そんな、あったかもしれない物語   作:ザクシャ

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遅くなってごめんなさい!最近リアルが忙しくて描く時間がとれませんでした!まだしばらく忙しいのですが、気長に待っていただけるとありがたいです!


ここから彼女達は巣立ちする。

 

 

 

 

 衝撃だった。いや、素質で言えばこれ以上ない程の逸材だろう。高校生離れした的確な判断、指示をする能力。単純な事務能力。人前でも臆せず話

 す事ができ、リーダーシップも十分だ。

 だが、俺はやらないと思っていた。

 

「...それは、依頼のためか?」

「...いいえ、前から悩んでいたの。これは、私の決断よ」

「...そうか。なら俺に止める権利はないな」

「...うん、応援するよ」

 

 そう言いつつ、由比ヶ浜は浮かない顔をしていた。多分、俺も考えている事は一緒だろう。

 俺は、俺達はこの場所が好きなんだろう。この紅茶の香りがする、この部屋を。何をしてでも守りたいと思える程に。だからだろう。雪ノ下が生徒会長をやらないと俺が思ったのは。

 俺がつい口を開こうとすると、雪ノ下は立ち上がっていつも依頼者が座る席に座った。その行為に首を傾げていると、雪ノ下がある事を口にした。

 

「1つ、依頼がしたいの」

 

 ...依頼とあらば、聞くしかあるまい。俺も由比ヶ浜も、姿勢を正す。そうして次の言葉を待っていると、ついにその口が動く。

 

 

 

 

 

「私を、助けて欲しいの」

「私は、この場所が好き。でも、生徒会長をやる事は私にとって必ず良い経験になる。だから、生徒会の一員として私を助けて欲しいの」

「私達は奉仕部だからここにいるけれど、その繋がりが無くなっても一緒にいたいと思うの。だから..」

 

「...ヒッキー..」

 

 そう、彼女は訴えかけるように目を俺に向ける。

 もちろんだ。

 

「ああ、奉仕部としてその依頼、受けよう」

 

 迷う事はない。俺と彼女は彼女の力になりたいと、心の底から思っている。なぜなら彼女は羽化し、この暖かい場所から飛び立とうとしている。ならば支えてあげる事が、この場所に後から来た俺達の出来る事だろう。

 

「2人とも...ありがとう」

 

 そう言って雪ノ下は微笑んだ。その、あまりに魅力的な笑顔に俺はしばらく惚けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、あたしたちは何すれば良いかな?」

 

 あれから数十分。雪ノ下は平塚先生に話をしに職員室に向かった。恐らく、一色の件もあるから話はそれなりに長引くだろう。そんな感じで由比ヶ浜と2人でいると、ふとそんな事を聞いてきた。

 確かに言われてみればそうだ。いざ助けるといっても俺達は生徒会の事を何も知らない。事務能力も俺はともかく由比ヶ浜にあるとは思えないし、他の分野では由比ヶ浜はともかく俺に人を動かす力はない。2人でうんうん唸っていると、雪ノ下が部室について戻ってきた。話は終わったということだろう。何か声をかけるか迷っていると、雪ノ下が紙を差し出してきた。

 

「さあ、これに名前を書いてもらえるかしら?」

 

 そうして渡された紙には、「庶務」と書かれた紙だった。

 

「えぇ!?あたしが副会長!?」

「俺だけ役付きじゃないのかよ」

「あら、比企谷くんは当選する事が出来るのかしら?そもそも、推薦人を30人も集める事が可能かしら?」

「.....」

 

 そう雪ノ下は笑顔で言う。...ぐぅの音も出ねぇ。だがまあ、俺には適任かもしれない。それよりさっきから挙動不審になっているアホの子を収めなければ。

 

「おい由比ヶ浜落ち着け」

「だって!あたしが!副会長だよ!やばいよ!あとやばい!」

「語彙力がいつにもまして死んでやがる...おい雪ノ下、どうにかしろよ」

「任せなさい。こうみえて交渉は得意な方よ」

 

 ...君が得意なの、交渉ではなく命令じゃない?

 

 

 

 

 

 そんな交渉は見たくなかったのでマッ缶を買いに外に出ると平塚先生を見つけた。先生もこちらを見つけると、案の定俺に話しかけてきた。

 

「雪ノ下の依頼、受けるそうだな」

「まあ、成り行きですよ」

「それでもだ。以前の君なら何がなんでも拒否していただろう」

「...まあ、そんな気もします」

 

 半年前の俺なら確実にそうしていただろう。だが、そうしなかったという事は俺に変化が起きたという事だ。変わるという事はひどく怖いが、それ以上の何かを、今まで以上の何かを手に入れるためなら変わる必要がある、と今の俺は考える。だから俺はあの依頼を受けたのだろう。

 

「君は案外そういう役職は似合っていると私は思うぞ。だから、頑張りたまえ」

 

 そう言って平塚先生は去っていった。いつも俺を見てくれていた人の言う事だし、信じてみるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 あれから数週間がたち、今日は生徒会選挙の日だ。流石は雪ノ下というべきか、演説は完璧という他ない。由比ヶ浜の方は緊張しているのか少しぎこちないがまあ、あの平凡そうな奴に負ける事はないだろう。

 そうして次の日の開示で見事、彼女達は当選していた事が分かった。まあ、当然の結果と言えるだろう。なにしろあんなに魅力的な彼女達なのだから当選する事も当然だろう。そして晴れて比企谷八幡こと俺は庶務に任命された。社畜魂が燃えている!!

 そんな感じで今は生徒会室の衣替え中だ。男が俺しかいないせいで重労働真っ最中である。はぁ、生徒会ブラックすぎない?だが、俺がやると決めた事だ。頑張るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつかから大切だった紅茶の香りがする部屋は失われたが、新しい場所でのこれからに俺は僅かばかりの期待を持ちながら作業に勤しむのだった。

 




FGO2部5章楽しみですね!
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