス仕様のディスティニー全体の雰囲気が混ざり合い、まるで聖なる夜にソラを駆けている感覚に陥る。落ちることなく更に飛んで、願いを叶える星へと至るかの如く。

 

 今日は満月。その光に当てられた彼女の顔は、夢に見る姫のようだった。

 

 

 

「ねぇ、ヒッキー...」

 

 

 

 

 





続き頑張って書きます!後、前回コメントして頂いた方ありがとうございました!おかげさまでこんなに早く投稿できました!感想等頂けると本当に励みになります!



youtuberさんの気持ちが分かりました。
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