レインの為に頑張る 作:3さん
一夜明けて……いや、数時間経って昼。
数時間前は、真っ暗だった世界も今はピカピカだ。やはり、晴れは素晴らしい。こうゆう日にする昼寝は格別だ。
うん。もう無理だ寝よう。
こんな昼寝日和だ、寝なければ損だろう。別に俺が眠いわけじゃない。ちょっと寝なかっただけだ。別に死ぬわけじゃない。だって、ギネスには11日寝なかった高校生の記録もある。その中の1日。俺が寝てない時間はそれだけだ。
いや、もう強がりは辞めよう。
うん。
今、死ぬ程眠い。さっき晴れは素晴らしい、と言ったが訂正しよう。
日光うぜぇ。
睡眠不足の眼球が焼かれる。そのせいか、さっきから涙が止まらない。まぁ、謎に出る欠伸もその原因だが。
俺はレインの部屋から見える景色を見て、そんな悪態をついていた。
もうイベント開始まで数時間。プレイヤー達は準備を終え、みな気合十分。そんな時間だ。
当然、俺とレインは準備を終え、今は自由タイム。
俺は心の中で愚痴を垂らし、レインは誰かと通話中。多分、通話相手はさっき言っていた、ダンジョウ拳とう……なんたらのメンバーだろう。さっきから若い男の声が聞こえる。
そこまでは余り興味がなかったが、途中、スドウカナメ、という単語が聞こえた。
スドウカナメ。
初心者ながら有名プレイヤー2人を倒す。そのうち一人は色物だが、もう一人は疑う余地も無い強者。そして、シギルも不明。
そんなプレイヤーに興味を抱かない奴はいないだろう。
現にレインの通話相手もスドウカナメ目的だ。聞くところによると、そいつはスドウカナメと一戦交わりたいらしい。まぁ、俗に言う戦闘狂という奴だろう。
その男はスドウカナメを強者としての興味を抱いたが、俺は違う。
俺は闘いとか、そうゆうのでは無く、純粋の恐怖だ。
もし、情報が正しければ、スドウカナメは間違い無く強い。当然、俺が相対したら殺されるだろう。この際、その件は置いておくとして問題はレインの方だ。レインのシギルは非常に強力で、逃走にも向いている。正直言って、俺が心配しなくてもいい程に彼女は凄い。
だが、いくら逃走に向いているシギルでも、このイベントでの戦闘は不可避。必ず闘わなければいけないだろう。
だから、俺の恐怖はそっちの方だ。
当然、参加者に強者がいれば生存率は低くなる。弱い俺達にはそれが死活問題だ。だから、強者は一人でも少ない方がいい。
俺がスドウカナメに興味を抱くのは、そんな理由があるからだ。
そんな中で現在、スドウカナメとその男は交戦中との事。
モニターにはその中継が映っていた。
毎回思うのだが、レインはこの様な映像をどうやって入手しているのだろうか、分からない。まぁ、彼女が天才という事に変わりないが。
俺は、モニター画面の前にいるレインの横に行き、その映像を見た。
映像には、二人の男がいた。
二人とも俺と年齢も変わらない、高校生ぐらいの外見をしていた。
ほんと、世も末だな。ダーウィンズゲームには何人の学生がいるだろうか、数は定かでは無い。そんな学生達はこのゲームで殺し合う。当然、俺もその中に含まれている。偶に同じぐらいの年齢の学生とマッチングするが、その時は罪悪感でいたたまれる。少しでも良いから、俺達、学生プレイヤーが減って欲しいものだ。
俺はそんな事を願いながら、2人の戦闘映像を見ていた。
スドウカナメ、と思われるプレイヤーが一方的にやられているところに、一人のプレイヤーが介入してきた。そのプレイヤーは女性で、外見も少し幼さを残した高校生ぐらいだった。容姿だけ見れば華麗な少女だが、その正体は違った。
【49戦無敗の女王】
それがその少女の正体だった。彼女は本当の強者であり、実力は折り紙付きだ。そんな彼女だが、親しいプレイヤーもおらずクランにも加入していない。それが、少し前までの情報だった。
だが、その情報が今、修正された。
彼女は防戦一方だったスドウカナメに加勢し、あまつさえ親しくしている。
俺はそれが気になり、レインのに聞いてみた。
「なぁ、あの二人って協力関係だったりする? 」
「えぇ。クランも作成予定だとか」
「まじかよ……」
一気にテンションが下がる情報だった。
レインの通話相手が「誰かいんのか?」、と
言っているがこの際、無視しよう。
あの二人が手を組むなんて、100×100みたいなもんだ。正直言って、このイベントの有力候補だろう。やはりこのイベントは簡単ではなさそうだ。ちなみに俺とレインの力関係はこんな感じだ。
1000×1ぐらい。
まぁ、0よりかはマシだろう。0に何かけても0なんだから。
余談ついでに言うと、俺とレインの仲良し度は……
俺がそんな事を考えていると、何故だかレインに足を踏まれた。
理由は分からないが。
「そろそろですよ」
足を踏まれながらレインにそう言われた。
主語がない言動だったが、今の俺はそれをすぐ理解出来た。
レインに言われて、俺はスマホを見た。
そこには、イベント開始まで10分、と記されていた。
確かにそろそろだ。
画面の中にいる3人達もその話題をしていた。いつのまにか和解したらしい。
その様子を見るからに、3人は話がわからない奴ではなさそうだ。その事を知れただけで良い収穫だ。
だが突然、スドウカナメが転送、という単語を口にした。
どうやら転送が始まったらしい。その事に慌てて、女王に説明を受けていた。だが、慌てる気持ちは俺も理解出来る。だって、転送なんてした事ないよね。当然、俺もした事がない。
てか、転送ってなに?
