10代目雲の兄弟 霧雲の守護者になった者   作:白炉丸

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 今週、2回目の投稿になります。



霧雲 弐拾

「炎エネルギー、全ブロック内バイパスへの浸透確認。稼働ブロック移動開始」

 

 

 入江が(ボックス)に炎を注入すると、目の前のモニターにメローネ基地の全体像が表示された。

炎を注入している右手をそのままに、左手で(ボックス)の操作すると、基地全体がひどく揺れ始めた。

 

 

「随分遊んでくれたな、ボンゴレの鼠ども。後悔させてやるぞ。今度はおまえ達が ボンゴレリングを狩られる番だ。

 連中の位置は分かっている。しかるべきポイントへ連れていってやる。

 

 F10ブロックを2-4-2へ」

 

 

 

‘‘メローネ基地’’

 厳密には匣兵器ではなく、リングの炎により変形する巨大建築物。

白蘭の命令で 正一が最先端の科学力を使って設計した最新のアジトで、

晴の活性エネルギーによって各ブロック(かん)のコケが成長する力を利用して稼働する仕組みになっている。

 

 この基地のほぼ全ての部屋は立方体で分割することができ、各階には同じく立方体の形に空いた何もない空間がある。

その空間を使いスライドパズルの様に各部屋(ピース)を動かし、思い通りの場所に思い通りの部屋を移動させることが可能な建物。

 

 

「成功だ。γ(ガンマ)とボンゴレ 晴と嵐の守護者が遭遇したな。

 基地内の電気系統の全コントロールをこの部屋に移行し、監視カメラも復旧しつつある。

リング探知システムは使えないが、大した問題ではない。後は連中とボンゴレリングをひとつずつ摘んでいくだけだ」

 

 

**

 

 

「幻騎士と山本武の接触も成功したな。

γ(ガンマ)は相当 負傷しているようだが、晴の守護者 笹川了平を倒し、嵐の守護者 獄寺隼人も満身創痍においこんだんだ。充分に役割を果たしたと言える。 やればできるじゃないか。

残りの鼠など幻騎士さえいればどうとでもなる」

 

 

 スクリーンを見ながら状況を確認している入江は、兵士から声をかけられた。

 

 

「入江様。司令室より報告が2つ」

 

「何だ」

 

 

 スクリーンに司令室の映像が映し出される。

 

 

『入江様! ボンゴレアジトから偵察部隊が帰りました』

 

「帰った? 今まで報告はなかったのか?」

 

『雲雀恭弥に感づかれ 無線を破壊された模様です。ニコラ隊長に代わります』

 

 

 画面が移り変わった。

そこには 負傷し、包帯を巻いている男が3人映っている。

 

 

『入江様、雲雀恭弥との戦闘は継続中‼︎ こちらの負傷者は相当な数です。

ですが現時点ではこちらが優勢‼︎ 雲雀恭弥を倒すのは時間の問題です‼︎』

 

「そうか、相手を考えれば満足すべきなのかもな…… ご苦労…休め」

 

 

 一度 通信を切る。

 

 

「2つ目の報告は何なんだ?」

『ハッ』

 

『スパナ氏のモスカの戦闘記録(ブラックボックス)を調べたところ、スパナ氏の言っていた ボンゴレ10代目が用水路に落下したというデータはありませんでした』

 

「・・何だと? スパナは何と言っているんだ?」

 

『それが、連絡がつきません!』

「どういうことだ⁉︎ スパナを叩き起こしてでも事情を聞け‼︎」

 

『もうやってるよ、大将。ところが(やっこ)さんの部屋はもぬけの殻だよ』

 

 

 画面に新たな映像が映る。

そこは()花゜(パナ)と文字が書かれた絵が飾ってある部屋、その部屋にいる白色の服を着た2人。

 

 

「アイリス‼︎ ジンジャー・ブレッド‼︎」

 

『しっかし驚いたよ。この基地がビックリパズル構造になってたなんてさ』

「嫌味なら後にしてくれ‼︎ スパナはどこだ⁉︎」

 

『この基地内のどこかにボンゴレと共にいる可能性が高いです。ボンゴレをかくまっている可能性もある』

「なぁ!? スパナが裏切ったというのか⁉︎」

 

『私達は今から奴とボンゴレを捜索するつもりだよ。了解してくれるね?』

『もし、スパナ氏が寝返っていた場合はどうします♪』

 

 

「……………抵抗するようなら殺してもかまわない。白蘭さんには僕か報告しておく」

 

 

「やっぱ、この基地の大将はあんたしかいないね(chu)

 

 

 

 

 

******

 

 

 

 

 

 

 幻騎士によって山本武が倒されたことをモニターで確認した。

 

 

「幻騎士の勝利が確定的となりました」

 

「当然だな。幻騎士は白蘭サンの懐刀……強すぎる男だ。

これで雨のボンゴレリングの回収が叶うな。他はどうなっている?

 大空のボンゴレリング。ボンゴレ10代目とスパナは見つかったか?」

 

 

 入江は基地を走り回っているジンジャーとアイリスに連絡を取る。

 

 

「いいえ。1から3番ドックでは発見できませんでした。

そちらは? アイリス」

 

『実験場にもいなかった。となると、4番ドックだね。まかせな大将』

 

「確かだろうな」

 

『ああ。追いつめたと言って間違いないよ。

スパナなんて機械いじれるとこにしかいられないんだから』

 

「気を抜くなよ、アイリス」

 

『侵入したボンゴレ10代目わやブッ殺して、大空のボンゴレリングをぶんどればいいんだろう?』

 

「ああ、まかせたぞ」

 

 

 アイリス達との通信を切り、入江はチェルベッロに話しかける。

 

 

「嵐のボンゴレリングの回収はどうだ? γ(ガンマ)と獄寺の勝負はついたか?」

 

「いいえ まだです。ですが、突入部隊が到着。いつでも獄寺をしとめられます」

 

「よし。完璧だな。ボンゴレのガキ共を返り討ちにし、ボンゴレリングを手に入れれはま白蘭サンも大満足だ」

 

 

「突入させますか?」

 

「いや、待て……」

 

 

 モニターには、γ(ガンマ)と獄寺隼人が戦っている姿が映っている。

二人は最後の最後に全力の攻撃を撃ち合った。

 

 

 

「強力な炎のスパークにより内壁を破損、室内の温度計が振り切れています」

 

「これでは…、相打ちか……お粗末だな、γ(ガンマ)…」

 

 

「突入隊への指示はいかがなされますか?」

 

「爆破がおさまり次第 突入だ。

嵐のボンゴレリングの回収わや最優先にな」

 

 

 

 そのとき、緊急通信が入り、モニターに兵士が映る。

 

 

『入江様!!大変です!』

 

「!? どうした!」

 

『新たに何者かが基地内に潜入したもようです』

 

「何!?」

 

『見張りがやられました!! 敵は偵察部隊になりすましていたとのことです!!』

 

「なりすましていただと!? 術士か!?」

 

『恐らく、霧の幻術を使ったのだと思われます』

 

「帰ってきた偵察部隊だったんだな!? 何人だ!?」

 

『今 確認中です!!』

 

「ボンゴレの援軍と見るのが自然だな……何としてでも見つけ出せ!!殺しても構わない!!」


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