そんな、あったかもしれない物語   作:ザクシャ

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UAが3000超えてる…ありがとうございます!これからもぼちぼち頑張りますのでよろしくお願いします!


ところで、俺ガイルの一番くじ近場にないんですけど…


そうして、彼は静かに決意する。

 俺達は今雪ノ下の提案で湯呑みを買いに行くため、駅前のショッピングモールに来ている。平日の夜ということで、学生服を着た人もちらほらと見受けられる。あまりうちの高校の生徒がいないことを祈るばかりだ。ちなみに、小町にこの事を連絡したら、

「じゃあ夜ご飯要らないね!」

 と言われ、それを聞いていた由比ヶ浜が同意したせいで小町特製の夜ご飯が食べられなくなってしまった。くそぅ。

 

 

 由比ヶ浜と雪ノ下の後ろを歩いていると、雪ノ下がよく行くという店に着いた。流石雪ノ下というべきだろうか。普段こういう店に行かないからあれだが、こう、いい雰囲気の店だな!うん!

 

「比企谷くんはどういうものが好みかしら?」

「なんでもいいぞ」

「即答!?もうちょっとこー、なんというかさ、色とか柄とか希望ないの??」

「ない」

「ないんだ!」

 だって別に紙コップでもいいんだしなんでも良くない?たかが紅茶飲むだけじゃん。

 そう思っていると、雪ノ下がこれはどうかしらと聞いてきた。それはカエルの絵が書いてある湯のみだった。

「これならヒキガエルくんにぴったりだと思うの」

「おい、人をカエル扱いするな。あんなに飛べないから」

「つっこむとこそこ!?」

 

 そんな会話をしていたら、由比ヶ浜がこれなんかどう!?と見せてきた。うん、パンさんの柄ですね!ゆきのんに配慮したのかな?

 

「ぜひこれにするべきよ、比企谷くん」

 その目からはこれにしろという気迫がこれでもかと伝わってくる。こえぇよ、あと怖い。

 

「じゃあそれにすっか」

 

 そんな感じで湯のみはあっさり決定し雪ノ下がレジに持っていく。会計した後、雪ノ下がこちらにきて、湯のみを渡してきた。それを素直に受け取ると、雪ノ下が忠告してきた。

「ちゃんと明日から持ってくるのよ?さもないと..」

「こえぇよ。ちゃんと持ってくるから」

 そこまで言うことか?とは思ったが、せっかく買ってくれたものだ。ありがたく使わせてもらうとしよう。

 

 

 

 

 

 由比ヶ浜の提案によって決まっていた夕飯、題して「奉仕部の修学旅行打ち上げ」が開かれた。ちなみに場所はサイゼを提案したが却下され、しゃ○葉に来ている。なに、しゃぶしゃぶって1人でやるものじゃないの?

 

「修学旅行に、かんぱ〜い!」

「お、おう」

「..」

 

 由比ヶ浜の音頭で乾杯をする。いや、修学旅行に乾杯ってなに?修学旅行は一体なんなの...なんて思っていると、由比ヶ浜さんはご立腹のようで。

 

「テンション低すぎ!もっと盛り上がらないと!」

「いやお前、周りみてみろよ。騒がしいのお前だけだぞ?」

「えぇ!?...でも言われてみれば確かに..」

 

 そう、時間的には夕飯時で店内は混雑しているが平日ということで家族連れは少ない。むしろ多いのは年配の人や高校生カップルである。チッ、リア充爆発しろと思ったが、今の俺は傍から見ればリア充そのものだ。そんな事を思ったせいか、ちょっと遠くにいる男子3人組と目が合ってしまった。...超睨まれてるんですけど!さっと目を逸らすと、由比ヶ浜がアイスを食べている。いや君いつ持ってきたの?ていうか、先に肉食えよ!ほら見ろ、雪ノ下も絶句してるじゃないか。

 

「??どしたの2人とも、早く食べれば良いのに」

「いやお前...なんでもない」

「そう??」

 どうやら気づかないらしい。三浦も海老名さんもスルーしたのだろうから、俺達もスルーするべきだろう。

 

 

 

 

 無事に食事を終えて今俺達は帰路についている。俺と雪ノ下は由比ヶ浜が何かやらかすと危惧していたが、流石にしゃぶしゃぶでポイズンクッキングは発動しないようで、その事に俺達は心底安堵した。しかしアイスの方はそうはいかなかったようで、最初持ってきていたアイスは、

「たまたま崩れちゃっただけだし!」

 なんて言っていたが、その後何度やっても失敗。一方雪ノ下はやはりというべきか、見事にトッピングまで完璧という始末。そのせいで由比ヶ浜が何度もアイス作りに挑戦したため、崩れたアイスが俺にまわってきてしまった。なので絶賛お腹が痛いです!あれ!全然無事じゃなかったね!

 

 

 

 

 

 

 今日はどうやら由比ヶ浜は雪ノ下の家に泊まるようで、俺とは逆方向の電車に乗るというから、ショッピングモールの最寄り駅で解散ということになる。そうこうしているうちに俺の乗る電車が来た。...ああ、別れる前に湯のみに対して礼を言わないとな。

 

「じゃあ、俺この電車乗るから。……湯のみ、ありがとな」

「!うん!」

「部活で必要なのだから当然よ」

「じゃあね、ヒッキー!また明日ね!」

「……また明日」

 

 由比ヶ浜はぶんぶんと、雪ノ下は小さく手を振っている。いつかの文化祭での日々を思い出す。あの時のようにまた彼女を助けられるだろうか。あるいは、あの約束を守れるだろうか。今までそういうことをしたことがないから、苦戦するかもしれない。迷惑をかけるかもしれない。だが、この二人なら許してくれると柄にもなく思う。だから、俺も精一杯努力しよう。なぜなら、彼女達は俺を救ってくれたのだから。

 そんなことを考えながら彼女たちと別れる。ほんの少しだけ今日までとは違う明日は、どんな日になるのだろう。そんなまだ見ぬ明日に思いを馳せるのだった。





もうすぐ彼女が登場します!

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