「ほらほらリリ、頑張って拾わないと足場が無くなるよ」
「分かってますから黙ってて下さい!」
リリに言われて黙って周囲の怪物を両手に持ったナイフで切り捨てて、魔石をリリの方に蹴る。時には魔法で纏めて凪払ったりするが基本はナイフでの接近戦がメインだ。
しばらくの間、怪物狩りを続けているとリリから声をかけられる。
「いつも通り、カバン一杯ですよ!」
自分よりも大きなカバン3つを担ぎ上げてリリが叫ぶ。
「了解。それじゃあ帰るよ、リレミト」
リリの側まで駆け寄り、リレミトでダンジョンの入り口まで帰還する。
「お疲れ~、それじゃあいつも通り換金して3割がリリの取り分ね。飲みに行くけど、来るでしょ?」
「いつも通り奢りなら。その前に一度着替えに戻りますけど」
「オッケー、いつも通りね。いやぁ、いつも通りが一番だな」
ロキ・ファミリアに絡まれて良いことなんて殆ど無い。個人的に良い付き合いが出来るのはいるけど、それ以外はちょっと勘弁して欲しいかな。自信を付けたラウルがトップに立ってくれると非常に付き合いやすくなると思うんだ。
ティオナに好かれてるけど、ティオネ位のおっぱいになってから出直して欲しい。まあ、ちゃっかり抱いてるけど。逆にティオネは好きな方だ。まあ、フィンにゾッコンだから良い隣人程度にすませている。
アイズとベートとレフィーヤは論外。子供の相手なんてやってられない。
リヴェリアも微妙。周りの人間関係に無頓着過ぎて好きになれない。
ガレスは関わりが薄いせいで判断出来ない。
そしてフィンは大嫌いだ。勇者の名を汚す存在なんて生かしておきたくない。機会があれば絶対に殺る覚悟をしている。
ラウルとは結構仲が良い。親友とは言わないけど大事な友人位には思ってる。闘気法の初歩位は教えて、ある程度使いこなせている。なんで幹部候補になってないのか分からない。アイズやベートよりよっぽど適正があるのに。まあ、フィンの目が曇っているのが原因だろう。あいつ、名声にしか目が向いてないから安全安定志向のラウルを評価できないんだろう。
着替えを済ませてリリと店前で合流して店内に入る。
「ちぃーっすクロエさん、二人だけど空いてる?」
「来ると思って奥のテーブル空けてるわよ」
「それじゃあ、いつものとお土産にアーニャさんをテイクアウトで」
「残念、アーニャは売り切れよ。ミア母さんを怒らせて今日の片付けを言い渡されてるから。リューなら余ってるわよ」
「ふつつか者ですがよろしくお願いします」
いつの間にかリューさんが現れて頭を下げるが返事はNOだ。
「人のプライドをぼろ雑巾にしてくれたポンコツエルフは帰れ!いや、せめてピーラーで皮剥きが出来るようになってから出直してこい!」
ミアさんと取引でリューさんに料理を教えることになったのだが、下拵えが出来なかった。態々ゴブニュにピーラーを作らせたのに、皮剥きすら出来なかった。ゴブニュに報告と野菜の残骸を見せたら唖然としていた。
「えぇ、ピーラーで皮剥きが出来ないって…逆にどうやるんですか?」
リリがドン引きしているが事実だ。
「分からない。粉々の残骸にしてくれたから」
「あの、その腕前でベル様を狙うのはちょっと危ないですよ。先日、ギルドの受付を壊滅させちゃってますから」
ああ、スズちゃん襲撃事件ね。突如現れた謎の美少女(笑)スズちゃんの女子力に受付嬢が軒並み殲滅された事件が発生して一時ギルドが閉鎖状態に追い込まれたのだ。伊達にアバン先生に師事してないからな。炊事洗濯裁縫化粧礼儀作法その他諸々も仕込まれているのだ。貴族仕込みの化粧と礼儀作法相手に庶民が太刀打ちできる訳もなく壊滅してしまった。
「いやぁ、ぼくもみてみたかったなぁ」
「ベル様、白々しいにも程がありますよ。皆さん、ベル様だって気付いた上でこれ以上傷付きたくないから黙ってるんですから」
「うん、楽しかったからまた何処かで披露しようかなって。リリも見てみる?スズちゃん」
「絶対にNO!あ、でも化粧とか所作は教えて貰いたいです」
「良いよ。明後日にヘスティア様の教会で教えて上げる」
「またですか?」
「でっかいおっぱいは至高ってじいちゃんの教えだから」
「本当にベル様のお祖父様はクズですね」
「他にもでっかいおっぱいには夢が詰まっている。ちっちゃいちっぱいには希望が詰まっているって」
「それ、希望じゃなくて願望の間違いでしょう?」
リリから視線を反らす。大丈夫、大丈夫。じいちゃんの教えを開示しているだけで、オレはおっぱいの大きさに拘りはそこまで無いから。どちらかと言えばその内側、心の強い女性が好きだから。でも、やっぱりある程度はあって欲しいと思う。ポップの時は周りは大きいのばかりだったから。
