10代目雲の兄弟 霧雲の守護者になった者   作:白炉丸

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1/11追記 誤字修正しました。



霧雲 弐拾玖

 崖から落ち行く中、凜弥と恭弥の二人はボンゴレ匣を開匣した。

 

 

 

球針態(きゅうしんたい)だよ、ロール」

「クピィィィ!!」

 

 恭弥は〈雲ハリネズミ(ポルコスピーノ・ヌーヴォラ) Ver(バージョン).V(ボンゴレ)〉を開匣し、空中に作り出した球針態に着地した。 足場として出した為、球針態の針は短い。

 

 

 

 そして凜弥が開匣したボンゴレ匣は〈霧雲カラス(ストラートス・コルヴォ)Ver.V〉。月白色(げっぱくいろ)の羽毛に灰色の眼をしたカラスは、霧雲の死ぬ気の炎と同じ、灰色の炎を身に纏っている。

 

 

 

「 増えろ、八咫(やたの)

「クワァァァ!」

 

 

 〈八咫(やたの)〉と名付けられた ボックスアニマルに凜弥が命令を下す。すると霧雲カラスの体が、雲が分かたれるように分裂し始める。2、5、10と霧雲カラスはその数を増してゆく。そして増えた霧雲カラスは一塊の足場となり、凜弥はその霧雲カラスが作り出した足場に着地した。

 

 

 

 足を着けた二人はそれぞれを見上げ見下げた。

そして何を言うでもなく戦いを続ける。

 

 

 霧雲カラスと雲ハリネズミの双方は、主人の無言の命令に従いその数を増やし、空中辺り一面に無数の足場を浮かべた。

 

 

 不安定な足場の中、崖を背に、足場にしていたカラス達から、空中に点在するカラスと球針態へと次々に飛び移り恭弥に迫る。

恭弥もそれを黙って見ているでもなく、凜弥と同じ様に足場を利用して駆け出す。

 

 先に仕掛けたのは恭弥だった。

球針態から飛び上がり、トンファーで凜弥の顔面を狙う。

 

 

 

「 言っただろう? 甘いって 」

「っ!」

 

 

 対するように凜弥が繰り出したのは上空からの踵落とし。トンファーが振りかぶられるより速く、前転し勢いを付けた踵落としを恭弥の頭 目掛けて振り下ろす。

 その踵落としに、恭弥はトンファーを 攻撃から防御へと回す。攻撃を反らすには体勢も悪く、そもそも行動を起こすには遅すぎた。両腕のトンファーを頭上へとかざし踵落としを防ぐ。

 

 

 しかし、筋力に重力&回転エネルギーが加わった攻撃を下から、それも支えが一切ない空中では受け止めることが出来ず。一瞬の拮抗もなしに恭弥は真下へと落とされる。

 

 

 

「 まだまだだよ、恭弥。君の攻撃は、僕にはまだ届かない 」

 

 

 凜弥はカラスに着地し、落ちた恭弥を見下ろす。

恭弥は球針態になる前の、(ほど)けた雲ハリネズミの上で膝を付いている。蹴り落とされた時、真下にあった球針態をとっさに解いていた。あの勢いで球針態の針に当たれば唯では済まなかった為、良い判断と言えるだろう。

 

 恭弥は立ち上がり凜弥を見上げた。その顔は どことなく得意気(とくいげ)だ。

 凜弥は疑問に思う。攻撃を当てられ吹き飛ばされた時、いつもなら眉間にシワを寄せ不機嫌になる恭弥だが、今回は何故か機嫌がよくなっている。

 

 恭弥が凜弥に向けて指を差した。

 

 

 

 

「届いたよ。貴方に」

 

 

 凜弥はハッして先程恭弥を蹴り落とした足を見る。そのズボンの裾には、小さいが、確かな引っかき傷が刻まれていた。

 

 凜弥は恭弥の両の手に視線を向ける。恭弥が持つトンファーだが、形状が変わっていた。

 

 

「 ……仕込みトゲ、か。やられたよ 」

 

 

 

 恭弥が持つトンファーは、一見なんの変哲もないがその実は違う。トゲやら鉤爪やら、様々なものが仕込まれている特注の仕込みトンファーだ。

 凜弥は苦笑いした。それは自分も使った事はあったが、久しぶり過ぎて意識から除外していた。だがそれで傷を付けられたら元も子もない。凜弥は、死の気配のない弟との戦闘だ、と軽視していた気を引き締めた。

 






 
恭弥「(`・ω・´)ドヤ」

霧雲の綴りはコレ→「stratus」


また中途半端…。形態変化したい。

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