「なぁ、レイン……転送ってなに?」
俺は正常心を保ちつつ、レインにそう聞いた。
俺の質問を聞いた、レインは俺の顔を見て説明してくれた。
「どうやら、このイベントはシブヤに転送されて開始のようです」
レインが一語一語ゆっくり、丁寧に説明してくれた。
うん。こうゆう時もレインは頼りになる。
つまり、俺とレインは別行動。
うん。俺、死んだわ。
「あっちに着いたら、急いで私にチャットを下さい。私も着いたら送るので」
レインが急ぎ急ぎでそう言ってくれた。
彼女が慌てるのは珍しい。
それだけ俺の身を案じてくれているのかと思うと、凄く嬉しくなる。
そして、俺はレインの体を見た。
もう、互いに体の半分が透明になっていた。
後、数秒であの地獄に行くだろう。
あの世界に法や秩序なんて存在しない。
──────生きるか死ぬか
それだけ。
俺は毎回、こうゆう時は不安になる。
死ぬ。
心の中がそれに支配される。
けど、それ以上に俺は怖いものがある。
レインが死ぬ。
それが俺は一番怖い。
ダーウィンズゲーム中はこの言葉に俺は支配される。
今だってそうだ。
彼女を失うのが怖い。
だから、俺は必ず戦う前に彼女にこの言葉をかける。
これを聞いて彼女は良い顔をしないが
それを今日も言おう。
「レインを絶対に死なせない」
俺がそう言うと時、彼女は必ず悲しそうな顔をする。
それがいつもの儀式。
それを今回も終えた。
もう、不安な事はないだろう。
そう思って、数秒、俺達は世界を飛んだ。
レインの部屋から視界が一気に飛んだ。
これが転送か。
なんとも言えない気分だ。
そして俺はスマホを取り、レインにチャットを送った。
直ぐに返信は返ってきた。
幸いな事に俺達は今、同じ建物内にいるらしい。
場所は高層ビル。
俺がいる部屋はホテルの様な外装だ。
このビルはシブヤのホテルの一つ、と言えるだろう。
まだ、部屋の外は静か。
多分、今のうちにルールなどを見ているのだろう。現にメールが更新されていた。
簡単に言うと、今シブヤにリングがばら撒かれており、それ一つに高額なポイントが設定されており、それを奪い合う。
とてもシンプルで簡単なルールだ。
分かりやすく単純なルールだが、一つ気を付けなければいけない事がある。メールには、3つ以上リングを集めないとゲームオーバー、と記載されていた。
運営は俺達を簡単には生かしてくれないらしい。
しかも、イベントの開始までその情報を伏せていた。
なんとも卑怯なやり方だ。
だが、方針は決まった。
俺とレインのリング、合わせて6本以上。
それを命がけで集める。
そうと決まったら行動だ。
リングの探し方については、勝手にダンロードされていた、異次元カメラというアプリを使うらしい。
要らないところで配慮が効いている。
運が良い事に、俺がいた部屋にリングが一つあった。
幸先は良さそうだ。
俺はそれを拾い、これからの方針をレインとチャットで相談した。
まとまった結果、互いが落ち着いた時に連絡して、落ち合う事になった。俺としては早くレインと合流したいが、今の現状で細かい事は言ってられない。
私利私欲は控えた方がいいだろう。
俺達は互いの安全を願いながらチャットを辞めた。
よし。
そろそろ行こう。
この部屋に篭っているのではらちが明かない。それに、リングの場所が動いているのが分かった。おそらくプレイヤー達が広い、かくじ動き出していると言う事だろう。そうしないと、俺もそろそろやばそうだ。
場所を動いていないため、この部屋に誰かが入ってきてもおかしくない。
俺は覚悟を決め、部屋を出た。
部屋を出て、通路を歩き気づいた事があった。
死体が多すぎる。
死亡者の形をした、モニュメントが大量にある。多分、開始して直ぐに大きな交戦が有ったのだろう。それも大人数の。
これは部屋に篭ってて正解だったなぁ、と思いながら足を進めて行く。
少し歩いた所で、エレベーターがある場所にたどり着いた。
どうやら、普通に稼働してるらしい。
今も25階から26階に上がってきそうな所だ。
いや、待て、この階は何階だ?
部屋を出て、まだ少ししか歩いていない。
俺はこの階が何階か知らなかった。
だが、もしこの階が26階なら非常に不味い。
エレベーターから出てきた、プレイヤーと鉢合わせしてしまう。
俺は身の危険を感じ、その場から離れようとしたがもう遅かった。
扉は開かれ、そこには一人の男が乗っていた。
外見だけ見たら普通……なんて事は無かった。
そいつは外見からしてやばかった。
歪なマスクをし、軍用ゴーグル、ヘルメット、長いレインコートを見にまとっていた。
見るからにしてやばい。
だが、そいつが両手に持っている代物がシャレにならないものだった。
機関銃とか、嘘だろお前。
なんかコレジャナイ感すごい。