しまった、何処かで本場のパフパフを体験しとけば良かった。
「急に悔しがってどうしたんですか?」
「取り返しのつかないミスをしていたのを思い出しただけだよ。本当に、もったいないことをした。結構傷付いた」
こっちでパフパフ以上のことをやってるけど、それはそれこれはこれ。本当にもったいないことをした。
「どうせくだらないことか、エッチなことでしょう。ほら、とっとと飲みましょう」
「それもそうだね。クロエさん、適当に魚料理も追加で」
「はいはい」
いつも通りの酒盛りを楽しんだ後、イシュタルファミリアに向かう。入り口にいた魂が醜いヒキガエルを一撃で伸して受付の女の子に話しかける。
「アイシャさん空いてる?」
「あっ、ベルさん。イシュタル様がお呼びですよ」
「うん?ああ、なんとなく理解した。いつもの部屋?」
「はい」
「それじゃあ、通して貰うね」
何回か通ったことのある通路を通ってイシュタル様の私室に向かう。
「イシュタル様、ベル・クラネルがやってきましたよ~」
「遅い!」
「いや、それなら伝言の一つぐらいしてよ」
「特定のヤサを持たずにあっちにふらふらこっちにふらふらで、女を取っ替え引っ替えしている奴にどうやって伝言しろと」
「ギルドのエイナさんには毎朝顔を出してるからそっちまでお願いします。それで、フレイヤ様に自慢でもされましたか」
「そうだ。お前が女装、というか疑似性転換してフレイヤの相手をしたとな」
「正確にはイメージプレイですけどね。レズップルなフレイヤお姉様とスズちゃん、ある日スズちゃんに生えてしまい困惑してお姉様に相談するスズちゃん。それを喜んだフレイヤお姉様は性知識の薄いスズちゃんをリードして、ぐちゃぐちゃに犯すも最後には無尽蔵の体力と高い学習能力を持つスズちゃんに逆転されて無様な姿を晒すってプレイです」
「逆転無様が癖って、天界でも知られていないわね」
「無自覚の魅了なんてただの呪いだからね。人形遊びなんだと思うよ。やっぱり美の方向性が違いますよね。前にも言ったけど、イシュタル様の方が入り口が狭くて奥が深い感じですね。フレイヤ様はその逆で」
「ふん、そう言うなら実際に行動で示せ」
「もちろん。ところで、スズちゃんで?」
「私だけ見てないのもつまらん。それとこれが私の要望だ」
「はいはい、仰せのままにお姉ちゃん」
「じいちゃん、ヘルメス様、結論から言って時間が足りないってのがオレの出した答えだ。10年以上経ってもレベルが1しか上がっていない堕落した狩人に竜は狩れない」
「厳しい言葉だけど否定出来ないかな。たかが15年程でもうベヒーモスとリヴァイアサンの恐ろしさを忘れてしまった。いや、覚えている冒険者が死んでしまったが正しいか」
「嘆かわしいな。では予定どおりなのか」
「オレが一人でどうにかする。なあに、これでも異世界で大魔王をぶっ殺した大魔導師ポップ様だったんだ。その伝説に新たな1ページが刻まれるだけのことさ」
強がってみせるが、神々に嘘は通用しない。それでも強がる。守りたいものがある限り、オレの心の中にある勇気の炎が絶えることはない。その炎を極限まで燃やせばどんな闇だろうと晴らしてみせる。ベル・クラネルとして生まれ変わろうとも、オレはアバンの使徒だ。
「ヘルメス様、竜種の間引きは今までどおり続けます。何か異変があった時は報告お願いします」
「分かってるよ」
「それと剣の方は?」
「なんとかヘファイストスに内密に届けた。整備も本神が請け負ってくれたよ。神が打った一振と言われても過言じゃないそうだ」
「向こうの世界で神々が竜の騎士のために用意した神魔剛竜剣、それと同等と言えるダイのための剣だからな」
黒竜のプレッシャーに負けそうになった時に世界を越えてまで現れたダイの剣を見て、ダイの剣を握り、ダイの竜の紋章が、ダイがオレに力を貸してくれたことで運命を悟ったさ。
「さって、それじゃあ、いつもの娼館は貸しきってあるし」
「食って!」
「飲んで!」
「遊ぶぞ!」
ベル・クラネル
自称レベル4の冒険者。女好きであっちこっちフラグを立てては美味しくいただいている。原作よりも少し大人っぽく、明るくて太っ腹。時折醸し出すキレる雰囲気とのギャップにやられる女の子が多数。
レベル8の冒険者。黒竜討伐のための仲間探しにオラリオに向かうも、堕落した冒険者と神々に失望する。早々に単身で黒竜討伐の準備を進める。前世があることをじいちゃんこと神ゼウスと神ヘルメスには伝えてあり、協力を仰いでいる。
ダイから送られてきた剣と竜の紋章の習熟のために深層に潜りアバン流刀殺法の習得を急ぐ。