10代目雲の兄弟 霧雲の守護者になった者   作:白炉丸

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邂逅、虹の大空(前編)

 これはこの世界の骸達との邂逅から数年後の話だ。

 

 その時の僕は、ソルドーネ時代に埋めた()()()を、原作が始まる前に回収する為にイタリアへと来ていた。

 それ以前にも、それの回収の為に足を運んだが、()()()その場所に近づけず、その日まで何度も訪れていた。

 

 

 

 

 

 揺れる木の葉、鳥は羽ばたき、小さなモノ達は駆ける。

そんな音に耳を傾けながら、鬱蒼と荒れた道を何のそのと凜弥は歩いていた。

 

 目的の場所に着いたとき、凜弥は見知った景色の中に見知らぬ光景を見た。

 

 

 

 

 

 

 

「あら、やっと来たのね。女性を待たせるなんて、イタリアの男として失格よ」

 

 

 凜弥に気づき振り向いた女性は、翠がかった黒髪に空色の瞳を持ち、その首には橙色のおしゃぶりが下げられていた。

彼女は凜弥に溌剌(はつらつ)とした笑顔を向ける。

 凜弥は彼女がなぜここに居るのかと思い、眉をひそめながらも口を開いた。

 

 

「 だったら?君の常識を僕に押し付けないでくれないかい。大空のアルコバレーノ 」

 

「ふふっ、ごめんなさい。

 私は、ジッリョネロファミリーのボス、アリア。はじめまして、ボンゴレファミリー初代霧雲の守護者さん」

 

 

 その言葉に凜弥は警戒の目を向ける。

大空のアルコバレーノが持つのは予知能力のはず。何故過去の事を知っている。

 

 凜弥のその姿に、アリアはニコリと笑う。

 

 

「あら、その反応、当たったみたい。

貴方って意外とわかりやすい反応をするのね」

 

 

 嵌められた。凜弥は内心ため息をついた。

さすがにこれは動揺し過ぎだと僕も思う。

 大空の包容力なのか、ニコニコと笑うアリアにイラつきは微塵も感じなかった。

 

 

「 それで、何故僕が初代霧雲の守護者だと? 」

 

「簡単よ。こんな辺鄙(へんぴ)な場所に来る人なんて限られてるわ。貴方の目的はこれでしょう?」

 

 

 アリアは持っていた物を凜弥に見せるように掲げる。

その手には凜弥が探し求めていた物か握られていた。

 

 

「 それは、、 」

 

 

 太陽光を反射させるそれは、凜弥がよく知ったモノ。

過去に永遠の友情を誓った(ねがった)モノ。

 

 

「とても良い物ねコレ。それに大切にされてる。

 箱に入れられて埋められていただけだと思ってたけど、手にしてみてわかったわ。

 スゴイわね、死ぬ気の炎を使った保存方法なんて。百年は土の中にあったのに錆の一つもない」

 

 

 ボンゴレの紋章と守護者の紋章が刻まれたアンティークゴールドの懐中時計。

 ジョット(プリーモ)から守護者達へと手渡されたモノ。

 

 アリアは微笑みながら、この時代に生まれてから僕が手にできなかった その懐中時計を眺めている。

 

 

 

「 ……返してくれないかな 」

 

 

 凜弥は自身のモノが他人の手にあることに苛立った。

大空のアルコバレーノがその懐中時計を害するとは考えていない。

だが、長年求めていた、それも懐に入れていた者から渡された懐中時計が他人の手にあることが許せず、凜弥は不快感を見せる。

 凜弥がこれ程までに自分の感情を見せるのは どれくらい振りだろうか。

 

 

「 ごめんなさいね。懐中時計(これ)にはボンゴレファミリーの紋章が刻印されているから、 ジッリョネロのボスとしてはボンゴレに届けなきゃならないのよ」

 

「 ……… 」

 

 

 そんな凜弥の感情を知ってか知らずか、アリアはそう言うと、懐中時計を――もとからそこに入っていたのだろう懐中時計がピッタリと(はま)る――表面に少しばかりの土が付着している箱に入れ、閉じた。

 

 それを見た凜弥は、苛立ちによって釣り上がった目をそのままに顔を伏せた。アリアは閉じた箱を手に乗せたまま動かずに凜弥を見ている。顔が伏せられた凜弥の表情は伺えない。

 

 

 数秒後、顔を上げた凜弥は苛立った表情から一変、いつも通りの無表情に戻り、アリアを見つめながら静かに問いかけた。

 

 

 

 

「 代価は、なんだい。ジッリョネロのボスとして、…じゃないね。アルコバレーノの大空…いや、一人の母親としてかな?君は僕に何を望む 」

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ」

 

 

 

 

 

 

「話が早くて助かるわ」

 

 

 

 

 

 

 そう言ったアリアは、いつか見た、母の顔をしていた。

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