炎が放たれる直前、僕はザンザスの腕を上に弾いた。憤怒の炎は空へと向かい、地上の被害は免れた。
これ以上何かされるのはめんどうだと、僕は彼を気絶させることにした。
気絶させるのは簡単だった。背後に回って首の後ろに蹴りを打つと、彼はガクリと意識を落とした。
その後、気絶したザンザスを引きずって近くの公園まで運んでおいた。と言っても投げ捨てただけなんだけどね。あのまま放っておくよりましだろうという判断だ。
やはり弱かったね、彼。僕が強いだけなんだろうけど。
前前世では結局サル山のボス猿を咬み殺すことは出来なかったから、今世で面白い戦いができるかなって思ってたんだけど…、この分だとそれはまだ先になりそうだ。
今回の事、彼が忘れてくれると良いな…。
覚えていたらきっと厄介なことになりそうだ。命狙われたり命狙われたり命狙われたり…、まあそうなったら、全て咬み倒すだけだけどね。
*
「 それじゃあ、もう行くよ 」
「ああ、気をつけてな」
「元気でね。恭弥のことは私達に任せて」
15歳になり、並盛中学校を卒業した僕は今日、旅立つことを決めた。
しばらくの別れということで、両親が家の前まで見送りに来てくれた。
両親は最初から僕が旅に出ることに反対せず、僕の好きにして良いと言ってくれた。
だけど、数日前まで僕が旅に出るという事を教えてなかった恭弥がこの旅立ちに大反対。ここ数日僕とは口を聞いてくれなくて、今も拗ねて 朝からどこかへ行ってしまっていた。
恭弥が生まれて、僕の記憶が戻ってから7年という月日が流れたけど…、僕は未だに、家族との付き合い方がわからない。と言うより転生の繰り返しでわからなくなった。
僕が雲雀恭弥だった時は記憶に親が居らず。前世のソルドーネの時は親は居たけどクズ親と呼べるものだったからな。
前世はアディという兄弟が居たけど双子だったから、歳の離れた兄弟は今世が初なんだよね。
それに両親も
僕は並盛町を出る前に、並盛神社へと足を運んだ。
帰ってくるのがいつになるかわからないからね。ひとまず見納めしておこうかと、僕のお気に入りのこの場所に来てみたけど…、
「 ここに居たんだね。恭弥 」
僕がそう声をかけると、森の中から、すでにトンファーを取り出している恭弥が姿を現した。
「ねぇ。本気で戦ってよ」
現在7歳、今年で8歳になる恭弥が、僕から数メートル離れた場所で足を止め トンファーを構えた。
「 ……、ふぅん。
手加減している僕にすら敵わないくせに? 」
「それでもだよ」
「──それでも。
あなたの本気を見てみたいんだ。兄さん」
僕を見つめる真剣な瞳
かわいいな。
かわいい、かわいい、僕の弟。
かわいくて、かわいくて──
──イジメたくなる。
*
恭弥との真剣勝負は 戦いにすらならず、僕の一方的なもので終わった。
骨は折れていないはずだよ。イジメるのも我慢したし。
さすがに弟をイジメるのは辞めておこうと思った。
それから僕は、並盛神社の管理を恭弥に任せ、並盛町を旅立った。
まずはお金集めかな?
さて、手始めにどこを潰そうか。
ホントはXANXUSと仲良くさせるつもりだったのに…。どうしてこうなった!