そんな事はおいといて、5話目をどうぞ!
湯呑みを買いに行った日から数日、週が空けて今日は月曜日だ。俺の周りは変わらない日常を送っているように見える。そろそろ俺に勘違い野郎とかキモっ...とか言う奴がいるかと思ったがどうやら杞憂に終わったらしい。もしかしたら葉山辺りが周りの奴らに他言無用を課したのかもしれない。まあ、その辺り上手くやりそうな男ではあるし心配は要らなそうだ。俺の悪口を聞くと悲しそうに笑う彼女を俺は知っているから。
「おはよう!八幡!」
戸塚が挨拶をしてくれる。皆鬱であろう月曜日ですら眩しい程の笑顔!すごい!流石天使!
「おお、おはよう」
「今日は冷えるね〜」
「そうだな、テニスやってるなら手とか大丈夫か?」
「うん、ちゃんとクリーム塗ってるから大丈夫!」
流石戸塚というべきか。女子力高い。普通の高校生男子ならクリームなどでケアしている奴はそういないだろう。多分。友達いないから分かんないけど。
「あ、チャイム鳴るから、またね」
「ああ」
そんな他愛ない会話を終えて朝のホームルームが始まる。朝から天使と会話出来たので、今日はちゃんと授業受けれそう!
時は流れて放課後。朝の天使との会話のおかげか、数学以外の授業はきちんと受ける事が出来た。特に現代文。平塚先生の猛攻(指名)にも負けず俺は頑張った!その後の休み時間で戸塚に労ってもらえたので収支プラスですね!
そんなわけで珍しく機嫌が良い俺はいそいそと部活に行く準備をする。バッグの中に箱が入っているのを確認した俺は、部活に向かおうと立ち上がろうとした。 すると後ろから、
「ヒッキー!部活行こー!」
...ふっ。いつもと同じ、アホっぽい元気な声だ。
「おう」
そう返事をして振り返る。さて、部活に向かうとしよう。
部室についてしばらくすると、雪ノ下が紅茶を淹れてくれた。さて、湯呑みを出すべきだろう。
「ちゃんと持ってきたのね」
「ああ、そのくらいはできる」
そうして湯呑みに注いでもらった紅茶を飲む。...まあ、なんだ。いつもより美味しいような気がする。このままゆっくりしてたいなーなんて思っていると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
...毎度毎度その反応の速さはなんなの?実はドアの前にセンサーとかあって、雪ノ下だけそれが分かるようになってるとかなんじゃないだろうか。
「邪魔するぞ」
「失礼します」
「平塚先生と城廻先輩」
「あ!いろはちゃんだ!やっはろー!」
部室に入ってきたのは平塚先生と城廻先輩、そしていろはちゃんとかいう奴だ。はて、どこかで見たことがあるような...
「あ、この間はすみませんでした。前見てなくて..」
「大丈夫だ、問題ない」
...ああ、思い出した。確か先週俺とぶつかったお手手スベスベの子だ!...いや覚えてる所そこかよ。もっとあるだろ、こう、髪の色とか。
とにかく、ここに来たという事は何かしらの依頼があるという事だろう。
「で、なんか用ですか?」
「ああ、少し困った事があってな..」
「では、話を聞きましょうか」
話を要約するとこうだ。どうやら一色いろはは生徒会長に立候補させられていたらしい。我が校は推薦人を30人集める事で生徒会長及びその他の役職に立候補する事が可能となる。だが、一色いろはは名も知らぬ奴らに勝手に推薦され、立候補者として登録されていたらしい。いや、どこのアイドルだよ。そして当の本人はもちろん生徒会長なんてやりたくないからどうにか出来ないかという事だった。それに付随して、自身のブランドに傷がつくから信任投票で落選はしたくないという条件がついている。はっきり言って手段はかなり限られてくるだろう。
「ほんと、どうしたらいいんですかね〜」
「他に候補を擁立して勝ってもらうしかないわね」
「それくらいしかないが問題がある。まず、候補を擁立するにあたって今の時期に立候補していないというのは厳しい。本当にやる気があればとっとと立候補して、選挙活動の準備に入るはずだ。...まあ、それはさして問題じゃない。悩んでいたとかで理由は簡単につく」
「だが、もう1つの問題がある。単純な話だが、一色いろはに選挙で勝つ。ということだ」
そう、一色いろはは人気がある。まず見てくれは美少女の部類だし、男子ウケならかなりのものだろう。加えてサッカー部のマネージャーということで名前もある程度周知されている。俺でも名前くらいは知っている程だ。そんな一色いろはに生徒会長選挙という名前の人気投票で勝てる人間はそう多くない。挙げるとすれば葉山か三浦くらいだろう。だが葉山はサッカー部の部長、三浦もそんな柄じゃない。となるとかなり難しい問題だ、1日2日でどうこう出来るものではない。
「他に方法がないでもないが、それは出来ればやりたくない」
そう、彼女達を傷つける事になるから。
「...そうね、私もかなり難しい問題だと思うわ。では、明日までに各自で案を考えておくということで今日は解散で良いかしら」
「...そうだね。あたしも頑張って考えてみる」
「そうか、では失礼するよ。城廻、一色、行こうか」
「はい、じゃあ、失礼しました」
「失礼しました〜」
そうして3人は部室を後にする。...全く、また面倒な依頼が来たもんだ。
次の日の放課後になった。あれからあの依頼をどう解決するべきかを考えていたが、これといった事は思い浮かばなかった。いやだって無理ゲーでしょ!一色いろはに勝てる候補を擁立するなんて事は不可能に近い。その時点で詰み同然だ。1つだけ思いついたがそれも本当に最後の手段だ。何よりそこまでしてまで依頼を達成したいとは思わない。...はぁ。部活に行くとしよう。
「2人とも、ちょっといいかしら」
部活が始まって数十分。雪ノ下が何かを決意したような目でこう言った。きっと、これは大事な話だろう。由比ヶ浜もその雰囲気を察したのか、姿勢を正す。雪ノ下は踏ん切りがつかない様子だったが、ついにその口を動かす。
「...生徒会長に立候補しようと思うの」
それは、俺達のこれからを大きく変える一言だった。
FGOの幕間尊かった...
「ゲームは1日1時間まで!」